仮想発電所(VPP)の仕組みをわかりやすく言うと?メリット・デメリットや取り組みを解説

  • 太陽光発電投資
  • 公開日:2026.01.21
  • 更新日:2026.01.21
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仮想発電所(VPP)とは、点在する小規模の太陽光発電や蓄電池をネットワークでつなぎ、一つの大規模発電所と同じように利用する仕組みです。

それぞれの発電設備の発電量・蓄電量は小さくても、まとめて制御することで、電力の受給バランス調整が可能になります。

この記事では、仮想発電所(VPP)の仕組みや、さまざまなメリットと課題、日本企業の取り組みについてわかりやすく解説していきます。

仮想発電所(VPP)とは

VPPとは、バーチャルパワープラントの英語の頭文字を取った略称であり、仮想発電所のことです。

分散した小規模な発電設備や蓄電池を、ネットワークでまとめて1つの大規模発電所のように運用する仕組みのことを指します。

仮想発電所(VPP)の仕組みをわかりやすく言うと

VVP 仮想発電所

仮想発電所(VPP)は、住宅や工場などに点在している小規模太陽光発電所や蓄電池をネットワークで繋ぐことにより、一つの発電所と同じように利用する仕組みです。

一般的に、会社や家庭で私たちが使っている電気は、火力発電所を中心とした大規模発電所により発電され、変電所や送電所を通して送られる仕組みになっています。 化石燃料を使用する火力発電は、二酸化炭素の排出量が多いのが難点です。

近年では、風力発電や太陽光発電のような再生可能エネルギーを利用した発電が増えています。

しかし、再生可能エネルギーを利用した発電の多くが小規模で、気温や天候により発電できる量が変わってしまい、安定供給が難しいというデメリットがあります。

VPPが実用化すれば、ネットワークでつながれた発電リソースを1つの大規模発電所として扱い、電力の需要に合わせてバランスを取り、再生可能エネルギーを利用した電気を効率的に供給可能です。

VPP取引が広まった背景

VPP取引が広まった理由には以下のようなものがあります。

  • 「バーチャルパワープラント構築実証事業」の実施
  • 発電・蓄電設備を設置する家庭・企業の増加
  • IoTの技術革新

資源エネルギー庁では、令和2年度に「バーチャルパワープラント構築実証事業」を行い、プロジェクトに補助金を出しました。その後も、DR事業や、蓄電池設置の補助金制度で、VPP実現を促進しています。

また、太陽光発電システムや蓄電池、EVなどの創エネ・蓄エネ設備が企業や家庭に広まっているのも大きな要因の1つです。

これまで電力を消費するだけだった電力需要家が、電力を供給することもできるようになったことは、VPPの発展を後押ししています。

さらに、IoTの技術革新も不可欠です。HEMSやBEMSといったエネルギーマネジメントシステムで、家庭や企業の電力使用量を効率化することはすでに可能です。

小規模発電所をネットワークを繋ぎ、需要に合わせたVPP取引が自動コントロールできるようになれば、社会全体のエネルギー効率が最適化できるでしょう。

VPPに不可欠なデマンドレスポンス(DR)

VPP(バーチャルパワープラント)を運用するには、地域で発電された電力を効率よく使うために デマンドレスポンス(DR) が不可欠です。

デマンドレスポンスとは、電力の使い過ぎを抑制する「下げDR」や、電力が余っているときに利用を促す「上げDR」を通じて、需要と供給のバランスを調整する仕組みを指します。

例えば、太陽光発電量が増える真夏の昼間には蓄電池への充電を促進し、逆に電力供給量が不足する時間帯には節電を呼びかけるなど、需要家側の行動を調整することで電力の安定供給を支えます。

VPPのビジネスモデル

分散した再生可能エネルギーをまとめて制御できるVPPですが、利益が発生しなければ設備投資は進まず普及も実現しません。ここからは、どのようなビジネスモデルでVPPが成り立つのかを解説します。

VPPのアグリゲーターは電力・調整力の市場取引で収益を得る

アグリゲーターは、複数の小規模電源をまとめて1つの発電所として市場に参加します。

電力需要が高い時間帯ば売電価格が高くなるため、蓄電池に貯めておいた電力を市場で売電することで利益が得られます。

また、電力供給のバランスを保つために電力の調整力を、需給調整市場に提供したり、実際に制御(電力を放出・抑制)したりすることで、報酬を得ることも可能です。

DRに協力した需要家にはインセンティブが提供される

需要家(家庭や会社など)は、アグリゲーターのDRの要請にこたえることで利益が得られます。

DRには以下の2つの方式があります。

  • 電気料金型DR
    電気料金を時間帯や需給状況によって変動させる方式。電力需要が多い時間帯の料金を高く、需要が少ない時間帯の料金を安く設定することで、自然に利用者が電力を分散して使うようになります。

  • インセンティブ型DR
    需要家が電力会社やアグリゲーターの要請に応じて節電・需要シフトに協力すると、その成果に応じて報酬(インセンティブ)が支払われる方式です。

このようにDRは、利用者にとっても経済的メリットがあり、同時に再生可能エネルギーを最大限に活用しながら、社会全体の電力安定化にもつながる仕組みです。

VPPの「ネガワット取引」で利益を得る

VVP 仮想発電所

出典:資源エネルギー庁

「ネガワット取引」とは、インセンティブ型の下げDRのことです。需要家は、電気のピーク需要が予想される時間帯に節電を実施し、アグリケーターを通して電力会社から報酬をもらえます。

仮想発電所(VPP)のメリット

仮想発電所のメリットは、以下3つです。

  • 電力需要と供給バランスを最適化できる
  • 再生可能エネルギーの普及拡大が見込める
  • 電力需要の格差の解消が見込める

電力需要と供給バランスを最適化できる

仮想発電所を導入すれば、電力需要と供給バランスを最適化できます。

従来のように需要と供給のバランス調整を大規模の発電施設に依存してしまっている場合、広い範囲で需要と供給のバランス調整をしなければならなりません。

また、需要が急激に高まった際に備えて余分に発電設備の用意が必要となり、大きくコストがかかります。

しかし、VPPを導入することで、一つ一つが小さな規模の発電設備になるため、設備コストを抑えられ、電力を集めて供給が可能なため、需要と供給のバランス調整ができるようになります。

再生可能エネルギーの普及拡大が見込める

仮想発電所は、再生可能エネルギーの普及拡大を促進します。

太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーは、天候や風のような自然環境の状況次第で発電できる量が変わってしまうという点が課題です。

VPPが普及すれば、発電量が足りない時間帯は他の電源で補い、逆に需要を上回る場合は蓄電池に貯めておくといった制御ができ、再生可能エネルギー由来の電力を有効に利用できます。

その結果、将来を考えた上で多量の再生可能エネルギーの普及拡大できる期待が高いです。

電力需要の格差の解消が見込める

仮想発電所の導入により、電力需要の格差の解消も期待できます。

電気需要は変化し続けているため、気温が急に上昇した場合や、下降する夏季や冬季では、需要が急激に増える場合があります。

このような電気需要の急増があると予想される場合では、通常であれば供給を増やすと同時に、需要を抑える対応が不可欠です。

仮に電気の需要と供給のバランスが崩れてしまった場合には、大停電のような最悪の事態に繋がってしまう可能性があります。

電気を安定的に供給するために、需要と供給のバランスを保つことが重要です。

そこでVPPを使って分散型のエネルギーを抑え、需要と供給のバランスを保つことに役立つことに期待が集まっています。

具体的には、需要家における自家発電設備を利用したり、蓄電池・EVから放電させたり、それ以外であれば空調や照明などの需要設備の利用を削減することも効果的な対策です。

仮想発電所(VPP)のデメリット・問題点

VPP事業を成立させるためには、以下のような課題を解決する必要があります。

  • VPP事業者やリソース提供者の収入源の確保
  • ICT×IoT、AIの自動制御導入にコストが必要
  • 逆潮流に関する制度など未整備のものがある

VPP事業者やリソース提供者の収入源の確保

VPP構築のためには、アグリゲーターなどのVPP事業者が利益を得られる市場を整える必要があります。

利益が得られる見通しがなければ、参入する企業が出ず、VPP事業の普及促進が進みません。

2024年度は、需給調整市場の全商品が揃い、容量市場の実効初年度となっているので、より多くのインセンティブが得られると期待されています。

ICT×IoT、AIの自動制御導入にコストが必要

VPPは小規模リソース(発電所)を統合制御する必要がありますが、制御システムの導入や運用にはコストが発生します。

効率的に運用するためには、ICTやIoTを活用したリモート制御や、AIの自動制御が必要ですが、高度な技術を駆使した設備を導入するには高額な初期コストがかかります。

リソースの数が増えるほど、より精密なコントロールが必要になり、運用コストがさらに増加する可能性が高いです。

逆潮流に関する制度など未整備のものがある

VPPに利用する小規模発電所から逆潮流が発生してしまうと、電力系統全体に影響が及び、最悪の場合大規模停電に繋がる恐れがあります。

しかし、制度がまだ未整備な部分もあるため、VPP事業の普及の妨げとなっています。

仮想発電所(VPP)に関する日本企業の取り組み(課題)

仮想発電所(VPP)に関する日本企業の取り組みを4つ紹介します。

東京電力

VVP 仮想発電所

東京電力では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入する企業や個人が急激に増えた結果、電力が余ったり、周波数を調整する力が不足したり、系統電圧が上がったりといった、さまざまな課題があります。このような課題を解決するための手段として、VPPの社会での実装に向け協力事業者と共に取り組んでいます。

21年度に開設した需給調整市場の三次調整力②への取引参入を実現しています。

今後も、引き続き一次調整力などの需給調整市場での他メニュー、容量市場の取引に参入することを目指し、取り組んでいく見込みです。

外部サイト:東京電力|東京電力グループサイト

東北電力

仮想発電所

東北電力のVPP事業では、企業や自治体、一般家庭の顧客が持っている発電設備や蓄電池だけでなく、電気自動車などに対して、VPPでのエネルギーリソースを集約・遠隔制御して電力における需要と供給のバランスを調整する機能として利用するための検討が、多くの実証を通じ進められています。 

また、持続可能な社会を実現するため、再生可能エネルギーにおける発電比率を上げることにも力を入れています。

再生可能エネルギーが持っている天候や風などの自然環境に左右されやすいという課題に関しても、東北電力のVPPを通じて補え、クリーンエネルギーの活用を促進できる考えです。

東北電力では、VPP事業を通じ、従来と同じように地域社会における生活・事業を継続するため、電力を安定的に供給することと、環境を保全することの両面からサポートすることで、地域社会の発展に貢献するため取り組みが進められています。

外部サイト:東北電力

京セラ

VVP 仮想発電所

京セラの先進の技術研究所で開発されたVPPシステムでは、家庭で使う電力、および太陽光発電での電力をAIで予測できます。

系統での電気が足りない場合、または余っている場合に、高い精度で電気を抑え、電力会社から購入する電力の量を調整できる蓄電池制御が可能です。

この際、FIT契約をしている家庭や、すでに契約が終わっている家庭でも、顧客に適した計画を立案してもらえます。

また、一人ひとりの顧客に適した遠隔制御が可能なことも、京セラのVPPシステムのメリットです。

現在の一般的なVPPシステムでは、電力の予測に誤差が発生した場合、高い精度で制御できないことや、系統の電気が足りない場合に、調整できる電力の量が減ってしまうリスクが高いです。

しかし、京セラのVPPシステムでは、このような誤差による影響を可能な限り減らせるような運転計画を立案するアルゴリズムがあります。

外部サイト:京セラ

株式会社VPPJapan

VVP 仮想発電所

株式会社VPP Japanは、2017年に設立したオフグリッド電力会社で、VPP事業に特化したサービスを提供してきました。

2019年では、国内で最大級ともいえる太陽光発電での電力供給事業を実施するほど、規模が拡大されています。

VPP Japanは、環境に優しい再生可能エネルギーをさらに拡大することだけでなく、以下のようなビジョンを持っています。

【環境に優しいエネルギーの拡大】

工場や商業施設などに設置された太陽光発電を活用し、日照時間に影響されない安定したエネルギー供給の実現を目指しています。

【電気自動車の普及】

太陽光発電システムを利用することで、商業施設に訪れた人が使う電気自動車の充電を実施することや、宅配で使う車両を電気自動車に移行することを促進させるようです。

【余った電力の分配】

発電した量と施設内で使う電力量を調整し、余った電力が分配できるような仕組みの構築を目指しています。

外部サイト:株式会社VPPJapan

仮想発電所(VPP)についてよくある質問

仮想発電所について考えるときに、気になる点について解説します。

仮想発電所(VPP)は東京に導入されている?

VPP(仮想発電所)はすでに東京都内でも導入・実証が進んでいます。

例えば東京都は、「都有施設におけるVPPの構築事業」として、2024年11月にエネルギーマネジメントシステムの運用を開始しています。

都営アパートや都立病院・都立学校などの施設が対象となっており、屋根上の太陽光発電パネルで発電された電力を需要に合わせて最適に使い切れるよう、エネルギーマネジメントシステムでコントロールします。

民間企業でもVPPの実用化が進んでおり、今後は災害時のレジリエンス強化や系統負荷の平準化にも活用が期待されています。

仮想発電所(VPP)とスマートグリッドの違いは?

スマートグリッドは、ICT(情報通信技術)を活用することで、需給を最適に制御できる電力供給網のことを指します。

対してVPPは、地域の太陽光発電や蓄電池・電気自動車などを1つの「発電所」のようにみなし、スマートグリッドを利用して電力需給を運用する仕組みです。

つまり、VPPの実現にはスマートグリッドの構築が不可欠と言えます。

Tesla(テスラ)の VPP仮想発電所とは?

テスラのVPP(仮想発電所)とは、家庭や企業に設置されたテスラ製蓄電池をネットワークでつなぎ、ひとつの大規模発電所のように機能させる仕組みのことです。

参加するには対象地域でPowerwall(テスラ社が提供する家庭用蓄電池システム)を所有していることが前提で、テスラアプリから申し込みする必要があります。

参加すると電力系統の需給調整に貢献できるだけでなく、電力コスト削減や収入源の確保といった報酬を得ることが可能です。

他にも、災害時の電力供給安定化といったメリットが見込めます。

出典:TESLA

まとめ

VPPとは、バーチャルパワープラントの英語の頭文字を取った略称であり、仮想発電所のことです。

VPPのメリットには、電力需要と供給バランスを最適化できることや、再生可能エネルギーの普及拡大が見込めることがあります。

さまざまなメリットがある仮想発電所は、日本でも多くの企業が取り組んでおり、さまざまな課題解決に向け今も取り組みが続けられています。

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この記事を書いた人

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