太陽光発電は自家消費型に移行した方がお得?切り替え方法とメリット

これまで産業用太陽光発電は自家消費型太陽光発電ではなく投資手段として所有するケースがほとんどでした。
しかし、売電価格の下落や電気代の値上がりといった理由から太陽光発電の運用方法・導入目的の見直しや、固定価格買取制度終了後に自家消費に移行することを視野に入れて考える方が増えてきています。
この記事では、自家消費型に移行するメリットとデメリットを踏まえて、今後の太陽光発電のあり方を考えていきます。
太陽光発電における自家消費の仕組み
太陽光発電は、太陽の光を活用して電気を売電する発電方法です。
太陽光発電の売電方法は2つあり、発電した電気を自宅や企業内で使用し、余った電気を電力会社に売電する余剰売電と発電した電気をすべて売電する全量売電です。
余剰売電 | 発電した電気を家庭や会社内で使用した上で、余った電気を売電する |
全量売電 | 発電した電気をすべて売電する |
現時点で自家消費が主流なのは、住宅用太陽光発電です。
10kW未満の住宅用太陽光発電は、発電した電気をすべて家庭内で消費する完全自家消費型太陽光発電か、使い切れなかった電気を売電する余剰売電型太陽光発電として利用することができます。
一方、大規模な産業用太陽光発電は、全量売電といい発電した電気をすべて売電することができる仕組みとなっているので、自家消費型太陽光発電として利用しているケースはあまり多くありません。
ただし、産業用太陽光発電は規模により余剰売電もしくは全量売電と分別されます。
詳しくは「余剰売電と全量売電の違いとは?太陽光発電投資のポイントを解説」を一読ください。
太陽光発電は2019年を境に大きく変わろうとしており、今後新規で50kWh以下の太陽光発電を設置する場合は自家消費型に移行するのが有益な方法だとも言われています。
自家消費型太陽光発電が注目されている6つの理由
①売電価格の低下
知っている方も多いと思いますが、FIT制度(固定価格買取制度)が開始した2012年から売電価格は毎年下落し続けています。
住宅用では42円から16円に、産業用では40円から10円と、開始当初と比較するとかなり価格が安くなっていることがわかります。
このような大幅な売電価格の低下がきっかけとなり、電気を売るよりも自家消費する方がお得だと考えるようになりました。
②電気代・再エネ賦課金が値上がりしている
近年、燃料費の高騰などの影響から電気代が値上がりしています。
2020年10月 | 2022年10月 | 値上がり率 | |
低圧(従量電灯) | 20.96円/kWh | 29.25円/kWh | 139.6% |
高圧 | 13.99円/kWh | 24.19円/kWh | 172.9% |
特別高圧 | 10.26円/kWh | 20.14円/kWh | 196.3% |
大手電力会社の中には、規制価格(従量電灯Bなど)の値上げを申請しているところがあります。2023年4月以降、電気料金はさらに値上がりすると考えていいでしょう。(東北・北陸・中国・四国・沖縄電力は4月、北海道・東京電力は6月から)
さらに、再エネ賦課金の上昇も電気代値上がりに拍車をかけています。
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る際にかかる費用を、電気代を支払うすべての国民が賄うための負担金のことです
再エネ賦課金は2012年から徴取が始まり、当初は0.22円/kWhでした。しかし、年々値上がりしており、2023年には3.45円/kWhとなっています。
このように年々高くなっていく電気代も、自家発電で電気をまかなえれば高騰の心配はありません。
燃料費調整額も高騰
燃料費調整制度とは、企業努力では対応できない燃料費の増減を電気代に反映させるための制度です。これまでは、燃料費調整額に上限が設定されていたのですが、これを撤廃する動きが大手電力会社を含む電力会社各社で広がっています。
そのため、燃料費の高騰に伴って、電気代がこれまで以上に高騰しているのです。
2023年の燃料費調整単価(税込)は、国による激変緩和措置を反映しても、7.79円/kWh(東京電力の場合)となっています。
③太陽光発電所有者向けの電気料金プランがある
2016年にはじまった電力自由化で多くの企業が電気事業に参入してきました。
中には、夜間の電気代が安くなるプランやオール電化向けの料金プラン、太陽光発電を所有している方向けのプランなど、その料金プランは多種多様です。
このようなプランに乗り換えて、発電した電気を自家消費することでさらに電気代を節約することができるため、電気代削減の効果を実感しやすくなっています。
④融資を受ければフルローンで自家消費型太陽光発電を設置できる
銀行や公庫などで融資を受ければ、初期費用を抑えて太陽光発電を設置することができます。
例えば、日本政策金融公庫では「環境・エネルギー対策資金〈非化石エネルギー関連〉」の融資を行っています。太陽光などの非化石エネルギーを導入する際に使用でき、無担保・無保証人での融資も可能です。
融資には審査があり、条件によって金利は異なります。詳しくは日本政策金融公庫の支店に相談してみて下さい。
⑤災害への備えとしても安心
台風や地震などの災害時に電力会社からの電力供給が止まってしまっても、自家発電した電気を使えるため安心です。
ただし、太陽光発電システムのみだと昼間しか発電することができないため、1日中稼働する冷蔵庫や夜間の照明などが使用できません。
長期停電に備えるのであれば、電気を貯めておくための蓄電池や電気自動車(EV)と一緒に導入するのがおすすめです。
⑥節税対策になる
2017年から実施されている「中小企業等経営強化法」により、中小企業が設備投資する場合、「100%即時売却」あるいは「取得価格の10%」の税額控除が受けられます。
自家消費型の太陽光発電もこの制度の対象となり、節税対策が可能です。
2022年度で終了予定ですが、2年間の延長がほぼ確定していますので、今から検討しても十分間に合うと言えるでしょう。
(参考:中小企業庁 経営サポート「経営強化法による支援」)
太陽光発電における自家消費の仕組み
太陽光発電は2019年を境に大きく変わろうとしています。
これまでは、余剰電力を高いFIT価格で売電し、売電収入を得るのが大きな目的でした。
しかし、前述の通り、売電価格は年々下がり続けています。一方で、太陽光発電を導入する際の費用は安くなる傾向です。
今後は、新規で50kWh以下の太陽光発電を設置する場合、自家消費型に移行するのが有益な方法だとも言われています。
自家消費型太陽光発電を設置することで、電力会社から購入する電気の量を減らし電気代を節約可能です。災害で停電してしまった際の、非常用電源として使用することもできます。
住宅用太陽光発電だけではなく産業用も自家消費に移行する?
2023年度の売電価格・条件が発表され、50kW以下の産業用太陽光発電(低圧)の売電価格は10円で、余剰売電という条件が追加されました。
これまで全量売電できていた産業太陽光発電ですが、低圧太陽光発電は余剰売電になったことから、今後小規模の産業用太陽光発電を新規で所有する場合は、自家消費での運用をメインした方がよりお得に運用できます。
電気使用量が増えれば増えるほど、自家消費で賄えた方がコストを削減可能です。
しかし、産業用太陽光発電で発電した電気を自家消費する場合、業種によっては向き不向きがあります。
例えば、夜間に機械を動かす工場では、太陽が沈んでいるので太陽光発電ができず、電力会社から電気を購入しなければなりません。
産業用太陽光発電を設置して自家消費する場合は、蓄電池の設置や発電した電気の使い方を考える必要があります。
カーボンニュートラル実現に向けて、企業の再エネ導入率が高まっている
大手企業から始まったCO2削減への取り組みは、中小企業でも重要視され、導入する企業が増えています。
2050年を目標に国内のCO2削減量を実質0にするという、「2050年カーボンニュートラル宣言」を実現するためです。
CO2(二酸化炭素)は温室効果を持つため、地球温暖化の原因の1つと言われています。排出量を減らすことで温暖化を防ぎ、世界規模で増加している異常気象などの災害を減らそうと取り組んでいるのです。
太陽光発電は、CO2排出量がゼロの地球に優しいエネルギー。導入することでCO2削減が実現できます。
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自家消費型太陽光発電のデメリット・課題
自家消費には前述したようなメリットがありますが、課題もあります。
それは、太陽光発電は発電できる時間が日中に限られてしまうという点です。
日中も家で過ごす時間が多いご家庭や企業なら電気代の節約効果を十分に感じられても、昼間は家をあけるご家庭や夜間稼働する工場などを所有している企業では、今までとさほど変わらないと思ってしまうでしょう。
これらの課題を払拭するためには、太陽光発電と合わせて蓄電池を活用していく必要があります。
とはいえ、蓄電池は家庭用が主流であることや初期費用が高額になることから、導入を躊躇する方も多いです。
しかし、2019年で固定価格買取期間が終了した住宅用太陽光発電が出てきたことや、今後も増えていくこと、売電価格の低下などの理由から、蓄電池の価格は安くなっていくと予想できます。
4つの自家消費型太陽光発電のモデル例
自家消費型太陽光発電は、以下の4つの種類に分けられます。
主流になっているのは「自社所有モデル」と「オンサイトPPA」です。
「自己託送」「オフサイトPPA」は、CO2削減には繋がりますが、コスト削減効果があまり高くないため、導入事例は多くありません。
①自社所有モデル
自社敷地内に自己所有の太陽光発電システムを設置し、自社内で消費するモデルです。最も一般的なパターンで、ここまで紹介してきた自家消費型太陽光発電はこのモデルでの導入を想定しています。
メリット
- 発電した電力の使用に電気代は発生しない
- 余剰電力は売電可能
デメリット
- 導入費用・運用費用が自己負担
- 設置場所の面積が狭いと、発電量が少なくなる
②オンサイトPPA
自社の敷地に第三者(PPA事業者)所有の太陽光発電システムを設置し、発電した電気を購入するモデルです。発電した電気は事業者のものになります。
メリット
- 導入費用・運用費用がかからない
デメリット
- 電気を購入するため電気代が発生する
- 設置場所の面積が狭いと、発電量が少なくなる
③自己託送
電気を使用する敷地とは別に自社所有の太陽光発電所を設置し、一般送配電事業者の送電設備で送電して電気を使用するモデルです。
メリット
- 発電した電力の使用に電気代は発生しない
- 敷地内に設置するより大規模な発電が可能
デメリット
- 導入費用・運用費用が自己負担
- 託送料金が発生する
- 計画通りに発電できない場合、ペナルティ料金が発生する
- 非常用電源としては活用が期待できない
- 使用できる補助金制度が少ない
④オフサイトPPA
電気を使用する敷地とは別に第三者(PPA事業者)所有の太陽光発電所を設置し、一般送配電事業者の送電設備で送電して電気を購入して使用するモデルです。
メリット
- 導入費用・運用費用がかからない
- 敷地内に設置するより大規模な発電が可能
デメリット
- 非常用電源としては活用が期待できない
- 電気を購入するため電気代が発生する
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自家消費をより有益にするポイント
ポイント①パネルの角度
自家消費が有益な太陽光発電の運用方法にするためには、たくさんの電気を発電する必要があります。
一般的に発電量をより見込むためのパネルの角度は、真南・30度がいいとされています。
ただし、緯度によってはパネルの角度を変えた方が発電量が増えることがあるため、設計の段階で施工会社に確認するようにしてください。
ポイント②蓄電池とエコキュートを合わせて設置する
夜間は発電ができないという太陽光発電の弱点を補うためには、蓄電池の設置が必須です。
蓄電池を設置しておくことで、夜間も発電した電気を使用したり、夜間の電気料金が安くなるプランに加入し、あえて日中に蓄電池に貯めた電気を使うことで電気代の節約が見込めます。
さらに、エコキュートを合わせて設置すれば、蓄電池に貯めた電気でお湯を沸かすことができるのでガス代の節約に繋がります。
そのため、光熱費が全体的に安くなるので、大幅な節約効果が期待できます。
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【まとめ】太陽光発電は今後どうなっていく?
太陽光発電は、売電価格の低下やFIT制度に関する不安から、「やめた方がいい」という声も多く聞かれています。
確かに、FIT制度が始まった2012年の売電価格から考えると大幅に売電価格が下がっているので、そのような考えがあることは仕方がないのかもしれません。
しかし、売電価格が低下している背景には設置価格の低下もあります。そのため、利回りで考えると、今も変わらず利益を得ることができる売電価格です。
また、太陽光をはじめとした再生可能エネルギーの普及は、地球温暖化や環境問題対策として必要不可欠です。
石油や石炭などを利用した、発電時に二酸化炭素や有害物質を発生する発電所を減らすためにも、今後太陽光発電や風力発電の需要はさらに増していくでしょう。
そのため、太陽光発電自体がなくなったり、発電した電気を買い取ってもらえなくなるということにはならないと予測できます。
とはいえ、より利益を得たり、太陽光発電を上手く活用するためには、所有している太陽光発電の固定価格買取期間が終了したあとどのように運用していくのか、またこれから太陽光発電を導入しようと検討している方は何を目的に導入するか、自家消費への移行プランはどうするかなどをしっかりと考えて、太陽光発電で損や失敗をしないようにしていきましょう。
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