太陽光発電システムが故障するとどうなる?原因や事例、対処法を解説

  • 太陽光発電投資
  • 公開日:2024.11.19
  • 更新日:2024.11.19
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太陽光発電設備はなぜ故障するのでしょうか?

太陽光パネルは野立てや屋根の上など、屋外の自然環境にさらされて稼働するため、さまざまな外的要因が故障を引き起こすことがあります。

また、システムの耐用年数を超えた劣化はもちろん、予期せぬ事象による物理的損傷、さらには製造上のミスも考えられます。

実際の事例を踏まえ、太陽光パネルの故障原因を一つずつ検証します。また対策についても説明します。

太陽光発電システムの故障によくある原因

太陽光発電 故障

太陽光発電システムは、以下のような設備から成り立っています。

  • 太陽光パネル:太陽光を電力に変換する
  • 架台:太陽光パネルを支える
  • パワーコンディショナ:直流電力を交流電力に変換する
  • 配線・ケーブル:各設備を繋いで電力を流す
  • 接続箱:太陽光パネルの電力をまとめてパワコンに送る

この他にも、蓄電池を一緒に設置して発電した電力を貯められるようにしたり、遠隔監視装置を導入して離れた場所でも発電状況を確認できるようにしたりする場合があります。

これらの設備をもつ太陽光発電システムが、故障する原因について解説していきましょう。

 雨漏り

太陽光パネルを屋根に取り付ける際には、金具や横桟(よこざん)などの部分にコーキングを施して防水対策を行うことが必要です。

しかし、このコーキングが不十分だったり、パネルの設置が適切でなかったりすると、屋根から雨漏りが発生する可能性が高くなります

雨漏りの修理には、パネルを一度外して屋根を補修し、再びパネルを取り付けるという手間と費用がかかります。

このようなトラブルを防ぐためには、パネルの設置時にコーキングや防水のチェックをしっかりと行うことが重要です。

発電量不足、火災、感電

パネルを支える金具の強度が不足していたり、ケーブルやパワーコンディショナー、蓄電池、室内用機器送配電ケーブルの配線が間違っていたりすると、発電効率が低下したり、火災や感電の危険が高まったりします

これらの故障を防ぐためには、太陽光発電システムの設置を専門的な知識と技術を持った業者に依頼することが重要です。

クラスタ故障

太陽光発電における「クラスタ故障」とは、1つの太陽光パネルやパワーコンディショナーの故障が原因で、連携した複数のパネル(クラスタ)や、太陽光発電システム全体に影響が及んでしまうことです

例えば、1枚の太陽光パネル内で断線が起こると、一緒に繋がれている他のパネルで発電した電気をパワーコンディショナーに送れなくなり、発電量が大きく低下します。

また、パワーコンディショナーが故障すると、それに繋がっている太陽光パネルで発電した全ての電気を変換できなくなってしまいます。

経年劣化による故障

太陽光パネルは、一般的に25~30年ほどの耐用年数があります。

しかし、太陽光発電設備のシステムは、経年によって変化し故障する可能性があります。

その主な原因は以下のとおりです。

  • 太陽光パネルのホットスポットによる発電効率の低下
  • パワーコンディショナーのフィルター詰まりによる冷却機能の低下、過熱による基板故障
  • 鉄骨架台のサビによる強度低下、破損

早期に不具合を見つけて発電量を維持することが大切です。

定期的なメンテナンスは、より長く使用する上で欠かせません。

パワコンの故障によくある原因

太陽光パネル 故障

太陽光発電システムの中で最も故障することが多いのが、太陽光パネルです。

太陽光パネルの寿命は、25~30年と言われています。しかし、面積が広く、屋外で雨風にさらされているため、外部からの影響を受けやすくなっています。

太陽光パネルの故障によくある原因

太陽光パネルが故障する原因・事例として、以下の要因があります。

  • 飛来物が衝突したことによる故障
  • 地盤沈下にパネルのたわみによる故障
  • 汚れを放置したことによる故障

それでは詳しく見ていきましょう。

■飛来物が衝突したことによる故障

太陽光パネルの表面は強化ガラスでできています。その特性上、一面にかかる均等な荷重には耐えられますが、局所的な衝撃には弱く割れやすいです。

例えば、野鳥が落とした石や台風などの強風で飛来した小石や木の枝が、太陽光パネルに穴を開けたりひびを入れたりする可能性があります。

そのため、太陽光パネルの外観に異常がないかを定期的に目視で確認することが重要です。

■地盤沈下によるパネルのたわみから起こる故障

雨による土砂崩れでメガソーラーが崩壊し、下流の住民に大きな被害を与えた事件が話題になりました。

この事件は、山林を伐採して大規模な太陽光発電設備を設置した際に、適切な造成や地盤補強が行われなかったことが原因です。

地盤の強度や地形に合わせた適切な造成や整地、地盤補強対策を行わないと、地盤沈下が進んで架台が不安定になり、太陽光パネルにたわみが生じる可能性があります。

これは太陽光発電の性能低下や故障のリスクを高めます。最も危険なのは、漏電によって火災を引き起こす可能性があることです。

■汚れを放置したことによる故障

太陽光パネルは、定期的に清掃することが重要です。なぜなら、汚れが原因で発電効率が低下したり、ホットスポット現象が起こったりする可能性があるからです。

ホットスポット現象とは、ソーラーパネルの一部に障害物があることで、その部分の発電が停止し、周囲のパネルに過剰な電流が流れて発熱する現象を指します。この状態が続くと、火災が発生し大変危険です。

落ち葉や鳥のフンなどの汚れはホットスポット現象の大きな原因です。汚れを放置せず定期的に除去することで、ソーラーパネルの発電量を安定させ、故障や事故を防ぐことができます。

パワコンの故障によくある原因

パワコンが故障する原因は以下の通りです。発電量の低下やエラーコードに気付いた場合は設置業者やメーカー相談窓口などの専門業者に連絡してください。

  • 経年劣化
  • 自然災害
  • 高温
  • メンテナンス不足

経年劣化

パワコンの寿命は、一般的な電化製品と同様10~15年程度です。内部の電子部品や回路が劣化し、故障してしまいます。

また、過負荷状態での運転が長期間続くと、劣化が早まります。

自然災害

大雨による浸水や落雷、地震などの自然災害で故障することがあります。

パワコンの内部に水が入ると、ショートを起こしてしまいます。また、落雷による電圧サージがパワコンに発生すると、内部回路が破損する可能性が高いです。

地震の強い揺れが原因で、パワコン内部の部品が壊れたり、配線が切れたりすることもあります。

高温

パワコンは熱に弱いため、直射日光が当たる場所や通気性が悪い場所に設置すると、内部の部品が傷んで故障しやすくなります。

設置場所は、屋内の通気性が良い場所を選んでください。

メンテナンス不足

定期的なメンテナンスを怠って、故障する前の異常や劣化に気付かず放置してしまうと、急にパワコンが動かなくなったという事態になりかねません。

パワコンの通気口がホコリで詰まることも故障の原因ですので、清掃を定期的に実施する必要があります。

関連記事:太陽光のパワコンが故障する原因は?寿命や対処法、交換費用について解説

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太陽光パネルが故障すると生じるデメリット

太陽光パネルが故障することによって、発電設備に以下のような影響が現れます。

  • 発電量が大幅に低下する
  • ホットスポット発生により火災のリスクが高まる
  • クラスタ故障が起こる

それでは詳しく見ていきましょう。

発電量が大幅に低下する

故障が起こるということは、太陽電池モジュールが正常に機能しなくなったことを意味します。

その結果として、最も直接的かつわかりやすい影響が発電量の減少です。この低下は、施設の規模によって対処の難易度が変わります。

発電規模が比較的小さいシステムでは、少しの発電量の変動でも直ぐに異常に気が付くでしょう。

一方でメガソーラーのように膨大な数のパネルから構成される発電所では、一部に生じた減少が見逃される可能性があります。

故障した太陽電池モジュールを発見しなければ、被害は拡大し、発電能力の大幅な低下を招く危険性が出てきます。

故障個所を迅速に特定し、迅速かつ適切な対応を行うことで、被害の拡大を未然に防ぐことが重要です。

■列単位で影響が出る可能性がある

モジュールを複数枚直列に繋いだものを「ストリング」といいます。

1列のストリングのうち1つのモジュールが故障してしまうと、その列に電気が流れなくなり、ストリングに繋がれている全てのモジュールで発電が止まってしまう可能性があります。

ストリングに5枚のパネルが繋がれていれば、1枚のパネルの故障で5枚分のパネルが発電できないことになるので、損失も大きくなるでしょう。

ホットスポット発生により火災のリスクが高まる

太陽電池モジュールの部分的な過熱は、「ホットスポット」と呼ばれ、その地点では温度が異常に高くなることがあり、100℃を超えることも珍しくありません

この状態が続けば、モジュール自身の発火や構成部品の損傷といった事態に至り、場合によっては周囲に設置された他の機器や構造物にも火災を拡大する可能性があります。

また、モジュールの周辺環境も影響を受けやすいため、積もった枯葉やゴミが引火しやすくなることも無視できません。

このホットスポットはさまざまな原因で発生することが知られています。

その一例としては太陽電池の一部が何らかの障害物によって影が生じ、それが局部的な過熱につながる場合や、小さな傷やひびが原因で太陽電池の効率が落ちてしまい、その部分がホットスポットとなる場合などがあります。

クラスタ故障が起こる

クラスタ故障は、太陽電池モジュール内の特定のセルが機能を果たさなくなる事象です。

パネル裏側に取り付けられているバイパスダイオードの作動により、単一セルの不具合が他のセルやモジュール全体に影響を落とさないようにしようとするメカニズムが働きます。

しかし、このダイオードが正しく機能しないことで、ホットスポットと同様に発電量が低下するだけでなく、余計な熱を生じさせることにもつながります。

太陽光パネルが故障したら1枚まるごと交換が必要

太陽光パネル

太陽光パネルが故障したら1枚まるごと交換が必要です。

交換の際に考慮するポイントを次に説明します。

  • 太陽光パネルの交換にかかる費用
  • 太陽光パネルの故障は火災保険の補償対象になることも

経年劣化や施工不良、動物による噛みつきなどが原因で、太陽光パネルの配線が故障すると、パネル自体の交換が必要です。

故障したパネルの交換費用

パネルを1枚だけ交換する場合、費用は非常に高くなります。初回設置時には大量注文で割引が適用されますが、交換時には少量注文で割引が適用されないからです。

また、太陽光パネルは技術革新のスピードが速い業界ですので、古い型のパネルは在庫が少なく、特注品になってしまうこともあります。

交換費用は、パネルの容量や作業場所によって異なりますが、だいたい20〜50万円ぐらいかかるでしょう。高所作業になることも多いので、作業費も高くなります。

太陽光パネルの故障に気づくための対策

太陽光パネル 故障

太陽光パネルの故障に気づくための対策を次に説明します。

  • 毎日の発電量をこまめに確認する
  • 太陽光パネルの定期清掃を行う
  • 太陽光パネルの定期点検を業者に依頼する

それでは詳しく見ていきましょう。

毎日の発電量をこまめに確認する

太陽光発電装置の発電量は定期的に確認することが重要です。

発電装置に何らかの故障が発生している場合、発電量が低下してしまう可能性があります。

故障を早めに見つけて対処することで、発電効率を高めることができます。

発電量を確認する際には、パネルだけでなく、パワーコンディショナーや接続箱などの機器の状態もチェックしましょう。

また、発電量の変動をグラフなどで視覚的に把握することもおすすめです。

システムの仕組みを理解しておくことで、発電量のモニタリングにも役立ちます。

太陽光パネルの定期清掃を行う

専門業者による高圧洗浄機を使ったパネルの清掃は、屋根に登らずに汚れを落とすことができます。安全性と効率性を考えると、この方法が最もおすすめです。

産業用太陽光発電の場合、地面に設置されたパネルの周囲には雑草が繁茂しやすく、鳥の住みかとなる可能性が高いです。

この問題に対処するためには、定期的な草刈りや除草が必要です。パネルの清掃と同時に依頼することで、手間を省くことができます。

太陽光パネルの定期点検を業者に依頼する

太陽光発電設備は、遠隔地に設置されることが多く、所有者が自分で管理するのは困難です。そのため、専門の保守サービス業者に委託することがおすすめです。

保守サービス業者は、発電量を監視するだけでなく、定期的に現場を点検して問題を早期に発見してくれます。

また、台風などの災害時にも迅速に対応してくれる業者もあります。保守サービス業者は、発電設備の種類や状況に応じて選ぶことが大切です。

最近では、ドローンを使った太陽光発電のメンテナンスも行われています。

これは、赤外線カメラを装備したドローンでパネルを撮影し、異常箇所を特定する方法です。

太陽光パネルには、ホットスポットやクラスタ異常、パワーコンディショナーのフィルターの詰まりなどが起こりやすく、温度異常が生じます。赤外線カメラの画像から、その位置を把握できます。

保守サービス業者を選ぶ際には、ドローンによる点検の可否を問い合わせてみましょう

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まとめ

太陽光パネルの故障には様々な原因があり、それぞれに対応策が必要です。
この記事では、太陽光パネルの故障の種類と原因、そしてその対処法について紹介しました。

太陽光発電設備は発電所と同じように運営されるため、故障箇所を見逃すと発熱や漏電などの危険があり、火災を招く恐れがあります。

太陽光パネルの発電性能を維持し安全に運用するためには、毎日の発電量をチェックして異常を速やかに発見することが大切です。
また、同時に定期的な設備点検とメンテナンスをきちんと行うことは安全な使用に欠かせません。

太陽光発電設備を導入する際には、故障を充分に念頭に置き対策を事前に講じることが肝要でしょう。

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この記事を書いた人

ikebukuro

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