太陽光発電で発電ロスが起こる原因は?効率を上げる改善方法や送電の仕組みを解説

  • 太陽光発電投資
  • 公開日:2024.11.25
  • 更新日:2024.11.25
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太陽光発電を導入したいと考えている方は、発電ロスや送電ロスが発生する原因について理解する必要があります。

太陽光発電システムの変換効率は、一般的に15~23%程度といわれ80%近くが発電ロスになっているのが特徴です。

効率よく導入するためには、発電ロスや送電ロスが発生する原因や対処法、発電ロスや送電ロスの注意点について十分理解した上で導入を検討しましょう。

この記事では、太陽光発電で発電や送電ロスが起こる理由・発電や送電ロスを防ぐ対処法・注意点などを解説します。

太陽光発電の発電・送電の仕組み

太陽光発電は太陽の光をエネルギーに、電気を生み出す発電方法です。

発電所で発電した電気が実際に自宅に届くまでに送電ロスが起こるのです。なぜ送電ロスが起こるのか、太陽光発電の発電仕組み・送電の仕組みについて解説します。

発電の仕組み

太陽光 発電ロス

出典:東京電力エネジーパートナー

ソーラーパネルとして利用されているひとつひとつの太陽電池は、p型半導体とn型半導体という2つの種類の半導体を貼り合わせて作られています。

その2種類の各半導体が、電気の流れる導線で繋がれている構造です。

ソーラーパネルに太陽光が当たることで、太陽電池のp型半導体側に正孔(+)が、n型半導体側に電子(-)が集まります。

そして、2つの半導体を繋いでいる導線を伝わり、電子(-)が正孔(+)側に移動する流れを利用し、電気を発電するのが太陽光で電気が発電される仕組みです。 

送電の仕組み

太陽光 発電ロス

出典:中部電力

発電所で作成された電気は、27万5,000V〜50万Vのとても高い電圧まで昇圧され、送電線に送り出されます。

送り出すときに、ここまで電圧を高くする理由は、送電線の抵抗により電気の一部をロスしてしまうため、このロスを可能な限り少なくするためです。

送電時に発生するロスが少なくできれば、長距離の区間で送電する場合でも、より効率的に送電できます

発電所から送られてくる電気は、各地に設置された超高圧変電所により15万4,000Vに変換され、その後に一次変電所で6万6,000Vまで降圧されます。

このタイミングで、一部は多くの電気を使う大規模工場や鉄道会社に送電され、それぞれの企業内に設置されている変電設備により使用可能な電圧に変換されるシステムです。

残った電気は、二次変電所に送電され、2万2,000Vまで降圧されます。

この際にも、一部の電気がコンビナートや大規模工場などに送電されています。

そして、2万2,000Vに降圧された残りの電気は、配電用変電所に送電される仕組みです。

送電された電気は、配電用変電所で6,600Vまで下げられ、中規模工場や大規模なビルなどへに配電されるシステムです。

6,600Vの電気は、街中の電線にも送られており、この送られた電気を電柱の上に設置されている柱上変圧器により、100Vもしくは200Vに電気を変換し、引き込み線を通じて各家庭に送られます。

太陽光発電で発電・送電ロスが起こる理由

太陽光 発電ロス

太陽光発電で発電ロス・送電ロスが起こる理由は、以下の5つです。

  1. 天候不良
  2. 太陽光パネルの汚れ・破損
  3. 太陽光パネルの経年劣化
  4. 太陽光パネルに影が出来ている
  5. 太陽光発電システムのケーブル破損

①天候不良

発電ロス・送電ロスが起こる1つ目の理由は、天候不良です。

天候は、太陽光パネルの発電に影響を及ぼす要素です。

雨の日では、晴れの日に比べ20分の1から5分の1程度に発電量が下がってしまいます。

また、曇りの日は10分の1から3分の1程度と、発電ロスが大きな状態が続きます。 

さらに、シリコン結晶系である太陽光パネルは熱に弱く、パネル表面の温度が25℃以上の段階で、1℃上がるごとに0.45%の発電ロスが発生します。

つまり、晴れている日でも真夏のような気温が高い時期は、本来の性能を発揮できません。

②太陽光パネルの汚れ・破損

発電ロス・送電ロスが発生する2つ目の理由は、太陽光パネルの汚れ・破損です。

太陽光パネルの表面に汚れが付いていると、発電ロスが増加します。

太陽光発電を設置していると、風や雨によりパネルの表面に塵やホコリだけでなく、鳥のフンなどが付着し汚れてしまうことも多いです。

また、汚れなどにより太陽電池へ光が当たらなくなり、発電効率が低くなるといった問題に繋がってしまいます。

そのため、住宅用太陽光発電における発電ロスを減らすためには、定期的に太陽光パネルのメンテナンスや洗浄をすることが必要です。

③太陽光パネルの経年劣化

発電ロス・送電ロスに至る3つ目の理由は、太陽光パネルの経年劣化です。

太陽光を吸収し発電させるための機器の「太陽光パネル」は、残念なことに経年により必ず劣化してしまいます。

太陽光発電の経年劣化の度合いはメーカーによりさまざまですが、1年ごとに少しずつ、発電量が下がってしまうものもあれば、10年以上経過したタイミングで発電量が一気に下がるものもあります。

④太陽光パネルに影が出来ている

発電ロス・送電ロスが発生する4つ目の理由は、太陽光パネルに影が出来ている場合です。

太陽光パネルの汚れと同じで、太陽パネルに影が出来ていると発電量が下がってしまいます。

影の影響についても、パネルの汚れと同じように、そのパネルに限らず回路全体に影響が及んでしまい、発電量が大きく下がるため注意が必要です。

⑤太陽光発電システムのケーブル破損

5つ目の理由は、太陽光発電システムのケーブル破損です。

太陽光発電に使われているケーブルは、劣化や破損により故障や大きな送電ロスに繋がってしまいます。

送電用ケーブルでは、太陽光発電により発電された電気が流れているため、劣化した場合に電気抵抗の影響により発電ロスが増加してしまいますし、破損したことで発電した電気を使えません。

特にケーブルでは、ネズミなどに噛まれ破損してしまう可能性がある部材で、定期的に点検や交換の必要がある部分です。

太陽光発電の発電・送電ロスを防ぐための対処法

太陽光 発電ロス

太陽光発電の発電ロス・送電ロスを防ぐための対処法は、以下3つです。

  • 定期的にメンテナンスを行う
  • 設置場所の環境を確認する
  • 蓄電池を設置する

定期的にメンテナンスを行う

発電ロス・送電ロスを防止するための1つ目の対処法は、定期的にメンテナンスを行うことです。パネルの汚れや破損などの要因で発電ロス・送電ロスを発生させやすいからです。

太陽光発電は可動部が存在しないため、摩耗やオイルの補充といった必要がないため、メンテナンスフリーと言われることもあり、他の発電装置より手間が少ないのですが、屋外に設置するためどうしても汚れてしまいます。

表面がガラスで出来ているため多少の汚れなら雨で流れますが、鳥のフンや花粉、黄砂などの水で落ちにくい汚れが付着してしまうことも多いので、定期的にメンテナンスや点検を行いましょう。

月に1度、パネルが効率的に電気を発電できる状態を点検してください

設置場所の環境を確認する

発電ロスと送電ロスを防ぐ2つ目の対処法は、設置場所の環境を確認することです。

太陽光発電は、一日の日射量により発電効率が変わります。

発電効率を向上させるには、太陽光パネルを設置する場所や角度の見直しがおすすめです。

太陽光パネルは、1日のどの時間帯においても日影が出来るように、日射量が多い場所に設置しましょう。

周辺に高い建物がある場合、時間帯により影が発生し、発電ロスと送電ロスの要因になってしまう可能性が高くなります。

夕方のような影がかかりにくい時間帯の場合でも、パネルに影がかからないか確認して発電ロスと送電ロスを防ぎましょう。

最も日射量が多くなり、発電効率がよい方角は真南です。南からずれればずれるほど、発電効率は低下しますが、南東や南西なら誤差は4%以内で済むため、設置場所として十分です。

蓄電池を設置する

発電ロスと送電ロスを起こさないための3つ目の対処法は、蓄電池を設置することです。

太陽光発電と蓄電池を一緒に設置することでお互いのデメリットを補うことができます。

  • 太陽光発電のデメリット:
    夜間や悪天候などの、太陽から光エネルギーが受けられない場合、発電ロスが発生する
  • 蓄電池のデメリット:
    単独で発電が不可能であり、外部から電力を供給しない限り充電できず、発電ロスの原因になる 

日中に太陽光発電で発電しておいた電力の余剰分を蓄電池に貯めることで、夜間に貯めた電力が使用可能です。

このように、セットで活用することで、効率的にエネルギーが消費できます

太陽光発電の発電・送電ロスに関する注意点

太陽光発電の発電ロス・送電ロスに関する注意点は、以下3つです。

太陽光発電のエネルギー変換効率は20%程度

現在、国内ではさまざまなメーカーの太陽光パネルが流通し、それぞれで性能が多少変わってきますが、一般的な変換効率は20%程度です。

こちらは世界共通の条件で、太陽の光エネルギーのうち、2割が電力に変えられることを意味しています。 

太陽光発電以外の再生可能エネルギーにおける変換効率や発電効率では、水力発電は約80%、風力発電が約30〜40%、バイオマス発電および地熱発電は約20%です。

その一方で、火力発電は細かい発電の仕組みや燃料の種類などで数値に違いがありますが、約40〜60%の発電効率です。

送電時などは必ずエネルギーロスが発生する

発電所で発電した電気は、超高圧変電所から一次変電所を通り、中間変電所、配電用変電所、柱上変圧器の順で通り住宅や工場、ビルなどに送電されます。

また、電力は送配電線や変電所の消費電力、変圧器の電気抵抗など、いろいろな影響に左右されるため、発電ロスや送電ロスが発生して数%程度減ってしまいます。

発電量シミュレーションに誤りがある場合も

発電シミュレーションには、業者が伝えない「落とし穴」が存在します。

その落とし穴とは、発電シミュレーションを考慮していない発電量の損失です。考慮している場合でも、概算や予想として一律計算されている場合が多いです。

発電シミュレーションの多くは、影の影響による発電ロスが考慮されていません。含まれていても、一律何%で計算されている場合があります。

電圧抑制とは、発電所から電線網に向けて上手く電気が送れず、発電しているにもかかわらず売電できていない状態です。

基本的にどこの業者であっても、電圧抑制は発電シミュレーションで考えられていません。

理由は、実際に設置するまでに、どの程度発生しているか分からないからです。場所次第では、電圧抑制が多く発生し、順調に売電できないケースもあります。

まとめ

太陽光発電における発電ロスと送電ロスが発生する理由には、天候不良や太陽光発電システムのケーブル破損などがあります。

発電ロスと送電ロスを起こさずに効率よく発電や送電するためには、定期的にメンテナンスを行って発電ロスと送電ロスを防止したり、設置場所の環境を確認したりすることが必要です。

また、太陽光発電を導入するにあたり、太陽光発電のエネルギー変換効率は20%程度なこと、発電量シミュレーションが間違っている可能性もありますので注意しましょう。

太陽光発電を導入したい方は、今回紹介した発電ロス・送電ロスの原因、対処法、注意点について十分理解することが大切です。

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この記事を書いた人

ikebukuro

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