風力発電投資とは?メリット&デメリットと運用コスト・注意点について解説!
風力発電は、再生可能エネルギーの1つである風力を利用した発電方法です。FIT制度の対象なので、風力発電投資は安定的な収入を得られると人気を集めています。
風力発電のメリット・デメリットや、風力発電投資と太陽光発電投資はどちらの方が利益を出しやすいかなどについて、詳しく解説します。
風力発電とは?風の力をエネルギーに!
出典:関西電力グループ
風力発電は発電機の上部に位置する大きな羽の部分「ブレード」が、風の力によって回転することで電気を生み出す発電機です。
風力発電とういうと、山や丘の上にあるような100メートルほどの大型の風力発電機を想像する方も多いと思いますが、発電量が20kW未満の「小型風力発電」という投資向けの風力発電もあります。
風力発電には、国策の再生エネルギー買取制度であるFIT制度(固定価格買取制度)が適用されます。
FIT制度(固定価格買取制度)は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用して発電した電気を一定期間、同じ価格で電力会社が買い取ることを定めた制度です。
FIT制度があるおかげで、風力発電投資や太陽光発電投資は、不動産投資や投資信託などとは違い安定して利益を出すことができるので、確実にじっくり利益を増やしていきたいという方から人気を集めています。
2016年までは、20kW未満の小型風力発電の1kWhあたりの売電価格は55円と、同時期の10kW以上の太陽光発電の売電価格の24円の約2倍の価格で売電できていたため、投資対象として注目されていました。
しかし、2017年から売電価格は年々下落し2023年には1kWhあたり14円と太陽光発電の売電価格とほぼ同じ金額まで下落したことから、多くの投資家は風力発電投資は失敗するという見解を示しました。
それでも1kWhあたりの売電価格は、2023年度の太陽光発電(10kW以上)の売電価格9.5〜10円よりも高いため、風力発電を始めるか、太陽光発電にするかを迷っている方も多くいるようです。
風力発電の種類
風力発電には大きく分けて「陸上風力発電」と「洋上風力発電」の2種類があります。
「陸上風力発電」は、陸地に風車を建てる方式です。一般的に風力発電と言えばこの方式のことを指します。この記事で紹介していく風力発電の情報も、全て陸上風力発電のことです。
「洋上風力発電」は、海上や湖面に建設されたものを指します。発電機を海底に固定する「着床式」と「浮体式」の2種類があります。
種類 | 陸上風力発電 | 洋上風力発電 |
メリット | 洋上よりもコストが安い。 維持管理しやすい。 |
遮るものがなく安定的に発電。 立地場所の制限が少ない。 大型発電機の導入も可能。 |
デメリット | 騒音・景観や、遮蔽物の問題で立地場所が限られる。 | 建設・維持管理のコストが高い。 消費地から遠くなる。 特に浮体式は高い技術が必要。 |
FIT価格 | 14円/kWh | 着床式:入札制度により決定 浮体式:36円/kWh |
高いポテンシャルを秘めている洋上風力発電ですが、建設や維持のコストが高いという難点があります。これからの技術革新でコストパフォーマンスが改善されると、一般的な投資やビジネスとして参入することも可能になるかもしれません。
この記事では、陸上風力発電について解説していきます。
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世界・日本の風力発電の普及率
ここで、世界と日本でどれくらい風力発電が使用されているかを見てみましょう。
まずは、世界の状況です。下のグラフは、2022年の風力発電の新規・累計導入量を表しています。
出典:日本風力発電教会
陸上風力の累計導入量は841.9GW、洋上風力の累計導入量は64.3GWです。毎年新規発電所が建設され、今後も増えていくと考えられます。
次に、日本の普及状況を見てみます。下のグラフは、2022年の電源構成を表したものです。
出典:2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)環境エネルギー政策研究所
風力発電の占める割合は、わずか0.9%です。累積導入量は4,804MWで、世界導入量の0.5%となっています。
日本では、風力発電があまり普及していないと言っていいでしょう。
風力発電投資のメリット
再生可能エネルギーとしてはとても魅力的な風力発電ですが、実際に投資やビジネスで利益を上げることは可能なのでしょうか?
結論としては、「利益を上げることは可能だが、ハードルが高い部分がある」と言えるでしょう。
ここからは、風力発電投資のメリットについて解説していきます。
- 収益計画が立てやすい
- FIT期間中に初期費用が回収できる
- メンテナンスはすべてお任せできる
①収益計画が立てやすい
先ほど説明したように風力は再生可能エネルギーのひとつなので、FIT制度が適用されます。
20年間固定価格で売電することができるので、収益シミュレーションをしやすいです。
不動産投資や株などの投資は、運用期間中に空室リスクや企業の業績などによる株の下落の影響を受ける可能性があります。
しかし、風力発電はFIT制度があるため20年間は確実に利益を得ることができます。
ただし、風力発電投資を始める前には、その土地の風量や風速を計測し、気候条件を踏まえたシミュレーションをするようにしましょう。
これを忘れてしまうと収益計画とズレが生じてしまう可能性があります。
②FIT期間中に初期費用が回収できる
風力発電は、収益計画が立てやすいことや、太陽光発電と違って昼夜問わず風が吹けば発電できるので時間帯に縛られることがありません。
そのため、立地や気候によってはかなりの発電量が見込めるので、その分利回りも高くなります。
これらのことから、18〜19年間で初期費用を回収し、残りのFIT期間は全額利益になるというわけです。
③メンテナンスはすべてお任せできる
安定した発電量を保つために定期的なメンテナンスが不可欠です。
風力発電は、プロペラが高速で回転することで発電する仕組みになっています。
そのため、機械にかかる負担が大きく、定期的な点検をしなければ発電量の維持や、機械を長期に渡って活用できなくなる可能性があります。
メンテナンスの内容は、機械が正常に稼働しているかの運転監視や消耗品の交換、オイルメンテナンスと多岐に渡ります。これらのメンテナンスは、電気事業者の資格を有する専門業者に依頼するようにしましょう。
個人でのメンテナンスは不要です。強いて挙げるとすれば、毎日モニターで発電量をチェックし、問題なく稼働しているかを確認し、異常の早期発見に努めることでしょう。
風力発電の年間のメンテナンス費用は、1kWあたり0.5〜0.6万円程度です。
風力発電投資のデメリット
続いて風力発電投資のデメリットについて解説します。
- 初期費用が高額
- 実績が少ない
- 土地を探すのが難しい
①初期費用が高額
風力発電の初期費用は、設置規模によって異なりますが、1kWあたり25〜100万円です。
設備費用だけではなく、土地代や電力会社との連携費用、メンテナンス費用が追加でかかります。
だいたい、設備費用の4〜5割がプラスでかかる計算になります。
②実績が少ない
風力発電投資をしている企業は昔に比べて増えていますが、個人投資家が風力発電投資をしているケースはまだまだ少ないです。
今後、再生可能エネルギーをより普及させていくために、風力発電の市場が大きくなっていく可能性はあります。
となると、設備費用が今よりも安くなったり、メンテナンス業者が増えてより多くの投資家や企業が風力発電を導入していくことも考えられます。
実績を重視しているのであれば、現時点で風力発電はあまりおすすめできません。
③土地を探すのが難しい
風力発電で一番の課題となるのが、風力発電を設置する土地選びです。
「この地域はよく風が吹いているな」と感じていても、1年や長期間で見ると実際にはそうでもないというケースもあります。
風力発電には、上記の日本全国風強マップで黄緑色以上で示されている5.5m/s以上の風量が必要です。そして、投資先として魅力なのは風速6.5m/s以上の土地です。
しかし、日本は山間部が多いため設置に適した部分が少ない傾向にあります。
また、土地利用の法規制や近隣住民への配慮、希少生物への影響なども考慮に入れなければならず、これらの条件に適した場所というのは日本の国土全体の1割にも及びません。
さらに注意点として、風力発電には計画に誤差が生じやすいという特徴があります。
風速が1m違うだけで発電量が30〜40%変化します。仮に風速が2倍になると、その発電量は8倍にもなると言われています。
そのため、測定誤差や年単位の風の状況のズレによって発電量が大きく変わってしまい、当初の計画と誤差が生じてしまうのです。
これらのことから、風力発電に最適は土地を選ぶのがかなり難しいということがわかると思います。
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風力発電投資の利回りは高い?低い?
風力発電投資を検討している方は、その利回りが気になることでしょう。
風力発電の平均利回りは約10%
風力発電投資の利回りは平均10%程度です。立地条件がいい場合、20%近くになる物件も見られます。
この利回りが実現する理由は、風力発電のFIT価格が他の再生可能エネルギーに比べて高いためです。
風通しがよく、24時間発電し続けられる立地条件であれば、効率よく売電収入を得ることができるでしょう。
風力発電と他の投資と比較
風力発電投資を検討している方は、他の投資と比べて利回りが高いかどうかが気になるでしょう。平均的な年間利回りを比較してみました。
投資方法 | 利回り |
定期預金(銀行) | 約0.01% |
投資信託 | 約1%~6% |
不動産投資 | 約5~20% |
太陽光発電投資 | 約10% |
小型風力発電投資 | 約10% |
定期預金は元本割れする恐れはない一方で、ほとんど利益はありません。
不動産投資は、入居率や物件の立地条件などで利回りが大きく変動します。
小型風力発電投資は、立地が適切であれば、安定的に高めの利回りを確保できるといえるでしょう。
風力発電投資の運用コストについて
風力発電は設置してしまえば終わりというわけではありません。ここからは、運用していく中で発生するランニングコストについて解説します。
- メンテナンス費
- 遠隔監視システム費
- 土地管理費
- 保険料
- 固定資産税
メンテナンス費
風力発電では、定期的なメンテナンスが国により義務付けられています。
電気設備は毎月1回以上のメンテナンスを行い、年に1度は運転を停止しての制御回路・主回路端子・動作などのチェックが必要です。さらに、法定定期検査を2~3年ごとに1回実施する必要があります。
また、風車本体も、潤滑油の注油や消耗品交換などの定期メンテナンスが、毎年4回程度必要です。
メンテナンス費用は風力発電所の規模によって異なりますが、風車6基の小型風力発電の場合年間10~15万円程度発生するでしょう。
遠隔監視システム費
風力発電所はその特性から、山間部などの郊外に設置されることがほとんどなので、離れたところにいても異変を察知できるよう「遠隔監視システム」の設置が必要です。
風力発電設備の情報を24時間体制で監視・制御し、風速や発電量などのデータ収集を行うほか、異常が荒ればアラームで知らせてくれます。
遠隔監視システムにかかる費用は、年間5~10万円程度が一般的です。物件によっては、設置後数年は無料で監視してくれる場合もあります。
土地管理費
風力発電システムの設置場所によっては、土地管理が必要な場合もあります。敷地内の点検・清掃・草刈り・地域住民への対応など、土地そのものの管理です。
費用は敷地面積や設置場所により異なりますが、年間10万円程度かかるでしょう。
保険料
機械の故障や周辺への損害に備えて、保険の加入も必要です。保証内容は、機械故障・対人対物・売電保証などがあり、費用は年間8~15万円程度かかるでしょう。
定期的なメンテナンスを行っていても、自然災害や事故によって思わぬ損害が発生することもあります。投資事業を安定して続けるためにも、保険加入は欠かせません。
固定資産税
風力発電投資で土地を所有した場合に発生します。固定資産税の額は、「課税標準額×1.4%」で算出し、課税評価額は時価のおよそ70%です。
風力発電設備用の土地の場合、20kW未満の風力発電なら固定資産税が3年分3/4程度に軽減される特例が受けられます。
金融機関から初期費用の融資を受けることはできる?
風力発電は、初期費用が高額なので金融機関から融資を受けることを考えるケースが多いです。
風力発電とよく比較される太陽光発電であれば、堅実に収益を上げていくことが見込まれるため、滞納リスクが低いとされています。
そのため、公的融資や銀行、信販会社のローンであるソーラーローンといった融資の申請がしやすいです。
一方で、風力発電の場合まだまだ金融機関の理解が浅く、太陽光発電と比べて融資を受けにくいです。
とは言っても、最近では少しずつ風力発電にも注目が集まり、融資を行う金融機関が徐々に増えてきています。
現在、風力発電に融資相談可能な金融機関は、
- 日本政策金融公庫
- 信販会社(ジャックスなど)
- クレジット会社ローン(アプラスなど)
- 三井住友投資銀行
他、地方銀行多数あり(詳細は各地方銀行に確認が必要)
となっています。
このように少しずつ融資先の増えている風力発電ですが、まだまだ数は少ないので融資を受けるのは太陽光発電よりも難しいです。
【風力発電投資と太陽光発電投資】選ぶならどっち?
風力と同じ、再生可能エネルギーである太陽光。「太陽光発電投資」は、安定して収益を得られると、近年人気を集めています。
ここからは、「太陽光発電所投資」と「風力発電投資」を比較していきます。
太陽光発電投資とは
「太陽光発電投資」は、太陽光発電所に投資し、発電した電力を電力会社に売電して収益を得る方法です。
太陽光発電の電力は、風力発電と同様、「固定価格買取制度(FIT制度)」の対象です。そのため、収益の予想が立てやすく、リスクが少ないと言われています。
近年では、中古の太陽光発電所への投資が人気です。新設の発電所よりも初期費用が低く抑えられるので、利回りが高いのが特徴です。さらに、これまでの発電実績が分かるため、初期私用回収期間の計画を立てやすく、投資初心者にも始めやすくなっています。
太陽光発電投資と風力発電投資を費用で比較
太陽光発電投資 | 風力発電投資 | |
1kWあたりの 初期費用 |
約20~26万円 頭金0円からOK |
25〜100万円 土地・連携費用は別途かかる |
売電価格 | 9.5~10円/kWh | 14円/kWh |
初期費用回収期間 | 10~13年 | 実績が少なく、故障やメンテナンス対応に費用が掛かる可能性が高いため、一概に言えない |
太陽光発電投資は、風力発電投資に比べて初期費用が回収できる期間が短く10〜13年程度です。そのため、初期費用を回収したあとの全額利益となる期間が風力発電に比べて長くなります。
さらに、融資を受けやすくフルローンで融資を受けたとしても長くても15年間で全額返済することができます。
発電量も風力発電に比べて安定しており、導入している投資家が多いので実績も豊富にあります。
これらのことから考えると、風力発電よりも太陽光発電の方が運用しやすい投資であると言えます。
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風力発電に関するよくある質問
風力発電について考えるとき、気になる点についてまとめました。
日本で風力発電が普及しない理由は?
日本で風力発電が普及しない理由は、次のようなものが挙げられます。
- 初期費用が高い
- 発電に適した土地の選定が難しい
- 売電シミュレーションの正確性が低い
- 稼働実績が少ない
風力発電のデメリットである、初期費用の高さと、土地の選定が難しいことが主な理由です。
日本は山間部が多く、安定的な風量が得られる土地を確保することが難しくなっています。
今後研究開発が進み、洋上風力発電の実用化やコスト削減ができれば、普及していくと期待できます。
風力発電の羽根が3枚なのはなぜ?
発電効率が最も高く、風向変化に対応する際に振動が起きにくいため、3枚羽根が主流となっています。
羽根の枚数が少ないほど風車の重量が軽く、空気抵抗が少ない点がメリットです。しかし、1枚羽根では開店するときのバランスが悪く、2枚羽根では騒音が少し大きくなってしまいます。
また、羽根の枚数が多くなると、少しの風でも回転し、強い力を生み出せます。しかし、コストが高くなり、風車が重くなってしまいます。
その結果、安定性が高く、必要最小限の枚数として、3枚羽根が多く採用されているのです。
風力発電の寿命は?
国税局は、風力発電システムの耐用年数を9年としています。ただし、これは減価償却資産としての耐用年数です。実際に使用できる年数は20年程度として計画されています。
適切なメンテナンスや、故障した機器の交換を行うことで、さらに長く使用できると考えられます。
まとめ
風力発電は、太陽光発電と違って昼夜問わず24時間発電できるのが魅力です。
FIT制度に従い、20年間安定して売電することができるので、投資として活用するのもいいでしょう。しかし、まだまだ実績が少なく、個人で風力発電投資をしている方はほとんどいません。
そのため、融資の受けづらさや設置場所の確保が難しいという欠点があります。
個人でエネルギー投資をしようと考えている方は、融資の申し込みがしやすく、実績が豊富な太陽光発電投資の方がおすすめです!
(参考:風力発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー)
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