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太陽光発電の保険料の相場はどのくらい?2024年値上げの背景や補償内容を解説

相次ぐ自然災害で、いつ何が起こるかわからない中、保険に入らずメーカー保証だけで安心していませんか?

太陽光発電所の自然災害における被害は、パネルやパワーコンディショナーの修繕費だけではありません。メーカー保証でカバーできない損害は、保険に加入して備える必要があります。

しかし、2022年10月から保険の値上げが行われ、2023年夏より免責金額の設定がなされるなど状況が変化が顕著です。2024年からは火災保険の値上げが予定されています。

この記事では、太陽光発電設備の保険の詳細や、2024年の最新情報について解説します。

当記事の監修者

監修:石野拓弥

エレビスタ株式会社(https://erevista.co.jp/)代表取締役。2009年から起業14年目のWEBマーケッター兼 連続起業家。2013年から太陽光発電所の売買仲介No.1プラットフォーム「SOLSEL(https://solsel.jp/)」を運営。累計の流通総額は1,400億円を超えている。

「世界をもっと”もっとも”に。」というミッションのもと、再生可能エネルギーと金融の分野でメディア事業を展開し、「業界No.1プラットフォーム」を目指して、日々奮闘中。

経済誌「Forbes JAPAN」や「ベストベンチャー100」「アジアの注目企業100」の選出などメディア掲載多数。

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太陽光発電の保険料金の相場は?

項目 保険料の相場
火災保険 初期費用の約3%
地震保険 初期費用の約1%
施設賠償責任保険 初期費用の約0.5%
休業損害保険 初期費用の約1%

動産総合保険の年間保険料の相場は、設備規模によって異なり、上記の保険料の相場は、あくまで目安です。

太陽光発電所の規模が大きくなればなるほど保険料は高くなりますが、自己負担になると考えると保険に加入しておくことをおすすめします。

ただし、全ての保険に加入する必要はないので、発電所を設置している地域によってどの保険が必要になるのかを考え、保険会社と相談して決めるようにしましょう。

また、ローンを組んで太陽光発電を購入した場合は金融機関の保険で適用できるケースもあるので、内容を確認するようにしてください。

太陽光発電には保険の加入は必須

太陽光発電を運用するのであれば、保険加入は必須と言っても過言ではありません。

太陽光発電の保険には、以下のような種類があります。

  • 火災保険
  • 企業総合保険
  • 動産総合保険
  • 施設賠償責任保険
  • 休業損害補償保険

よく、メーカー保証があるなら保険に入る必要はないと思っている方もいますが、メーカー保証と保険は補償内容が異なります

メーカー保証とは、メーカーが製品の性能や耐久性を保証するもので、追加料金なしで一定期間、修理や交換を受けることができます。(一部有料のオプション保証もあります。)

災害など予期せぬ事態に遭ってしまった場合、メーカー保証の対象外となることもあります。

そんなときのために、自分で保険に入っておくと安心です。保険料は別途発生しますが、より幅広いリスクに備えられます。

メーカー保証の対象になるケースとならないケースを比較してみましょう。

メーカー保証の対象となるケース

通常、太陽光パネルには各メーカーの保証が付帯しています。

メーカー保証には、2つの保証があります。

  1. システム保証:パネル自体の問題で故障や破損し、発電量が低下した場合に受けられる保証
  2. 出力保証:太陽光パネルの出力値がメーカー規定の最大出力値を下回った場合に受けられる保証

メーカーによっては自然災害補償や施工保証が付帯しているケースもあります。

しかし、多くの場合はメーカー保証は自然災害による補償は対象外となるので、万が一台風などで太陽光パネルが故障すれば自腹で修理代を払わなければいけなくなるので、かなりの損失となります。

それらを補償してくれるのが太陽光発電の保険です。

メーカー保証では対応できないケース

メーカー保証の対象外となるケースには以下のようなものがあります。

・火災における設備の破損
・自然災害(台風地震など)による故障の修理費
出力抑制にかかり売電収入を得られない
・パネルやケーブルなどの盗難
・故障や修理中の稼働停止期間の収入

保険に入ると、上記のようなケースでも補償を受けることができます。(ただし、加入する保険によって内容は変わります)

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太陽光の保険料は年々値上がりしている

太陽光発電の保険料は年々値上がりしています。

  • 2022年には保険料の値上げが実施
  • 2023年には免責金額が設定
  • 2024年10月には火災保険が値上がりする

下記で詳しく解説します。

2022年には保険料の値上げが実施

2022年10月より、損害保険会社各社は太陽光発電の保険料を値上げしました。

最大の原因は土砂崩れや大雪などの自然災害が増加し、保険料の支払いが増加したことです。また、5年や10年といった長期契約が可能でしたが、多くの保険会社で1年間の短期契約のみのところが多くなっています。

2023年には免責金額が設定

免責金額とは、自己負担額のことです。

多くの保険会社で、免責金額が100万円、もしくは発電所の設備工事費用の10%に設定されています。

免責金額が100万円ということは、損害が100万円を超える部分のみ補償されるということで、100万円は自己負担することになります。

また、発電所の設備工事費用10%の場合、設備工事費用が2,000万円の発電所では、200万円が自己負担額ということです。

2024年10月には火災保険が値上がりする

損害保険料率算出機構は、火災保険料を全国平均で13%前後値上げすると発表しています。損害保険大手4社は2024年10月以降、値上げを行う予定です。この値上げも、自然災害の増加が原因となっています。

また、水災リスクに応じて地域を5区分に分け、リスクが高い地域ほど保険料が高くなります。保険料が最も高い地域と最も低い地域の差は約1.2倍です。

現在保険加入を考えている方は、10月前に決断する必要があります。

参考:損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内

太陽光発電に関する保険の種類・補償内容

太陽光発電に関する保険にはいくつかの種類があります。

大きく分けて4つの保険を紹介します。

①企業総合保険

企業総合保険とは、いわゆる事業体の火災保険です。

太陽光パネルはもちろん、太陽光発電設備にあるパワコンや架台、ケーブルなどが、以下のトラブルで破損や故障した場合に補償対象となります。

  • 火災による損害
  • 落雷による故障
  • 台風や雪による破損
  • 盗難
  • 飛来物体が衝突したことによる破損
    (※上記は一例です)

ただし、企業総合保険は地震による故障や破損は補償対象外となるので、別途で保険を追加する必要があります。

②動産総合保険

動産総合保険とは、自然災害などが原因の損害に備えることができる保険です。

補償されるのは以下の通りです。

  • 火災による損害
  • 落雷による故障
  • 台風などの自然災害による損害
  • 雪による故障
  • 外部からの物体の飛来や落下による損害
  • 盗難

企業総合保険の内容と似ていますが、動産総合保険の場合、草刈りなどでパネルやケーブルが破損してしまったというような機械的事故は補償対象外となるケースがあります。

③施設賠償責任保険

施設賠償責任保険とは、台風や地震などで太陽光発電設備が破損し、飛散してしまった際に、他人に怪我をさせたり、他人の物を壊してしまったときに治療費や修理代を補償してくれる保険です。

太陽光発電所の周りに住宅がなかったり、人通りが多くなければ加入しなくてもいいでしょう。

④休業損害補償保険

休業損害補償保険とは、太陽光発電設備が故障して売電収入がなくなった際の補償をするための保険です。

太陽光発電設備が故障すると、設備が復旧するまで発電できないので、当然収入もゼロになってしまいます。

収入がないのに修理代やローンの支払いをしなければならない分、収支はマイナスです……。

このような状況で、収入を補償してくれるのが休業損害補償保険です!

企業総合保険や動産総合保険と合わせて休業損害補償保険に加入しておけば、万が一の事態が起こっても支出を抑えることができます。

太陽光発電に関する保険を取り扱っている保険会社・保険代理店

下記の保険会社では太陽光発電における保険を取り扱っています。

  • 三井住友海上
  • 東京海上日動火災保険
  • 損保ジャパン日本興亜
  • あいおいニッセイ同和損保

新規太陽光発電ではなく、中古で太陽光発電を購入する場合はあらかじめ保険がついている場合もあります。

物件の購入時に保険の内容と保険料を業者に確認し、不要なものは外すようにしてください。

また、収支シミュレーションをする際は、保険料も含めた実質利回りで計算し、どのくらいの利益が出るのかを算出しておくのがおすすめです。

太陽光発電の保険を申請する方法・流れ

太陽光発電の保険を申請する方法や流れについて、調べてみました。下記で詳しく解説します。

保険料の申請に必要な書類

太陽光発電の保険料の申請書類は、設備規模が10kW以上か10kW未満によって異なります。

【10kW以上】

  • 戸籍謄本または住民票
  • 印鑑証明(申請者分)
  • (野立ての場合)土地の取得を証する書類
  • (屋根上の場合)建物所有者の同意書類
  • 発電設備の内容を証する書類(パネルやパワコンの仕様書)
  • 接続の同意を証する書類の写し
  • 事業実施体制図
  • 関係法令手続状況報告書
  • 構造図、配線図
  • 委任状、印鑑証明

【10kW未満】

  • (野立ての場合)土地の取得を証する書類
  • (屋根上の場合)建物所有者の同意書類
  • 接続の同意を証する書類の写し
  • 構造図、配線図
  • 委任状、印鑑証明

保険料を申請する手続きの流れ

太陽光発電の保険料を申請する手続きの流れは、下記の通りです。

  1. 電力会社に接続契約の申し込みをする
  2. 国(経済産業省)に事業計画認定申請する

太陽光の事業計画認定申請は、電子申請が一般的でしょう。電子申請の手順は、下記の通りです。

  1. 再生可能エネルギー電子申請の電子申請マイページからログインまたは、新規登録する
  2. メニューにある「設備申請入力」をクリックする
  3. 「発電設備区分」から該当するものを選んで、情報を入力する
  4. 申請する内容を確認し、「保存して次へ進む」をクリックする
  5. 必要書類の添付をする
  6. 申請が完了すると、申請IDが表示される

経済産業省の資源エネルギー庁は、公式サイトで「申請から認定までは3ヶ月かかる」と記載されています。申請間違いなども多く、長ければ半年かかる場合もあるようです。

電子申請をする際は、上記で解説した流れを確認しながら、慎重に申請してください。

太陽光発電の保険に関するFAQ

太陽光発電の保険について、よくある質問をまとめました。

太陽光発電の保険加入は義務化された?

資源エネルギー庁の「再エネ特措法に基づく事業計画策定ガイドライン」では、10kW以上の産業用太陽光発電所は、「火災保険や地震保険、第三者賠償保険等に加入するように努めること」と明記されています。

努力義務ですので、必ず保険に加入しなければならないというわけではなく、罰則などもありません。しかし、国として保険の加入を勧めているということです。

参考:事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)

個人の家庭用太陽光発電設備も保険に入るべき?

家庭用太陽光発電設備の場合、自然災害保証がメーカー保証対象外の場合は、別途保険に入っておくと安心です。メーカー保証にオプションとして有償で追加できる場合もあるので、確認しておきましょう。

また、既存の住宅に太陽光パネルを後付けで設置した場合は、火災保険の補償範囲などを見直しておくのがおすすめです。

太陽光発電の保険は盗難被害も対象になる?

盗難が保険対象になるかは、保険会社によって異なるため、加入前に契約内容の確認が必要です。

関東の一部地域ではケーブルなどの盗難が多くなっており、他の地域に比べて盗難が保証対象外となり可能性が高くなっています。

また、保険での補償を考える前に、フェンスや監視カメラなどで盗難防止対策を取ることが重要です。

まとめ

太陽光発電の故障や破損は、製造の問題であればメーカー保証が適応されますが、それ以外はメーカー保証では補えないことがほとんどです。

保険への加入は任意で、追加で費用がかかる分、加入するかどうか迷う方もいるかもしれませんが、近年自然災害が増加していたり、感染症の流行で市場が不安定になっていたりと金銭面での不安が大きくなっています。

安心して太陽光発電を運用していくために、少しでもリスクを減らすことを目的に保険加入を検討しておくことをおすすめします。

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