【バイオマス発電のメリットとデメリット】仕組みと今後の課題・将来性をわかりやすく解説
- 公開日:2026.01.13
- 更新日:2026.01.13
バイオマス発電の特徴やメリット・デメリット、日本であまり普及しない理由について解説します。
政府が掲げている「脱炭素化社会」を目指す取り組みの一つとして、バイオマス発電が注目されています。
バイオマス発電は動植物からの資源を燃料としており、地球環境に優しく安定した供給が可能な再生可能エネルギーのひとつです。
バイオマス発電が普及することで、地球温暖化を抑制や、廃棄物を有効利用といったメリットが得られます。しかし、発電コストが高い点や、森林破壊に繋がる場合がある点など、気を付けるべきデメリットもあるのが実状です。
目次
バイオマス発電は再生可能エネルギー

バイオマス発電とは、動植物から生まれた資源を燃焼したりガス化したりすることで発電する再生可能エネルギーのひとつです。
火力発電と同じ仕組みで発電し、発電時にCO2は発生します。しかし、燃料となる生物資源が成長過程でCO2を吸収していたり、廃棄物を燃料としたりするため、大気中のCO2総量は増加しないカーボンニュートラルな発電方法とみなされています。
バイオマス発電を活用することで、
- 循環型社会の構築
などが期待できます。
循環型社会を構築
生ごみ・食品加工残渣・家畜の糞尿・汚水・汚泥などを利用する発電を「廃棄物系バイオマス」と言います。
廃棄物を直接燃焼したり、発酵を通してメタンガスを発生させて燃料としたりして、発電する方式です。
本来廃棄されていたものを資源として再利用できるので、廃棄物の量が減り、循環型社会の構築が期待できます。
燃焼した際にでた排熱を、温水プールや温浴施設で有効利用している場合もあります。
バイオマス発電に使える原料
- 木質系: 間伐材、廃材、製材端材
- 農業・家畜系: 稲わら、もみ殻、家畜排せつ物
- 廃棄物系: 生ごみ、紙類、下水汚泥、廃食用油
木質系原料はチップやペレットに加工され、主に燃焼して蒸気を作ります。 家畜の排せつ物や生ごみは、発酵させて発生したメタンガスを燃料にします。
これらは本来捨てられるはずの廃棄物を有効活用できる点が特徴です。 地域資源を利用することで、エネルギーの地産地消にも大きく貢献します。 一方で、原料を安定的に収集するための物流網の整備が課題となっています。
バイオマス発電の仕組みと種類
バイオマス発電は、燃やす燃料と燃焼方法によって、下記3種類にわけられます。
- ①直接燃焼方式
- ②熱分解ガス方式
- ③生物学的ガス化方式
①直接燃焼方式

直接燃焼方式は、バイオマス燃料を直接燃焼させて蒸気タービンを回して発電する方法です。
燃料としては木くずや間伐材、可燃性ゴミなどが利用されています。
発電できる温度は比較的低めなので、大型設備を活用して効率を上げる必要があります。
しかし設備の大型化には大量の燃料材料を準備しなければならず、そのための運搬・加工費用や人件費がかかってしまうことがデメリットです。
②熱分解ガス化方式

熱分解ガス方式は、木材を高温で蒸し焼きにして発生したガスを燃料にしてタービンを回し発電する方法です。
木材を蒸し焼きにすると炭が作られ、その際に「熱分解ガス」が発生します。
このガスは燃焼温度が高く直接燃焼方式に比べて効率の良い発電が可能です。
③生物化学的ガス化方式

生物化学的ガス化方式は、家畜の糞尿や生ごみ、下水汚泥などを発酵させることで発生するメタンガスをタービンに回して発電する方法です。
水分量が多く燃えにくいバイオマスを使用できることや、廃棄物を有効活用できることが大きなメリットだと言えます。
バイオマス発電のメリット
バイオマス発電には、以下の5つのメリットががあります。
- ①FIT制度の対象である
- ②安定的な発電が可能
- ③カーボンニュートラルである
- ④燃料を輸入する必要がない
- ⑤地域環境が改善する
①FIT制度の対象である

前述したように、バイオマス発電は再生可能エネルギーの一種であるため、FIT制度の対象です。
FIT制度とは固定価格買い取り制度のことで、発電した電力を国が定める価格で一定期間買い取ってもらえます。

2025年10月現在、FIT価格は13~40円/kWhで、買取期間は20年間となっています。
FIT価格は燃料の種類や発電出力によって異なりますが、生物化学的ガス化方式で発電した電力は、1kWhあたり40円での売電が可能です。
参考:なっとく!再生可能エネルギー「買取価格・期間等(2025年度以降)」
②安定的に発電が可能
バイオマス発電の燃料は木材や糞尿など、天候や災害に左右される可能性が少ないものばかりです。
そのため太陽光発電や風力発電のように環境によって発電量が変わることがなく、安定して供給できます。
発電量をコントロールできたり予想できたりすることから、現在最も注目されている再生可能エネルギーだと言っても過言ではありません。
③カーボンニュートラルである

バイオマス発電は、排出量と吸収量を相殺するカーボンニュートラルな方法です。 燃料となる木材や農作物は、成長過程の光合成で二酸化炭素を吸収します。 燃焼時に二酸化炭素が発生しますが、吸収量と差し引きゼロとみなされます。
この仕組みにより、大気中の二酸化炭素を増やさずに発電が可能です。 既存の火力発電設備を活用できる点も、導入における大きな利点です。 火力発電と同様の安定した出力を持ちながら、再生可能エネルギーとして機能します。
地球温暖化対策の急務となる中で、脱炭素社会の実現に貢献する有力な手段です。 需要と供給のバランスを整える役割としても、今後の活用が期待されています。
④燃料を輸入する必要がない
これまでは石油や石炭を利用した発電が多く、これらの資源は外国から輸入する必要がありました。
バイオマス発電は、輸入に頼ることなく国内の木材や廃棄物を燃料として発電することが可能です。
また国内の木材を消費することで、山林の再生や地方の発生化など国内の他の事業にも役立つというメリットもあります。
⑤地域環境が改善する
バイオマス発電は、家畜排せつ物や生ごみなどの廃棄物を燃料として再利用します。 従来はコストをかけて処分していた廃棄物を、貴重な資源へと転換可能です。 この取り組みにより地域の廃棄物排出量が減り、環境の改善に直接つながります。
また、産地残材などを活用することで、農山漁村の新たな収益源も確保できます。 売電収入や電気代の削減に加え、地域に新たな雇用を生むことも期待されています。 環境に優しく災害に強い自治体づくりは、人口過疎化対策としても有効です。
資源が地域内で循環する仕組みは、持続可能な社会を支える基盤となります。 廃棄物の有効活用は、経済と環境の両面で地域に大きな恩恵をもたらします。
バイオマス発電のデメリット・課題
バイオマス発電には多くのメリットがありますが、デメリットや課題もいくつか考えられます。
- ①コストがかかる
- ②エネルギー効率が高くない
- ③森林伐採や生態系破壊の可能性がある
上記2つの課題について解説していきます。
①コストがかかる
バイオマス発電の燃料となる木材や廃棄物、糞尿などはさまざまな場所に分散して保管されているため、発電所までの運搬や管理などにコストがかかります。
また木材を燃料とする場合は、木材チップを生成するためのコストも発生します。
太陽光発電や風力発電は、自然発生する太陽光と風を材料としているためこれらは不要です。
このような問題を解決するために、
- 木材を燃料とする場合は、他の木材産業と共有できる発電設備を作る
- 家畜の糞尿を燃料とする場合は、牛舎の近くに初線設備を作る
など発電設備の場所を工夫して、コスト削減を図る必要があります。
②エネルギー効率が高くない
バイオマス発電の発生効率は約20%と、やや低めなので、エネルギー効率が高いとは言えません。
水力発電の発生効率は約80%、風力発電や太陽光発電は約20~40%であり、他の再生可能エネルギーの方がまだまだ効率よく電力を供給できるといえます。
バイオマス発電の課題として、「エネルギー効率を上げること」は避けられないでしょう。
③森林伐採や生態系破壊の可能性がある
バイオマス発電の燃料を生産する過程で森林を伐採することもあるため、森林やその周辺の土地に貯蔵されている炭素ストックが破壊されるおそれが指摘されています。
また、森林伐採によって生態系を破壊する可能性もあります。
伐採された森林や破壊された生態系を元の状態に復元するのは非常に難しく、可能であっても長い時間を要するため、バイオマス発電促進に反対する声も少なくありません。
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バイオマス発電の日本での普及率と発電効率

参考:環境エネルギー政策研究所 2024年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)
日本の全発電電力量に占めるバイオマス発電の割合は2024年時点で5.9%です。
2016年の1.9%から普及率は徐々に上がってきており、今後もその割合は上昇すると考えられます。
またバイオマス発電効率は約20%と、他の再生可能エネルギーに比べてもやや低めです。
今後は供給量を増やし、発生効率を上げることが課題になるでしょう。
日本のバイオマス発電所事例
日本で実際にバイオマス発電が活用されている事例を、いくつかご紹介します。
木くずを利用したバイオマス発電

下川発電所は、未利用の間伐材を活用する小型分散型の木質バイオマス発電所です。 出力は1,815kWと小規模ですが、エネルギーの地産地消を実現しています。 間伐材とは森林管理で間引かれた立木で、従来は有効活用が困難でした。
道内から集めた木材は、隣接工場で「木質ペレット」へと加工されます。 木質ペレットとは、乾燥させた木材を細粉し、円筒状に固めた燃料のことです。 粉砕して圧縮することで密度が高まり、運搬や保管の効率が劇的に向上します。
また、形状が均一なため、自動供給装置による精密な燃焼制御が可能です。 この効率的な仕組みにより、下川町は第1回ジャパンSDGsアワードを受賞しました。
汚泥を利用したバイオマス発電

引用:豊橋市
豊橋市バイオマス利活用センターでは、下水処理過程で活性する汚泥や地域で発生する生ごみを集めてバイオガス化し、ガス発電で得られるエネルギーを活用しています。
電力が得られるだけでなく、焼却・埋め立てするしかなかった廃棄物を大幅に減らし、下水汚泥と生ごみをなどを集約処理することでコストも削減可能です。
メタン発酵後の残渣は固形燃料にし、石炭代替燃料として利用。完全エネルギー化を実現しています。
生ごみを利用したバイオマス発電

生活協同組合コープこうべ直営の食品工場は、生産過程で発生する豆腐、麺、パンなどの生ごみと排水処理場からの汚泥をメタンガス化して、電気や熱エネルギーとして工場内で再利用しています。
その結果、廃棄物のリサイクル率96%、産業廃棄物処分費90%削減(年間8,700万円)を実現。環境問題に貢献するだけでなく、経済的メリットも生み出しています。
大規模火力発電所を再利用したバイオマス発電

相生バイオマス発電所は2023年に運転を開始したバイオマス発電所で、年間発電量は約13.5億kWhと国内最大です。これは、年間約55万トンの二酸化炭素削減に相当します。
元は石油を燃料としていた相生火力発電所をバイオマス発電所に転換したもので、関西電力と三菱商事クリーンエナジーが出資する企業「相生バイオエナジー」が運営しています。
バイオマス発電の将来性
カーボンニュートラルでありながら安定したエネルギー供給を期待できるバイオマス発電は、今後も普及促進が続くと考えられます。
資源エネルギー庁では、再生可能エネルギー電源構成比では2019年時点で1.5%だったバイオマス発電を2022年時点で3.7% まで上昇させた上で、2030年には5%まで上昇させる目標を掲げています。
バイオマス発電はFIT制度の対象のため、1kWhあたり13~40円程度で売電することが可能です。太陽光発電よりも高い価格設定なので、今後もFIT制度の活用によりさらなる供給量増加が期待できます。
とはいえ、コスト高や燃料の供給方法など、問題点の改善が必要です。
(参考:今後の再生可能エネルギー政策について|資源エネルギー庁)
バイオマス発電に関するよくある質問
バイオマス発電について考える時、疑問に思う方が多い点についてまとめました。
バイオマス発電はどういう意味?発電の仕方は?
バイオマスとは、動植物由来の生物資源のことです。具体的には、木材や、農業・畜産・水産からでる廃棄物、一般家庭から出る可燃ごみなどを指します。
これらの生物資源を燃やしたり、ガス化させて燃やしたりして、水蒸気でタービンを回して発電するのが、バイオマス発電です。
バイオマス発電はなぜ環境に優しい?
バイオマス発電は火力発電と同じ仕組みで発電しており、発電時に温室効果ガスを排出します。
しかし、廃棄物を燃料として活用するので、廃棄物の量を減らすことができます。
また、木質ペレットを燃料とする場合、木材は成長する過程で光合成により二酸化炭素を吸収していることから、発電時に発生する二酸化炭素量とプラマイゼロとなるため、カーボンニュートラルのエネルギーとされています。
バイオマス発電は環境に悪い?
バイオマス発電は再生可能エネルギーです。確かに、地域の廃棄物を有効活用する小規模バイオマス発電は、廃棄物削減・地域活性化といったメリットがあります。
しかし、大規模なバイオマス発電は環境破壊につながっているという指摘もあります。
具体的には、バイオマス発電に使用する木質ペレットのために森林が伐採されて再生されなかった例や、木質ペレット工場の粉塵・騒音による健康被害などが挙げられます。
また、日本のバイオマス発電に使用されるパーム油や木質ペレットは、輸入に頼っています。燃料生産地の環境破壊に繋がるだけでなく、燃料を輸送する際の二酸化炭素の排出量も多い点を見ると、環境に優しい発電方法とは言えないでしょう。
このような問題を受け、バイオマス発電の一部を再生可能エネルギーとしない動きが、世界的に広がっています。例えばEUでは、森林から直接採取された一次木質バイオマスを原料とするバイオマス発電を補助金対象から外すことが決定しています。
参考:バイオマス白書2024
バイオマス発電が多い国は?
バイオマス発電容量は、2023年の調査結果によると2021年の時点で中国が最も多く、次いで、ブラジル・アメリカ・インド・ドイツと続いていました。
2024年以降の世界のバイオマス発電ランキングはまだ公表されていませんが、2024年の再生可能エネルギー設備容量ランキングでは中国がトップだったため、バイオマス発電容量も中国が上位という状態は変わらないでしょう。
参考:バイオマス白書2023・【2024年最新】再生可能エネルギーの国別ランキング 世界と日本の比較分析
バイオマス発電の将来性は?
バイオマス発電はFIT制度の対象となっており、今後もその発電量を増やしていく見通しです。
国は、2050年までのカーボンニュートラル実現を目指して、再生可能エネルギーの普及促進しています。国や自治体から、バイオマス発電所に対して補助金がでる制度もあります。
まとめ
今回はバイオマス発電の概要やメリット、今後の課題について解説しました。
地球温暖化への取り組みや地域の環境改善に大きく役立つバイオマス発電は、今後さらに注目される再生可能エネルギーのひとつだといえます。
しかし「燃料管理のコストがかかること」や「発生効率が低いこと」が課題として残っています。
これらを解決することで政府が掲げている「2050年カーボンニュートラル」の実現に近づくはずです。
バイオマス発電がさらに活躍するためには、発電事業だけでなく林業や廃棄処理事業などさまざまな方面からの協力が必要になるでしょう。
この記事を書いた人
ikebukuro



