ゼッチ住宅(ZEH)とは?メリット・デメリットや補助金制度について最新情報を解説

  • 太陽光発電投資
  • 公開日:2024.12.09
  • 更新日:2024.12.09
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ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。つまり、家で創るエネルギーと消費するエネルギーの収支がゼロ以下にできる家のことです。

ZEH住宅はCO2排出量を削減できるだけでなく、光熱費が安くなり快適に暮らせるなど、メリットがたくさんあります。家の性能が基準を満たせば、補助金制度の利用も可能です。

この記事ではZEH住宅のメリットとデメリット、補助金の申請方法について解説していきます。新築戸建てを検討中の方は、ぜひチェックしてください。

ゼッチ(ZEH)住宅とは?

ZEH住宅とは、家で創るエネルギーと消費するエネルギーの収支をゼロ以下にできる住宅のことです。資源エネルギー庁は以下のように説明しています。

ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味になります。つまり、家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家ということです。

引用:知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~新しい省エネの家「ZEH」 資源エネルギー庁

CO2排出量の削減と光熱費の節約を同時に叶えられるというメリットがあるだけではなく、家の性能を整えることで補助金制度を利用できるようになれるのも大きな利点です。

具体的には、以下の3点が必要になります。

  1. 断熱性が高い
  2. 省エネルギー(省エネ)
  3. 創エネルギー(創エネ)

ひとつずつ詳しく解説していきます。

①断熱性が高い

外壁や窓枠などに断熱性の高い素材を使うことにより、外気の温度の影響を受けにくく、家の中を快適に保てます。

冷暖房の効率が良くなり、消費エネルギーを抑えることが可能です。

ZEH住宅の断熱の性能はUA値(室内から外に逃げる熱量)で表現します。UA値が小さいほど高断熱で、ZEH住宅の基準UA値は0.6から0.4以下です。また、UA値の基準には地域差があります。

②省エネルギー(省エネ)

HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を使って、家全体で消費・発電しているエネルギーを見える化し、省エネ効果を高めます。

また、ZEH住宅においては「基準とする一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減する」という認定基準があるので、「空調」「照明」「給湯」「換気」の4項目で、基準を満たす省エネ効果の高い設備が求められます。

具体的には、省エネタイプのエアコンや、消費電力の少ないLED照明、高効率な給湯システムなどを導入します

③創エネルギー(創エネ)

ZEH住宅の基準はエネルギー収支を0以下にすることなので、太陽光発電システムなどを導入して創エネに努めることが重要です。

太陽光発電システムでは、家庭用燃料電池や蓄電池などを組み合わせることで、太陽光発電できる晴れた日の昼間だけでなく、夜間や災害時にも活躍が期待できます。

参照:ZEHに関する情報公開について 資源エネルギー庁

ZEH(ゼッチ)住宅のデメリット

ZEH住宅にはデメリットがいくつかあります。こんなはずじゃなかったと後悔する前に、知っておくべき点を解説します。

①初期費用が高い

ZEH住宅には、太陽光発電システムやHEMSなどの最新の高効率設備を導入する必要があります。

そのため建築にかかる費用が一般の住宅より100万円~300万円程度高くなってしまうでしょうイニシャルコストを下げたいという方には向いていません。

ただし、太陽光発電した電気を自家消費したり、高断熱の効果で空調設備が効率よく使えたりして、電気代を削減することができるので、電気を多く使う家庭では元を取ることができるでしょう。

②メンテナンスコストがかかる

高価な設備を導入するので、その分メンテナンス費用も発生します。

例えば、太陽光発電設備は点検が義務付けられており、基本的に設置1年後とその後4年ごとに定期点検が必要です。点検費用は1回3万円ほどですが、不具合が見つかった場合には別途修理費用が発生します。

その他にも、蓄電池・HEMS・換気設備など、通常の住宅にはない設備が増えるため、メンテナンス費用が掛かることを理解しておきましょう。

ただし、故障の場合にはメーカー保証で修理できる場合があります。メーカー保証でカバーできない自然災害などの被害は保険で賄えるので、事前に補償内容を確認してください。

③補助金申請のため、ハウスメーカーや着工時期に制約がある

国はZEH住宅の普及を推進しています。基準を満たせば、補助金を受け取ることが可能です。

ただし、ZEHビルダー・ZEHプランナーとして登録された企業のみが、補助金を申請できます。大手メーカーの場合には心配ありませんが、建築を希望する企業が登録されていない場合もあるかもしれません。

ZEHビルダー・ZEHプランナーは、一般社団法人環境共創イニシアチブ(以下SII)によって登録されており、以下のサイトから確認することができます。

企業が受注した住宅の中で、ZEH住宅が占める割合を見ることもできますので、参考にしてください。

(参照:ZEHビルダー/プランナー

また、補助金の申請期間に合わせて、建築のスケジュールを立てる必要があります。引っ越しなど特別な事情がない場合は、余裕をもって計画できるので問題はないでしょう。

ZEH(ゼッチ)住宅のメリット

ここまでデメリットを紹介しましたが、ZEH住宅にはデメリットを補って余りある多くのメリットが備わっています。

①光熱費が削減できる

太陽光発電で発生した電気を自宅で使うことで、電力会社から購入する電気が大幅に減ると期待できます使いきれずに余った電力は売電できるので、収入を得ることもできるでしょう。

また、HEMSで家全体のエネルギー収支をモニターすることが可能です。どこで電気を使いすぎているのか、節電の効果はどのくらいかなどが、目に見えて分かるため、効率的に電気を使うのに役立ちます。

ただし、夜間や悪天候の日などの太陽光発電ができないときには、電力会社から電気を買うことになるので、光熱費がゼロになるというわけではありません。

②快適性が向上する

断熱性が高い住宅なので、家の中全体が快適な温度に保たれます。「冷房がなかなか効かずに暑い!」「リビングは暖かいけど、一歩廊下に出ると寒い!」といった悩みは解消されるでしょう。

室内の寒暖の差が招く急激な血圧上昇「ヒートショック」を防ぐこともでき、健康への好影響が期待できます。

③災害に強い

ZEH住宅は太陽光発電システムなどの創エネルギーシステムがあるため、停電時にも電気を使えます

蓄電池も一緒に導入すると、さらに災害に強い家になります。

例えば、HEMSが天気予報を判断し、台風前に蓄電池に電気を貯めて置くといった準備を自動で行うことも可能です。

昼間だけでなく、夜や天候不良時も自家発電した電気を使用することができるので、長期の停電でも照明や冷蔵庫の電力を賄うことができます。

④地球に優しい

太陽光発電由来の再生可能エネルギーを使うことで、二酸化炭素排出量の削減が可能です。高断熱の家と高効率設備のおかげで、使う電力量そのものも大幅に減らせます。

また、発電所の電気は遠くから送られてくるため、送電される間に5%程度がロスしてしまいます。ZEH住宅の仕組みは、電気を自宅で作り自宅で使うという、最もロスのないエネルギー消費と言えます。

【2024年】ZEH住宅は補助金制度の対象になる?

個人の新築住宅が対象の補助事業は、「ZEH支援事業」「次世代ZEH+実証事業」の2つです。

補助金の申請は、ZEHビルダーもしくはZEHプランナーに登録されているハウスメーカーのみすることができます。補助金申請は面倒なようにも思えますが、実績のあるZEHビルダー・ZEHプランナーであれば、手続きをおまかせできるので安心です。

詳しくは、SIIの公式サイトを確認するか、ZEHビルダー・ZEHプランナーに相談してみてくださいね。

ZEH支援事業・次世代ZEH+実証事業

ZEH種類 対象・交付要件のポイント 補助金額

ZEH支援事業

ZEH 一般的なZEH(一定以上の断熱性能・一次エネルギー消費量20%以上・再生可能エネルギー導入100%以上) 55万円/戸+α
Nearly ZEH 寒冷地・低日射地域・多雪地域のみ対象。断熱性能・省エネ性能はZEHと同等。再生可能エネルギー(太陽光発電システムなど)が75%以上導入で可。
ZEH oriented 都市部狭小地や多雪地域のみ対象。断熱性能・省エネ性能はZEHと同等。再生可能エネルギー(太陽光発電システムなど)を未購入でも可。
ZEH+ ZEHの条件に加えて、一次エネルギー消費量25%以上削減。さらに次の項目のうち2つ以上を導入。
①外皮性能の更なる強化
②高度エネルギーマネージメント
③電気自動車を活用した充電設備または充放電設備
100万円/戸+α
Nearly ZEH+ Nearly ZEHの条件に加えて、一次エネルギー消費量25%以上削減。さらに次の項目のうち2つ以上を導入。
①外皮性能の更なる強化
②高度エネルギーマネージメント
③電気自動車を活用した充電設備または充放電設備

次世代ZEH実証事業

ZEH+ 上記のZEH+の条件に加えて、以下のいずれか1つ以上を導入。
①蓄電システム
②燃料電池
③V2H充電設備(充放電設備)
④太陽熱利用温水システム
100万円/戸+α
①2万円/kWh、経費の1/3または20万円のいずれか低額の方
②定額2万円加算
③経費の1/2または75万円のいずれか低額の方
④液体式:17万円、空気式:60万円
Nearly ZEH+ 上記のNearly ZEH+の条件に加えて、以下のいずれか1つ以上を導入。
①蓄電システム
②燃料電池
③V2H充電設備(充放電設備)
④太陽熱利用温水システム

出典:戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業一般社団法人 環境共創イニシアチブ

ZEH住宅を建てる時に注意すべきこと

デメリットはあるものの、それを上回るメリットが約束されているZEH住宅。しかし、建てる時の注意点があります。特に指摘されることが多い注意点2つをご覧ください。

ZEHビルダーの登録をしているメーカーで建てる

ZEH住宅を建てても、補助金を利用できないケースがまれにあります。それは、ZEHビルダーに登録していないハウスメーカーで建てた場合です。ZEHビルダーが建設した住宅でなければ補助金を利用できないのです

ZEHビルダー登録をしているハウスメーカーなら、施主の希望するデザインや間取りを実現してくれたり、より快適に過ごせる家作りを提案してくれるので、建てる時には必ずハウスメーカーがZEHビルダーなのかを確認しましょう。

住んでいる地域の天候・日照時間を確認する

ZEH住宅では太陽光発電システムを利用することになりますが、太陽光パネルの電力量は天候や日照時間によって変わります

そのため、ZEH住宅を建てる場所の天候や日照時間が太陽光発電システム利用に適しているかは要確認事項なのです。

また、太陽が出ていないときにも問題なく電気を使用するための蓄電池の導入も必須です。

SII登録済のおすすめハウスメーカー3選

SIIに登録しているおすすめのハウスメーカーを3つピックアップして紹介します。

①一条工務店

「ZEHをはるかに超えた、超ZEH」を掲げる一条工務店。もともと、超高気密高断熱住宅を売りにしており、ZEHの断熱条件は標準性能でクリアしています。

さらに、大容量の屋根一体型太陽光パネルの採用で、屋根のスペースを無駄なく発電に利用可能です。

2020年の新築件数の中でZEHが占める割合は、北海道地域で99%、それ以外の地域で96%と非常に高く、信頼できる実績があると言えますね。

(参照:一条工務店公式サイト

②セキスイハイム

ZEHの断熱条件は標準性能でクリアしており、家の中はいつも快適。セキスイハイム独自のHEMS「スマートハイムナビ」なら、気象警報に合わせて自動的に蓄電池やエコキュートの運転を制御してくれたり、家中の機器と連携してアプリやAIスピーカーから操作できたり、省エネを効率的に実現できます。

2020年の新築件数の中でZEHが占める割合も高く、北海道地域で57%、それ以外の地域で85%です。補助金申請手続きなどを安心して任せられるでしょう。

(参照:セキスイハイム公式サイト

③ダイワハウス

「外張り断熱通気外壁」で高い断熱性能を実現しており、冷暖房に消費する電力もぐっと削減されます。独自のHEMS「D-HEMS」では、エネルギー収支や省エネ情報だけでなく、気象情報や避難情報も配信。スマホからも操作でき、帰宅前に冷房をつけておいたり、お風呂を沸かしておいたりもできます。

2020年の新築件数の中でZEHが占める割合は、北海道地域で13%、それ以外の地域で50%です。

(参照:大和ハウス工業公式サイト

ZEH住宅に関するよくある質問

ZEHとは自宅で使うエネルギーを創り、住むだけで快適に省エネ生活が送れる住宅。国も建設を推進しており、家の性能によって補助金を受け取ることができます。ZEHとなるために満たすべき基準や、ZEHのメリットとデメリット、ZEHの補助金の申請方法について知りたい方は必見です。ZEH新築におすすめの住宅メーカーも紹介します。

ZEH住宅を建てる際に、気になる質問についてまとめました。ハウスメーカーに相談する前に確認しておきましょう。

ZEH認定は太陽光なしでもできる?

ZEH Orientedであれば、太陽光発電設備や蓄電池といった発電設備がなくても認定を受けることができます。ただし、太陽光パネルを設置できないような都市狭小住宅のみが申請対象です。

建設地やライフスタイルによっては、太陽光発電システムのメリットがでにくい場合もあります。ZEHビルダーに相談してみると良いでしょう。

ZEH認定にHEMSは必要?

ZEHの認定にHEMSは必要ありません。ZEH+の認定には必要な場合がありますが、他の設備で条件が満たせる場合は不要です。

HEMS(ヘムス)は、ZEH+の認定条件にある「高度エネルギーマネジメント」に使用される設備です。Home Energy Managementの略語で、太陽光発電設備や空調設備・給湯設備などを繋いで一元管理し、エネルギー収支を最適にしてくれます。

例えば、天気予報から翌日の発電量を予測して夜間電力でお湯を沸かす量を調整したり、台風情報から蓄電池を優先的に充電したり、ということを自動で行ってくれるHEMSもあります。

二酸化炭素排出量を減らすだけでなく、光熱費も削減できますので、手軽にエネルギーマネジメントを行いたいという方はぜひ検討してみてください。

ZEH補助金を申請するタイミングは?

ZEH住宅に関する補助金申請は、建物の着工開始前にする必要があります。タイミングとしては、ハウスメーカーと工事請負契約を結んだ後、工事を始める前です。

補助金申請はハウスメーカー(ZEHビルダー)が行います。ZEH建設の実績が多いハウスメーカーであれば、使える補助金や申請するタイミングについて詳しい担当者がいます。ハウスメーカーを選定する際にZEH住宅を建てたい旨を伝えておくとスムーズでしょう。

まとめ

ここまで、ZEH住宅について解説しました。

ZEH住宅は、自宅で使うエネルギーを自宅で創る、エネルギー収支ゼロの家です。断熱性が高く、家の中をいつも快適に保つことができます。太陽光発電システムで光熱費を大幅に削減でき、余剰電力があれば売電収入も得られます。

初期費用は一般の住宅よりもかかりますが、ZEHビルダー・ZEHプランナーの申請で補助金を受けることが可能です。

この記事を、マイホームの建築にぜひ役立ててくださいね。

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この記事を書いた人

ikebukuro

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