20年後太陽光投資の出口戦略はどうなる?FIT終了後の投資プランはあるのか

  • 太陽光発電投資
  • 公開日:2024.12.06
  • 更新日:2024.12.06
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太陽光発電投資は、太陽光発電は国が定めた固定価格買取制度(FIT制度)のもと運用できるため、比較的安定した投資方法です。

二酸化炭素の排出量が削減でき、カーボンニュートラル達成に貢献できるということもあり、普及が進んでいます。

しかし、産業用太陽光発電の固定価格買取期間(FIT期間)は20年間ですので、その期間を終えた後まで考慮して投資計画を建てる必要があります。

この記事では、太陽光発電投資の出口戦略の具体的な対策について、投資プランをご提案していきます。

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FIT制度が終了した20年後、太陽光発電はどうなる?

国が定めた固定価格買取制度(FIT制度)が終了した20年後は、太陽光発電はどうなるのか、気になる方も多いのではないでしょうか?

下記の画像は、固定価格買取制度(FIT制度)の仕組みを表したものです。

太陽光 20年後

出典:資源エネルギー庁

10kWより容量が多い産業用の太陽光発電システムの場合は、固定価格買取制度(FIT)の適用期間が20年と定められています。

FItが終了した20年後、買取期間が終了した後は電力会社に売電する義務がなくなるでしょう。しかし、所有者は設備が発電可能な場合は、引き続き電力を売りたいと考えている場合が多いです。

FIT制度が終了した後でも契約が自動で継続される場合は、新しい単価で買取が続きます。

自動契約を行わない場合は、発電者は新たに売電契約を締結できるでしょう。新しく契約する場合は、買取価格は以前の契約よりも低くなってしまう可能性が高いです。

太陽光発電を設置してから20年後の対策

太陽光 20年後

太陽光発電を設置してから20年後に考えられる手段を3つ紹介します。

電力会社と引き続き契約し売電する

太陽光発電を設置してから20年後に考えられる手段として、これまでと同じように電力会社と引き続き契約し、売電する方法が挙げられます。

固定買取期間が10年間の住宅用太陽光発電設備の中には、2021年時点でFIT制度終了となった設備もあるでしょう。

このような設備に関しては、電力会社は引き続き電力売電契約を結べるよう、プランを作成したり、提供したりしています。20年以降も継続した売電契約したいと考えている場合は、定期的に電力会社の対応方針を調べておく必要があるでしょう。

自家消費型へ切り替える

これまで行っていた売電をやめ、自家消費型へ切り替えるといった方法もあります。

自家消費型太陽光発電は、逆潮流という売電の回路を遮断して発電した電気を全て自家消費していく設備を行うことを指します。自家消費型太陽光発電のメリットは下記の通りです。

  • 発電した電気をすべて自社の設備に常時補給できる
  • 基本料金の抑制やBCP対策につながる

BCP対策とは、有事の際に事業活動の速やかな回復や継続を行うための対策のことです。

太陽光発電を売却する

太陽光発電を設置してから20年後に売却するといった方法もあります。太陽光発電の売却のメリットは下記の取りです。

  • 売却益を得られる
  • 維持管理費用や手間の負担から開放サれる
  • 災害時に壊れたり二次災害のリスクを気にしなくてもよい

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FIT期間終了後には太陽光の売電価格が一桁代になる?

太陽光 20年後

 

国の改正FIT法に関連した資料によると、国はFITからの独立を目指しているため、2030年には売電価格が7円程度になるように目標値が設定されています

以下の表は、住宅用太陽光発電が固定価格買取制度終了後に、引き続き大手電力会社に売電する場合の売電価格です。(2024年7月現在)

電力会社 卒FIT後売電価格(税込)
北海道電力 8円/kWh
東北電力 9円/kWh
東京電力 8.5円/kWh
中部電力 7円/kWh
北陸電力 8円/kWh
関西電力 8円/kWh
中国電力 7.15円/kWh
四国電力 7円/kWh
九州電力 7円/kWh
沖縄電力 7.7円/kWh

太陽光発電の推進は国策として推し進められているので、電力会社への売電という制度はなくならない可能性が非常に高いです。

2024年の住宅用太陽光発電のFIT価格が16円であることを考えると、かなり価格が下がっていると言えるでしょう。

産業用太陽光発電の場合でも、この7円という価格が売電の底値となることが予想されます。

7円という売電価格で利益が出るかどうかという問題ですが、現在すでに太陽光発電を始めている方は20年後の固定価格買取制度(FIT)が終了した時点で減価償却も終わっているため、利益が全く出ないという状況にはならないと考えられます。

今後Non FIT案件が増えていく見通し

今後は、Non FIT案件、つまり、FIT制度に登録しない太陽光発電設備が増えていくと考えられます。発電コストが安くなることと、脱炭素化社会の実現にRE100基準の電気がこれまで以上に求められることがその理由です。

再生可能エネルギー由来の電気は発電コストが高いため、それを補うためにFIT制度があります。

しかし、技術革新による発電効率の向上や、設備が増えることによる初期費用の低下によって、発電コストが下がってきています。

資源エネルギー庁の試算によると、2020年の事業用太陽光発電の発電コストは12.9円/kWhであるのに対し、2030年には8.2~11.8円/kWhまで安くなるとみられています。(参考:資源エネルギー庁 電気をつくるには、どんなコストがかかる?)

2020年のLNG火力発電の発電コストが10.7円/kWhですから、同等レベルです。

発電コストが下がることで、FIT制度を利用しなくても再生可能エネルギーの発電所で採算が取れるようになると考えられます。

また、FIT認定されている発電所の電気は、100%再生可能エネルギーとしては認められません。FIT認定発電所の電気が持つ環境価値は、再エネ賦課金を支払っている人に帰属するとみなされるからです。

FIT認定をされていないNon FIT発電所で発電された電気は、その環境価値が発電所に付与されるため、100%再生可能エネルギー由来と認められます。

Non FIT発電所を所有したり、Non FIT発電所由来の電気を購入することで、国際的イニシアチブ「RE100(Renewable Energy 100%)」基準を満たすことができ、日本の脱炭素社会の実現に貢献することができるでしょう。

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太陽光発電所の売却を考えているなら、FIT期間が終了する前の方が高額で売却できます。まだ売却を決めていなくても、物件の査定だけすることもできるので、まずは連絡してみましょう。

投資用太陽光発電設備の売却なら、中古太陽光発電設備の売買件数No.1のSOLSEL(ソルセル)をおすすめします。

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SOLSELでは、出力制御で売電収入が減ったり、破損したりしている太陽光発電設備でも取り扱いしています。

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FIT期間終了後、太陽光発電の土地と設備はどうなる?

土地付きの分譲太陽光発電にはメリットが多いため人気が高いです。

しかし、20年が経過し固定価格買取制度(FIT)が適用されなくなった場合には、太陽光発電システムや太陽光発電システムを設置していた土地は、どうなるのでしょうか。

土地と設備の所有者が誰であるかということに分けて、土地と設備のその後の利用方法などについて解説していきます。

土地・発電設備ともに業者所有である場合

土地と発電設備の双方が太陽光発電業者の物である場合、どちらも太陽光発電業者の所有物となります。

投資を行った方は、20年間の売電の権利のみを購入したと考えると分かりやすいでしょう。

土地と発電設備が発電業者のものである場合、固定価格買取制度(FIT)が終了した後には設備や土地をどうするかといったことについて一切考える必要がないというメリットがあります。

考えられるデメリットとしては、制度が変わり太陽光発電システムの設置から20年経過した後も買取価格が変わらず、期間が延長された場合に20年目以降の収益は全て太陽光発電業者のものになってしまうということです。

土地は自己所有、発電設備は業者所有の場合

土地は自己所有で発電設備は太陽光発電業者の場合には、土地を太陽光発電業者に貸す際の契約により、20年が経過した後の太陽光発電設備の取り扱いが異なってきます。

更地にして返還してもらうこともあれば、契約を延長して太陽光発電投資を続けることもあるでしょう。

しかし、太陽光発電業者が倒産などの理由でなくなっていた場合には、発電設備を自分で撤去しなければならないなどのトラブルが発生するため、この方法はあまりお勧めできません。

土地は業者所有、発電設備は自己所有の場合

土地は太陽光発電業者の所有で、発電設備は自己所有の場合にも、前述したように業者の倒産などによりトラブルが起こる可能性が非常に高くなります。

太陽光発電システムの設置から20年が経過した後も、十分な収益が見込めるのに適正な価格で土地を売ってもらうことができない可能性や、太陽光発電システムの撤去を求められるケースも考えられます。

こうなると、せっかくの利益が目減りしてしまいます。

土地・設備ともに自己所有の場合

土地と設備の双方がともに自己所有である場合、20太陽光発電システムの設置から20年経過した後も所有権は変わることなく、土地や太陽光発電設備を使用することができます。

メンテナンスの必要性や今後かかるランニングコストを綿密に計算しておく必要はありますが、太陽光発電システムの設置から21年以上経過した場合にも売電ができるのであれば、収益を上げることができます。

売電ができない場合でも、さまざまな方法で土地や太陽光発電設備を活用することが可能です。また、土地と太陽光発電システムの双方を売却してしまうという手段を取ることもできます。

発電所の撤去費用について

2022年7月より、10kW以上の産業用太陽光発電所では、撤去費用積立が義務化されています。FIT価格の3~4%が廃棄費用の積立分として源泉徴収的に引かれ、廃棄する場合には引き出すことができます。

発電所の撤去費用の中央値は、コンクリート基礎の場合で1.37万円/kW、スクリュー基礎の場合1.06万円/kWとなっています。基礎を撤去せずにぺネルと架台だけを廃棄する場合には、0.59万円/kWです。

つまり、コンクリート基礎の50kW太陽光発電設備の場合、予想される撤去費用は68.5万円程度です。

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太陽光発電の20年後の運用に備えて取るべき行動

太陽光発電投資をしている方は、固定価格買取制度(FIT)の適用が終了した後に、投資家としてどのように動けばよいのでしょうか。

ここでは、その方法を3つ紹介していきます。

①太陽光発電システムを撤去して別の方法で土地を活用する

固定価格買取制度(FIT)適用期間が終了した時点で、太陽光発電システムの設備を撤去し、土地を更地にして売ったり貸したりすることで利益を出すことができます。

撤去するためには太陽光パネルの破棄費用がかかり、その費用は太陽光パネル1枚当たり1,000円程度となります。さらに撤去に必要な工事費は10kWで50万円程度、20kWで100万円程度となっています。

これだけの費用をかけて更地にするのですが、太陽光発電システムを設置する土地の多くは都心部を避けた比較的土地の価格が安い場所であるため、太陽光発電設備を撤去して土地を売ったり貸したりするのは難しい可能性が高くなります。

②太陽光発電システムの設備はそのままに土地ごと売却する

太陽光発電設備の寿命は、大体30年程度と言われています。

そのため、固定価格買取制度(FIT)の適用が終了した後でも、十分に稼働し発電することが可能な状態。しかし太陽光パネルの発電効率は年々劣化していくため、太陽光発電システムの売却によって得ることができるキャピタルゲインは設備費用の20%弱になると考えておく必要があります。

それ以外にも年々拡大傾向にある太陽光パネルのリサイクル市場で、太陽光パネルを売却するという方法もあります。

③資産として所有し続ける

太陽光発電システムを固定価格買取制度(FIT)適用終了後も資産として持ち続けるということには、メリットも少なくありません。

太陽光発電システムで発電した電力を蓄電池と併用し、自分で消費するという方法を取ることで、電気代を低く抑えることができるようになります

もし電力会社による売電が20年後以降も続いていた場合には、売電の価格が下がる可能性は非常に高いですが、売電収入を得続けることも可能。

前述したように太陽光発電は国策として推し進められているため売電ができなくなるということは考えづらく、現時点においては20年経過後も所有し続けて利益を得るという投資スタイルもおすすめです。

20年後の初問題を抱えたくない人は土地付き太陽光発電がおすすめ

太陽光発電投資のを行う際に、20年後の出口戦略で頭を悩ませたくないという方も少なからずいらっしゃると思います。

そのような方にはいくつかある太陽光発電投資の方法の中でも、土地と太陽光発電システムが太陽光発電業者の所有で、その土地と設備を借りて20年間の売電の権利のみを得る投資スタイルがおすすめ

この方法が諸問題に悩まされたくな方におすすめな理由は、20年後に今まで使用してきた太陽光発電システムと土地をどうするかということを一切考える必要がないからです。

また、固定資産税がかからないというメリットもありますよ。

土地や太陽光発電システムを自己所有にするかどうか悩まれている方もいらっしゃるでしょうが、自己所有にする場合にはしっかりとした出口戦略を考えておく必要があります。

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まとめ

ここまで、太陽光発電の20年問題ともいえる固定価格買取制度(FIT)という電力の買取制度と、この固定価格買取制度(FIT)が将来どうなるのかという予測、20年後に土地と太陽光発電システムをどうするかといった出口戦略について解説してきました。

太陽光発電投資を行う際には、20年後を見据えた戦略を立てて投資を始める必要があることがお分かりいただけたと思います。

その戦略を建てる際に重要になるのが、固定価格買取制度(FIT)。

この制度の内容をしっかりと把握し、また20年経過以降に太陽光発電システムと土地をどうするかということを考えておくことが、太陽光発電投資を成功させるカギとなるでしょう。

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この記事を書いた人

ikebukuro

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