ピークカット・ピークシフトとは?太陽光発電や蓄電池との重要な関係と過積載について
- 公開日:2024.11.18
- 更新日:2024.11.18
太陽光発電システム関連でよく聞かれる「ピークカット」と「ピークシフト」について詳しく解説します。
太陽光発電におけるピークカットとは、パワコンの容量を超えて発電された電力が、変換できずにカットされてしまうことです。
またピークシフトとは、電気の使用量のピーク時間をずらすことを指します。
過積載のメリット・デメリットについても解説していきますので、太陽光発電事業を検討している方はぜひチェックしてください。
目次
太陽光発電におけるピークカット・ピークシフトとは
太陽光発電投資の場合、太陽光発電のピークカットは発生しないようにしなければならないと思うかもしれません。
しかし、太陽光パネルをパワコン容量より多く設置する「過積載」を行うことで、意図的にピークカットを起こしている場合もあるのです。
太陽光発電投資を行う際に用いられるピークカットという言葉には、太陽光発電におけるピークカットが重要になってきます。
まずは、太陽光発電におけるピークカットと、ピークシフトの意味について知っておきましょう。
太陽光発電におけるピークカットとは
太陽光発電を行う上で、ピークカットという言葉は発電量に対して使う言葉です。
具体的には、太陽光発電システムが発電する電力量がピークになるときに、パワーコンディショナーの出力に合わせて発電量を削減(カット)することを指します。
パワーコンディショナー(パワコン)は、太陽光発電システムを利用して発電した直流の電力を交流の電力に変換して、家庭内などに供給する変換装置です。
しかし、このパワーコンディショナーは出力量が決まっているため、発電した電力がパワーコンディショナ―の出力量を超える場合に、この超過した電力はピークカットによりカットされてしまうのです。
このように、いわば発電した電力が捨てられてしまうという形になってしまうことを太陽光発電におけるピークカットと言います。
太陽光発電におけるピークシフトとは
電力使用量のピークを、使用量が少ない時間にずらすことをピークシフトと呼びます。
工場やオフィス、一般家庭などで消費する電力量は、昼間に多く深夜に少ないのが一般的です。
そこで、使用する電力量が多い時間帯に消費する電力量を減らし、代わりに電力使用量の少ない夜間や深夜に電力を消費するようにします。
ピークシフトの方法には以下のようなものがあります。
- エコキュートなどの夜間蓄熱機器を利用する
- 蓄電池に夜間電力で充電し、昼間に利用する
- 太陽光発電した電力を自家消費する
- 工場やオフィスの稼働時間を夜間や休日に移動する
ピークシフトを行うと、電気料金を削減できるのに加え、需要ピーク時の火力発電所の稼働を減らすことできるため、温室効果ガス削減にも繋がります。
ピークカットによる損失リスクを減らすための過積載
太陽光発電を行う際には「過積載」をするケースが非常に多くなっています。
過積載とは、太陽光発電の容量がパワーコンディショナ―の容量より大きくなるような設計で設置することを言います。
この過積載を行うことで、ピークカットにより捨てられてしまう電力が増えるため損をするのではないかと思うかもしれません。
太陽光発電は日の出から日の入りまでの時間に太陽光を利用して発電を行いますが、日照量が多すぎてピークカットにより過剰な電力を発電する時間は1日のうち2時間から3時間程度であると言われています。
そのため、過積載を行うことにより発電量を多くしておくことで、パワーコンディショナの出力を100パーセントかそれに近い状態で発揮することができるようになり、太陽光発電全体の発電量を底上げすることができるようになります。
また、過積載を行うと曇りの日など日照量が少ない日であっても、過積載を行わない状態よりも多くの電力を発電できるようになります。
このように過積載を行うことによって、ピークカットにより捨てられてしまう電力が多くなりますが、それを補って余りある電力を発電し売却できるようになります。
これにより、ピークカットによる損失リスクを抑えることができます。
太陽光パネルで過積載をするメリットと注意点
太陽光発電を行うにあたって過積載を行う場合には、メリットとデメリットがあります。
メリット
- 全体の発電量が増える
- 日照量が少ない日でも多く発電できる
- 50kW以上のパネル出力でも低圧で契約できる
過積載には、前述したようにピークカットにより捨てられてしまう電力を補うほどの電力を発電したり、曇りの日など日照量が少ない日でも多くの電力を発電できたりということ以外にも、メリットがあります!
晴れの日であっても日照量が少ない朝や夕方の時間帯でも、発電量を上げることができパワーコンディショナの稼働時間が長くなるため、費用負担を分散させることが可能です。
それ以外には産業用太陽光発電を行っている場合に、低電圧の範囲内であれば発電量を増やすことができます。
電力には「低圧電力」と「高圧電力」の2種類があり、高圧電力の契約が必要となるのは50kW以上の大口利用者です。
そのため、80kWの太陽光発電パネルを50kW未満のパワーコンディショナに接続すると、50kW未満の低圧電力のまま売電による収入を増やすことが可能となります。
また、過積載には初期費用を低く抑えることができるというメリットもあるんです!
過積載を行う際に後から増設するものはパネルのみなので、太陽光発電システムを設置する際の初期費用は、最初から大容量の太陽光発電システムの設置を行うよりも初期費用を低く抑えることができますよ。
デメリット
- パワコンのメーカー保証外になることがある(メーカーによる)
過積載はメリットだらけのように思われる方もいらっしゃると思いますが、デメリットもあります。
デメリットは、パワーコンディショナの容量を超過したパネルを設置した場合、パワーコンディショナのメーカー保証が付かなくなる可能性があるということです。
最近ではパワーコンディショナ―に20年もの長期に渡るメーカー保証が付いていることも珍しくありません。ですが、その期間内にパワーコンデショナが故障してしまう可能性は十分にあり得るでしょう。
そのような場合にメーカー保証が付かずに修理ができず太陽光による発電ができなくなったり、修理費用を支払わなければならなかったりすると、収益を得るどころか収支はマイナスになってしまうことも考えられます。
しかし、条件付きで過積載をした場合でもメーカー保証をつけているメーカーもあるようです。
その条件とは、入力電流と入力電圧の条件を満たしていることであったり、過積載の上限を定めていたりといったこと。
太陽光発電を行う際に過積載を行うことを想定している場合には、過積載に対するメーカー保証がついているメーカーのパワーコンディショナを選ぶことをおすすめします。
過積載率の計算方法
過積載率とは、パワーコンディショナの容量と太陽光パネル容量の比をパーセントで表したものです。
その計算式は、過積載率=太陽光パネル容量÷パワーコンディショナ容量となります。
そのため、容量が49.5kWのパワーコンディショナに対して、容量が54.5kWの太陽光パネルを設置した際には、54.5kW ÷ 49.5kW=1.101010…となり、これをパーセントで表した110%が過積載率となるのです。
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ピークカット・ピークシフトで節電できる仕組み
節電におけるピークカットは、太陽光発電でいうピークカットとは違う意味で使われます。ピークシフトの役割と合わせて解説していきます。
節電におけるピークカット
節電におけるピークカットとは、言葉の通り「使用する電力量がピークになるの時間帯の使用電力量をカットすること」です。
具体的な節電によるピークカットを行う方法は、使用する電力量がもっとも多い時間帯にエアコンの設定温度を調節したり、使っていない部屋の照明をこまめに消したりして、使用する電力量を低く抑えます。
このような方法でピークカットを行うことにより、電力の需要の大幅な差を均等化することが可能です。
節電におけるピークカットを行い最大電力需要を低くすることで、電気料金のうちの基本料金を低く抑えることができる以外にも、節電につながり継続的に電気料金を低く抑えることができるというメリットがあります。
節電におけるピークシフトの役割
ピークシフトを行うことで、電気代が削減できる理由は以下の通りです。
- 単価の高い昼間の使用電力量が減らせる
- 単価の安い夜間電力を活用できる
- 最大使用電力量を抑え基本料金を下げられる
電力会社の料金設定は、電力需要が多い夏の昼間や冬の朝夕などは高く設定され、需要の少ない夜間には安く設定される傾向です。
夜間電力が安い電気料金プランを契約すれば、ピークシフトを行うことで、電気料金を下げることができます。
また、高圧の電気契約の場合、直近12ヶ月での最大使用電力量によって基本料金が決まります。つまり、一度に多く電力を使えば使うほど、基本料金が高くなってしまうのです。
ピークシフトを行って最大使用電力量を下げられれば、毎月支払う基本料金が安くなり、電気代が削減できます。
太陽光発電におけるピークカットに関するよくある質問
太陽光発電のピークカットについて考える時、疑問を持つ方が多い点についてまとめました。
太陽光発電のピーク時は?
太陽光発電の発電量が一番多くなる時間は、晴れの日の正午です。1年の中では、4~5月が最も発電量が多くなります。
過積載を行うと、4~5月の正午前後では太陽光発電のピークカットが発生しますが、他の季節や天候が悪い時の発電量が増えるので、メリットが大きいでしょう。
太陽光発電の過積載率は?
過積載の割合は通常120%程度です。しかし、積載率が150~200%程度のスーパー過積載と呼ばれるタイプのものもあります。
積載率が150%のスーパー過積載では、積載率100%のものと比較して、年間発電量が25%程度増加すると期待できます。
エアコンのピークカットの意味とは?
エアコンのピークカットとは、節電におけるピークカットの1つです。エアコンの設定温度を下げたり、太陽光発電システム由来の電力を使用したりして、ピーク時の使用量を減らすことを指します。
一般的にエアコンが最も稼働するのは、真夏の昼間です。ピークカットすることによって、電気代を安くしたり、環境負荷を抑えたりすることができます。
まとめ
ピークカットやピークシフト、過積載という言葉の意味についての解説や、過積載のメリットとデメリットについて解説してきました。
過積載はメリットが多い太陽光発電手法の一種ですが、デメリットについてもしっかりと把握して過積載を行うかどうか決めるようにしましょう。
この記事を書いた人
ikebukuro