ネットゼロとは?カーボンニュートラルとの違いや企業の取り組みを解説

  • 再生可能エネルギー
  • 公開日:2025.12.19
  • 更新日:2025.12.19
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ネットゼロとは、経済産業省が推進する「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」というカーボンニュートラルの取り組みと同じく、今、世界的に注目されている言葉です。

環境や地球温暖化への対策が大きく取り上げられる一方で、色々な言葉やコンセプトが出てきて混乱している人も多いのではないでしょうか。

この記事では、ネットゼロとは?・メリット・カーボンニュートラルとの違いや具体的な企業の取り組みなどについて分かりやすく解説していきます。

ネットゼロについて知りたい方は、是非この記事を参考にしてみてください!

ネットゼロとは?

ネットゼロとは

ネットゼロとは、温室効果ガスの排出量をネット(正味)でゼロにする取り組みのことです。温室効果ガスの排出自体をゼロにすることはできませんが、温室効果ガスの除去や吸収の仕組みを導入することで、最終的に自然界に残る温室効果ガスをゼロにしよう、という考え方です。

ネットゼロが注目される背景

2015年にパリで開催された「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)」で、温室効果ガスの削減と温暖化の軽減の為の取り決めがなされました。いわゆるパリ協定です。

パリ協定の中では、長期目標として「21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる」ことが掲げられ、ネットゼロの考え方が世界的に注目を浴びるようになりました

その後、2020年には国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が「世界環境デー」に開始した国際キャンペーン「Race to Zero」を展開、2021年10月には、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)においてネットゼロを目指す金融機関のアライアンスが結成されるなど、ネットゼロの取り組みは国際的に大きな広がりを見せています。

ネットゼロの言葉があらゆる企業や団体で広く使われるようになったことから、国連は2022年11月にエジプトで開催された気候変動に関する国連会議COP27において、ネットゼロの提言書の中で、改めて「地球温暖化防止」などの正式な定義や基準などを発表しました

ネットゼロとカーボンニュートラルの違い

ネットゼロは、最終的な温室効果ガスの量をゼロにする、という考え方で、「カーボンニュートラル」とよく比較されます。

結論から言うと、ネットゼロとカーボンニュートラルの違いはほとんどありません。

カーボンニュートラルも、カーボンの排出をゼロにはできないので、カーボンを吸収したり分解したりする仕組みを同時に取り入れ、最終的にニュートラルな状態まで持っていくことを目指しています。

カーボンの量を相殺(オフセット)する「カーボンオフセット」も同じ考え方です。

ネットゼロとカーボンニュートラルの一番大きな違いは、ネットゼロがパリ協定で定めた目標に基づくのに対し、カーボンニュートラルはパリ協定の目標とは直接関係が無いことです。

また、ネットゼロについては国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が定義を定め、カーボンニュートラルは英国規格協会(BSI)が国際規格を定めています。

ネットゼロでは、温室効果ガス排出量を算定・報告するための国際的な基準であるGHGプロトコルで言うScope 1とScope 2(自社の燃料消費)に加えScope3(サプライヤーや消費者の消費)が対象になります。カーボンニュートラルの対象はScope 1とScope 2となっています。

関連記事:カーボンニュートラルとは?脱炭素社会を目指すメリット・デメリットと私たちにできること
関連記事:カーボンオフセットとは?メリット・デメリットや意味ないと言われる問題点を簡単に解説

ネットゼロとゼロエミッションの違い

ネットゼロとゼロエミッションは、主とする目標と排出量をゼロにする対象範囲が異なります

ネットゼロの目標は温室効果ガス排出量をゼロにすることで、対象範囲は温室効果ガス全般です。

ゼロエミッションは全ての排出物と廃棄物の削減を目標としており、温室効果ガスだけではなく、廃棄物やその他の環境負荷も対象範囲に加わります。

ネットゼロ達成のためにできること・取り組み

ネットゼロ達成のためにできること・取り組み

ネットゼロ達成のために、企業や家庭でも様々な取り組みが実施されています。

日本の企業が具体的に行っている取り組みの一例を紹介します。

再生可能エネルギーの導入

下のグラフは、2024年度の日本の電源構成です。

日本の電源構成の割合で、再生可能エネルギーが占める割合は約26.6%となっています。年々増加していますが、ネットゼロを達成するためには、企業の事業活動に伴う消費電力の供給源を太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーに変え、化石燃料由来の火力発電の割合を減らす取り組みが必要です。

エネルギー消費割合の高い企業の事業活動に再生可能エネルギーを効果的に導入することが、ネットゼロ達成のための取り組みとしては最も重要と言えるでしょう。

経済産業省の統計によると、日本のエネルギー最終消費のうち、家庭部門が占める割合は14%程度であり、産業部門と業務部門を合わせると60%以上になります。

自社のシステムを太陽光発電や風力発電などに切り替える企業も増えており、業者から優先的に電力を買い取ったり、自社の土地やビルで太陽光発電を行っている企業もあります。

関連記事:【太陽光発電のメリット・デメリット】住宅用太陽光パネルの設置や効果を解説
関連記事:風力発電投資とは?失敗するというデメリットやメリット、利回りについて解説

自家消費型太陽光発電の導入が進んでいる

近年、太陽光発電した電気を売電せずに、自宅や自社で消費する「自家消費型太陽光発電」の導入が増えてきています。売電価格(FIT価格)の低下と電気料金の値上げにより、電気を売るよりも自分で使った方がメリットが大きくなったためです。

上記のグラフのように、売電価格(FIT価格)は年々下がっており、住宅用太陽光発電の場合16円/kWh、産業用太陽光発電では9.2~12円/kWhとなっています。

電力会社から電気を買った場合、電気料金は30~40.69円/kWh(東京電力従量電灯B)ですから、発電した電気を自分で使って電気料金を削減した方がお得です。

自家消費型の太陽光発電システムの導入に利用できる補助金もあり、その普及を後押ししています。蓄電池を一緒に設置すると、太陽光発電した電気を貯めておいて夜間使うこともでき、より自家消費率を高められます。

省エネの実施

消費するエネルギーの総量を減らしていくための省エネ活動も大切な取り組みです。生産工程や工場の施設、オフィスや店舗の空調やエレベーターの設定などを見直すことで消費電力を削減することができます。

また、過剰スペックや過剰包装などを減らしたり、物流面を効率化することでも、全体のエネルギー消費量を抑えることができます。工場が隣接している工業地帯では、複数の事業者によって電気と熱を共有化したり共同輸送を行うことで省エネに取り組んでいるところもあります。

環境価値の購入

環境価値を購入し、カーボンオフセットを行うことで、実質的にCO2の排出量を減らしたり、再生可能エネルギー由来の発電所の普及を促進したりすることが可能です。

再生可能エネルギーで発電した電気は、電気としての価値以外に、CO2排出量ゼロという価値を持っています。その環境に優しいという価値のことが「環境価値」です。

環境価値は、クレジットや証書として取引されています。

企業が環境価値を購入することで、排出してしまったCO2を埋め合わせることを、「カーボンオフセット」と言います。

国内で取引されている環境価値には、J-クレジット・非化石証書・グリーン電力証書があります。

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緑化活動の実施

緑化運動もネットゼロに向けた重要な取り組みの1つです。ネットゼロの考え方では、温室効果ガスの排出量を抑えるだけでなく、排出された温室効果ガスをいかに吸収して最終的にゼロにするかがポイントとなります。緑を増やすことで結果的に温室効果ガスの正味量を削減することができます。

企業が取り組む緑化運動には、大規模な植林や山林再生事業を援助したり寄付したりする取り組みの他、都市における緑化運動も盛んです。都市の緑地スペースを増やしたり、ビルの屋上庭園を創設したりする取り組みも進んでいます。

公共交通機関の利用

公共交通機関の利用も、ネットゼロにつながる活動です。交通機関を利用することにより、CO2排出量を減らせるからです。

公共交通機関は自家用車よりも個人あたりのCO2排出量が少ないため、省エネにも地球温暖化にもつながります

ネットゼロ達成に向けた日本の取り組み

国はさまざまな支援事業を行い、ネットゼロ達成を促進しています。

グリーン成長戦略事業

グリーン成長戦略は、経済産業省が中心となって関係省庁と連携し、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」という名称で策定されました。

グリーン成長戦略では、産業政策とエネルギー製作の両サイドから成長が期待される14分野の実行計画を策定し、それを実現するための事業を展開することによって、2050年カーボンニュートラルとネットゼロ実現を目指しています

CCS・CCUS事業

CCSとはCO2を回収・貯留し、発電所・工場などから排出された排気ガスからCO2を回収・分離して地下深くに貯留する技術で、CCUSは、回収したCO2を資源として活用する技術・CCUとCCSを合わせた言葉です。

2025年現在、世界中で200件にも及ぶ大規模CCSプロジェクトが実施されています。ネットゼロを実現するために多くの企業がCCS・CCUS事業に取り組んでおり、公式サイトなどで取り組みの概要や結果を公表しています。

関連記事:CCS(炭素回収貯留)とCCUS解説!違いや課題、メリット・デメリットとは

FIT制度の「初期投資支援スキーム」開始

日本政府は、再生可能エネルギーの普及を一層進めるため、FIT(固定価格買取制度)・FIP制度に加えて、「初期投資支援スキーム」を導入しました。

この仕組みは、屋根設置型の太陽光発電の導入を加速し、発電事業者の早期投資回収を支援することを目的としています。特に、系統負荷が小さい自家消費型の屋根設置太陽光を対象とし、国民負担や社会的コストの抑制にもつながる設計です。

■ 支援内容の概要

2025年度下期に認定を受ける案件から、以下のように「階段型の価格設定」が適用されます。

区分 認定期間 調達価格
(前半)
調達価格
(後半)
調達期間
住宅用太陽光
(10kW未満)
2025年度下期以降 24円/kWh
(~4年)
8.3円/kWh
(5~10年)
10年
事業用太陽光・屋根設置
(10kW以上)
2025年度下期以降 19円/kWh
(~5年)
8.3円/kWh
(6~20年)
20年

これにより、導入初期の高コスト期間に高い買取価格を設定し、投資回収を早める仕組みが整えられています。

■ 制度の特徴と注意点

  • 投資回収年数を短縮でき、利息分の負担を軽減可能。
  • 認定を受けた発電設備は、調達期間中にFIT/FIP制度から離脱や形態変更(例:屋根→地上)することは不可
  • 屋根設置による地域共生性の高さを重視し、長期安定的な収益確保を目的とした条件付き認定が行われます。

■ 申請スケジュール(2025年度下期認定分)

区分 認定申請期間 認定期限 適用開始
住宅用太陽光
(10kW未満)
2025年7月1日(火)
以降申請
2026年1月6日 2025年度下期
事業用太陽光・屋根設置
(10kW以上)
2025年7月1日(火)
以降申請
2025年12月12日 2025年度下期

※電子申請が原則。GビズIDの取得など準備に時間がかかるため、早期申請が推奨されています。

参考記事:再生可能エネルギーのFIT・FIP制度 屋根設置太陽光発電の初期投資支援スキーム

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ネットゼロ実現に向けた日本企業の取り組み事例

ここからは、ネットゼロの実現に向けた企業の取り組みを紹介します。

ネットゼロの実現に向けた取り組みを行っている日本企業を2社紹介します。

東急不動産

東急不動産では、2050 年にネットゼロエミッションを実現する温室効果ガス(Green House Gas)排出量削減目標が、SBT ネットゼロ認定を取得しています。

東急不動産は 2021年に1.5℃水準で2030年目標のSBT認定を取得し、その後着実に CO2 排出量削減を進めてきました。さらに今回の長期目標を加えることで、ネットゼロ目標が公式に認定されたのです。

参考:東急不動産

イオン

イオンでは、2025年までに、まずイオンモール全店舗の使用電力を100%再エネにすることを目標にしています。また、ご家庭の余剰電力の買取りや、脱炭素型住宅への移行のお手伝いなど、お客さまと一緒に取り組む、新しい試みも走り始めています。

未来につながる「より良いくらし」に向けて、イオンは日々挑戦しています。

参考:イオン

ネットゼロ実現に向けた世界の企業の取り組み事例

ネットゼロの実現に向けた取り組みを行っている世界の企業を2社紹介します。

スターバックス

スターバックスは、2020年1月、リソースポジティブカンパニーを目指すという今後数十年の長期目標を発表しました。サステナビリティへの取り組みの歴史と持続可能な未来づくりを強化継続するためだと言われています。

この目標は、2050年までにネットゼロの世界経済への転換を加速させることと言われています。

参考:スターバックス

ダノン

ダノンは、2030年までに達成する 9つの目標を定めています。その中の一つが、B Corp認証の取得。ダノンは、2025年までに世界中のダノンの子会社がB Corp認証を取得することを目指しています。B Corp認証は2006年に米国で始まり、世界標準の「良い会社」の証。

この目標を単なる目標ではなく、企業として成し遂げるべきものであると定義しているのが特徴です。

参考:ダノン

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ネットゼロに関するよくある質問

ネットゼロに関するよくある質問

ネットゼロについて、気になる点についてまとめました。

ネットゼロ達成のためのカーボンオフセットに使用できる「非化石証書」とは?

「非化石証書」とは、化石燃料以外のエネルギーで発電した電気の環境価値だけを取り出して、取引できるよう証書にしたものです。非化石証書を購入し、化石燃料由来の電気に付与することで、実質的にCO2排出量ゼロとみなすことができます。以下の3種類があります。

FIT非化石証書 FIT制度で買い取られた電気の化石証書
非FIT非化石証書(再エネ指定) FIT制度以外の再生可能エネルギー由来の電気の化石証書
非FIT非化石証書(指定なし) 原子力発電やごみ発電由来も含むCO2排出量ゼロの電気の化石証書

ネットゼロの達成は電力会社の乗換で対応できる?

電気料金プランを変えることでCO2排出量を実質ゼロにすることができます。

電力会社の中には、非化石証書を付加することによってCO2排出量が実質ゼロとみなすことができるプランを持つところがあります。例えば以下のようなプランです。

  • 東京電力エナジーパートナー「アクアエナジー100」
  • スマ電「CO2ゼロ」
  • ミツウロコでんき「ミツウロコグリーンプラン」

「再エネ指定非化石証書100%使用」「グリーン電力証書使用」「RE100対応可」といった記載がある料金プランを選んでください。料金プランを変更するだけなので、太陽光発電システムの導入をすぐにはできないという場合におすすめです。ただし、一般的な電気料金プランよりも単価が高いことが多いので注意してください。

ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)とは?

ZEHとは、「創るエネルギー」と「消費するエネルギー」の収支をゼロにできる住宅のことです。主な条件は、以下の通りです。

  • 高断熱な外壁や窓枠による熱損失の抑制
  • 高効率な省エネ設備やHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の導入
  • 太陽光発電システムによる創エネ

これにより、快適な室内環境を保ちながらエネルギー消費を最小限に抑えます。国もZEHの普及を推進しており、新築時には補助金制度を利用可能。

環境への負荷軽減と家庭の光熱費削減を両立できる住まいとして注目されています。

関連記事:https://solsell.jp/zeh-house/

ZEB(ネットゼロエネルギービル)とは?

ZEBは、建物全体でのエネルギー収支をゼロにすることを目指すオフィスビルや公共施設向けの省エネ建築です。ZEHと同様に断熱性や省エネ性能を高めつつ、照明・空調・エレベーターなどのシステムを最適制御して消費エネルギーを削減。

さらに、太陽光発電などの再エネを活用して創エネを行います。ZEB化により、CO₂排出の抑制だけでなく、快適性・生産性の向上や災害時のエネルギー自立も実現。

国土交通省・経産省・環境省が連携して補助制度を整備し、企業のZEB導入を強力に後押ししています。

ネットゼロ・バンキング・アライアンスとは?

ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)とは、国際連合の環境計画(UNEP FI)が中心となって、気候変動対策に貢献する銀行が集まって設立したイニシアチブです。

参加している銀行は、2050年までに貸出・投融資ポートフォリオを実質排出量ゼロにすることを目標にしています。

この目標を達成するために、炭素集約型の事業や企業への投資・融資の見直しや、再生可能エネルギーなどのグリーン分野への積極的な支援を進めています。

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まとめ

ネットゼロについて、カーボンニュートラルとの定義の違いやメリット、企業での取り組みなどについて説明しました。

ネットゼロやカーボンニュートラルの考え方は、今後も企業や学校、家庭などあらゆる分野で取り入れられ、具体的な取り組みが強化されていくと考えられます。

ネットゼロやカーボンニュートラルについて理解を深め、この機会に、自分にできること、自分の企業でできること、を具体的に考えてみましょう。

 

<参考>

WWFジャパン
経済産業省 資源エネルギー庁 エネルギー白書

再生可能エネルギーのFIT・FIP制度 屋根設置太陽光発電の初期投資支援スキーム

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この記事を書いた人

ikebukuro

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