【蓄電池の設置費用相場】メリット・デメリットと補助金制度について解説

【家庭用蓄電池の設置費用相場】メリット・デメリットと補助金制度について解説

電気を貯めておける家庭用蓄電池。

2018年9月に北海道で起こった震度7の地震によって295万戸が停電し、45時間電気の無い生活を強いられるといった事例もあり、災害時・非常時への備えとして注目を浴びています。

本記事では、家庭用蓄電池の価格やメリット・デメリットや、実際に電気代がどれくらい節約できるのか、設置費用は回収できるのかどうかなど、家庭用蓄電池に関する気になるあれこれを分かりやすく解説していきます。

蓄電池とは

家庭用蓄電池とは?

蓄電池は充電する事で繰り返し使用できる二次電池のことです。

皆さんがイメージする一般的な交換式の乾電池は一次電池と言い、放電するだけで電力を貯める特性はありません。

一方で、「蓄電池」は二次電池に分類され、バッテリーと呼ばれることもあります。

二次電池は電気を放電するだけでなく充電することも可能です。この特性からノートパソコンやデジタルカメラ、スマートフォン、モバイルバッテリーといった身近な場面でも使用されていますね。

蓄電池は、主に容量が15kWh以下の「家庭用蓄電池」それ以上の「産業用蓄電池」の2種類に分けられます。

蓄電容量の大きい産業用蓄電池の方がサイズが大きく価格も高いため、一般的な家庭では15kWh以下の家庭用蓄電池を使用します。

2011年以降の蓄電池の出荷台数

リチウムイオン電池蓄電システムの出荷台数

(出典:日本電気工業会「リチウムイオン電池蓄電システムの出荷台数」)

蓄電池は年々需要が高まっています。

上記のグラフを見ていただくとわかるように、2011年以降の蓄電池の出荷台数は上昇し続けています。

この背景には、2011年の東日本大震災を受けて広まった「災害対策」という目的の他に、高騰し続ける電気料金への対策として「電力の自家消費」が重要視されるようになったという理由があるのです。

また蓄電池システムは太陽光発電と組み合わせて設置することで、環境問題対策になるという点でも注目を浴びています。

太陽光のように「有害なガスを排出しない」エネルギーを生み出し、消費することは、世界中が取り組む地球温暖化対策の一つである「二酸化炭素排出量の削減」への貢献に繋がるためです。

太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、日中太陽光発電で集めた電力を蓄電池内に貯めて、発電できない夜間は蓄電池内の電力を使用することができます。

これにより電力会社に依存せず、自家発電だけで1日分の電力を賄えることに加えて節約効果を高めるといったメリットも生まれるため、太陽光発電と家庭用蓄電池を組み合わせて設置する家庭が多くなっています。

最近では、50kWh以下の産業用太陽光発電の売電方法が余剰売電になったことから、産業用太陽光発電で発電した電気を企業で使用するケースが増えているため、家庭用だけではなく産業用の蓄電池の導入も進んでいますよ。

蓄電池は種類によって1kWhあたりの価格が異なる

二次電池である蓄電池は、主に5つの種類に分類することができます。

蓄電池の種類 価格
(1kWあたり)
寿命 サイクル数
リチウムイオン電池 20万円 6~10年 4,000回
鉛蓄電池 5万円 ~17年 3,000回
ニッケル水素電池 10万円 5~7年 2,000回
NAS電池 4万円 15年 4,500回
レドックスフロー電池 20年 10,000回〜

このうち、家庭用蓄電池としてよく用いられているのは、小型で充電期間の短いリチウムイオン電池です。

表にある「サイクル数」というのは、充電&放電を繰り返しできる回数を表したもの。サイクル数が多ければ多いほど蓄電と放電を多く繰り返せるということになります。サイクル数が尽きるまでの目安を年数で表したものが「寿命」です。

しかし、寿命を迎えたからといって蓄電池が使用できなくなる訳ではありません。スマートフォンを数年利用するとバッテリーの消耗スピードが早くなってしまうのと同じように、あくまでも蓄電の性能が劣化してしまうというだけで、使用を続けることは可能です

日本の主要な蓄電池メーカーを例にあげると、寿命を迎えた蓄電池の蓄電容量・性能は下記の通りになります。

京セラ 20%程度の蓄電容量減少
東芝 10%程度の蓄電容量減少
シャープ 70%以上の蓄電容量維持

蓄電池を購入する際は、寿命だけでなくその後の蓄電容量まで確認しておきましょう。メンテナンスをしっかりとしていれば、長く使用することが可能です。

家庭用蓄電池の設置費用と工事費用

蓄電池の種類別1kWhあたりの価格については説明しましたが、費用相場は、蓄電池と工事費用合わせて100〜200万円ほどです。

一般家庭で導入される10kWh程度の蓄電池であれば約150万円です。

設置費用を見積もる際は、下記2つのポイントを押さえてく必要があります。

①蓄電池の種類

5種類に分類される蓄電池のうち、家庭用蓄電池として最も多く使用されているのはリチウムイオン電池です。

②蓄電池のサイズ

蓄電池選びで重要なのは、貯められる電力量を示す「容量(kWh)」と一度に出せる電力の量を示す「出力(W)」です。

より多くの家電を長時間使いたいのであれば、その分容量と出力数の多い蓄電池を選ぶ必要があります。

ご家庭によって適しているサイズはさまざまですので、下記では各家電の出力数を基に蓄電池の設置費用をシミュレーションしています。

まずは、主な家電の使用にはどのくらいの電力(W数)が必要になるのかを押さえておきましょう!

各家電を動かすのに必要な電力

各家電を動かすのに必要な電力は上記の通りです。

ご家庭に適した蓄電池の容量は、使用したい家電の電力数×使用したい時間で計算することができます。今回は、1日にどの程度の電力を消費しているのかを調査した総務省統計局の「世帯別平均使用電力」データをもとに、世帯人数別に必要な蓄電池の容量・価格をまとめました。

世帯人数 使用電力
平均
蓄電池
容量目安
蓄電池価格
一人暮らし 6,100W/日 6.1kWh/日 約150万円
2人世帯 10,500W/日 10.5kWh/日 約200万円
3人世帯 12,200W/日 12.2kWh/日 約250万円
4人世帯 13,100W/日 13.1kWh/日 約280万円
5人世帯 14,800W/日  14.8kWh/日 約300万円
6人以上世帯 18,400W/日  18.4kWh/日 約380万円

上記の表にある蓄電池価格はおおよその相場ですので、メーカーによってはもう少し安くなる場合もあります。

この値段に加えて、工事費用が20万~25万円ほどプラスされます

家庭用蓄電池導入時の補助金制度について

蓄電池を家庭に設置する場合、条件が当てはまっていれば各自治体の補助金制度に申し込むことができるので、上手く活用すれば設置費用を抑えられます。

たとえば、東京都の蓄電池の補助金は最大60万円、福岡県福岡市は機器費の1/2の金額までであれば支給するという内容の補助金制度が設けられています。

補助金の上限額やもらえる条件などは各自治体によって異なります。

どういった条件でどれくらいの補助金をもらえるのかを事前にチェックしておきましょう。

補助金の給付は基本的に先着順となってしまいますので、既に満了してしまっているという可能性もあります。

補助金の利用を検討されている場合は、申し込み状況について各自治体窓口に問い合わせることをおすすめします。

蓄電池を導入する4つのメリット

家庭用蓄電池を設置することで、どんな効果があるのでしょうか。

ここからは、家庭用蓄電池のメリットを4つ解説していきます。

【蓄電池のメリット①】電気代を節約できる

電力会社によっては、夜間の電気料金が日中よりも安くなるプランを設けている場合があります。

たとえば、東京電力には夜トクプランといって、1kWhあたりの金額が日中よりも10円程度安くなるプランが用意されていますよ。

蓄電池を設置することにより、電気料金が安い夜間のうちに1日分の電力を貯めておくことが可能となるため、総務省の統計結果を基準に考えた場合、4人世帯であれば1日あたり約130円、1カ月で計算すると約4,030円の節約が可能になります。

【蓄電池のメリット②】太陽光発電(ソーラーパネル)と連携ができる

家庭用蓄電池は、太陽光発電と一緒に導入するメリットが大きいです。

蓄電池だけを設置した場合、4人世帯の月々の電気料金を約4,030円節約できます。

しかし太陽光発電と蓄電池を一緒に設置した場合は、節電を徹底すれば自家発電だけで家庭の電力を賄えるため、電気料金を0円にすることも可能です。

4人世帯の場合だと月々の電気料金平均は11,719円/月(※総務省統計)なので、蓄電池のみを設置した場合と太陽光発電と一緒に設置した場合との差額は7,689円。年間で考えると、太陽光発電と組み合わせた方が92,268円電気代が安くなります。

さらに太陽光発電によって自家発電した場合、余った電力は電力会社へ売電することができます。

太陽光発電協会JPEAが算出した年間予想発電量によると、全国的な1kWhあたりの年間平均発電量は1,005kWh。これを365日で割ると、1kWあたりの発電量は2.75kWh/日となります。

仮に太陽光パネルを5kW分設置した場合、1日当たり13.75kWhの発電が可能となるため、余った電力を電力会社に売電して利益を得ることができます。

【蓄電池のメリット③】災害や非常時に電気が使える

2011年の東日本大震災を機に、需要が高まった家庭用蓄電池。

容量に応じて電気を貯めておけるので、いざという時の電力を確保できるというのは心強いです。

【蓄電池のメリット③】電気自動車と合わせて導入すると相性が良い

蓄電池と電気自動車(EVやPHV)を一緒に導入することで、さらに効率的に電力を貯めることができます。

V2H(ビークルトゥホーム)という自動車の電池を家庭の電力として使用するためのシステムがあれば、蓄電池が2台あるのと同じです。災害時に停電した場合でも、冷蔵庫や電子レンジ、洗濯機などに電気を使った生活を4~5日送ることができます。

蓄電池の3つのデメリット

蓄電池のメリットを3つご紹介しましたが、一方で設置するリスクやデメリットもあります。

ここでは、家庭用蓄電池の3つのデメリットを解説していきます。

【蓄電池のデメリット①】設置費用が高い

蓄電池の設置価格は上記でもご紹介しましたが、工事費を含めると約100〜200万円ほどかかってしまいます!

蓄電池単体で導入した場合、4人世帯で節約できる電気代は年間48,000円程度なので、蓄電池を10年使い続けるとしても元が取れません。

新日本住設株式会社のシミュレーションによると、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた場合の電気料金削減額は、蓄電池のみでの稼働に比べて約1.5倍。可能であれば太陽光発電と一緒に設置するのがおすすめです。

蓄電池の場合

太陽光発電と蓄電池を組み合わせた場合

太陽光発電とオール電化を組み合わせた場合

太陽光発電と組み合わせて運用した場合はある程度の売電収入も見込めますが、実際に高額な初期費用を回収することは可能なのでしょうか?

今回は、太陽光発電と家庭用蓄電池を組み合わせた場合の費用回収イメージをシミュレーションしてみました。

4人世帯で10kwの太陽光発電を10年間運用した場合

  • ・太陽光発電+蓄電池設置費用:約3,500,000円
  • ・1日に必要な電力:13.1kWh
  • ・1日に発電可能な電力:25.5kWh
  • ・1日の余剰電力(売電できる余った電力):14.4kWh
  • ・年間余剰電力:5,256kWh
  • ・2020年FIT価格(10kW〜50kW未満):13円/kWh
  • ・▲10年間の電気代節約額:1,406,280円

この場合、10年間FIT価格で売電した場合の予想収益額は68,328円。

電気代節約額と合わせると収益額は1,484,608円。コスト回収率は42%です

4人世帯で10kwの太陽光発電を30年間運用した場合

  • 太陽光発電+蓄電池設置費用:約3,500,000円+約2,000,000円(蓄電池交換費用2回)
  • 1日に必要な電力:13.1kWh
  • 1日に発電可能な電力:25.5kWh
  • 1日の余剰電力(売電できる余った電力):14.4kWh
  • 年間余剰電力:5,256kWh
  • 30年間余剰電力:157,680kWh
  • 2020年FIT価格(10kW〜50kW未満):13円/kWh
  • ▲30年間の電気代節約額:4,218,840円

この場合、30年間FIT価格で売電した場合の予想収益額は2,049840円。電気代節約額と合わせると収益額は6,268,680円。

コスト回収率は130%で、利益額は768,680円になります。

太陽光発電の寿命は30年と言われているため、蓄電池を2回交換したとしても30年間運用を続ければ元が取れ、利益が出る計算となります。

また、初期費用を抑えることでコストの回収率が上がり、利益に繋げることができます。

初期費用を抑えるためには、補助金制度を活用したり複数業者から見積もりをとってパネルや工事費をできる限り安くする必要があります。

現状ではまだまだ蓄電池の価格が高いため、売電収入や電気代のランニングコスト回収で元を取るということは難しいです。

しかし、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、蓄電池のコストが「2030年までに66%低下する」といった見通しを公表しています。加えて、蓄電池システムの需要増加も期待できます。
電力貯蔵技術と再生可能エネルギー

出典:IRENA「電力貯蔵技術と再生可能エネルギー:2030年に向けたコストと市場」

現状、世界で使用されている蓄電の96%は揚水発電によるものですが、揚水発電の発電コストが22.6kWhなのに対し、蓄電池は16.5kWh。

蓄電容量ではまだまだ揚水発電に敵いませんが、発電コストの低さや今後の成長性、そして揚水発電を行える場所には限りがあるといった点から、ポテンシャルに期待できる蓄電池の需要は今後高まっていくことが予想されます。

購入にあたって初期費用をすぐに用意できなかったり、手元に現金を残しておきたいという場合には、地域によって蓄電池単体でのローン組みや融資を受けられる金融機関もあります。こういった手段も視野に入れてみてくださいね。

【蓄電池のデメリット②】設置スペースが必要

家庭用蓄電池は屋外or屋内設置の2種類あります。

屋外に設置する場合には「直射日光や高温多湿を避ける」「海沿いのように重塩害の地域を避ける」といった条件がありますし、屋内設置であれば約35~40db以下の運転音(室外機や換気扇よりやや小さい音)を考慮する必要があります。

家庭用蓄電池のサイズはエアコンの室外機と比較して一回りほど小さいサイズですので、設置できるスペースに余裕があるかどうかも確認しておきましょう。

【蓄電池のデメリット③】経年劣化が10年程度

家庭用蓄電池には、サイクル寿命といって蓄電容量を100%発揮可能な期間の限界があります。

蓄電池によく用いられているリチウムイオン電池であれば、平均サイクル寿命は6~10年ほど。

サイクル寿命を迎えると蓄電性能が20~30%低下してしまいます。

サイクル寿命後も使い続けることは可能ですが、蓄電性能が低下してしまうことと、メーカー保証が10年間で設定されていることからも、蓄電池の交換目安は10年程度と考えておきましょう!

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まとめ

2022年以降も需要が高まっていくことが予想される蓄電池。長い目で見れば初期費用の回収も可能です。

電気代の高騰や災害への備えといった観点でも優秀なアイテムなので、ご自宅への設置をぜひ検討してみてくださいね!

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