余剰売電と全量売電の違いは?太陽光発電投資での売電方法について解説
余剰売電とは、太陽光発電した電力を自家消費し、余った電力を電力会社に売電する方法です。対して全量売電では、その名の通り太陽光発電した電力を全て電力会社に売電します。
余剰売電と全量売電どちらの対象になるかは、太陽光発電設備の出力によって決められています。
以前までは10kW未満の住宅用太陽光発電のみが余剰売電の対象でした。しかし、2020年度からは10kW以上50kW未満の産業用発電所でも適用されることになっています。
投資家のみなさんは、太陽光発電投資を始める前に、余剰売電とは何や、全量売電との違いを押さえておく必要があります。この記事では、余剰売電の仕組みや税金についてを詳しく説明していきます。
太陽光発電における余剰売電・全量売電とは
まずは、太陽光発電の余剰売電・全量売電について解説します。
余剰売電とは?
余剰売電とは、太陽光発電で発電した電気を自家消費した上で余った電気を電力会社に売電することです。電力会社から購入する電力を減らして電気料金を安くでき、さらに売電収入も得られます。
余剰売電の対象となる太陽光発電は、10kW未満の住宅用太陽光発電と10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電です。対象の発電設備は、発電した電力を全て売るということはできません。
10kW以上50kW未満の発電設備は、以前は全量売電も可能でしたが、2020年以降にFIT認定される設備は家庭や企業で自家消費できるよう設備を整える必要があります。
全量売電とは?
全量売電とは、太陽光発電で発電したすべての電気を売電することができる仕組みのことです。余剰売電よりも、売電収入が多く得られます。郊外の野立て太陽光発電設備や、メガソーラーはこの全量売電の対象です。
投資目的で太陽光発電を購入する方は、全量売電ができる産業用太陽光発電を選ぶ必要があります。
2020年までにFIT認定されている10kW以上の産業用太陽光発電設備は、全量売電が可能です。2020年以降は50kW以上の発電所が全量売電の対象となります。
余剰売電と全量売電は選べる?
今後新設する場合、出力が10kW未満の住宅用太陽光発電設備と、10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電設備は、余剰売電のみとなります。全量売電は選べません。
ただし、50kW以上の産業用太陽光発電設備は、余剰売電と全量売電を選ぶことができます。
社屋や工場の近くに50kW以上の産業用太陽光発電設備を設置する場合は、自家消費をできるようにすることで、電力会社からの電力購入を減らせてコスト削減可能です。
2024年の売電単価と売電条件の変化
FIT制度とは、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力など)でつくられた電気を、国が定める価格で一定期間電気事業者が買い取ることを義務付ける制度です。
売電価格の推移と太陽光発電所の規模ごとの売電条件は以下の通りです。
住宅用太陽光発電 | 産業用太陽光発電 | |
2012年 | 42円 | 40円 |
2013年 | 38円 | 36円 |
2014年 | 37円 | 32円 |
2015年 | 33円(出力抑制なし) 35円(出力抑制あり) |
29円 |
2016年 | 31円(出力抑制なし) 33円(出力抑制あり) |
24円 |
2017年 | 28円(出力抑制なし) 30円(出力抑制あり) |
21円 |
2018年 | 26円(出力抑制なし) 28円(出力抑制あり) |
18円 |
2019年 | 24円(出力抑制なし) 26円(出力抑制あり) |
14円 |
2020年 | 21円(出力抑制関係なし) | 13円(10kW以上50kW未満) 12円(50kW以上250kW未満) |
2021年 | 19円(出力抑制関係なし) | 12円(10kW以上50kW未満) 11円(50kW以上250kW未満) |
2022年 | 17円(出力抑制関係なし) | 11円(10kW以上50kW未満) 10円(50kW以上250kW未満) |
2023年 | 16円(出力抑制関係なし) | 10円(10kW以上50kW未満) 9.5円(50kW以上250kW未満) |
2024年 | 16円(出力抑制関係なし) | 10円(10kW以上50kW未満) 9.2円(50kW以上250kW未満) 12円(10kW以上 屋根設置) |
条件 | |
10kW未満 | 余剰売電 |
10kW以上50kW未満 | 余剰売電かつ発電した電気の50%までが 買取対象 |
50KW以上250kW未満 | 全量売電 |
250kW以上 | 入札制度 |
これまで10kW以下の太陽光発電のみが余剰売電の適用だったのが、2020年度からは10kW以上50kW未満の太陽光発電も余剰売電が適用されることになりました。
しかも、売電の上限は発電量の50%と決められています。
このような背景には、再エネ賦課金によって国民に税負担がかかりすぎているということが考えられます。
再エネ賦課金とは?
再エネ賦課金は、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る際に必要な費用のことです。
電気代を払う全ての国民が負担しています。
このように電気料金の明細にも記載されているので、ご家庭の明細を確認してみましょう。
再エネ賦課金の負担が始まったのは2014年からですが、当時1kWhあたり0.22円だった再エネ賦課金が年々値上がりしており、家計の負担が大きくなっていました。
再エネ賦課金が値上がりしている背景には、太陽光発電や風力発電の普及に伴い、再生可能エネルギーを利用した発電所で発電した電気を電力会社が買い取る量が増えていることがあげられます。
しかし、2023年5月より再エネ賦課金は2014年以来に大幅に値下げされました。
再エネ賦課金低下の背景には、ウクライナ侵攻による化石燃料の不足が挙げられます。
化石燃料が足りなくなることによって、これまで発電コストが高かった再エネ電気のニーズが高まりその結果、市場価格が下がったのです。
市場価格が下がったことにより、国民に負担してもらわなくても再エネ電気を電力会社が買い取ることができるのです。
売電収入を増やす方法はある?
売電収入を増やすには、以下のような方法があります。
- 太陽光発電に適した土地を選ぶ
- 発電効率の良いパネルを選ぶ
- 変換効率の良いパワコンを選ぶ
- 過積載をする
- リパワリングを行う
太陽光発電で売電収入を増やすためには立地が重要です。日当たりが良く地盤が丈夫で、自然災害に遭う可能性が低い土地を選びましょう。ハザードマップの確認は必須です。
発電効率の良いパネルや、変換効率の高いパワコンを選ぶことで、同じパネルの枚数でも発電量が多くなります。また、パワコンの容量以上のパネルを設置する「過積載」を行えば、曇りの日など天候があまり良くない日にも発電量を確保できます。
すでに稼働済みの太陽光発電設備の場合、経年劣化による発電効率低下が起こります。設備を新しくする「リパワリング」を行えば発電効率を上げられ、売電収入を増やせますが、設備費もかかるため費用対効果を試算してから検討してください。
節電して余剰売電を増やす
結論から言うと、利益は出せなくはないけれど難しい状況にあります。
その理由として、一般的に1kWhの電気を電力会社から買うのには円程度かかります。しかし、先ほどの表の通り売電価格は16円です。つまり電気を売るよりも買う方が損をしてしまうのです。
この問題を解決し、住宅用太陽光発電を設置して損をしないためには、太陽光発電と一緒に蓄電池を設置することをおすすめします。
蓄電池も設置し、自家消費に切り替える
蓄電池とは、充電式で何度でも使用できる電池のことです。
太陽光パネルを設置するだけでも発電することはできますが、貯めておけるものがないため電気を貯めるには蓄電池が必要になってきます。
蓄電池を設置することで、発電できない夜間帯や電気代の高い昼間に家庭内で使用することができます。
台風などの災害で万が一電気が止まってしまっても、蓄電池があれば電気を使用することができます!
さらに、電気プランの契約を大手電力会社から新電力に乗り換えることで、より電気代が節約でき、太陽光発電をより効果的に活用できます。
投資目的で太陽光発電を始める
太陽光発電投資は、国のFIT制度で20年間の売電価格が保証されているため、ローリスクミドルリターンな投資を求める方に人気です。
投資目的で太陽光発電設備を購入する場合の物件の選び方について解説します。
中古の太陽光物件を購入する
太陽光発電投資を始める場合、太陽光発電設備を新設するよりも、中古物件を購入するのがおすすめな理由は以下の通りです。
- 売電価格が高い
- 初期費用が安い
- 発電実績がある
- 契約後すぐに収入が得られる
FIT価格はFIT認定された年度で決まります。産業用太陽光発電のFIT価格は、2024年では9.2~10円/kWhですが、2017年に稼働した物件では21円/kWhと2倍以上です。さらに、物件価格は新設より安いです。
初期費用が低く売電収入が高ければ、利回りも高くなり、投資費用の回収も早くなります。
また、すでに稼働済みの物件であれば、これまでの発電実績が見られるため、より正確に投資計画を立てられます。
新設のように工事期間はなく、契約締結後すぐに売電収入を得て初期費用を返済していけるのも嬉しいポイントです。
産業用太陽光発電なら50kW以上の高圧物件
今まで全量買取が適用されていた10kW以上50kW未満の太陽光発電所は、2020年度から余剰売電の適用となってしまいました。
発電した電気を会社や施設などで自家消費する予定の方にとっては、10kW以上50kW未満の低圧の太陽光発電所でも何ら問題はありません。
一方で、投資を目的に産業用太陽光発電の設置や購入を新規で検討している方にとっては、低圧の新規太陽光発電では十分な利益が出せない可能性が大きいです。
産業用太陽光発電は20年間安定した収益があるので、初期費用を銀行や信販会社などから融資を受けたとしても、十分利益を出せると考えられます。
これから太陽光発電投資を始めようと考えているのであれば、低圧よりも高圧の太陽光発電の方が収益を得られやすいでしょう。
それでも利益が出るかが心配だという方は、中古太陽光発電の購入をおすすめします。ソルセルでは中古太陽光発電所も多数取り扱っているので、どちらにするか迷っている方はお気軽に相談してくださいね。
余剰売電と税金について
太陽光発電は固定資産税を払わなくでも良い例と払わなければいけない例があります。
この章ではその違いについて解説していきます!
固定資産税を払わなくても良い例
家庭の屋根や駐車場に後付けで太陽光発電を設置し、余剰売電をする場合は固定資産税を払わなくてもかまいません。
設備容量が10kW未満の場合は償却資産とはみなされないのです。
固定資産税を払わなければいけない例
新築の住宅に太陽光発電を直接設置したり、太陽光発電設備と一体型の住宅を購入する場合は課税対象となります。
また、個人事業主・法人であれば、設備容量や設置方法に関係なく償却資産となるため、固定資産税の支払い義務が生じます。
確定申告って必要?
売電収入を含めた本業以外で得た収入が20万円を超えると確定申告をする必要があります。
万が一申告漏れをしてしまうと、延滞税や加算税を支払わなければならなくなる可能性もあります。
また、副収入で太陽光発電を所有し売電収入で利益を得る場合、売電収入が1,000万円以下であれば免税事業者として収入に含めることができます。
太陽光発電は購入後に消費税還付を受けることもできるので、事前に税理士などに確認しておきましょう。
まとめ
今後投資を目的として太陽光発電投資を始める場合は、余剰売電では利益を出しづらくなることが予測されます。
これから新規で太陽光発電の設置・購入を検討している方は、収益シミュレーションを行い利益がどのくらいになるのか、もっと利益を出せる方法があるのかを考えてもいいかもしれませんね。
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