地熱発電の仕組みとメリット・デメリットをわかりやすく解説!日本で普及しない理由は?

  • 再生可能エネルギー
  • 公開日:2026.01.07
  • 更新日:2026.01.07
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「地熱発電」の仕組みやメリット・デメリット、日本や世界での普及状況について解説していきます

地熱発電は再生可能エネルギーを利用した発電方法の1つです。マグマの熱や蒸気を利用するため、火山大国である日本の環境に向いていると言われています。しかし、日本での普及率はあまり高くないのが現状です。

脱炭素社会が世界の国々の目標となっている現在において、風力発電や水力発電、太陽光発電などと同様に注目されている地熱発電。今後の展望や普及に向けた取り組みなどについて詳しく紹介します。

地熱発電とは?仕組みをわかりやすく解説

参考:経済産業省

地熱発電とは、地球の中心から発生している地熱という熱を地中の奥深くから取り出し、水を沸騰させ生じた蒸気や、地中に存在している蒸気を利用してタービンを回転させ発電する方法をいいます。

火力発電では化石燃料を燃焼させることで蒸気を発生させますが、地熱発電の場合は地球自体がボイラーの役目をしているといえるでしょう。

地熱地帯の深さ数キロメートルに存在する1,000℃前後のマグマだまりの熱を利用し、発生させた蒸気を利用してタービンを回転させて行います

英語では「geothermal power generation」と訳されます。

関連記事:火力発電の仕組みとメリット・デメリットをわかりやすく解説

日本の地熱発電のポテンシャルは世界3位

日本は地熱発電のポテンシャルにおいて、世界で3位に位置しています。これは、地熱資源が豊富であることを示しており、特に火山活動が活発な地域が多い日本においては、地熱エネルギーの利用が期待されています。

日本にはすでに約100箇所以上の地熱発電所が存在し、主に北海道・東北地方・九州地方に集中しています。

また近年、日本政府は、再生可能エネルギーの導入を促進する政策を進めており、地熱発電のさらなる開発が期待されています。技術革新や資源調査の進展により、未開発の地熱資源の利用が進むことで、地熱発電のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能です。

地熱発電は2種類ある

地熱発電には、フラッシュ発電法以外にもうひとつバイナリー発電法とがあります。

ここでは、2種類の地熱発電の発電方法について解説します。

フラッシュ発電方式

フラッシュ発電方式とは、別名蒸気発電方式とも呼ばれる地熱発電の種類の一つです。日本の地熱発電のほとんどはこのフラッシュ方式が使われています

地熱が溜まっている地下の層から約200℃から350℃の蒸気と熱水を取り出して、気水分離機を使い熱水と蒸気に分離し、分離した蒸気によりタービンを回転させて発電させる方式のことをいいます。

気水分離機で分離された熱水は、還元井と呼ばれる井戸を通して再び地下に戻されます。

また、一般的なフラッシュ方式(シングルフラッシュ)を改良した方法として、ダブルフラッシュ方式があります。

シングルフラッシュ方式では、地熱の蒸気を一度だけ取り出して発電しますが、ダブルフラッシュ方式では、最初に分離した後に残る熱水からも、もう一度蒸気を取り出して発電に使います。

これにより、地熱エネルギーをさらに無駄なく利用でき、発電効率が高くなります。

バイナリー発電方式

参考:地熱発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー

バイナリー発電方式とは、地熱で沸点が低い媒体(蒸気となりタービンを回転させるもの)を沸騰させることにより、発生する蒸気でタービンを回転させて発電を行う方法です。

媒体には、沸点が約-33℃のアンモニアや約36℃のペンタンをなどを使用します。媒体は、沸騰し蒸気となりタービンを回転させた後、凝縮器により液化されて、再び発電に利用されます。

フラッシュ方式では200度前後の高温地熱が必要ですが、バイナリー方式では80~150℃程度でも発電可能です。そのため、利用できる地熱地帯の範囲が広がり、運転の維持管理もしやすくなります。

また、利用した蒸気や熱水はタービンに触れずに地中に戻されるため、周囲の温泉への影響が少なく、観光地でも導入しやすいです。

地熱発電のメリット

地熱発電の4つのメリット

地熱発電には多くのメリットはありますが、ここではそのメリットのうち代表的なことを解説していきます。

  • ①温暖化の原因になるCO2をほぼ排出しない
  • 純国産のエネルギーで発電できる
  • ③天候によって発電量が左右されない
  • ④資源が永久的にある
  • ⑤発電後の熱水や蒸気も再利用可能

①温暖化の原因になるCO2をほぼ排出しない

地熱発電では、火力発電のように化石燃料を燃焼させることなく発電を行うため、CO2(二酸化炭素)をほぼ排出しないというメリットがあります。

kWhあたりのCO2排出量は石炭による火力発電で発電を行った場合は975g、石油による火力発電で発電を行った場合は742g、同じく再生可能エネルギーである太陽光発電を行った場合は53g、同じく再生可能エネルギーの風力発電を行った場合は29gであるのに対して、地熱発電の場合には15gと圧倒的に少なくなっています。

そのため、再生可能エネルギーを利用した発電方法の中でも群を抜いてCO2の発生量が少なくなっています

地熱発電で発電を行うことで、よりCO2の発生を抑制したクリーンな電気を生み出すことが可能になります。

②純国産のエネルギーで発電できる

地熱発電は、国内に存在する地熱資源を利用して発電するため、エネルギーの自給自足が可能です。これにより、外国からのエネルギー依存度を低減し、エネルギー安全保障を強化することができます。

また、日本の火力発電は、主に化石燃料(石油、天然ガス、石炭)を使用しています。これらの燃料はほとんどが輸入に依存しており、国内での生産は限られています。そのため、火力発電に依存することで、エネルギー自給率が低下します。

火力発電は、温室効果ガスの排出が多く、気候変動に対する影響が大きいです。これにより、国際的な環境規制や政策に対する適応が求められ、長期的には持続可能なエネルギー供給が難しくなる可能性があります。

③天候によって発電量が左右されない

地熱発電は地中の熱を利用して発電を行うので、自然現象によって発電効率が左右されないというメリットがあります。

太陽光発電はパネルを敷き詰め太陽光をエネルギーとして発電し、風力発電では風の力をエネルギーとして利用し風車を回転させ発電します。

太陽光発電の場合は太陽光を利用して発電を行うため、夜は発電を行うことはできません。また曇りや雨が降っているときなどにはその発電効率は著しく低下するため、太陽光発電は天候の影響を受けやすいです。

また、風力発電においても風の強さは常に一定ではないため、風の強さにより発電効率に影響が出ます。

関連記事:太陽光の発電量は天候に左右される?曇り・雨の日との比較や効率を上げるポイントを解説

④資源が永久的にある

地熱発電は、地中に存在するマグマが発する地熱を利用するため、資源が無くなるということは地球が存在する限りありません

火力発電に用いる石油燃料には、埋蔵量に限りがあるため、それを使い果たしてしまうとそれ以上発電を行うことが不可能になります。

将来に渡り火力発電を続けようとする場合には、代替燃料や発電方法を開発する必要があります。

このように安定的かつ長期に渡って発電を続けられるという点も地熱発電のメリットです。

⑤発電後の熱水や蒸気も再利用可能

地熱発電は、井戸水や河川水等と熱交換して温水として利用する方法もあります。具体的には、発電後の熱水利用(ハウス栽培や養殖事業)といった、エネルギーの多段階利用が可能です。

このような再利用を行うことによって、地域と共生した開発ができます。地熱発電は、エネルギーをさまざまな方法で利用できるため、熱水利用などを行いたい方におすすめです。

地熱発電のデメリット・課題

地熱発電の3つのデメリット

前章では地熱発電のメリットを紹介しましたが、地熱発電にはデメリットもあります。ここではそのデメリットについて解説していきます。

  • ①発電効率が他の発電方式に比べて低い
  • ②発電所を作るための費用が高額
  • ③立地条件が限定される

①発電効率が他の発電方式に比べて低い

地熱発電は、地中の熱を利用し蒸気を使ってタービンを回転させ発電機を動して発電します。

電気を作り出すしくみは、原子力発電や火力発電と全く同じですが、使用する水蒸気の温度が火力や原子力により生じさせるものよりも低温であるため発電効率が低く、その数値は約10%から20%に留まっています。

関連記事:【原子力発電のメリット・デメリット】仕組みや日本・世界の稼働状況などわかりやすく解説

②発電所を作るための費用が高額

地熱発電所を作る際には、その前段階として地下1,000メートルから3,000メートルという深さを掘削し、その土地が地熱発電を行うのに向いているかどうかを調べる必要が出てきます。

この調査だけでも長い時間と莫大な費用が必要です。

さらに開発段階においても複数の井戸を掘削しなければならず、掘削に必要となる費用は一本につき数億円にも上ります。

この井戸の掘削費用は、地熱発電の開発費用のうち約30%を占めていて、コストが高くなるというデメリットがあります。

また地熱発電所は山の中に建設されることが多く、送電線の建設を行う必要もあり、これにもコストがかかります。

調査も含めると開発期間は10年かそれ以上にも及ぶため、時間と費用の面で大きな負担が生じてしまいます

③立地条件が限定される

日本は火山帯国なので、多くの地域で大規模な地熱発電が可能だと思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。地熱発電を行うには、フラットな土地でなおかつ火山の近くであることが重要でしょう。

なぜなら、地熱発電を行うことが可能な場所が存在しても、その多くが国立公園となっていたり、温泉街として栄えていたりするため、大きな規模の地熱発電所を建設することができる場所が非常に少ないためです。

そういった土地は北海道や九州、東北地方などに限定されてしまうので、適している立地を探すのは難しいと言えます。

このような理由から、日本に大規模な地熱発電所を新たに設置することは困難です。

日本の地熱発電の割合・普及率

まずは、現在日本で地熱発電がどの程度普及しているのか、最新のデータを確認して見ましょう。

日本のエネルギーの電源構成

2024年の発電電力量の電源別割合は以下の通りです。

出典:特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所

日本国内のエネルギー電源構成を見てみると、石炭が28.3%・LNGが29.1%と同じぐらいの割合になっているのが分かります。

自然エネルギーの全発電電力量に占める割合は26.7%です。2014年は12.1%だったことを考えると普及が進んできていると言えるでしょう。

地熱発電の発電割合

地熱発電が占める発電割合の推移は次の通りです。

出典:特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所

電源構成全体の約0.3%と最も低い割合となっており、割合はほとんど横ばいです。

ただし、発電量は少しずつではありますが増加しており、2023年には30億kWhから34億kWhになっています。

年度 発電量
(億kWh)
2011 27
2012 26
2013 26
2014 26
2015 26
2016 25
2017 25
2018 25
2019 28
2020 30
2021 30
2022 30
2023 34

出典:2023年度エネルギー需給実績(確報)資源エネルギー庁

日本の地熱発電への取り組みと今後の展望

日本政府の地熱発電に関する目標や、実施している取り組みについて解説します。

  • 2030年までに発電容量最大約1.55GW(経済産業省)
  • 次世代型地熱技術の技術開発・実証事業(経済産業省・企業)
  • 2040年以降に発電コストを12~19円/kWh(経済産業省)
  • 地熱資源開発の規制緩和・環境アセス期間の短縮(環境省)
  • 地熱発電の資源量調査事業費助成金交付事業(JOGMEC)

経済産業省の資源エネルギー庁はエネルギー基本計画において、2030年までに地熱発電設備容量を最大で約1.55GWとすることを目標としています。現在の容量が約0.65MW程度ですので、2倍以上に増える計画です。

また、資源エネルギー庁が主催する次世代型地熱推進官民協議会には、電力会社や建設会社・研究機関などが参加し、次世代型地熱技術の技術開発・実証事業を推進中です。

2030年代早期の実用化を目指し、2040年以降に発電コストを12~19円/kWhとすることも目標としています。

主な次世代型地熱は以下の通りです。

従来型より開発可能エリアが大きく広がるため、潜在的な地熱資源量(次世代型地熱ポテンシャル)は77GWまで拡大すると言われています。

これに伴い環境省は、地熱資源の約8割が国立・国定公園内に存在していることを踏まえ、規制緩和や環境アセス期間の短縮により、リードタイムの短縮に取り組んでいます。

さらに、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)では、地熱資源調査を行う際に調査費の一部を助成する支援制度を実施。

開発リスクの高い初期の地質構造調査を支援することで、地熱資源の発見を促進しています。

参考:第5次エネルギー基本計画 資源エネルギー庁
第2回 次世代型地熱推進官民協議会 次世代型地熱推進ロードマップの策定に向けて
JOGMEC地熱発電の資源量調査事業費助成金交付事業

日本の地熱発電の導入事例

日本国内の地熱発電所を紹介します。

八丁原(はっちょうばる)発電所

引用:JOGMEC地熱資源情報

所在地 大分県九重町
発電事業者 九州電力株式会社
認可出力 1号:55,000kW
2号:55,000kW/2,000kW
運転開始 1977年6月24日(1号)
詳細情報 公式サイト

国内で最も出力規模が大きい地熱発電所です。1号機・2号機を合わせて11万kW以上の電気を発電可能です。年間の発電量は約8億7千万kWhにのぼり、石油20万リットルの発電量に相当します。

阿蘇くじゅう国立公園特別地域の一画にあり、周辺環境の保護も考慮して運転を行っています。

低温領域の蒸気・熱水での発電が可能な「バイナリー発電方式」を日本で初めて導入し、実証実験を経て実用化した実績を持っています。

「八丁原発電所展示館」というPR施設が隣接しているため、一般の観光客も見学することが可能です。

参考:JOGMEC地熱資源情報

澄川(すみかわ)地熱発電所

引用:JOGMEC地熱資源情報

所在地 秋田県鹿角市
発電事業者 東北電力株式会社
蒸気熱水供給事業者
三菱マテリアル株式会社
認可出力 50,000kW
運転開始 1995年3月2日
詳細情報 公式サイト

「澄川地熱発電所」は標高1,062mの日本一高い場所にある地熱発電所です。

澄川地域は八幡平・焼山などの火山列の恩恵を受けた地域。蒸気は地下深部で約300度、発電所で使うときにも150度と高温で、1時間あたり約400トン噴出しています。

年間3億5千万kWの発電が想定される大規模な発電所でありながら、樹木の伐採を最小限にしたり、構内の緑化したりするなど、自然環境との調和にも配慮しています。

発電所に隣接して「澄川地熱発電所PR館」が設置されており、地熱発電のしくみや自然とエネルギーの関わりなどを学ぶことができます。

参考:JOGMEC地熱資源情報

世界の地熱発電の導入事例

世界でも地熱発電は活用されています。地熱発電設備容量の世界ランキングは以下の通りです。

引用:JOGMEC地熱資源情報

日本は地熱資源量が世界3位と豊富な国ではありますが、地熱発電設備容量は他国に比べると低くなっていることがわかります。

地熱発電がさかんな国の導入事例を見ていきましょう。

ザ・ガイザーズ(アメリカ)

出典:Calpine Corporation

アメリカは地熱資源量・地熱発電設備容量ともに世界1位の地熱発電大国です。中でも最も盛んな地域が、カリフォルニア州のサンアンドレアス断層の近くにある「ザ・ガイザーズ」です。

多くの発電事業者と上記供給事業者が23基の発電所を運営しており、設備容量は1,548MWにのぼると言われています。

ムアララボ地熱発電所(インドネシア)

出典:富士電機

火山大国であるインドネシアは、地熱資源量・地熱発電設備容量ともに世界2位です。政策で地熱発電を推進していることもあり、2010年から2020年までの10年で発電設備容量が約2倍と急成長しています。

インドネシアの地熱開発にはプラント建設や蒸気タービンの供給などで日本企業が大きくかかわっており、その1例がスマトラ島西部の「ムアララボ地熱発電所」です。

2011年から開発を開始し、2019年に85MWの容量でフェーズ1を稼働。現在フェーズ2を開発中で、2025年には最大発電容量140MWの規模で稼働開始が予定されています。

まとめ

ここまで、地熱発電の基本から地熱発電の種類と、地熱発電のメリットとデメリットに至るまでを解説してきました。

地熱発電所を作るためには膨大な時間と莫大な費用が必要で、その発電効率もあまり高いとは言えません。しかし、今後さらに日本の技術の発展により国の電力を担う発電方法の一つになることも考えられます

次世代に良い地球環境を残すためにも、今後地熱発電のような再生可能エネルギーを利用した発電方法に注目して行きましょう!

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