パワーコンディショナー(パワコン)とは?太陽光発電を最大活用するための選び方やおすすめメーカー解説
- 公開日:2025.05.22
- 更新日:2025.05.22

深刻化する環境問題への対策として、太陽光パネルを利用した発電を導入する企業が増えています。
パワコン(パワーコンディショナー)とは、太陽光パネルを使って発電した電力を家庭で使える電力に変換するための部品です。
パワコンには、太陽光発電で発生した電気を家庭で使えるようにするだけではなく、太陽光発電システム全ての働きを高効率化する機能も備わっています。
太陽光発電を導入しようと考えているなら、家庭用太陽光パネルに必須なパワコンの概要や選ぶ際のポイントについて理解することが大切です。
パワコンにかかる費用を節約する方法や、おすすめのメーカーについても紹介していきますので、しっかりと理解し最適なパワコンを選べるようになりましょう。
目次
太陽光発電のパワコン(パワーコンディショナー)とは
パワーコンディショナーとは、パワコンやPCS(Power Conditioning System)と呼ばれることもあり、太陽光パネルを利用して発電した電力を、家庭で使える電力に変換するものです。
引用:パナソニック 太陽光発電システム:住宅用パワーコンディショナ
パワーコンディショナーは、太陽光発電により発生させたままでは使用出来ない電気を、家庭で使える電気に変えることに加え、太陽光発電システム全体を効果的・効率的に稼働させるといった重要な役割を担っています。
普段、私たちが日常的に家庭で使っている家電製品などは、電力会社から送られてくる「交流電力」が使われており、太陽光発電システムで発電した電気は「直流電力」のため、そのままでは家庭で使用できません。
そのため、パワーコンディショナーで直流電力から交流電力への変換が必要です。
太陽光パネルで発電した直流電力をパワーコンディショナーへ送電し、交流電力に変えて分電盤へ送ります。
このとき、すべての直流電力を交流電力に変えられるわけではなく、変換時には少量のエネルギーロスが発生します。
変換効率はパワーコンディショナーの性能を表しており、数値が高ければ高いほど商品の価格も高くなります。
太陽光発電におけるパワコンの役割
ここからは、太陽光発電におけるパワコンの3つの役割を下記で解説します。
- 家庭やビルで使える交流電力に変換する機器
- トラブルが発生しても事故を防ぐための機能が備わっている
- 日照時間に関わらず安定して電力を発電させられる
①家庭やビルで使える交流電力に変換する機器
パワーコンディショナーは、家庭やビルで使える交流電力に変換する機器でもあります。 具体的には、発電された直流電力を安定した交流電力に変換して、電力の波形や周波数を調整する役割があるのが特徴です。
このような取り組みによって、安定して家庭や工場用途などに電力を供給できるのです。
②トラブルが発生していも事故を防ぐための機能が備わっている
停電などのトラブルが発生した場合、パワーコンディショナの出力を遮断し、事故を防ぐ「系統連系保護機能」が搭載されています。
事故やトラブルを防ぐために、過電圧・電力不足や系統電力の停電を検出したりすることで、トラブルがあった場合は、太陽光発電システムを系統から離して保護する機能が搭載されています。
③日照時間に関わらず安定して電力を発電させられる
太陽光発電は、日照時間や天候によって発電量が左右されがちです。例えば、曇の日が続くと発電量が減り、電気が使用できなくなる場合もあります。
具体的には、発電量を最大化するための「最大電力点追従制御」が搭載されています。
このような機能が搭載されていることにより、日照時間に関わらず安定して電力を発電させられるのです。
パワコンには2種類ある
ここからは、2種類のパワコンについて、下記でそれぞれ解説します。
- 単相パワコン
- 三相パワコン
単相パワコン
単相パワコンの特徴は、下記の通りです。
- 電気を受ける線と電気を送る線の2本で交流の電気を送受信する
- 配線が簡単にできる
- 安全性が高く電圧が低い
単相パワコンは、単相回路に接続されるパワコンです。配線によって、100Vと200Vを使い分けられます。ほかにも、電流の波形が同じであるのもポイント。
安全性が高く、小型でコストが安いため、家庭用や小規模の太陽光発電設備に使われています。ただし、大規模太陽光発電設備には向いていません。
三相パワコン
三相パワコンの特徴は、下記の通りです。
- 3本の線で電気を送れる
- 単相よりも多くの電気を送れるので、工場などの産業用太陽光発電に使われることが多い
- 扱う電力が大きいので、単相と比較すると安全性が低い傾向にある
三相パワコンは、三相回路に接続され、200Vの電圧に対応しています。
大容量に対応でき、発電効率が高いのが特徴です。電力需要が多い場合でも安定して電力供給ができるので、工場や産業用太陽光発電に使用されています。
ただし電圧が高いため、単相パワコンに比べると安全性は低い傾向です。
パワコンの価格相場
資源エネルギー庁によると、2023年のパワコンの平均コストは、産業用(10kW以上)で3万円/kW、住宅用(10kW未満)で4.7万円/kWとなっています。(参考:太陽光発電について 資源エネルギー庁)
家庭用では3~5.5kWの容量のパワコンを設置することが多いので、1件あたり12~40万円程度になるでしょう。
産業用では、容量が大きくなるほど1kWあたりの価格は安くなる傾向があります。また、小さな容量のパワコンをたくさん繋ぐか、大型のパワコンを置くかなどでも価格は異なります。
容量が出力50Wの場合では、50万円~150万円程度の費用がかかるでしょう。
パワコンにかかる費用を節約する方法は、以下2つです。
自分でパワコン本体を購入して取り付けだけ業者に依頼する
自分でパワコン本体を購入し、取り付けだけ業者に依頼することで、パワコンにかかる費用を節約できます。
見積もりから製品調達、施工までをすべて施工販売店にお願いしようとする場合、多額の費用が必要です。
しかし、ある程度の知識を所有していれば、最適な製品の選定、価格と保証内容を比較し自分で選ぶことで、そのような費用を削減できます。
太陽光パネルの「過積載」で容量を下げる
過積載の容量が大きいほど、設置するパネルの数が増えてコストも増加します。
そのため、どれほどの容量が必要なのかしっかりと検討し、無駄に過積載しないことや、このコスト増をカバーできる発電量UPがあるか検討することが重要です。
また、過積載のやり過ぎはメーカーの保証対象外になったり、故障の原因にも繋がったりする可能性があるため注意しましょう。
太陽光発電のパワコンを選ぶ際のポイント
太陽光のパワコンを選ぶ際のポイントは、以下4つです。
- コストパフォーマンスで選ぶ
- 変換効率で選ぶ
- 設置しやすいサイズ感を選ぶ
- 太陽光パネルと同じメーカーを選ぶ
コストパフォーマンスで選ぶ
家庭用パワーコンディショナーでは、15万円程度かかるのが一般的です。
価格は最大定格出力によって変わり、4.0kW程度であれば15万円程度、1kW変わるごとに30,000円程度変わってきます。
最大定格出力だけでなく、変換効率や搭載機能でも価格は変わります。同スペック帯でもメーカーによって価格が違うこともありますので、相見積りで複数のパワーコンディショナーを比べることが重要です。
また、パワーコンディショナーのメーカー保証は10年〜15年程度が多いです。パワーコンディショナーの寿命も10〜15年程度のため同程度の保証期間であり安心できます。
しかし、太陽光パネルの寿命が20年程度あることを考慮すると、途中で交換が必要なことを理解しておきましょう。
変換効率で選ぶ
変換効率とは、太陽光パネルで発電した直流電気を、家庭で使えるように交流電気に変換する際の変換割合のことです。
一般的なパワーコンディショナーは変換効率が95%前後であり、変換効率の数値が高ければ高いほど、効率よく変換できます。
設置しやすいサイズ感を選ぶ
パワコンは熱くなると変換効率が低下してしまうため、日陰に置くのが望ましいです。
しかし、日陰に置こうにもスペースには限りがあるため、設置しようとしている場所に対応したサイズかどうか、確認することが重要です。
複数代のパワコンを設置する場合は、メーカー次第ではある程度距離を確保する必要があります。
このように求められた条件で、計画した場所に設置できるのかどうか、確認することが必要です。
パワコンの場所を先に決めた場合、製品によっては、計画通りに設置できないということにもあり得ますので、注意して下さい。
太陽光パネルと同じメーカーを選ぶ
太陽光パネルとパワコンは同じメーカーで揃えると、性能の全てを活用できるためおすすめです。
ただし、太陽光パネルとパワコンのメーカーが違っても、動作確認が行われていてメーカーが推奨している場合には、使用しても問題ありません。
太陽光パネルとコンディショナーで異なるメーカーを組み合わせると、内容によっては正常に動作せず、故障の原因となる場合があります。
既設のパワコンとは入力可能な電圧や電流の上限や範囲が違う場合がありますので、詳細については販売会社への確認が大切です。
太陽光発電のパワコンにおすすめのメーカーランキング
太陽光のパワコン購入で、おすすめのメーカー5選を紹介します。
- 安川電機
- ファーウェイ
- オムロン
- 京セラ
- ダイヤゼブラ電機(旧:田淵電機)
安川電機
「CEPT-P2HA29P9B」の仕様
価格帯 | 45万円前後 |
変換効率 | 最大94% |
サイズ感 | W600mm×H540mm×D310mm |
太陽光パネルの取り扱い | あり |
公式HP | 安川電機 |
安川電機のパワコンには「塩害オプション」という機能が搭載されており、海岸沿いの塩害地域でも導入可能です。「CEPT-P2HA29P9B」は、安川電機社の三相9.9kWのパワーコンディショナを採用。鋼板製で絶縁トランス不要のタイプとなっています。
また、マイナス20℃までの寒さにも対応しているため、寒冷地域でも使用できます。太陽光発電では急激に出力が低下してしまう「PID現象」が起こることも多いです。
PID現象は、太陽電池を高電圧化で使った場合に起こる一種の劣化現象であり、発電出力が20〜30%低下してしまいます。安川電機のパワコン(CEPT-P2HA29P9B)は、このような太陽電池の出力低下にも対応しているため、これまで接続できなかった太陽電池にも接続が可能です。
また、高周波トランス絶縁方式を採用すれば、外部の商用トランスを別途設置する必要もなく連系が可能となり、費用のコストダウンにも繋げられます。
ファーウェイ
「SUN2000-111KTL-NHM0」の仕様
価格帯 | 要見積もり |
変換効率 | 98.8% |
サイズ感 | 1080×700×365mm |
太陽光パネルの取り扱い | あり |
公式HP | ファーウェイ |
日本パワコンメーカーでは、過積載率200%のパワーコンディショナーが存在しますが、ファーウェイのパワコンは300%以上の過積載が可能です。
これほどの過積載が必要な場合は少ないかも知れません。
またヒューズレス仕様により、直流側の火災のリスクを回避してくれるのが特徴です。ほかにも、IP66防止防塵保護等級・全ストリングに高精度計測機能を装備されています。
将来的に発電所に蓄電池を併設する場合を考えると、過積載率が高いパワーコンディショナーを使用するほうが、将来的な発電所の価値を高める可能性があります。
オムロン
「KPW-A55-2PJ4」の仕様
価格帯 | 25万円前後 |
変換効率 | 96% |
サイズ感 | 450×484×232mm |
太陽光パネルの取り扱い | なし |
公式HP | オムロン |
オムロンのパワコンは最大99.8%と高い変換効率が特徴です。従来型のパワコンと比較すると、最大で10%の電力ロスの削減が期待できます。
さらに、国産メーカーならではの耐久性の高さもメリットの1つです。
寒暖差にも強く、メンテナンスフリーで安定的に長期間使用できます。過積載でもメーカー保証に対応でき、たくさん太陽光パネルを屋根に載せたい方におすすめですよ。
また、「高速・高精度負荷追従」技術でRPRが不要。最小限の機器・工数で最大限の「完全自家消費」をしたい場合に最適です。
オムロンは太陽光パネルの生産を行っていませんが、他メーカーの太陽光パネルと使用可能です。
京セラ
「PVN-406」の仕様
価格帯 | 38万円前後 |
変換効率 | 96.0% |
サイズ感 | 460×280×157mm |
太陽光パネルの取り扱い | あり |
公式HP | 京セラ |
京セラのパワーコンディショナーには、小型・軽量で、筐体内の通気性が高い特徴があります。
そのため、多くのパワーコンディショナーで必要になる冷却ファンが不要であり、高い静粛性が確保されています。
省スペースでコンパクト。発電電力量が見やすいLED表示してくれます。また、自立運転出力用コンセント(停電用コンセント)1つあたり最大1,500Wまでの使用が可能です。
パナソニック
「VBPC255GS2」の仕様
価格帯 | 50万円前後 |
変換効率 | 96%(最大効率96.5%) |
サイズ感 | 405×478×211mm |
太陽光パネルの取り扱い | あり |
公式HP | パナソニック |
パナソニックは、100年以上に及ぶ業績を持つ有数の電機メーカーで、太陽光発電設備の開発にも積極的に取り組んでいます。
パナソニックが1992年に開発した住宅用太陽光発電システムは、日本初の逆潮流対応でした。その後も数々の太陽光発電設備開発を推進しており、パワコンも変換時に発生しがちな電力ロスが少ないと定評があります。
パナソニックのパワコンは設置場所に合わせて構成を選べるので、屋内用でも屋外用でも屋内外兼用でも、集中型とマルチストリング型のどちらか好きな方を選択できます。
デメリットは本体価格が他社より高めなことですが、長期間にわたって安定した性能を維持するパワコンなので、総合的に見ればコストはそれほど大きなデメリットになりません。
太陽光発電のパワコンに関するFAQ
太陽光発電のパワコンに関するFAQを5つ紹介します。
パワコンは自分で設置できる?
パワコンの交換では、電気工事が必要なため「電気工事士」の資格が必要です。
そのため、電気工事士の資格を所有している方であれば、パワコンを自分で設置できます。
しかし、パワコンを自分で設置することはおすすめできません。
理由は、電気工事は常に感電の危険があり、家庭用100Vの電気でも死亡する可能性があるからです。
また、パワコンの内部は非常に複雑であり、たとえブレーカーを切っている場合でも、コンデンサーが放電しきっていないところに触れてしまうと感電する恐れがあります。
電気工事が上手く出来ていない場合、太陽光発電以外の照明や家電製品も使えなくなってしまったり、火事に繋がってしまったりする可能性もあります。
このようにパワコンの設置には、さまざまな危険が伴うため、設置は業者に依頼するのがおすすめです。
パワコンの耐用年数は?
パワコンは電化製品のようなものなので太陽光パネルと比べると寿命は短く、一般的に10〜15年です。
また、故障も多いため、20年間売電する場合は、1度はパワコンを交換することになります。
メーカーの保証期間は、10年になっていることが多いですが、メーカー次第では有償で20年に保証期間を延長することも可能です。
パワコン交換費用はいくら?
パワコンの平均価格は、産業用で3万円/kW、住宅用で4.7万円/kWほどです。この本体価格にプラスして工事費が発生します。
例えば、5kWの住宅用太陽光発電システムでパワコンを交換する場合は、30~40万円程度費用がかかるでしょう。
ただし、パワコンのメーカー保証期間中であれば、交換費用や修理費用は無償です。
パワコンと蓄電池の違いは?
ハイブリッド蓄電池と一般的な単機能型蓄電池の最も大きな違いには、変換効率があります。
太陽光発電システムによって発電される電気は「直流」であり、日常的に家庭で使われている電気は「交流」と種類が異なります。
そのため、発電した電力をそのまま家庭のコンセントで使用するのは不可能です。
そこで、パワコンを利用することで、直流電力を交流電力に変え、家庭での使用を可能にします。
その一方で、蓄電池は太陽光発電システムで発電した電力を蓄える役割のため、蓄えられる電気の種類は「直流」で、家庭で使用するためにはパワコンを利用して交流に変換する必要があります。
パワコンが故障するとどうなる?
パワコンが故障したときの症状には以下のようなものがあります。
- 発電量が極端に減る
- 発電がストップする
- パワコンのモニターにエラーコードが表示される
晴れているのに発電量が少なかったり、全く発電できていなかったりする場合、パワコンの故障が疑われます。日頃から、どれくらい発電量をチェックしておくようにすると良いでしょう。
また、モニターにエラーコードが表示されることもあります。
故障の症状が出た場合には、設置を依頼した業者にメンテナンスを依頼してください。そのまま使い続けると、最悪の場合出火する恐れもあります。
まとめ
パワーコンディショナーとは、太陽光発電により発生させた直流の電気を、家庭で使えるように交流の電気に変えることに加え、太陽光発電システム全体を効果的・効率的に稼働させるといった重要な役割を果たす機器です。パワコンと呼ばれることもあります。
パワコンを選ぶ際のポイントには、コストパフォーマンスや変換効率、設置サイズなどがあります。
また、自分でパワコンを購入し設置のみ業者に依頼をしたり、太陽光パネルの「過積載」で容量を下げたりすることで、コストを抑えることが可能です。
パワコンは購入するメーカーにより、変換効率や保証期間などが変わってくるため、複数のメーカーを比較し最適なパワコンを選びましょう。
この記事を書いた人
ikebukuro