レアメタルとは?種類の一覧やレアアースとの違いを解説!
- 公開日:2025.11.05
- 更新日:2025.11.05
レアメタルの種類や産出国、ベースメタルやレアアースとの相違点、レアメタルの利用目的、今後の課題などについて解説します。
レアメタルとは、地球上に存在する量が非常に少ない、技術的あるいは経済的な理由により採掘することが難しい金属のことです。
実は、レアメタルの国際的な定義は定まっていません。日本では、工業上の需要が既に存在している、安定的な供給確保が政策的にも重要であるといった理由で、コバルトやリチウムなどの31種がレアメタルと定められています。
目次
レアメタルとは

レアメタルとは、国際的な定義は定まっていませんが、一般的には、地球に存在している量が極めて少ない希少な金属をいいます。
日本においては、経済産業省の鉱業審議会で、「現在工業用需要があり、今後も需要があるものと、今後の技術革新に伴い新たな工業用需要が予測されるもの」と定義されている31種類をレアメタルとしています。
レアメタルは燃料電池や医療機器、宇宙開発などの現代産業において必要不可欠な金属ですが、各国の資源ナショナリズムの高まりとともに価格も高騰しており、安定的な確保が重要な課題となっています。
なお、資源ナショナリズムとは、自国の資源は自国で採掘・保有・管理していこうとする考え方のことです。
参考元:「レアメタルについて」(中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会特定家庭用機器の再商品化・適正処理に関する専門委員会(第3回)
レアメタルの種類一覧

経済産業省が定める31種類のレアメタルは下表の通りです。
経済産業省が上表に掲載した31種類のレアメタルを定めたのは、1987年です。
経済産業省は、これらのレアメタルの安定的な供給を図ることで、日本の経済を守ろうとしています。
また、レアメタルの国内生産を拡大することで、輸入依存度を下げることも目指しています。レアメタルは、日本の経済にとって極めて重要な資源だからです。
なお、上表の31種のレアメタルは、「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の業務運営、財務及び会計並びに人事管理に関する省令」の改正を受けて、2012年9月から34種に増えています。
増えたのは炭素(C)、フッ素( F)、マグネシウム(Mg)、,ケイ素(Si)、ウラン(U)、の5種類です。
また、31種類の時代には2種類分としてカウントされていた白金とパラジウムが、金や銀と同様に、同じ貴金属として取り扱われることになりました。そのため、レアメタルの数にはカウントされていません(つまり、31+5-2=34種類となります)。
参考元:「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の業務運営、財務及び会計並びに人事管理に関する省令」
レアメタルとレアアースとの違い
レアアースとは、レアメタルの一種であり、上表の希土類に該当する17種類の元素をいいます。
レアアースは、主に磁石、永久磁石、超電導体、セラミックス、ガラス、蛍光体、蓄電池、発光ダイオード、レーザーなどの製造に使用されています。
ベースメタルとの違い
ベースメタルは、産出量が多く、精錬が比較的容易な金属です。具体的には、鉄鋼、銅、アルミニウム、亜鉛などの金属のことで、建設、自動車、電気機器、造船など、幅広い分野で利用されています。一方のレアメタルは、産出量が少なく、精錬が困難な希少な金属です。
レアメタルとベースメタルは、どちらも重要な金属ですが、レアメタルは特に希少で、産出量が少ないため、価格が高騰しているという特徴があります。
レアメタル・レアアースの主な産出国ランキング
| 資源 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| リチウム | オーストラリア | チリ | 中国 |
| コバルト | コンゴ | インドネシア | ロシア |
| ニッケル | インドネシア | フィリピン | ロシア |
| タングステン | 中国 | ベトナム | ロシア |
| ガリウム 〔一次低純度〕 |
中国 | ロシア | 日本 |
| ゲルマニウム 〔精製〕 |
中国 | カナダ | ロシア |
| レアアース 〔酸化物換算〕 |
中国 | 米国 | ミャンマー |
レアメタルは中国が主な産出国で全世界の約9割を生産しています。
レアアースは中国が大部分を産出していますが、それ以外にも、ベトナム、インド、マレーシア、ブラジル、ロシア、ザンビア、などが産出しています。
レアメタルの市場環境とリスク
レアメタルの市場環境と問題視されているリスクを解説します。
産出国の偏在による政治リスク【中国の輸出規制】
レアメタル算出ランキングを総合的に見るとトップとなるのは中国ですが、政治的な報復措置としてレアメタルの輸出規制を行うことがあり、リスクとみなされています。
レアメタルの産出国を調査すると、レアメタル1種類ごとのランキングのほとんどに中国が入っていることがわかります。レアメタル産出には地域的な偏りがあるのです。
これまでの中国のレアメタル輸出規制
中国は2023年8月にガリウムとゲルマニウムの、2024年9月にアンチモンを輸出規制対象にしました。
そして、2025年2月には、国家安全保障上の利益保護を理由に、タングステン・テルル・モリブデン・ビスマス・インジウムの輸出規制実施を発表しています。
このようなリスクを軽減するためには、中国以外の国とも交渉を行い輸入の偏りをなくしたり、自国にレアメタル・レアアースの新たな鉱床を開発したりしなければなりません。
中国は2025年にも輸出規制を実施中
2025年春には、トランプ政権の関税策に対抗するかたちで、中国はレアアースなど重要鉱物の輸出管理を強化しました。
政府許可制と審査厳格化により実質的に輸出量が減少。5月中旬に米中が一時的な関税引き下げで合意しても規制は継続し、供給不安は解消しませんでした。
影響は自動車を中心に拡大。米国ではGMやフォードが調達難とコスト上昇に直面し、一部工場で生産停止。
欧州でも部品不足で稼働停止が発生し、日本でもスズキがスイフトの生産を一時停止。調達の多様化と国内精製の重要性が一段と高まりました。
需要拡大による資源枯渇リスク
レアメタルの中でもレアアース・リチウムなどがデジタル機器・家電・ハイテク製品などに使われることが多く、EV車や再生可能エネルギーに関連した機器にも使われていることから、需要は年々拡大しています。
しかし、環境保全のためにさらに上昇している需要に対して供給が追いつかず、資源が枯渇するというリスクを抱えています。
レアメタル・レアアースを確保するための取り組み
レアメタルもレアアースも高い需要に対して供給量が少ないことから、世界各国で確保するための取り組みが実施されています。
世界でも有数のレアメタル消費国である日本国内ではどういった取り組みを行っているのかを解説します。
海外の資源確保
レアメタル・レアアースともに主要産出国は海外であることから、必要なレアメタルを獲得するために企業が海外資源の確保に取り組んでいます。
しかし、資源探査にはリスクが伴うことや、国際的な資源権益を獲得するための競争が激化していること、資源ナショナリズムが台頭していること、投資規模が増大し続けているといった課題の解決にも取り組まなければなりません。
日本国内の採掘開発
「レアメタル・レアアースの主な産出国」の章で解説したように、日本国内でも2024年に膨大な量のレアアースの埋蔵が確認されています。
他の場所にもレアメタルやレアアースが埋蔵されている可能性が指摘されており、日本国内で効率的な採掘方法の開発が進んでいます。
レアメタルリサイクルの推進
レアメタル消費国である日本は、国内の使用済み製品などを資源として、レアメタル回収のために回収システムを整備するとともに、抽出技術の開発に取り組むことが必要です。
2008年から開催された「使用済小型家電からのレアメタルの回収及び適正処理に関する研究会」では、14鉱種がリサイクル検討優先鉱種に選定されました。
その14種類のうち、5鉱種(タングステン・コバルト・タンタル・ネオジム・ジスプ ロシウム)はリサイクルを優先的に行なう鉱種と認定され、具体的な検討が進行中です。
レアメタルの活用用途

レアメタル・レアアースは、現代の産業に欠かせない重要な金属です。主な用途は以下の通りです。
- 再生可能エネルギー(電気自動車、風力発電、太陽光発電など)
- ハイブリッドカー(燃料電池として搭載)
- 半導体、液晶ディスプレイ
- 医療機器
- 航空機、宇宙開発
- 兵器
レアメタルは、産出量が少なく、精錬が困難なため、希少金属と呼ばれています。また、中国が世界全体の約9割を産出しているため、レアメタルの価格は、中国の輸出政策によって大きく左右されてしまいます。
レアメタルは、今後もますます重要になる金属です。そこで、日本はレアメタルの安定的な供給を確保するために、国内での生産を増加させるのみならず、レアメタルのリサイクル技術の開発・進歩に注力しています。
構造材料への添加剤としての活用
チタンやバナジウムといったレアメタルは、鉄鋼に添加することで、素材の強度や耐久性を高めることが可能です。
軽量で頑丈な部品を作ることができるので、自動車や航空機に使用され、燃費の向上や耐久性強化に役立っています。
電子や磁石などハイテク分野での活用
レアメタルはハイテク分野でも欠かせない存在です。
例えばリチウムは、軽量で長持ちするリチウムイオン電池の素材として活用され、スマートフォン・ノートパソコン・電気自動車などに使われています。
ガリウムやインジウムは、太陽光パネルの薄膜に利用されており、発電効率の向上に役立っています。
また、ネオジムを活用した「ネオジム磁石」は、強力な磁力を持ち、家電製品・風力発電・電気自動車などのモーターに利用されているのです。
日本国内でもレアメタル・レアアースの埋蔵が確認されている
2024年6月には、小笠原諸島・南鳥島沖にある深海の鉱床に大量のレアメタルをマンガン団塊が2億トン以上密集していることが東京大学・日本財団などの探査で確認されました。
世界で供給不足が心配されているコバルトは国内消費量の約75年分あり、ニッケルは約11年分あると推計されています。その埋蔵量は、中国の埋蔵量の約30倍と推定されており、日本にとってとても貴重な資源です。
日本政府は、2026年までにレアアースの採掘を開始して、2030年までに自給率を100%にすることを目指しています。
レアアースの国内産出が可能になれば、中国に依存しているレアアースの安定的な自国内での供給を確保できる大きなメリットが見込めます。
レアメタル・レアアースに関するよくある質問

レアメタル・レアアースについて疑問に思われることが多い点についてまとめました。
レアメタルはどんな金属ですか?
レアメタルとは、埋蔵量が少なく希少な非鉄金属のことです。
流通量が少ないため価格が高いものが多いですが、様々な産業で重要な役割を果たしており、国や企業はその確保に努力を続けています。
レアメタルの代表例は?
存在量が少なく特に希少とされるレアメタルは、レニウム・テルルです。
レニウムは超耐熱合金やフィラメント、テルルは半導体や太陽光パネルに使用されています。
また、貴金属とされることもありますが、白金(プラチナ)・パラジウムは存在量が少なく、単位当たりの価格も高くなっています。
特にパラジウムは、自動車排ガスから有害物質を取り除く触媒として需要が高いです。
レアメタルが取れる国はどこですか?
レアメタル・レアアースの産出地は、中国・アフリカ諸国・ロシア・南北アメリカ諸国に偏っています。
チタン・バナジウム・ガリウム・ゲルマニウム・セレンなど多くのレアメタルは、中国が生産量1位となっています。クロム・マンガン・プラチナは、南アフリカが生産量1位です。
日本でも、南鳥島南方や小笠原諸島沖の海底に、コバルト・ニッケルなどのレアメタルが埋蔵されていると確認されています。すでに調査や掘削試験が行われており、2028年までの商用化を目指しています。
まとめ
レアメタルとは、産出量が少なく、精錬が困難な希少な金属の総称で、現代の産業に欠かせない重要な金属です。
電気自動車、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー、ハイブリッドカー、燃料電池、半導体、液晶ディスプレイ、医療機器、航空機、宇宙開発など、幅広い分野で利用されています。
ただ、レアメタルは産出量が少なく、精錬が困難なため、価格が高騰しています。現時点でレアメタルの主要な産出国は中国のみであり、中国が輸出を制限すると、世界的な供給不足につながる可能性があります。
レアメタルは、今後もますます重要になる金属です。日本は、レアメタルの安定的な供給を確保するために、国内での生産を増やすとともに、リサイクル技術の開発を進めています。
参考文献:
レアメタルについて
レアアース希土類
レアアースの脱中国依存へ、南鳥島沖の水深6000m海底から採掘…技術開発に着手
レアメタル豊富なマンガン団塊、南鳥島の近海に…コバルト75年分やニッケル11年分
中国のレアメタルショック再び!タングステンなどを輸出規制に、なぜ中国は資源外交にこだわるのか?
レアメタル確保のために必要なこと
この記事を書いた人
ikebukuro


