空き家投資は失敗しやすい?メリット・デメリットやリスクと対処法を解説
- 公開日:2024.12.11
- 更新日:2024.12.11
近年、世間で様々な投資方法が増えている中、空き家投資が注目されています。
空き家投資が注目される背景には、日本の社会に深刻な影響を及ぼしている空き家問題があります。その一方で、空き家を不動産投資の機会と捉える人も増えています。空き家投資とは、空き家を買い取り、リノベーションやリフォームを施して価値を高めることで、収益を得るという形の投資なのです。
しかし、空き家投資には見えない危険も多いため「失敗しやすい」と懸念を持つ人が多く、成功するためには慎重な判断と計画が必要です。
空き家投資のメリットとデメリットとリスクを分析し、空き家投資に失敗しないためのポイントや対処法を解説します。
空き家投資とは
空き家の有効利用へと注目が集まるなか、投資戦略としてその価値を見直す動きが活発化していて、放置されがちな家屋を安価に取得し、リノベーションや再開発が行われています。
空き家を、住宅市場やビジネスのベースとして再活用するアイデアが実現可能となり、空き家を活用した不動産投資には、単純な買い取りから転売や賃貸、時には新たな商用スペースの創出まで、さまざまな収益モデルがあります。
投資の対象となる空き家は、特に地方都市や過疎化が進む地域に数多く存在しており、適正な価格で物件を確保できます。
空き家を再利用したスペースを通じて、地域への貢献が期待されているので、地元経済の活性化にもつながっています。
空き家投資を成功させるポイント
空き家投資は市場のニーズに応じた柔軟な発想と、慎重な物件選び、計画的な資金運用が成功への鍵です。
適切な戦略をもって臨めば、無駄とされがちな空間に新たな価値を創出し、着実な収益源として育て上げることが可能です。
これにより、私たちは持続可能な地域社会の構築に向けた一助となるだけでなく、不動産という資産形成の道を広げていけます。
空き家投資のメリット
空き家投資のメリットを以下に説明します。
- 物件の取得費用が安い
- 利回りが高い
- 節税対策としても活用できる
それでは、詳しく見ていきましょう。
物件の取得費用が安い
不動産投資の世界において、空き家はその低い取得コストを武器に投資家たちから注目されています。
物件の取得費用の相場は、物件価格と改修費を合わせて、首都圏近郊の不動産価格が比較的高い地域では、1,000万円前後で取得できますし、地方であれば600万円以内の物件もあります。
空き家の価格は大きく抑制されているので、初期コストの削減ができ、投資の効率を格段に上げられます。リーズナブルな投資額で購入可能な空き家は、修繕や改修を経て再販に至るまでの費用対効果がポイントです。
利回りが高い
投資の世界において、利回りの高さは成功の大きな要因です。空き家投資の平均利回りは、首都圏のアパートやマンション一棟だと平均で7~8%ですが、地域によって異なり、12~15%という利回りが出ることもあるので、利回りは高いと言えます。
また、空き家は他の不動産と比較して低価格で取得できますが、賃貸や再販売時の収益が相対的に大きくなり、高い利回りを実現が期待できます。
期間を定めた賃貸経営でも短期転売でも同様で、空き家投資は収益性において、非常に魅力的な選択肢です。
節税対策としても活用できる
税制面でのメリットも、空き家投資の大きな利点です。
空き家投資では、以下の経費を計上できます。
- 各種税金
- 物件管理費
- 修繕費
- 各種保険料
- 仲介手数料
- 立ち退き料
- ローン利息分
- 司法書士への報酬など
これらの経費計上により、不動産所得税を節税可能です。
また、不動産投資全体に適用される税務上の優遇策は、空き家に特化することでさらに経済的なプラスを得られます。
減価償却費の計上や固定資産税の特例を活用すれば、節税効果が期待でき、実質の投資利益を高めることができます。
このように、税金対策を熟知した上で行う空き家投資は、手残りの利益を最大化する戦略の一つと言えるでしょう。
空き家投資のデメリット・問題点
空き家投資のデメリットを以下に説明します。
- リフォーム費用が高額になる
- 火災保険料が高い
- 出口が取りにくい場合も
それでは、詳しく見ていきましょう。
リフォーム費用が高額になる
長期間手付かずになっていた建物は、経年劣化によってかなりのメンテナンスが必要な場合が多く、予想以上にリフォーム費用が発生する可能性があります。
空き家になっていた期間が長いほど劣化しているため、空き家投資を考える際はコスト面だけでなく、将来性を見据えた総合的なリスク評価が求められます。
構造的な問題を見逃すと、後で予想外の修繕費用が発生し、投資の失敗につながる可能性もあるため、投資家は市場の動向を正確に捉え、設備のアップグレードや安全基準の遵守など、投資後の付加価値を高めるための追加投資を見込む必要があります。
投資前には、物件の構造的な健全性を徹底的に調査し、法的な制限や地域の開発計画についても十分に把握しておきましょう。
火災保険料が高い
空き家に投資する際、事前に考慮すべきコストとして、特に火災保険料は注意が必要です。
一般的な住まいと異なり、空き家は無人のため、火災などの事故が起きた際のリスクは高くなります。
保険会社はこのようなリスクを重く見積もり、それが結果として火災保険料の上昇につながるのです。
加えて、この保険料の高さは投資の時点だけでなく、長期間にわたる経済的な負担へと直結します。
火災保険料の高さは、充分に考慮に入れなければなりません。
出口戦略が取りづらい場合も
空き家投資のデメリットの一つとして、出口戦略が取りづらい場合があるという点が挙げられ、売却の難しさに直面するケースがあります。
空き家は、需要と供給のバランスが地域の特性やタイミングに依存するため、市場における魅力が常に一定ではないことが特徴です。
その結果、売却しようと決断した時に適切な買い手を見つけることができず、不要な保有期間が延長され、結果としてリフォーム費用のローン返済や固定資産税などの金融コストが増加するリスクが生じます。
空き家投資の出口戦略を成功させるには
投資を成功に導くには、不動産市場の変動要因を徹底的に把握し、財産の将来的な価値について現実的な予測を立てなければなりません。
この過程で、景気循環、地域開発、政府の政策変更などの外的要因を考慮する必要がありますが、予測は複雑で完全に正確な予測をするのは極めて困難です。
したがって、投資家は市場の変動に柔軟に対応する策を練り、リスクマネジメントに励まなければなりません。
さらに空き家投資におけるリスクを把握するためには、物件管理や維持に関わる正確なコスト算出が求められます。
不測の事態に備えて十分な保険をかける、リフォームによって資産価値を高めるといった積極的なメンテナンスが不可欠です。
空き家投資対象のメリットを最大限に引き出すためには、地域の不動産需要の実情を熟知し、適宜家賃設定も見直す必要があります。
空き家投資のリスクとその対処法
空き家投資のリスクとその対処法を以下に説明します。
- リフォームはDIYで費用を抑える
- 出口が取れる物件か購入前によく確認する
- 適切な家賃設定にする
それでは、詳しく見ていきましょう。
リフォームはDIYで費用を抑える
リフォーム費用の削減は、空き家投資の収益を左右します。
全ての修繕を専門業者に頼むと費用がかさむため、壁紙の張り替えや簡単な塗装といった作業は、自らの手で行うDIYを活用してみるのが賢明です。
しかし、リフォームの一環として自己対応できる範囲は限定されており、電気配線や水回りの修繕など、専門的な知識や技術が要求される作業があることを忘れてはなりません。
このような電気配線や水回りのような専門知識を要する重要な修繕は、安全性を確保し法律に則り仕事をする必要があり、プロに委ねるべきです。
電気工事や排水管の工事は、安全性や法律性を確保するために専門的な知識や資格が必要な作業です。
無資格で工事を行うと、火災や漏水などの事故や違法行為につながる可能性があります。
出口戦略が取れる物件か購入前によく確認する
投資を行う際には、将来的な「出口戦略」を熟慮した上で物件を選ぶことが大切です。
投資対象を空き家不動産に絞る際は、将来の投資成果を左右する重要な要素に注意を払うことが不可欠です。
空き家という性質上、流通市場での魅力を評価しつつ、物件の資産価値を高める方法を計画する必要があります。
この過程で、地域のマーケット動向に精通し、立地や建物の条件に精密な分析を施すことが肝要です。
買い手市場で注目されるポテンシャルを備えた空き家を抽出するには、対象エリアについて市場価値を把握し、空き家が出回る不動産市況を予測する洞察力が求められます。
さらに、街の再開発や公共インフラの計画など、近隣の将来的な発展も視野に入れましょう。投資時だけでなく売却や賃貸のタイミングで価値を最大化できる可能性が広がります。
実際に物件を手に入れる前に、建築年数が推移するにつれて増加する保守・修繕のコストや、法的規制の変更に伴う運用への影響も十分に検討し、あらかじめ想定できるリスクに対する対応策を練ることが重要です。
失敗を避けるためには、単に現状の評価を行うのではなく、さまざまなリスクシナリオを想定して、持続可能な運用計画を策定することが求められます。
適切な家賃設定にする
空き家を活用した不動産投資は、収益を最大限に引き出すために家賃の設定を見直すことが重大なポイントです。
適切な家賃を決めるには、周辺エリアの賃貸市場を綿密に調査し、他の不動産物件との競合分析をすれば、市場に即した価格帯を把握し、投資物件が価値あるものとして位置づけられます。
ターゲット層ごとに適した家賃設定を行うことも大切で、住む人のニーズを理解し、各々に応じたサービスや環境を提供できるかを考慮しましょう。
賃貸市場での需要を細分化し、家賃設定をすれば空き家は魅力的な投資対象に生まれ変わります。家賃設定のほかに、物件の価値を高めるためのリノベーションや、周辺施設との連携も重要なポイントです。
空き家投資に関するFAQ
投資家が空き家投資を考える際に、よくある質問とその答えを以下に説明します。
- 空き家投資と中古物件投資の違いとは?
- 空き家投資に銀行融資は利用できる?
- 空き家投資の入居者募集は不動産屋に依頼したほうがいい?
それでは、詳しく見ていきましょう。
空き家投資と中古物件投資の違いとは?
空き家投資とは、空き家を購入し、改修を通じてその価値を高め、再び活用する投資方法です。
日本のような成熟した不動産市場において、この手法は、市街地の活性化に貢献し、注目を集めています。
一方の中古物件投資は、以前に誰かが住んでいたものであるため、ささいなリフォームやメンテナンスによって貸し出すことが可能な場合が多いです。
その分基本的な取得コストは高めになる傾向があります。
空き家投資においては、低価格での取得が可能な反面、建物の老朽化による大規模なリフォームが必要となる可能性が大きいです。
加えて、計画を実現するためには、市町村の条例に精通し、近隣との調整を図ることが求められるでしょう。
成功の鍵は、事前のきめ細やかな市場調査、物件の潜在能力の見極めに加え、適切なリフォームプランの策定にあります。
空き家投資に銀行融資は利用できる?
空き家投資を始める際の資金調達は、しばしば銀行融資に目を向けるケースがあります。
一般の不動産投資のように空き家にも融資の道は開かれていますが、そのプロセスには独特の障壁が存在します。
空き家は、リフォームや再生を経た後の市場価値を予測しづらく、この点が融資条件の厳格化につながっているのです。
物件の将来価値が見込めない場合、銀行はリスクヘッジとして追加担保を要求したり、第三者による保証人を求める傾向があります。
さらに空き家投資は、不動産投資の一種でありながらも、従来の運用物件と異なり、管理がおろそかになっていることが多く、慎重な評価・分析が求められます。
そのため、銀行側も物件の状態、立地、そして将来の利用計画を詳細に分析し、融資の是非を検討するのは必至です。急を要する資金調達は難しいでしょう。
空き家投資の入居者募集は不動産屋に依頼したほうがいい?
空き家投資を行う上で、適切な入居者を探し出す作業は、投資の成否に直結する重要なステップです。
これを自力で行おうとする投資家は、幅広い専門知識と経験を身につけておく必要があります。
さもなければ、投資リターンに直接影響を及ぼし、最終的には投資そのものを危うくすることにもなりかねません。
これを回避し契約時のリスクを軽減するためにも、空き家に特化した不動産業者に委託するのが賢明です。
こうして、市場動向を把握した上での適切な賃料設定、ターゲットとする入居者層への適切なアプローチ方法、そして広告の出し方といった複雑な作業を、プロの手に委ねることが可能です。
不動産業者はこれらのプロセスをスムーズに進め、法律の遵守を保ちつつ、正確に契約条件を履行するポイントを心得ています。
まとめ
空き家投資は比較的少ない初期投資で高い利回りを得られる可能性があり、節税効果を含めて魅力的な投資手法です。
しかし、リフォームコストや保険料の高さ、出口戦略の難しさなどリスクも存在しますので、それぞれの対策を考えた上で投資を進めることが大切です。
市場の動向をよく調査し、銀行融資の活用や不動産専門家の知見を取り入れながら、計画性を持って空き家投資に取り組むことが求められます。
この記事を書いた人
ikebukuro