太陽光発電投資での消費税還付は知らないと損!手続きの流れや仕組みを解説
太陽光発電を導入すると、購入金額に応じて消費税(消費税還付)が戻ってくることをご存じでしょうか。
消費税還付とは、事業者が支払った消費税の一部または全額が税務署から返還される制度です。事業者の課税売上より課税仕入れの方が多い場合、その差額分の消費税が還付されます。
太陽光発電設備の導入は高額な投資を伴い、導入時に支払う消費税額も大きくなります。この還付制度を利用することで、初期費用の負担を大幅に軽減でき、投資回収の期間を短縮することが可能です。
そこで、今回は消費税還付の詳細と、太陽光発電で消費税が戻ってくる場合について解説します。具体的には以下のポイントについて詳しく見ていきましょう。
そもそも消費税還付とは?
消費税還付とは、課税仕入で支払った消費税が、課税売上で預かった消費税額を上回った時、その差額を還付してもらえる制度です。課税仕入や課税売上とは、消費税の課税対象となる取引のことを指します。
事業者は、取引で預かった消費税をすべて国へ納付するのではなく、基本的には、課税売上で預かった消費税から課税仕入で支払った消費税額を差し引いて納付します。
<事業者が納付する消費税>
納付額=課税売上で預かった消費税-課税仕入で支払った消費税 |
例えば、ある会社の課税期間で、課税売上による消費税が500万円、課税仕入による消費税が100万円だとします。この場合、差額の400万円を国に納付することになります。
逆に、課税仕入による消費税額が課税売上の消費税額を上回った時は、その差額を還付してもらうことができます。これが「消費税還付」です。
太陽光発電も消費税還付の対象になる!
実は、太陽光発電も消費税還付の対象となり、事業者が節税対策の一環として太陽光発電を購入する場合でも、消費税還付を受けられます。
太陽光発電で消費税還付を受けられるのは、太陽光発電による課税仕入の消費税額が、売電収入の消費税額を上回った時です。
例えば、太陽光発電設備の導入による工事金で500万円の消費税を支払い、その事業年度の売電収入で100万の消費税を預かったとします。この場合、課税売上よりも課税仕入で支払った消費税の方が多いので、差額の400万円が還付されることになります。
<太陽光発電で消費税還付を受けるケース>
・太陽光発電の工事で支払った消費税(課税仕入)=500万円 ・売電収入で預かった消費税(課税売上)=100万円 500万円-100万円=400万円(課税仕入による消費税額の超過) |
このように、太陽光発電設備に関わる仕入の消費税が売電収入の消費税を上回れば、その分が還付の対象となります。
太陽光発電で消費税還付の対象外になるパターン
太陽光発電で消費税還付の対象外になるパターンは、下記の通りです。
- 土地の譲渡と貸付
- 有価証券(株式や債券など)の譲渡
- 預貯金や貸付金の利子
- 太陽光発電を新たに設置するために取得した土地
消費税還付の対象になるのは、消費税の課税対象となる取引のみです。
例えば、太陽光発電に関連して非課税取引になるのは「土地の譲渡や貸付」です。太陽光発電を新たに設置するために取得した土地は非課税になるので、そもそも消費税還付に含まれません。
非課税取引は消費税還付の対象ではありませんので、消費税還付の計算をする際には注意が必要です。
会社員は消費税還付の対象にならないことが多い
給与所得で生活するサラリーマンは、原則として消費税還付の対象にはなりません。
なぜなら、課税対象になる取引は「反復・継続・独立して行われる」ような、事業性のあるものに限られるからです。
例えば、サラリーマンが家庭用の太陽光発電を設置し、余剰電力から得た売電収入は不課税になります。これは一見すると課税取引のように思えますが、「生活用資産(非課税資産)で取引している」という捉え方になるので、事業性はなく消費税の課税対象とはなりません。
ただし、会社員の方でも、事業性の認められる取引をしている場合は課税取引の対象になります。例えば、サラリーマンが産業用の太陽光パネル(10kW以上)を設置し、全量売電(発電電力をすべて売却する)で売電収入を得る場合は、課税取引の対象になります。
この場合は確定申告が必要になるため、消費税の還付を受けることも可能です。
太陽光発電投資で消費税還付を受けるメリット・デメリット
太陽光発電投資で消費税還付を受けることにはメリットとデメリットがあります。投資家に有利になる点と注意点をそれぞれ見ていきましょう。
太陽光投資で消費税還付を受けるメリット
太陽光投資での消費税還付のメリットは以下の3点です。
- 償却負担税を軽減できる
- 利回りが上昇する
- 資金繰りをしやすくなる
償却資産税を軽減できる
事業に活用される償却資産である太陽光発電設備には償却資産税がかかります。
太陽光発電に活用する1000万円の商品を購入した際には消費税を含むと1100万円になり、1100円に1.4%から1.5%の償却資産税が課税されますが、消費税還付を受けると1100万円のうちの消費税100万円が還付されるので、償却資産税が課税されるのは1000万円になります。
それにより、納付する償却資産税の額が軽減されるため、節税できるのです。
利回りが上昇する
消費税還付の代表的なメリットと言われているのは、太陽光発電の実質的な利益が上昇することです。
前項で解説したように、消費税還付を受ける場合には、1000万円の商品にかかる100万円の消費税が戻ってくるので、消費税の分は償却資産税がかからないので、浮いた分が実質的な利益になります。
資金繰りをしやすくなる
消費税還付によって上昇した利回り分を太陽光発電設備の増設などに回すことも可能なので、業務拡大の資金繰りがしやすくなるというのもメリットです。
複数の太陽光発電投資を予定している人、すでに実行している人は、消費税還付を利用して資金繰りすることをおすすめします。
太陽光投資で消費税還付を受けるデメリット
太陽光投資で消費税還付を受ける際に注意するべきなのは以下の2点です。
- 3年間消費税を収めなければならない
- 経理処理・消費税申告などの事務処理負担が増える
3年間消費税を収めなければならない
消費税還付を受けるために課税事業者になると3年間消費税を納入する必要があります。
しかし、3年間の消費税納入額が消費税還付で得られる金額より高くなることは基本的にないので、大きなデメリットとはいえません。
経理処理・消費税申告などの事務処理負担が増える
特に挙げられることが多いデメリットは、課税事業者になると経理処理や消費税申告などの事務処理負担が増えることです。
個人で行う場合にはお金はかかりませんが、手続きを誤ると必要書類の再提出や罰則などがあるので、税理士などに依頼するのが安全ですが、その際に税理士費用がかかります。
課税事業者になるための条件
消費税の還付を受けられるのは、課税事業者です。課税事業者とは「消費税を国に納付する義務がある事業者」のことを指します。
課税事業者になるための条件は、以下の通りです。
- 前々事業年度(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える
- 前事業年度の上半期(特定期間)で課税売上高が1,000万円を超える
(※給与支払額で判定することも可能) - 基準期間が無い事業年度開始日の資本金または出資金の額が1,000万円以上
- 免税事業者が自ら課税事業者になることを選ぶ
上の①~③のいずれかの条件を満たせば、意思に関わらず課税事業者となります。また、④にあるように、免税事業者でも自ら課税事業者を選ぶことも可能です。
課税事業者になると、課税期間における消費税を国に納付する必要があります。一方で、課税事業者には消費税の還付を受ける権利が与えられます。
課税事業者には届出が必要
課税事業者の条件に該当する場合は、速やかに所轄の税務署に届出が必要です。
課税事業者に必要な届出は以下の通りです。
課税事業者になる条件 | 所轄の税務署に必要な届出 |
①前々事業年度(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える | 「消費税課税事業者届出書(基準期間用)」を、速やかに提出する |
②前事業年度の上半期(特定期間)で課税売上高※が1,000万円を超える ※課税売上高の代わりに給与支払額で判定することも可能 |
「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を、速やかに提出する |
③基準期間が無い事業年度開始日の資本金または出資金が1,000万円以上 | 「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を速やかに提出する※ |
④免税事業者が自ら課税事業者になることを選んだ時 | 「消費税課税事業者選択届出書」を課税事業者になろうとする事業年度の初日の前日まで(事業を開始した初年度の場合は、その年度末まで)に提出する |
※既に、「法人設立届」に課税事業者(消費税法上の新設法人)に該当する旨を記載している場合は届出不要
課税事業者になるケースに応じて、所轄の税務署へ届出を行う必要があります。
免税事業者になると消費税の納付を免除できる!
実は、免税事業者になると、預かった消費税を国に納める必要がなくなります。免税事業者とは、「国に消費税を納付する必要がない事業者」のことです。
免税事業者の大きなメリットとして、預かった消費税をそのまま自社の売上にできることが挙げられます。太陽光発電で言えば、売電収入で預かった消費税がそのままポケットマネーになるということ。
免税事業者になるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 前々の事業年度(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下
- 前事業年度の上半期(特定期間)の課税売上高もしくは給与の支払額が1,000万円以下
- 資本金または出資金が1,000万円未満
<令和3年 個人事業主の場合の基準期間と課税期間>
(画像引用:消費税のしくみ|国税庁)
上の図は個人事業主の場合ですが、原則は基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかによって、免税事業者の判定がされます。
言い換えれば、開業から2年を経たない事業者は参考にする基準期間がないため、自動的に免税事業者となります。ただし、前事業年度の上半期(個人事業主は前年の1月1日~6月30日)で課税売上高と給与の支払額がいずれも1,000万円を超えた時や、資本金が1,000万円以上の場合は、2年に関わらず課税事業者となります。
太陽光発電を購入するなら課税事業者と免税事業者のどっちがお得?
課税事業者か免税事業者のどちらが会社にとってお得なのでしょうか?
太陽光発電に限った話だと、売電収入で預かった消費税が課税仕入で支払った消費税より多い場合は、免税事業者の方がお得です。課税事業者だと預かった消費税は国に納付する必要がありますが、免税事業者はそのままポケットマネーにできます。
一方で、太陽光発電設備を導入した年度については課税事業者になるほうが得になることが多いです。
課税事業者か免税事業者のどちらが良いかは会社によって異なるので、一概には言えません。また、消費税の還付を受けれらる課税事業者ですが、一度課税事業者になると、すぐに免税事業者に戻ることができません。
課税事業者か免税事業者で悩んでいる場合は、一度税理士に相談してみましょう。
課税事業者を選択するとすぐに免税事業者に戻れない
消費税の還付を受けられるという点では、課税事業者にメリットがあります。
しかし、いったん課税事業者を選択すると、すぐに免税事業者に戻れないといったデメリットもあります。
免税事業者が課税事業者を選択した場合、原則として課税事業者となった日から2年間は免税事業者に戻れません。さらに、その2年間のうちに調整対象固定資産の取得をおこなった場合、その取得をした事業年度から3年間は免税事業者に戻ることはできません。
<課税事業者が免税事業者に戻れない期間>
◎課税事業者になることを選択した日から2年間の事業年度 ◎以下の①②のいずれかを行った場合、その事業年度から2年間の事業年度 ①課税事業者を選択した事業年度の開始日から2年の間に、調整対象固定資産の課税仕入を行う ②資本金1,000万円以上の事業者の基準期間が無い事業年度に、調整対象固定資産の課税仕入を行う |
※調整対象固定資産→棚卸資産以外の資産で、工具や車両、運搬具などの資産のこと。消費税に相当する額を差し引いた金額が100万円以上のものが該当する。
調整対象固定資産には、太陽光発電設備も含まれます。
例えば、以下のようなケースでは、5期目になるまで免税事業者に戻ることはできません。
事業年度 | 納税義務の有無 |
前期 | 免税事業者 |
1期目 | 課税事業者を選択する ※2期目まで免税事業者に戻れない |
2期目 | 課税事業者、当期で太陽光発電設備(調整対象固定資産)を500万円で購入する ※4期目まで免税事業者に戻れない |
3期目 | 課税事業者 |
4期目 | 課税事業者 |
5期目 | 課税事業者か免税事業者を選択できる |
このように、課税事業者を選択するとすぐに免税事業者に戻れないため、免税事業者が課税事業者になるかどうかを決めるには、慎重な判断が求められます。
まとめ:太陽光発電を利用して消費税還付を受けよう!
課税仕入で支払った消費税額が課税売上による消費税額を上回れば、消費税の還付を受けられます。太陽光発電の場合、太陽光発電関連の仕入で支払った消費税額が、売電収入による消費税額を上回った時には、消費税還付を受けることが可能です。
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太陽光発電事業を開始するにあたっては大きな設備投資が伴うため、その年度単体で見れば、課税事業者を選択して消費税の還付受けるほうが得をするケースが多いです。
ただし、いわゆる「2年縛り」や「3年縛り」というような制約条件もあり、複数年トータルで見るとあえて還付を受けずに免税事業者でいるほうが得をするというケースも十分想定されます。また課税事業者になれば、消費税の申告手続きの手間もかかります。
事前に専門事業者や税理士などに相談いただき、複数年計画で実行されることをオススメ致します。
BANZAI税理士事務所 代表
税理士、1級ファイナンシャルプランニング技能士
大学卒業後、一般企業や税理士事務所での勤務を経て税理士試験に合格し、2018年にBANZAI税理士事務所を開業。個人事業主や中小法人、給与所得者や相続人を対象とした業務の経験が豊富で、スモールビジネスの立ち上げや個人事業の法人化に数多く携わっている。
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