おすすめの退職金運用方法を紹介!老後に備えた失敗しないための注意点を解説
定年を迎えた老後の生活において、重要な役割を果たすのが退職金です。退職金をあてにしてさまざまな計画を立てている人は少なくないでしょう。
そして現在注目されているのが、退職金を元本にした資産運用です。果たして、退職金を資産として運用するのは、本当にメリットがあるのでしょうか。今回は退職金運用について、以下のポイントを取り上げてみました。
以上の点をわかりやすく解説しているので、退職金運用を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
「資産運用って、株・不動産といろいろ面倒そうなイメージ」
「運用に回すと、大事な退職金が減って損をしてしまうのでは」
退職金を運用に回す場合、上記のような良くないイメージを持つ人もいるでしょう。運用に回さずに何も手をつけずに、そのまま生活費などに使った方が無難と思っている人も少なくないはずです。
では、退職金を元本としてさらに資産を増やす、退職金運用は本当に必要なのでしょうか。次より、なぜ退職金運用が必要なのか、その理由を説明しましょう。
退職金運用が必要な理由
退職金運用が必要な理由は、次の3つです。
- 退職金自体が減少傾向にある
- 受給できる年金額も減少傾向にある
- 平均寿命が伸びて老後に必要な資金が増加している
この3つについてそれぞれ説明します。
①退職金自体が減少傾向にある
退職金運用が必要な理由の一つは、年々支給される退職金の平均額が年々減少しているためです。厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査」によると、20年ほどの退職金の平均額は、以下の通りとなっています。
- 平成10年:2,868万円
- 平成15年:2,499万円
- 平成25年:1,941万円
- 平成30年:1,788万円
以上のように、20年ほどで生じた退職金の差額は、1,000万円以上もの減少です。20年前であれば退職金だけで老後の生活は安泰でしたが、現在は支給額が2,000万円を切っています。
20年前との差額である1,000万円を補填するためにも、退職金運用をしてその差額を埋めなくてはいけないという考えの人は少なくありません。
②受給できる年金額も減少傾向にある
老後の問題として浮上しているのが、受給できる年金額の減少です。減少の理由は、少子化により年金保険料を支払う側の減少、それに対して、高齢化による受給者の増加などが挙げられます。
また、保険料免除制度も原因の一つです。この制度は、失業者・収入低下により、毎月の年金保険料の支払いが困難な人のために用意された制度で、この制度を申請すれば、支払い金額の4分の1〜全額が免除されます。
免除をした分、受給対象の年齢になった時に受給できる年金額は減る仕組みです。このような理由のために、年々受給できる年金の額は減少している傾向があり、年金だけでは老後の生活は難しいといわれています。
③平均寿命が延びて老後に必要な資金が増加している
国民全体の平均寿命が延びていることも、退職金運用が必要な理由です。日本人の平均寿命は1950年代には男女ともに60代といわれていました。しかし現在は男女ともに80代といわれています。
人生100年時代というキャッチフレーズが決して大げさではないように、日本人の平均寿命は年々延びている傾向です。
人生100年だとしたら退職金を受給する年齢60代の場合、数十年の生活が待っています。数十年の老後生活を送るためには、退職金・年金をただ切り崩すだけでなく、運用をして増やさないと快適な老後生活は送れないといえるでしょう。
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退職金のおすすめ運用方法ランキング8選
資産運用をしたことがない人にとって、退職金運用といっても何をすればいいのか、と困惑している人もいるでしょう。
そのような人のために、次より退職金のおすすめ運用方法ランキング8選を紹介します。紹介する8つの運用方法はそれぞれ特徴があるので、自分に適した運用方法を見つけてください。
- 投資信託
- 個人向け国債
- NISA・つみたてNISA
- 不動産投資
- 太陽光投資
- 貯蓄型保険
- 退職金定期預金
- 株式投資
投資信託
自分で運用するのではなく、専門家にお金を預けて運用代行をしてもらう方法が、投資信託です。複数の投資家からお金を集めて、運用によって生まれた利益は分配されます。
投資信託のメリット
投資信託は、少額からでも開始できるので、初心者でも始めやすいのが特徴です。また、預けた資金は一つの運用ではなくいくつかの商品に分配されるため、リスクを散らすことができます。
投資信託のデメリット
専門家に運用を代行してもらうため手数料が発生するので、自分でやるより費用がかかります。また投資信託はさまざまな種類があり、それぞれ特性があるので、事前に評判などをチェックして選択しなくてはいけません。
個人向け国債
国が個人向けに発行している国債も、退職金運用にはおすすめの運用方法です。国家・民間機関から国が発行している債券を購入して、発生した利息を利益として受け取ります。
個人向け国債のメリット
個人向け国債は1万円からの購入が可能なので、少ない資金での運用開始が可能です。また元本保証となっているので、損をする心配がありません。金利は固定・変動とあり、変動を選択すれば大きな利益になる可能性があります。
個人向け国債のデメリット
個人向け国債は、発行から1年間は原則として中途換金ができない決まりです。もし急な出費で、現金が必要になったとしても気軽に換金はできず、中途換金する場合は調整額が元本から差し引かれます。
また、金利が低いために、変動型を選択して金利が上がることでもなければ、大きな利益が生まれません。
NISA・つみたてNISA
堅実に退職金運用で利益を得たい人におすすめなのが、NISA(一般NISA)・つみたてNISAです。専用口座を開設して、投資信託の方式で運用をします。一般・つみたてともに、扱う投資用商品が異なるのが特徴です。
NISA・つみたてNISAのメリット
NISA・つみたてNISAは、運用によって生じた利益が非課税対象となっています。NISAは最長5年間・年間120万円まで、つみたてNISAは最長20年間・年間40万円まで非課税です。
費用も少額から可能なので、初心者でも気軽に始められます。
NISA・つみたてNISAのデメリット
NISA・つみたてNISAともに元本割れをして、損をする可能性があります。長期的な運用をして損失分を補填しなくてはいけません。
また、非課税なので、他の運用方法でできる損益通算(損失を他の投資でカバー)・繰越控除(損失を繰越)といったことができません。
不動産投資
所有する物件や土地を利用しての運用が、不動産投資です。物件を賃貸物件として貸し出して家賃収入を得る・物件や土地を購入して市場価値が高まった頃に売却して利益を得るといった手順になります。
不動産投資のメリット
不動産投資は、賃貸物件として貸し出した場合だと、安定した大きな収入が見込めるのがメリットです。売却の場合は、市場価値が高まれば、購入金額を遥かに超えた収入が実現します。
不動産投資のデメリット
不動産投資のデメリットは、賃貸・売却ともに必ず利益が出るとは限らない点です。アパートやマンションを管理しても、その物件の条件(周辺環境など)によって住みたい人が来ない場合もあるでしょう。
不動産を売却する場合は、市場の動きなどをまめにチェックする必要があります。また、不動産の価値が下落した時期だと、売却が成立しても元本以下の売り上げになる可能性もあるでしょう。
そして、不動産は常に管理・メンテナンスをする必要があり、管理を怠ると不動産としての価値が下がるため、手間がかかります。
太陽光投資
太陽光投資は、太陽光を利用して専用の発電機で電力を生み出し、その電力を電力会社に売却することで利益を得る方法です。
太陽光投資のメリット
太陽光投資は、太陽光という自然の力を利用して電力を生み出すため、市場動向・経済状況などに左右されることなく、安定した収入が得られるのがメリットです。
また、消費税還付など節税対策にもなります。そして、固定買取価格制度(FIT)によって、国による20年間にわたっての買取保証があるので、安心です。
太陽光投資のデメリット
太陽光投資は、天候によって発電量が左右されるので、天候が悪い日が続くと安定した電力が生まれません。
また、発電機が高額のため、初期費用がかかります。そして、10年前と比べると売却価格が下がっているのもデメリットといえるでしょう。ただし中古発電機は利回りが良いので、太陽光投資を始める際は、どんな設備にするかしっかりと考えることが大事です。
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貯蓄型保険
貯蓄をしながら保険の対象にもなれるのが、貯蓄型保険です。
貯蓄型保険のメリット
貯蓄型保険のメリットは、貯蓄を確実にしながら保険の対象にもなれることです。日常生活で万が一のことがあっても問題ありません。
毎月支払った保険は、満期・あるいは途中解約時に返還される仕組みです。解約時の場合、違約金が発生する場合がありますが、貯蓄型保険は貯蓄も兼ねているので、解約返戻金として戻ってきます。また、保険の種類によっては、保険契約中に貸付も可能です。
貯蓄型保険のデメリット
貯蓄型保険のデメリットは、通常の保険より保険料が高めという点です。毎月の支払いが負担になる人もいるかもしれません。
また、解約のタイミングによっては、解約時にもらえる返戻金が、払い続けた保険料の総額より少なくなり損をしてしまうケースもあります。
退職金定期預金
いくつかの銀行は、退職金に特化した定期預金が用意されています。
退職金定期預金のメリット
退職金定期預金のメリットは、通常の預金より金利が高めという点です。また預け先が破綻しない限り元本が割れる心配もありません。確実に元本より増やしたい人におすすめです。
退職金定期預金のデメリット
退職金定期預金は、他の投資方法に比べた場合、派手な増加が見込めません。通常の金利よりは高いですが、飛躍的な増加を希望する人には向いていないでしょう。
また、普通預金のように、簡単にはお金を引き出せないこともデメリットです。引き出す際は中途解約をする必要があり、この場合金利が下がります。
株式投資
資産運用の代表格なのが、株式投資です。企業の株を購入して、それを売却することにより利益を得ます。
株式投資のメリット
株式投資のメリットは、以下の通りです。
- 業績順調な企業の株の所有・売却で大きな利益が得られる(キャピタルゲイン)
- 企業から発生した利益の一部を受け取れる(インカムゲイン)
- 株主優待を受けられる
- 企業に関与できる
他の投資方法に比べると、大きな利益が期待できます。
株式投資のデメリット
株式投資のデメリットは、以下の通りです。
- 企業の業績によって大きな損失になる場合もある
- 初期費用がかかる
- 知識が必要
大きな利益が発生する一方、損失を受けて大きな打撃となる可能性もあります。
退職金運用に関する注意点
退職金運用を実践する際は、事前にいくつかの注意点を把握しないといけません。もし注意点の確認を怠ったら損失が発生して、今後の生活において大事な退職金が減少してしまう危険性があります。
- 退職前から資産運用の練習をしておく
- 退職金のすべてを1つの投資先で運用しない
- 資産を増やすよりも維持することを心がける
- 運用プランを専門家に相談するのも1つの手段
退職前から資産運用の練習をしておく
退職金運用をスムーズに進めるためのコツは、退職前の早い段階から資産運用の情報収集・シミュレーションをしておくことです。
定年を迎えて退職金をもらった時点で、どのように運用をしようか考えると、実際に資産運用を開始するのに時間がかかってしまいます。人によっては、頭で考えるより実際に体験をして、やりながら覚えるのが向いている人もいるでしょう。
しかし、他の分野だとそのほうが効率的かもしれませんが、退職金を利用した運用は、退職金という決して安くないお金がかかっています。一度失敗をすると大きな損害となって老後生活の重要な役割をする退職金が減ってしまうかもしれません。
そのような被害を回避して、さらに効率的に利益を出すためにも、退職前から運用の練習をしておきましょう。
- 運用方法の種類の選択(どれが自分に適しているか)
- 金利の比較
- 初期費用
- 運用利益の目標金額
このような大事なポイントを押さえて、早い段階で運用方法の選択・シミュレーションをしておきましょう。
退職金のすべてを1つの投資先で運用しない
先述した通り、退職金投資にはさまざまな手段があります。人によっては「他の運用方法だから簡単なやつを一つだけやればいいか」と考えている人もいるでしょう。
しかし、運用のプラットフォームがたったの一つだけなのは危険度が高いといえます。なぜなら、その運用方法で損失が出た場合、それで終了してしまうからです。損失が出たら、新たな金額を導入して損失を補填しようとするパターンが少なくありません。
一度損失が出た投資用の商品はすぐに回復しないケースもあり、その場合、どれだけ新たなお金で補填しようとしても、ただお金が減少するだけという結果になる場合もあります。
しかし、投資手段を複数持っていれば、一方の投資で損失が出ても、比較的余裕のあるもう一方の投資を利用して補填するといった処理が可能です。
投資手段によっては、必ず利益が出る保証がないものもあるので、リスクを分散するためにも、投資のプラットフォームを複数持つことがおすすめといえます。
資産を増やすよりも維持することを心がける
退職金運用は、元本である退職金を元手に利益をガンガン生み出したいという人もいるでしょう。資産運用に関する知識・スキル・経験がある人であれば、そのような強気な姿勢でも問題はないでしょう。
しかし、資産運用の初心者が利益だけを追求すると、利益どころか大きな損失が発生して、元本である退職金が大幅に減ってしまう可能性があります。
このような事態になると、資産運用という目的の真逆の結果となってしまい、退職金減少により、今後の老後生活にも悪い影響が出るかもしれません。
資産運用に関しての勉強を頑張り、豊富な知識を持っている場合ならともかく、初心者は資産を増やすより、常に元本を維持するように努めましょう。
運用プランを専門家に相談するのも1つの手段
退職金運用にどうしても自信がない、失敗して利益どころか退職金そのものが減ってしまうのでは、という人もいるでしょう。そのような人は、自分で運用を始めるのではなく、専門家に相談することをおすすめします。
資産運用に関しての相談は、以下のような窓口があります。
- 銀行
- 証券会社
- IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
特にIFAは、あらゆる資産運用方法に精通したスペシャリストです。豊富な知識をもとに、相談者に見合った最適なプランを提供してくれます。
相談をする際は手数料が発生しますが、専門家の手厚いバックアップを受けられるため、1人で行なうより円滑な運用ができます。
太陽光投資の運用については、以下から具体的なシミュレーションができます。一度試してみるとイメージが付きやすいので、おすすめです。
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退職金の運用に関するFAQ
退職金運用に関してよく挙がる疑問をまとめてみました。以下より疑問とその回答を紹介します。
退職金運用は失敗談が多いって本当?
退職金運用は失敗するというイメージを持っている人もいるでしょうが、失敗するのはほんの一握りです。失敗の原因としては、「大きな利益を狙って無理をした」「勉強をせずに知識ゼロの状態で運用を始めた」「相談者のアドバイスが間違っていた」などがあります。
正しい知識を持って「退職金運用は増やすより維持」を心がければ、派手な失敗は起きないでしょう。
退職金運用に税金はかかる?
退職金運用などの資産運用で発生した利益には、20.315%の税金(所得税15.315%・住民税の5%)がかかります。
ただし、NISA・つみたてNISAの場合、年間40万〜120万円まで非課税です。
老後2,000万円問題は退職金の運用で解決できる?
老後2,000万円問題に関しては、まず2,000万円の資産形成を目標にする前に「自分の老後生活はいくら必要なのか」ということを考えるのが先決です。
人によって生活環境・経済的価値観は異なるので、2,000万円なくても十分に生活できる人もいます。資産運用の前に、自分の老後生活をシミュレーションすることが大事です。
そして、「退職金すべてを資産運用に注ぎ込めば、老後2,000万円問題は簡単に解決」と短絡的に考えてはいけません。この記事で何度か述べた通り、間違った運用をしてしまうと退職金そのものが減ってしまう恐れがあります。
株式や不動産に関する豊富な知識がある人・経済的に余裕のある人であれば、資産運用において冒険してもいいでしょうが、そうでない人は「利益を増やすより維持」を常に頭に入れておきましょう。
退職金をキープしつつ、堅実に利益を出すことが、初心者にとっては大事なことです。
まとめ
退職金を元手に資産運用を計画している人は少なくないでしょう。しかし、退職金を使った資産運用はさまざまな種類があるため、自分に適した運用手段を選択することが大事です。
また、退職金運用をする際、「資産運用手段を複数行なう」「維持を心がける」などの注意点を把握することも重要といえます。どうしても自信がない場合は、IFAなどの専門家に相談するのもおすすめです。
退職金運用の大事なポイントを押さえて、円滑な資産運用を実施しましょう。
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