太陽光発電を途中でやめたい時の対処法は?よくある原因やクーリングオフの手順を解説

  • 太陽光発電投資
  • 公開日:2024.12.05
  • 更新日:2024.12.05
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太陽光発電を設置して契約したものの、売電収入が減少したことや、FIT期間が終了すること、思いの外メンテナンスコストがかかるといった理由で、途中でやめたいと考える人が少なくありません。

しかし、太陽光発電を途中でやめた場合に「違約金やクーリングオフがかかる可能性がある」「廃棄費用がかかるかも知れない」などを理由にやめられない人が多いようです。

そこで、太陽光発電を途中でやめると、どのような弊害があるのかを調査しました。

太陽光発電を途中でやめる際の注意点やクーリングオフをする方法、太陽光パネルなどを撤去する方法について解説します。

太陽光発電システム契約後に無条件で解約できる方法もあわせてご覧ください。

太陽光発電を途中でやめられるかは契約によって異なる

太陽光発電 やめたい

運用を途中でやめられるかは、契約の種類によって異なります。基本的には、契約を途中でやめたり、なかったことにしたりするのは難しいので、新たに太陽光発電設備の売却や廃棄といった手続きが必要です。

ケース 手続き
屋根貸しで太陽光発電を設置 賃貸契約を結んでいる企業と契約解除
(違約金がかかる可能性あり)
産業用太陽光発電(投資用太陽光発電)を運用 太陽光発電設備の売却
太陽光発電を契約した直後 8日間以内ならクーリングオフ可能な場合あり

ただし、訪問販売や電話による勧誘販売で契約した場合や、悪質な営業に騙されて契約させられてしまった場合は、クーリングオフが可能です。クーリングオフ期間は契約後8日間となっています。

>太陽光発電のクーリングオフについてチェック

太陽光発電をやめたい人によくある理由

太陽光発電をやめたいのに続けるリスクやデメリットを下記で詳しく見ていきましょう。

メンテナンスや維持にお金がかかる

メンテナンスや維持に想定以上にコストがかかるため、太陽光発電をやめたいという声が聞かれます。

太陽光発電は比較的維持に手間や費用が掛からない設備です。しかし、年に数回の点検や清掃・除草作業は必要ですし、故障などのトラブルへの対応などにはお金が掛かります。

特に、自然災害で大きな被害を受けてしまうと、修理費用が高額になるだけでなく、復旧するまでは売電収入が得られません。

FIT期間が終了する

出力が10kW以上の産業用太陽光発電設備は、FIT期間が20年です。FIT期間中は相場よりも高い固定価格で売電ができます。

太陽光パネルの寿命は30年以上と言われているので、FIT期間終了後も売電は続けられますが、売電価格が大幅に下がってしまいます。

FIT期間終了時に投資の収益を十分に得たと判断した投資家は、売電価格が下がるタイミングで太陽光発電事業を終わらせたいと考えるのです。

近隣とトラブルになった

近隣トラブルが原因で太陽光発電をやめたいと考える場合もあります。具体的な例は以下の通りです。

  • パネルの反射光が住宅に差し込み眩しい
  • 大規模太陽光発電設備が景観を損ねている
  • 雑草が放置され害虫・害獣が発生している
  • 強風でパネルが他人の敷地に飛ばされる
  • 地面の処理が不十分で土壌流出や土砂崩れを起こす

パネルの角度を変えたり、適切なメンテナンスを行ったりすることで、トラブルを解消することはできます。

しかし、太陽光発電投資のメリットを、トラブル解決のための手間やコストが上回ると感じる事業者は、太陽光発電事業から撤退を検討するのです。

太陽光発電の廃棄には費用が掛かる

太陽光発電の太陽光パネルは、家庭ごみのように簡単に捨てられるものではありません。

一般ごみは「一般廃棄物」に分類されますが、太陽光パネルなどは「産業廃棄物」と呼ばれます。

産業廃棄物については、産業物処理法に則って適正に処理する必要があり、また廃棄するにも費用がかかります。

それでは、太陽光発電設備を廃棄するためには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?

2021年9月の経済産業省「太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について」によると、太陽光発電の廃棄費用はおおむね次の通りです。

太陽光発電設備の廃棄費用(目安)

廃棄するもの 廃棄費用
中央値
太陽光発電設備の廃棄
スクリュー基礎によるもの※1
約1.1万円/kW
太陽光発電設備の廃棄
コンクリート基礎によるもの※2
約1.4万円/kW
太陽光パネルのみの廃棄費用 約0.59万円/kW

参考文献:太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について 資源エネルギー庁太陽光発電設備の廃棄等について 資源エネルギー庁

※1:スクリュー基礎…杭を地面に打ち込んで、その上に架台を載せるような太陽光発電設備の設置方法
※2:コンクリート基礎…地面にコンクリート基礎をつくって、その上に架台を載せるような太陽光発電の設置方法

たとえば、20kWの産業用太陽光発電設備(スクリュー基礎)を廃棄する場合、22万円が必要になります。

廃棄費用として積み立てる積立金と、元となる廃棄費用の想定額は以下のとおりです。

太陽光発電 やめたい

出典:太陽光発電設備の廃棄等について 資源エネルギー庁

太陽光発電所のkWあたり廃棄費用は、FIT認定年度が後になるほどに下がっています。これは、太陽光発電システムの発電効率が年々上がっており、少ない設備で多くの発電量が得られるようになったためです。

廃棄費用を確保するための積立金制度が開始している

廃棄費用の積立金制度は、2022年7月1日から開始しました。太陽光発電を捨てる際に費用面での心配が軽くなったといえるでしょう。

積立の仕組みは以下のようになります。

太陽光 積立

出典:太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について 資源エネルギー庁

太陽光発電をやめたい時はどうすればいい?

ここからは、太陽光発電をやめて手放す方法を解説します。

太陽光発電を廃棄する

FIT期間が終了したり、設備が老朽化したりして、売電収入が見込めなくなった場合には、太陽光発電設備を廃棄することが1つの方法として考えられます。

廃棄する際は、産業廃棄物を取り扱う専門業者への依頼が必要です。リサイクル可能な部品はリサイクルし、廃棄物は埋め立て処理されることになります。

廃棄費用は1kWあたり1~3万円程度が相場です。また、土地の契約によっては、原状回復工事が必要になるでしょう。

太陽光パネルがまだ使用できる場合は、中古パネルとして売却できることもあります。

産業用太陽光発電なら買取もしくは仲介で売却できる

太陽発電所は、廃棄する時期になる前に売却するという手もあります。現在太陽光発電所の市場では、中古太陽光発電のニーズが高まっているのです!

買取とは、買取業者などに設備を直接買い取ってもらうことです。仲介との比較としてのメリットは、すぐに現金化できることが挙げられます。一方、価格が安くなってしまう場合があるので、気を付けてください。

仲介とは、間に仲介業者が入ることです。買取との比較としてのメリットは、希望する価格で売れやすいことが挙げられます。一方、売却に時間がかかってしまう可能性が高いので注意しましょう。

中古太陽光発電所は新規の太陽光発電所に比べると価格が安く、初期投資を抑えて購入できます。また、明確な発電実績があるため、利回りのシミュレーションもより精密に行えます。さらに、FIT価格が高額なので、早く採算をとることが可能です。

太陽光 売却

太陽光発電にもクーリングオフは適用できる

太陽光発電 やめたい
一般的には、契約期間中に解約してしまうと、利用者に不利になるケースが多くなっています。

しかし、契約後8日間であれば違約金などを無視して無条件で解約できます。この制度が「クーリングオフ」です。

最初は太陽光発電を契約するつもりはなかったけれど、訪問販売の営業マンに乗せられて契約してしまった…。

こんな方でも、契約後一定期間後であれば解約可能な制度がクーリングオフです。

クーリングオフ期間は「契約を交わした日」から8日間

太陽光発電におけるクーリングオフの期間は、契約の締結日から8日間となっています。

たとえば、2月10日に太陽光発電の契約を書面で締結した場合は、2月18日中がクーリングオフの期限です。

クーリンオフの期限まであまり時間はないので、解約を検討している方はなるべく早く動くようにしましょう。

クーリングオフは必ず書面で行うこと

クーリングオフは口頭ではなく、形に残る書面で必ず行ってください。

具体的には、はがきを用いて相手方へ通知します。

クーリングオフのはがきには、次のような事項を記載します。

クーリングオフに記載する事項
  • 契約年月日
  • 商品名
  • 契約金額
  • 販売会社

など

また、太陽光発電設置に伴ってクレジットカードの契約を締結している場合は、カード会社にも同様にはがきを送ります。

太陽光発電をやめたいときは売却がおすすめな理由

太陽光発電をやめたいときに売却がおすすめな理由について、下記で詳しく解説します。

廃棄費用がかからない

太陽光発電を売却するのがおすすめの理由として、廃棄費用がかからないといったメリットが挙げられます。

太陽光発電を廃棄するには、数十〜数百万円かかるケースが多いです。

太陽光発電を専門業者や第三者へ売却する際、廃棄処理の費用はかかりません。

また、解体工事や廃棄処理・事務手続きなどの負担を背負う必要もないでしょう。

設備を手放せる

太陽光発電を売却すると、設備を手放せるといったメリットも挙げられます。

買取実績がある業者に頼むと、スムーズに手放せる可能性が高いでしょう。

太陽光発電を売却できれば、部品の交換・修理・清掃・点検・固定資産税・所得税といった負担を0にできますよ。

売却益を得られる

太陽光発電を売却すると、売却益を得られるといったメリットもあります。太陽光発電の状態やFIT期間によっては、高額で売却できるケースもあるでしょう。

太陽光発電の規模にもよりますが、1,000万円以上になる場合もあります。

具体的には、出力50kW台で1,000万円台、出力100kW台で1,700万円や2,000万円といった価格で販売されているのが特徴です。

住宅購入や資産運用のための資金調達をしたい場合などには、メリットが多いでしょう。

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太陽光をやめたいときの注意点・ポイント

太陽光をやめたいときの注意点やポイントをまとめてみました。

屋根貸しの場合は違約金がかかる

屋根貸しとも言われる太陽光発電のリース契約は、FIT期間内など違約金が発生する場合があります。

設備費が0円の契約の場合、10〜20年縛りがある契約が多いのが特徴です。

途中で解約してしまうと、多くの違約金が発生してしまう場合もあるでしょう。

現在使っている太陽光発電がリースものである場合は、必ず契約書を確認し違約金について確認しておくようにしてください。

定期的なメンテナスをしておく

太陽光発電を売却する際、破損や汚れがあると、売却価格が大きく下がってしまいます。

破損や汚れやあまりにもひどいと、買取を拒否されてしまう可能性もあるでしょう。

定期的なメンテナンスをしておくのはもちろん、売却する前は破損や汚れがないか、必ず確認するようにしてください。

個人による土地売却は分離課税になる

個人で土地を売却する場合は、分離課税になる可能性があります。

分離課税とは、給与所得や事業所得などの総合課税とは別に、その所得のみに独自の計算式や税率を適用して所得税を計算することです。

売却して利益が出た場合、住民税や所得税に影響すると、利益が大きければその分税率が上がるので、覚えておくようにしましょう。

まとめ

太陽光発電を途中でやめる場合、契約内容に注意しましょう。

契約途中での解約には違約金が課されているケースが多く、思わぬところで高額な費用が発生するケースがあります。

発電容量にもよりますが、産業用太陽光発電で数十万円の費用がかかります。

そのため、太陽光発電を途中でやめる場合は、費用面と相談して慎重に決めるようにしたいですね。

ただし、契約から8日以内の場合、クーリングオフで無条件に解約することが可能です。

業者に無理やり契約されて後から解約したい場合、有効期間内であれば一方的に解約できるので、ぜひ活用してください!

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この記事を書いた人

ikebukuro

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