太陽光発電の定期報告(年次報告)書き方・報告方法解説!忘れたらFIT取消?
- 公開日:2025.10.20
- 更新日:2025.10.20
太陽光発電の定期報告の書き方・提出書類・注意点などを解説します。
太陽光発電は、再生可能エネルギーの1つとして国による普及が進められており、FIT認定を受けた太陽光発電設備の所有者には、FIT制度により1年に1回の『定期報告』が義務付けられています。
定期報告は、「運転費用」「設置費用」「増設費用」の3種類でそれぞれ報告期日や必要な書類が異なります。報告忘れや間違いがあると、罰則を課せられたり、固定価格買取制度が適用されなくなる可能性がるため注意が必要です。
目次
太陽光発電のFIT認定維持には定期報告が必要
2018年7月から、再生可能エネルギーを設置・運転・増設した場合にかかる費用を経済産業省に報告することが義務づけられました。
定期報告は発電所ごとに必要となるので、発電所を2基所有している場合は、まとめて報告したり、2年分をまとめて報告することはできません。
必ず、1基ずつ年に1回報告するようにしてください。
定期報告書の提出方法は、電子申請マイページからとなります。
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太陽光発電の定期報告の期限
太陽光発電の定期報告は以下の時期に報告します。
- ①発電設備の運転開始日から1ヶ月以内に設置費用報告(増設した場合には増設日から1ヶ月以内に増設費用報告)
- ②発電設備の運転開始月又はその翌月、毎年1回運転費用報告
例えば、運転開始年月日が2025年5月1日の場合の報告期日は以下の通りになります。
- 設置費用報告期日:2025年6月1日
- 運転費用報告期日:毎年6月末(前年5月1日~4月末までの費用を報告)
参考:資源エネルギー庁
太陽光発電で必要な定期報告は3種類ある

太陽光発電の定期報告には、下記の3種類あります。
- ①設置費用報告
- ②運転費用報告
- ③増設費用報告
それぞれの報告の詳細と報告の際に必要な書類について説明していきます。
①設置費用報告
設置費用報告は、初期の設置費用の報告です。
10kW以上の太陽光発電を設置した場合と、10kW未満かつJ-PECの補助金を受けていない太陽光発電を設置した場合は、発電開始から1ヶ月以内に報告しなければなりません。
所要時間は20分程度かかります。設置費用報告の入力は施工店にお願いしましょう。
施工店が倒産している場合などは、下記の書類を元に入力します。
- 受給契約書(電力会社によっては検針票でも可)
- 工事負担金のお知らせ
- 設置時のお見積書
- 工程表
②運転費用報告
運転費用報告は、年間のランニングコストと収入の報告で、10kW以上の太陽光発電を設置した場合に、発電設備が運転開始した月の翌月末までに毎年1回報告する必要があります。
10kW未満の場合は、経済産業大臣から求められた場合のみ提出が必要です。
対象者となるのは以下の通りです。
- 住宅用太陽光発電以外の認定を受けたすべての再生可能エネルギー発電事業者
- 住宅用太陽光発電は経済産業大臣が求めた場合にのみ対象(特例太陽光発電設備(設備IDの冒頭がFの設備)は不要)
必要書類は以下の通りです。
- 受給契約書
- 各契約書一式(保守管理、土地の賃貸借契約など)
- 毎月の検針票
- 決算書等
③増設費用報告
太陽光パネルやパワーコンディショナーを増やし、出力を増加させた日から1ヵ月以内に報告する必要があります。
基本的には施工店の入力となります。(ただし、原則、増設後も10kW未満であれば報告する必要はなく、経済産業大臣から提出を求められた場合のみ報告)
増設費用報告の入力の所要時間は20分程度で、必要書類は見積もり書です。
資源エネルギー庁のホームページには、電子入力の操作方法のマニュアルがあるので、間違えないように確認しながら入力しましょう。
太陽光発電の定期報告のやり方・提出書類
太陽光発電の定期報告のやり方を、電子・郵送それぞれで行う場合の方法を解説します。
再生可能エネルギー電子申請で定期報告する場合
太陽光発電の定期報告を電子で行う場合は、下記の手順で行うようにしましょう。
- ①再生可能エネルギー電子申請ホームページにアクセスしログイン
- ②定期報告を開始
- ③記載が完了したら提出する
- ④登録完了メールを受信
- ⑤差戻しメール受信(内容に不備がある場合のみ)
- ⑥定期報告を修正(内容に不備がある場合のみ)
- ⑦受理メールを受信
再生可能エネルギー電子申請ホームページは、こちらをクリックしてください。すでに新規登録している場合は、画面右上にある「ログイン」をクリックしましょう。
ログインする際は、ログインIDとパスワードが必要です。無事にログインできたら、上記の手順に従って定期報告を進めていってください。
郵送で定期報告を行う場合
太陽光発電の定期報告を電子でできない場合は、郵送で定期報告をする必要があります。
インターネットから様式のダウンロードや印刷を行うことができる場合は、下記の様式をダウンロードした上で、経済産業省が委託した代行申請機関(一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター(JP-AC))(住所等は下記参照)に郵送で送るようにしてください。
【宛先】
| 一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター 報告グループ 〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目23番1号 第3東洋海事ビル2階 TEL:0570-07-8210 |
また、様式をダウンロードや印刷ができない場合は、書式を取り寄せる必要があります。
下記の住所に、
- 住所
- 氏名
- 連絡先(携帯電話等)
- 設備規模(10kW未満、10kW以上)
- 報告区分(設置費用報告、運転費用報告、増設費用報告)
上記を楷書にて明記(様式自由)し、切手140円分を封筒に入れ、封筒表面に「定期報告様式送付依頼」と大きく記載し、送るようにしてください。その際、返送用封筒の同封は不要です。
【宛先】
| 一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター 報告グループ 〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目23番1号 第3東洋海事ビル2階 TEL:0570-07-8210 |
太陽光発電の定期報告に関する注意点

太陽光発電の定期報告を行う際、気を付ける点について解説します。
定期報告を忘れると罰則の対象になる
定期報告を忘れていたり、期限が過ぎてしまうと、改正FIT法第12条に基づき経済産業大臣による指導の対象となってしまいます。
指導内容自体は明記されていませんが、FITの認定取り消しとなり、売電できなくなる可能性があります。
期限超過に気付いたら、まず速やかに設置費用(または増設費用)報告をオンラインで提出し、遅れた理由も簡潔に添えておきましょう。
すでに指導や催告の案内が届いている場合は記載の期限と提出先に従い、不明点は所管の経済産業局や資源エネルギー庁の窓口へ相談すると安全です。
代行のJPEAは電話が通じにくいことが多い
JPEA(一般社団法人 太陽光発電協会)では、定期報告などの申請を代行してくれるサービスがあります。
ただし、JPEAは電話がつながらないことで有名なので、期限ギリギリではなく余裕を持って連絡することをおすすめします。
太陽光発電の定期報告に関するよくある質問
太陽光発電の定期報告に関するよくある質問について取り上げます。
太陽光発電の定期報告を忘れてしまうとどうなる?
太陽光発電の定期報告は、所有者の義務です。
万が一定期報告を怠ったり忘れてしまったりすると、経済産業大臣から指導が入り、最悪の場合はFIT認定を取り消される可能性があります。
忘れていることに気付いたら、まず速やかにオンラインで設置費用(または増設費用)報告を提出し、遅れた理由も簡潔に記入してください。
すでに通知が届いている場合は記載の期限と提出先に従い、不明点は所管の経済産業局や資源エネルギー庁の窓口に確認すると安心です。
太陽光発電の運転費用報告とは何ですか?
太陽光発電の所有者の義務である運転費用報告は、経済産業省に太陽光発電の運転にかかった費用を報告することをいいます。
これも定期報告と同様に、10kW以上の太陽光発電を所有している場合に、発電設備が運転開始した月の翌月末までに年に1回報告する必要があります。
太陽光発電の定期報告は10kW未満でも必要?
結論として、定期的な報告は不要です。
ただし、運転開始から1か月以内に設置費用の報告を行いましょう。
年1回の運転費用報告は、経済産業大臣から求められた場合にのみ必要です。
太陽光発電のメンテナンス頻度は?
太陽光発電のメンテナンスは、住宅用・産業用ともに義務化されています。
住宅用の場合、設置後1年後に1回、その後は少なくとも4年に1回のペースで保守点検を行ってください。
点検時期に関わらず、日頃から発電量をチェックして、急に発電量が下がったりエラーメッセージがでたりした場合は、早めにメンテナンスを依頼しましょう。
また、野立ての産業用太陽光発電の場合は、清掃・除草作業が年に2~3回必要になります。
まとめ
「定期報告」と聞くと面倒なイメージが先行しがちですが、太陽光発電では3種類の定期報告をしなければならないので、記入に必要な書類や入力方法、間違いやすい点を押さえる必要があります。
定期報告のやり方を間違えたことによって固定価格買取制度の適用が除外される事態になってしまってはもったいないので、定期報告のやり方と提出書類をしっかりと確認した上で定期報告を行い、FIT認定を維持していきましょう。
この記事を書いた人
ikebukuro



