余剰売電と全量売電の違いは?売電方法や買取制度について解説
- 公開日:2024.12.04
- 更新日:2024.12.04
太陽光発電における余剰売電とは、太陽光発電した電力を自家消費し、余った電力を電力会社に売電する方法です。それに対して、太陽光発電の全量売電は、その名の通り太陽光発電した電力を全て電力会社に売電することです。
余剰売電と全量売電どちらの対象になるかは、太陽光発電設備の出力によって決められています。以前までは10kW未満の住宅用太陽光発電のみが余剰売電の対象でした。
しかし、2020年度からは10kW以上50kW未満の産業用発電所でも適用されることになっています。
余剰売電の意味、全量売電との違いと共に、余剰売電の仕組みや税金に関する情報を詳しく説明していきます。太陽光発電投資を始める前に、必要な情報をおさえておきましょう。
目次
太陽光発電における余剰売電・全量売電とは
余剰売電と全量売電の意味をはじめ、余剰売電と全量売電は選べるのか、余剰売電と全量売電はどうやって確認するのかなどを見ていきましょう。
余剰売電とは?
余剰売電とは、太陽光発電で発電した電気を自家消費した上で余った電気を電力会社に売電することです。電力会社から購入する電力を減らして電気料金を安くでき、さらに売電収入も得られます。
余剰売電の対象となる太陽光発電は、10kW未満の住宅用太陽光発電と10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電です。対象の発電設備は、発電した電力を全て売るということはできません。
10kW以上50kW未満の発電設備は、以前は全量売電も可能でしたが、2020年以降にFIT認定される設備は家庭や企業で自家消費できるよう設備を整える必要があります。
全量売電とは?
全量売電とは、太陽光発電で発電したすべての電気を売電することができる仕組みのことです。余剰売電よりも、売電収入が多く得られます。郊外の野立て太陽光発電設備や、メガソーラーはこの全量売電の対象です。
投資目的で太陽光発電を購入する方は、全量売電ができる産業用太陽光発電を選ぶ必要があります。
2020年までにFIT認定されている10kW以上の産業用太陽光発電設備は、全量売電が可能です。2020年以降は50kW以上の発電所が全量売電の対象となります。
余剰売電と全量売電は選べる?
今後新設する場合、出力が10kW未満の住宅用太陽光発電設備と、10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電設備は、余剰売電のみとなります。全量売電は選べません。
ただし、50kW以上の産業用太陽光発電設備は、余剰売電と全量売電を選ぶことができます。
社屋や工場の近くに50kW以上の産業用太陽光発電設備を設置する場合は、自家消費をできるようにすることで、電力会社からの電力購入を減らせてコスト削減可能です。
余剰売電と全量売電の確認方法
余剰売電と全量売電は、以下の項目で確認できます。
- 太陽光発電設備の容量
- 買取期間
- 自家消費の可否
余剰売電の発電設備容量は家庭用が10kW未満で産業用なら10~50kW未満で、全量売電は50kW以上です。
余剰売電の買取期間は10~20年で、全量売電の買取期間は20年です。
余剰売電は自家消費が可能で、全量売電は自家消費ができません。
2024年の売電単価と売電条件の変化
FIT制度とは、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力など)でつくられた電気を、国が定める価格で一定期間電気事業者が買い取ることを義務付ける制度です。
3年ごとの売電価格の推移と太陽光発電所の規模ごとの売電条件は以下の通りです。
住宅用太陽光発電 | 産業用太陽光発電 | |
2012年 | 42円 | 40円 |
2015年 | 33円(出力抑制なし) 35円(出力抑制あり) |
29円 |
2018年 | 26円(出力抑制なし) 28円(出力抑制あり) |
18円 |
2021年 | 19円(出力抑制関係なし) | 12円(10kW以上50kW未満) 11円(50kW以上250kW未満) |
2024年 | 16円(出力抑制関係なし) | 10円(10kW以上50kW未満) 9.2円(50kW以上250kW未満) 12円(10kW以上 屋根設置) |
条件 | |
10kW未満 | 余剰売電 |
10kW以上50kW未満 | 余剰売電かつ発電した電気の50%までが 買取対象 |
50KW以上250kW未満 | 全量売電 |
250kW以上 | 入札制度 |
これまで10kW以下の太陽光発電のみが余剰売電の適用だったのが、2020年度からは10kW以上50kW未満の太陽光発電も余剰売電が適用されることになりました。
しかも、売電の上限は発電量の50%と決められています。
このような背景には、再エネ賦課金によって国民に税負担がかかりすぎているということが考えられます。
再エネ賦課金とは?
再エネ賦課金は、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る際に必要な費用のことです。
電気代を払う全ての国民が負担しています。
このように電気料金の明細にも記載されているので、ご家庭の明細を確認してみましょう。
再エネ賦課金の負担が始まったのは2014年からですが、当時1kWhあたり0.22円だった再エネ賦課金が年々値上がりしており、家計の負担が大きくなっていました。
再エネ賦課金が値上がりしている背景には、太陽光発電や風力発電の普及に伴い、再生可能エネルギーを利用した発電所で発電した電気を電力会社が買い取る量が増えていることがあげられます。
しかし、2023年5月より再エネ賦課金は2014年以来に大幅に値下げされました。
再エネ賦課金低下の背景には、ウクライナ侵攻による化石燃料の不足が挙げられます。
化石燃料が足りなくなることによって、これまで発電コストが高かった再エネ電気のニーズが高まりその結果、市場価格が下がったのです。
市場価格が下がったことにより、国民に負担してもらわなくても再エネ電気を電力会社が買い取ることができるのです。
太陽光発電の売電収入を増やす方法
売電収入を増やすには、以下のような方法があります。
- 太陽光発電に適した土地を選ぶ
- 発電効率の良いパネルを選ぶ
- 変換効率の良いパワコンを選ぶ
- 過積載をする
- リパワリングを行う
太陽光発電で売電収入を増やすためには立地が重要です。日当たりが良く地盤が丈夫で、自然災害に遭う可能性が低い土地を選びましょう。ハザードマップの確認は必須です。
発電効率の良いパネルや、変換効率の高いパワコンを選ぶことで、同じパネルの枚数でも発電量が多くなります。また、パワコンの容量以上のパネルを設置する「過積載」を行えば、曇りの日など天候があまり良くない日にも発電量を確保できます。
すでに稼働済みの太陽光発電設備の場合、経年劣化による発電効率低下が起こります。設備を新しくする「リパワリング」を行えば発電効率を上げられ、売電収入を増やせますが、設備費もかかるため費用対効果を試算してから検討してください。
節電して余剰売電を増やす
結論から言うと、利益は出せなくはないけれど難しい状況にあります。
その理由として、一般的に1kWhの電気を電力会社から買うのには円程度かかります。しかし、先ほどの表の通り売電価格は16円です。つまり電気を売るよりも買う方が損をしてしまうのです。
この問題を解決し、住宅用太陽光発電を設置して損をしないためには、太陽光発電と一緒に蓄電池を設置することをおすすめします。
蓄電池も設置し、自家消費に切り替える
蓄電池とは、充電式で何度でも使用できる電池のことです。
太陽光パネルを設置するだけでも発電することはできますが、貯めておけるものがないため電気を貯めるには蓄電池が必要になってきます。
蓄電池を設置することで、発電できない夜間帯や電気代の高い昼間に家庭内で使用することができます。
台風などの災害で万が一電気が止まってしまっても、蓄電池があれば電気を使用することができます!
さらに、電気プランの契約を大手電力会社から新電力に乗り換えることで、より電気代が節約でき、太陽光発電をより効果的に活用できます。
関連記事:家庭用蓄電池はやめたほうがいいと言われる理由は?メリット・デメリットや後悔しないポイントを解説
まとめ
今後投資を目的として太陽光発電投資を始める場合は、余剰売電では利益を出しづらくなることが予測されます。
これから新規で太陽光発電の設置・購入を検討している方は、収益シミュレーションを行い利益がどのくらいになるのか、もっと利益を出せる方法があるのかを考えてもいいかもしれませんね。
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