不動産投資と太陽光発電投資を比較!利回り・リスク・初期費用など含めどっちがおすすめ?
- 公開日:2025.09.10
- 更新日:2025.09.10
不動産投資と太陽光発電投資のメリット・デメリットを比較し、どちらが儲かるか検証していきます。
不動産投資の方がメジャーな投資方法であり、物件の立地や規模によって利回りは異なりますが、入居者が入れば長期間の安定収入が期待できます。
ただし、空き部屋のリスクがあったり、リフォームや修繕などの管理が必要というデメリットもあります。
太陽光発電投資は、売電価格を国が保証しているためリスクが少なく、管理の手間が少ない投資方法です。中古の太陽光発電設備なら、初期費用を抑えられるのに加え売電価格が高く、利回りも高くなります。
ただし、自然災害などで設備が故障したり、出力制御を受けたりして、売電収入が減る可能性もあります。
目次
太陽光発電投資と不動産投資はどちらが儲かる?徹底比較!

太陽光発電投資と不動産投資は、どちらも物件を購入して月々の収入を得る投資方法です。安定した利益が望める投資ですが、投資を始める際にどちらを選ぶか迷う場合もあるでしょう。
結論から言うと、太陽光発電投資はリスクが低く手間がかからないので、初心者に向いています。
不動産投資は、物件の選び方や売却方法によって太陽光発電投資よりも利回りが大きくなる可能性があります。ただし、運用するための知識やリスク管理が不可欠です。
ここからは、様々な面から太陽光発電投資と不動産投資を比較し、どちらを選ぶべきか検討してみましょう。
【表面利回りで比較】太陽光発電投資の方が高い
| 太陽光発電投資 | 10%前後 |
| 不動産投資 | 4.5~6.0% |
表面利回りとは、初期費用と収入のみを考慮した利回りのことです。比較すると、太陽光発電投資の方が高くなっています。
しかし、投資用不動産物件をみていると、表面利回りが10%を超える物件も見受けられます。ここで注意しなければならないのは、高利回りの不動産は地方の築古物件であることが多いということです。
リセールが難しい物件は、空室リスクを減らそうと物件価格を安くするため、結果として表面利回りが高くなります。
これが都内の港区の青山などの一等地になると1%を切る物件も稀にあります。
不動産投資は、空室のリスクとリセールバリューでバランスされているので、掘り出し物を見つけるのは難しいのが実情です。
収益不動産の利回りは不動産価格の変動、世帯数変化などに影響される利回りとなっています。
一方、太陽光は景気や地域によっての差が少ないので、利益に大きな地域差がでません。そのため、当然利回りに大きなブレはありません。
また、商習慣の違いとして、投資用不動産は値引きが入る事が多いようですが、太陽光発電所の場合は、値引き交渉が滅多にありません。
その分、不動産のような手数料や諸経費がほとんど発生しないのです。
関連記事:太陽光発電投資の平均利回りはどのくらい?シミュレーションと損しないための注意点
【初期費用で比較】太陽光発電投資は頭金0円からOK
ここからは、太陽光と不動産のそれぞれの必要コストについて紹介します。
- 必要な初期費用
- メンテナンス費用
- 資産価値・リセールバリュー
| 初期費用 | |
| 太陽光発電投資 | 1,500万円~ 頭金0円ローン可 |
| 不動産投資 | 1,000万円~ 頭金1~2割が必要 |
不動産投資の場合、物件の規模によって大きく幅があります。最も費用が抑えられるワンルームマンション投資の場合で、1,000万~3,000万円ほどになるでしょう。不動産ローンを組むことができますが、頭金は1~2割となるあるため、まとまった自己資金の用意が必要です。
太陽光発電投資の場合、50kW以上の物件であれば1,500万円ほどの初期費用が掛かります。ただし、頭金0円のローンが組めるので、自己資金の準備は不要です。
関連記事:太陽光発電投資がフルローン・融資を受けられる理由!銀行・信販会社・公庫で金利を比較
【維持管理費用で比較】どちらも定期的に発生
| 投資方法 | 維持管理費 | 管理項目 |
| 太陽光発電所 | 年間20万前後 | ・定期点検 ・パネル清掃 ・草刈り ・保険料 ・税金 |
| 不動産 | 物件により(※) | ・管理費(委託) ・修繕 ・リノベーション ・税金 |
維持管理費とは、収益性を保つために必要なランニングコストです。
太陽光発電所の場合、定期点検の他、パネル清掃・除草作業が必要です。また、10~20年に1度はパワコンを交換する必要があります。
資源エネルギー庁の想定値では、1kWあたり年間5,000円程度となっているため、50kWの太陽光発電設備の場合年間平均25万程度の維持管理費がかかるでしょう。(参考:資源エネルギー庁)
一方、不動産の場合、空室リスクを防いで家賃を維持するためには、リノベーションが必須です。また、マンションの管理を委託する場合は、その費用も発生します。
年間の維持管理費用は、賃料の10~20%程度と言われています。年間の収益が100万円とすると、メンテナンス費用は10万~20万円ほどです。
関連記事:太陽光発電のメンテナンスに必要な維持費用はどのくらい?
【メンテナンスで比較】太陽光発電投資は手間がかからない
太陽光発電設備の維持管理は法的に義務付けられており、定期的に年間数回の点検・清掃・除草が必要です。管理業者にすべて任せることができるので、本業を持っている方でも手間をかけずに運用できます。
不動産投資では物件や入居者の管理が必要です。物件管理では共用部の清掃や故障した箇所の修繕を行います。さらに、空き家対策のため、リフォームをする場合もあります。入居者の管理では、入居者の募集や、苦情・要望に対応しなければなりません。
不動産投資の管理も不動産管理会社に委託することができますが、太陽光発電投資よりも手間がかかるでしょう。
【リスクで比較】太陽光発電投資の方が収入が減るリスクが少ない
太陽光発電投資は、売電価格がFIT制度(固定価格買い取り制度)により20年間保証されています。発電量は天候や季節によって増減しますが、年間を通してはあまり変化することはないため、安定した収入が期待できます。
不動産投資では空き家リスクが大きなリスクですが、物件により異なります。
利便性が高い人気の物件は住人が入りやすいためリスクが小さく、安定した収入が期待できます。ただし物件価格が高価で利回りは低い傾向です。
地方の築古物件は物件価格が安く表面利回りが高いですが、人口減少による空き家リスクが懸念されます。
【保険・保証で比較】太陽光発電投資はメーカー保証がある
太陽光発電投資・不動産投資ともに、自然災害の被害や物件の損傷に火災保険で備えることができます。
ただし、太陽光発電投資ではメーカー保証も利用可能です。メーカー保証とは、太陽光パネルやパワーコンディショナーのメーカーがつけている保証で、保証期間内に不具合が発生した場合に無償で修理や交換を受けることができるサービスです。
有償で自然災害補償をつけられる場合もあり、台風や雷などの被害に備えられます。
【保険効果で比較】不動産投資は生命保険代わりになる
不動産投資は生命保険効果があります。
不動産投資では、ローンで購入する際に団体信用生命保険に加入することになります。ローン返済中に契約者が亡くなった場合、ローン残債が保険金で支払われ、相続人に支払いが完済した不動産物件が残る仕組みです。
一方、太陽光発電投資では保険効果は望めません。
【節税効果で比較】太陽光発電投資は短期での節税が可能
太陽光発電投資・不動産投資ともに、節税効果があります。
設備の購入にかかった費用や減価償却費を確定申告で申告し、所得税や法人税を節税可能です。
ただし、不動産の減価償却は、毎年同一の金額を償却する “定額法” に統一されているのに対し、太陽光発電設備では“定率法”を適用できます。定率法では短い期間で減価償却していくことができるので、短期間で高い節税効果が得られます。
関連記事:太陽光発電投資は個人・法人どっちも節税できる!税制優遇を活用した節税方法を解説
【資産価値・リセールバリューで比較】不動産投資の方が売却益が期待できる
リセールバリューとは、物件を再び売る際の価値のことです。キャピタルゲインを目的として物件を購入する場合重要になってきます。
担保価値とは、融資を受ける際に担保としてどのくらい評価されるかを表すものです。
担保価値に関しては断然不動産投資が有利でしょう。なぜなら、何が起こったとしても、今後土地がなくなることは考えられません。さらに、土地の価値が高ければ、それだけで十分な担保価値があります。
一方、太陽光発電所の土地は他の用途には使えない土地がほとんどです。基本的には土地の広い田舎の山を開拓したり農地に設置したりすることが多くなっています。
そのため、太陽光発電は設備と売電の権利が無ければ、担保価値はゼロといっても過言ではありません。
- キャピタルゲイン・・・株式・債務などの保有している資産を売却したときに得られる売買差益のこと
| 不動産投資 | 太陽光発電投資 | |
| キャピタルゲイン | 望みあり ※地域差あり |
望みなし (経年劣化のため) |
| リセールバリュー | 元がとれない物件もある | ある程度高い |
| 元が取れる期間 | 20〜25年 | 1〜2年後に売却しても、 売電収入と売却益で元が取れる |
| 資産価値 | 建物自体の価値は年々下がる しかし土地の価値は残る |
20年後はほぼ0 売電価格予想は7〜8円 |
投機的な収益が期待できるのが不動産です。
つまり、ハイリスクハイリターンの収益を期待するのであれば不動産投資、長期間のローリスクハイリターンの利益なら太陽光発電投資と考えていいでしょう。
太陽光発電投資が向いている人
太陽光発電投資は以下のような人におおすすめです。
- 初期費用を抑えたい人
- リスクを抑えて安定収入を得たい人
- 高い節税効果を得たい人
太陽光発電投資は不動産投資よりも融資が受けやすく、頭金0円のローンも組むことができます。
また、FIT制度で売電価格が保証されており、20年間は変わらない価格で売電収入が得られるため、安定した投資を探している方にもおすすめです。
太陽光発電設備は定率法で減価償却ができるため、短期間で高い節税効果が得られます。
不動産投資が向いている人
不動産投資が向いている人の特徴は以下の通りです。
- 管理・運用に手間をかけて物件の価値を高めたい人
- 市場や地域特性を調査する能力がある人
- 生命保険効果を得たい人
不動産投資では物件管理や入居者管理が必要です。しかし、物件をリフォームしたり、過ごしやすい住環境を整えたりすることで物件の価値を高め、入居者を維持することができます。
また、不動産投資で安定収入を得るためには物件選びが重要なので、市場動向や立地条件を調査できる人の方が投資が成功する可能性が高いです。
生命保険効果を得たい人には不動産投資がおすすめです。融資を受けることで団体信用生命保険に加入できます。
投資に失敗するリスクは太陽光発電投資の方が低い
| 太陽光発電所 | ・悪天候時は発電量が少なくなる ・自然災害にで修理代が発生するリスク ・設備の故障により売電収入が減少 ・出力制御を受けると売電収入源 |
| 不動産 | ・空き家になった場合、収益ゼロ ・老朽化によって家賃低下 ・物件価値の低下 ・住民トラブル |
不動産の場合は、空室になった場合収益はゼロです。近隣に大型マンションができた、過疎化が進んだなど、周辺環境の変化によって起こり得ます。
また、物件の老朽化に伴って家賃が下落したり、物件価値が下がったりするリスクや、住民トラブルのリスクがあります。
一方太陽光発電所は、悪天候時は発電量が少なくなりますが、年間で見れば想定発電量を大きく下回ることはあまりありません。
しかし、設備が故障すると発電量が下がり、売電収入も減ってしまいます。毎日の発電量監視と、定期的なメンテナンスで、故障箇所を見逃さないことが大切です。
また、出力制御(電力会社が電力系統の需給バランスを保つため売電が停止されること)を受けてしまうと、その時間は売電収入がなくなります。
どちらの投資も、自然災害によって建物や設備が破損し、修理代が発生するリスクがありますが、保険で賄うことができるでしょう。
太陽光発電投資は不動産投資より節税を期待できる
物件金額が同じ太陽光発電所と不動産を比べてみると、太陽光発電所の方が短期的には大きな額の節税効果を得る事ができます。
理由は以下の通りです。
- 減価償却の”定率法”を利用できる
- 法律上の耐用年数が短いため早く減価償却できる
- 消費税還付を利用できる
- 中小企業の税制優遇を使えば即時償却も可能
減価償却の”定率法”を利用できる
そもそも減価償却とは、設備投資の費用をその設備の使用可能期間で分割して必要経費として計上していく方法です。経費が増えると収入が減ったことになり、所得税や法人税を下げることができます。
現在、不動産の減価償却は、毎年同一の金額を償却する “定額法” に統一されています。
しかし、太陽光発電の場合は、残存価額を一定の割合で減価償却する “定率法” を使うことができます。定率法では、購入後が最も減価償却費が高く、その後少しずつ減額していきます。
つまり、太陽光発電投資なら、5年間で十分な節税効果を得た後に、売却して売却益を得ることも可能です。
| 定額法 | 定率法 | |
| 特徴 | 償却額が原則毎年同額 | 償却費は購入当初ほど多くなり、年々減少する |
| 計算式 | 取得価額×耐用年数に応じて 定められた定額法の償却率 |
未償却残高×耐用年数に応じて 定められた定率法の償却率 |
法律上の耐用年数が短いため早く減価償却できる
| 物件 | 耐用年数 | |
| 太陽光発電設備 | 17年 | |
| 不動産 | 木造 | 22年 |
| 軽量鉄骨 | 19~27年 | |
| 重量鉄骨 | 34年 | |
| 鉄筋コンクリート | 47年 | |
減価償却は物件の取得額を耐用年数で割って計算されます。つまり、同じ価格の物件を買っても、耐用年数が短い方が早く減価償却を経費にすることができるのです。
太陽光発電設備の耐用年数は17年で、不動産よりも短くなっています。そのため、太陽光発電投資の方が早く減価償却でき、節税に大きく役立ちます。
ちなみに、太陽光発電設備自体は17年で使えなくなるということはありません。パワコンの交換など適切なメンテナンスを行えば、20~30年は発電を続けることができます。
中古の太陽光発電設備を購入しても減価償却はもちろん可能です。詳しく知りたい方はこちらの記事も確認してみてくださいね。
関連記事:太陽光発電は減価償却できる!特別償却との違いや中古設備の計算方法について解説
消費税還付を利用できる
太陽光発電設備は購入時に対する消費税還付を受けられますが、不動産投資では受けられません。
消費税還付とは、支払った消費税と支払われた消費税を比べて、支払った消費税の方が多かった場合、その差額を還付してもらえる制度です。
例えば、太陽光発電設備を2,000万円で購入した場合、消費税は200万円支払います。その後売電収入で得た売電収入が200万円であれば、支払われる消費税は20万円です。
この場合、差額である180万円を消費税還付として受け取ることができます。
ただし、消費税を支払っていない免税事業者は消費税還付を受けられません。消費税還付を受けるためには、最低3年間は課税事業者になって消費税を支払う必要があります。
しかし、3年間消費税を支払ったとしても、消費税還付のメリットの方がとても大きいので問題ありません。
消費税還付についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事を確認してみてください。
関連記事:太陽光発電投資での消費税還付は知らないと損!手続きの流れや仕組みを解説
中小企業の税制優遇を使えば即時償却も可能
これは中小企業の場合になりますが、太陽光発電設備の導入で以下のような税制優遇が活用できます。
- 中小企業経営強化税制
一定の設備(太陽光発電設備を含む)に対し、即時償却または税額控除(10%)が選べる。 - グリーン投資減税
環境負荷軽減の設備を対象に、特別償却または税額控除が可能。
即時償却をすれば、その年の利益を大きく相殺することができ、大幅に法人税を節税可能です。
関連記事:太陽光発電でも使える中小企業経営強化税制で即時償却もできる!申請方法や条件を解説
まとめ
安定収入を得られる投資を探しているなら、太陽光発電投資が向いています。
太陽光発電投資は、売電価格が国のFIT制度により保証されているため、リスクの少ない投資方法です。維持管理の手間やコストは少なく、安定的な収入が期待できます。キャピタルゲインを狙った投機的な投資はできません。
一方で不動産投資は、定期的な家賃収入を得ることができ、立地や物件によってはキャピタルゲインで利益を得ることが可能です。ただし、空き家リスクや家賃下落リスクがあります。
“ローリスクローリターン” を狙うなら、中古の太陽光発電所を購入することをおすすめします。
| 不動産投資 | 太陽光投資 | |
| 利回り | 平均5%前後 | 7~10%以上多数 |
| 初期費用 | 頭金 物件価格の8~10% |
頭金0円~ 始められる |
| 収入源 | 家賃収入 | 売電収入(電力会社) |
| 支出 | 管理会社と管理組合 | 管理会社 (点検・メンテナンス) |
| リスク | ・空家リスク ・家賃下落リスク ・災害リスク ・騒音などの近隣トラブル |
自然災害リスク (保険と保証で限りなく0) |
| 保険・保証 | 災害保険 | 災害保険+メーカー保証 |
| 借入 | 銀行融資+公庫のみ | 現行融資+公庫+審判+リース |
| 保証人 | 特に無し | 国(経済産業省) |
この記事を書いた人
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