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サーキュラーエコノミーとは?リサイクルとの違いや3原則を簡単に説明

産業革命以降の「大量消費・大量廃棄」社会は、資源の枯渇と地球環境の悪化を招いていることは多くの方も存じているのではないでしょうか。

そうした現状において、「サーキュラーエコノミー」と呼ばれる循環型経済システムの必要性が高まっています。

国内外のサーキュラーエコノミーの取り組み事例もご紹介します。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは

サーキュラーエコノミーとは循環型経済システムのことです。

従来の大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした経済ではなく、廃棄物をなくして資源を循環させるといった社会的な仕組みです。

サーキュラーエコノミーの言葉が普及し始めたのは、2015年の欧州委員会が採択した「サーキュラーエコノミー・パッケージ」から由来しています。

この政策は、サーキュラーエコノミーを実現させる計画であり、環境問題への新たな雇用とビジネスの創出が目的です。

サーキュラーエコノミーとリニアエコノミーの違い

リニアエコノミー サーキュラーエコノミー
原材料 資源消費 廃棄物からリサイクル
資源投入量抑える
製品 大量生産
大量消費
消費量を抑える
使用後 廃棄する リサイクル

サーキュラーエコノミー(循環型経済)は、リニアエコノミー(直線型経済)とよく比較されます。

リニアエコノミー(直線型経済)とは、産業革命以降、促進された「大量生産・大量廃棄」の経済システムです。

このリニアエコノミーは、製品が購入され、その製品が再資源化されずに廃棄される一方通行型の経済システムをいいます。

リニアエコノミーによる「大量生産・大量廃棄」のシステムは、環境破壊や資源の枯渇に繋がっていることが歴史で証明されており、大きな問題となっています。

一方のサーキュラーエコノミーは、天然資源から生産された製品を、廃棄することなく再加工・再資源化し、再び循環していく経済システムです。

サーキュラーエコノミーの種類

サーキュラーエコノミーには「技術的サイクル」と「生物学的サイクル」の2つがあります。

技術的サイクル 生物学的サイクル
資源 枯渇性資源 自然資源
製品 自動車・化学物質
プラスチックなど
木材・綿
食品など
方法 製品の修理・再製造
素材の循環
素材の再利用
微生物による分解
肥料として利用

技術的サイクルは、製品の修理、再製造、リサイクルによる製品や素材の循環が目的とされ、生物学的サイクルは、材料を地球に返還し、自然を再構築していくものです。

この2つによる循環は「バタフライ・ダイアグラム」と呼ばれています。

また、サーキュラーエコノミーはSDGsの12番目の目標「つくる責任、つかう責任」に該当し、ESG投資として企業のブランド価値の形成にも関連しています

サーキュラーエコノミーの3原則

2010年にイギリスで設立された「エレン・マッカーサー財団」は「サーキュラーエコノミー3原則」を掲げています。

「サーキュラーエコノミーの3原則」とは以下のとおりです。

  1. 「Elimiinate(排除する)」廃棄物や汚染をなくす
  2. 「Circulate(循環する)」製品や原材料を循環させる
  3. 「Regenerate(再生する)」自然を再生する

サーキュラーエコノミーはこの3つの原則を以って地球環境に貢献しようとしています。

サーキュラーエコノミーが必要とされている理由

資源の量は限られていますが、人口は増え続けているのが現代と未来の大きな問題です。

サーキュラーエコノミーはこのような環境負荷を抑えることに繋がるため、その必要性が高まっています。

そしてもう1つの理由としては、環境負荷の軽減に加え、経済成長も目的としているところです。

現在のリニアエコノミーは持続可能な経済モデルではないことが明らかになっています。

2050年の世界人口は98億人になるとされ、2060年には世界全体の資源利用量は2倍に増加すると言われています。

人口も増えて、より豊かな社会が実現すれば、当然その社会を維持するために必要な資源の量は増加することになります。

これまでの大量生産・大量廃棄の経済システムでは、地球環境を破壊してしまい兼ねません

これらの状況を解決し、人類がさらなる繁栄をしていくためにサーキュラーエコノミーが注目されているわけです。

サーキュラーエコノミーは資源の最小化ができ、尚且つ投入した資源を使い尽くすことも可能なビジネスモデルのため、投資コストの低減にも繋がります。

サーキュラーエコノミーと3Rとの違い

サーキュラーエコノミーと「3R」の大きな違いは「廃棄物」が出るかどうか?です。

日本の環境政策に「3R(スリーアール)」と呼ばれるものがありますが、「3R」とは以下の3つをいいます。

  • 「Reduce(リデュース)」抑制:無駄にゴミを出さない
  • 「Reuse(リユース)」再利用:何度も繰り返し使用する
  • 「Recycle(リサイクル)」再生:ゴミをリサイクルする

これらの頭文字を取って「3R」と名付けられました。

3Rは資源の再利用を目的としていますが、資源は最終的には廃棄される一方、サーキュラーエコノミーには「廃棄物」という概念がそもそもありません

サーキュラーエコノミーはいかに廃棄物を出さずに資源を調達して、資源の回収・再利用を前提とするものです。

リサイクルとの違い

「リサイクル・エコノミー」という日本が進めてきた取り組みがあります。

リサイクルとサーキュラーエコノミーの大きな違いは、これも同様に「廃棄物」が出るかどうかです。

サーキュラーエコノミーには「完全に循環させる」という目的があり、廃棄物が出ないことを目標に掲げています。

リサイクルのさらに一歩先に進んだ循環化社会を目指すものです。

サーキュラーエコノミーのメリット

サーキュラーエコノミーを実現するメリットを3つ解説します。

  1. 限りある資源を節約できる
  2. 脱炭素化を図ることができる
  3. 新商品を作る際のコスト削減に繋がる

限りある資源を節約できる

サーキュラーエコノミーは資源の節約にも繋がります

サーキュラーエコノミーは、資源を繰り返し使うことが前提となるため、商品を製造するために新たに資源を購入する必要がありません。

再生可能な原材料を使うことで、限りある資源を節約できるためです。

サーキュラーエコノミーによる再利用・リサイクルの促進は、新たな資源の使用を抑えることができるため、結果として資源の節約に繋がります。

脱炭素化を図ることができる

脱炭素化」とは、CO2排出量削減「実質ゼロ」を目指す国際的な取り組みです。

サーキュラーエコノミーは廃棄物を出さないことを目的としていますが、廃棄物を燃やす際の温室効果ガスを削減し「脱炭素化」を図ることができます。

これまではゴミを燃やすと、それに使われている化石燃料から温室効果ガスが排出され、地球温暖化が深刻化してしまった歴史があります。

しかしサーキュラーエコノミーが促進されることで、製品の製造過程で必要なエネルギーや原材料を削減できるため、CO2排出量の削減が可能です。

また、リサイクルされた原材料を使うことで、製品を製造する際のCO2排出量が削減できるというメリットもあります。

新商品を作る際のコスト削減に繋がる

また、サーキュラーエコノミーを促進することで新製品を作る際のコストを下げることも可能です。

製品や製造過程を見直し、廃棄を前提としないシステムを導入することで、廃棄にかかるコストを削減できます。

また資源の無駄をなくすために、デジタル技術を導入するなどして全体のコストを減らすことも可能です。

また製品の耐用性を高めることで、新製品を作る際のコストを削減できます。

サーキュラーエコノミーの課題・デメリット

サーキュラーエコノミー実現に向けての課題やデメリットは以下のようになります。

  1. 質に関しての指標が設けられていない
  2. 耐久性とリサイクルしやすさの問題
  3. 他社との協力が必要不可欠

質に関しての指標が設けられていない

サーキュラーエコノミーには製品の「質」の指標が設けられていないという課題があります。

衣服で言えば、利用者が「着たい」と思うかは大切ですが、製品の「質」という意味で、利用者の期待に応えることができるか?は問題です。

製品もそもそも需要が無ければ、循環型経済が機能しないという側面があります。

そのため、循環性を意識するだけでなく、利用者が「欲しい」「着たい」と思えるようなサーキュラーエコノミーによる製品の「質」が求められているのです。

具体的には製品の質に関しての指標を設けることなどが求められています。

耐久性とリサイクルしやすさの問題

サーキュラーエコノミーにより、リサイクルの難易度が上がってしまうのは欠点です。

例えば、衣服の耐久性を高めるために、異なる素材を接着・混合させることがありますが、この場合は、リサイクルの難易度が上がってしまいます。

サーキュラーエコノミーにおけるデザインは、他の要素も検討して進める必要性が出てきます。

他社との協力が必要不可欠

サーキュラーエコノミーは対応範囲が非常に広いため、全ての作業を自社で行うのは難しく、他社との協力が不可欠となります。

他社と協力と言っても、ゼロからビジネスパートナーとのネットワークを築くのは時間や労力を必要とします。

「協業先を見つけられない」というのは、多くの企業がつまずきやすいところです。

サーキュラーエコノミーの取り組み事例

ここでは、サーキュラーエコノミーの国内外の取り組み事例を紹介していきます。

海外の取り組み事例

日本に比べ、欧米はサーキュラーエコノミーに先進的な取り組みを見せています。

まずは海外の事例から紹介します。

PHILIPS(オランダ)

オランダはヨーロッパの中でも特に注目を浴びているサーキュラーエコノミー先進国です。

アムステルダムに本社を構えるフィリップスは、1971年に環境に特化した部門を設立して以来、サーキュラーエコノミーの先進的な取り組みを続けています。

そんなフィリップスが目指しているのは、「世界の健康と幸福を改善する」という理念のもと2030年までに25億人の寿命を改善することです。

フィリップスはサーキュラーエコノミーの取り組みとして、2025年までに以下の目標を掲げています。

  • 循環型製品から収益の25%を生み出す
  • 専門医療機器の下取りを提供し、再利用のルートを確立する
  • 循環資源の活用により、埋立地へ送る廃棄物をゼロにする

またフィリップスは、オフィスビルの照明をLEDに交換し、それまで使ってきた電球を有害ゴミとして廃棄することのないようにもしています。

LEDはCO2排出量の削減にもなるため、企業イメージ向上も期待できます。

参考:PHILIPS

Loopプロジェクト(アメリカ)

Loopプロジェクトは、米国のソーシャル・エンタープライズテラサイクルが、発表したショッピングプラットフォームです。

これまで使い捨てられていた食品容器や食品パッケージを、繰り返し利用可能なものに変え、消費者から回収して再利用しています。

2021年には日本でも、味の素やイオン、サントリーなどの大企業が「日本版Loop」として始動しています。

Loopは、「捨てるという概念を捨てる」という理念のもとに生まれたプロジェクトです。

配送にはリユース式のトートバッグを使用するため、ダンボールなどの梱包資材が発生しません。

Loopが広く浸透すれば、循環型経済への意識が深まる契機となることが期待されており、世界的な注目が集まっています。

参考:TERRACYCLE

国内の取り組み事例

国内の取り組み事例は、ミツカングループと「ユニクロ」を傘下に持つファーストリテイリングです。

ミツカングループ

愛知県の食品メーカー・ミツカングループは、食品ロスを削減する「ZENB(ゼンブ)」というブランドを立ち上げました。

ZENBは市場に出回らなかったものの、売れ残り野菜を使った野菜スティックバーを開発しました。

また、人間の食文化は自然環境に大きな負荷をかけてしまったため、ZENBは今後の地球環境を考慮して、以下の取り組みを始めています。

  • 素材を使い切る製法の開発
  • パッケージに使うプラスチックの削減
  • 使用済みペットボトルの再利用

また、ミツカンは京都市とパートナーシップを結び、余ってしまったり、食べられるのに捨ててしまったりすることがないよう食品ロス削減に繋がる活動をしています

参考:ミツカン

ファーストリテイリング

「サーキュラーエコノミーを実現していきたい」

ファーストリテイリングの柳井康治氏は、2022年11月にこう発言しました。

衣料品店「ユニクロ」を傘下に持っている同社は、リサイクル素材を使った商品を増やしています。

温室効果ガス排出量の少ない素材は、22年では全体の約5%。これを30年には50%に引き上げる狙いがあります。

また、リペア(補修)やリメイク(お直し)といったサービスも開始しており、将来は顧客が着なくなった服を引き取って再販売することも視野に入れているのだそうです。

ファーストリテイリングは、サステナビリティ(持続可能性)を新たな武器に、さらなる海外事業の拡大を目指しています。

参考:ユニクロ

サーキュラーエコノミーに関するよくある質問

サーキュラーエコノミーについて疑問に思う方が多い点についてまとめました。

サーキュラーエコノミーとアップサイクルの違いは?

アップサイクルは、サーキュラーエコノミーの一部と言えます。

アップサイクルとは、廃棄されるはずだった製品に、デザインやアイデアといった付加価値を付けることで、新しい製品としてアップグレードして生まれ変わらせることです。

アップサイクルを増やすことで廃棄物を出さずに原料とすることができ、サーキュラーエコノミーにつなげることができます。

サーキュラーエコノミーでは何が優先される?

サーキュラーエコノミーでは、製品の価値を保ったまま循環を続けることが優先されます。

例えばのタンスの場合、タンスとして修理して利用することが最優先です。その後、アップサイクルして家具に作り直すなど、素材を再利用します。最後に、微生物に分解させ、肥料として利用します。

サーキュラーエコノミーに関する政府目標は?

日本政府は2030年までに、サーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模を、現在の約50兆円から80兆円以上とする目標を掲げています。

そのためには、プラスチックの回収量倍増・食品ロス400万トン以下、金属リサイクル原料処理量倍増などの実現が必要です。

そして2050年にはサーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルの達成を目指しています。

参考:環境省

まとめ

サーキュラーエコノミーは、廃棄物をなくして資源を循環させる経済システムです。

人口が増え続ける未来に、サーキュラーエコノミーのような環境負荷を抑える仕組みは必要になります。

サーキュラーエコノミーを促進するメリットは、脱炭素化を進められると同時に資源も節約できることです。

また取り組みが広域にわたるため、自社の努力だけでなく他社と協力していく姿勢も必要です。

サーキュラーエコノミーの実現に向けて、取り組んでいきましょう。

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