太陽光発電を法人化する絶妙なタイミングは?個人から切り替えるメリット・デメリット

  • 太陽光発電投資
  • 公開日:2024.11.27
  • 更新日:2024.11.27
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太陽光発電事業は、太陽光発電設備を購入し、売電収入によって収益を得る事業です。国のFIT制度対象のため安定収入が期待でき、個人でも取り組める投資として注目されています。

個人で太陽光発電事業を始めた場合、事業が拡大してくると法人化を考える方もいるでしょう。太陽光発電事業を法人化すると、節税できたり、融資が受けやすくなったりするメリットがあります。

この記事では、太陽光発電の法人化のメリット・デメリットや、法人化に適したタイミングについて詳しく解説しました。法人化に関心のある方は、目を通してもらえたら幸いです。

太陽光発電を法人化するのに適切なタイミングは?

太陽光 法人化

太陽光発電の法人化は、年収が700万円、もしくは売電収入が1,000万円を超えた場合にメリットが出てきます。

それぞれのタイミングについて解説します。

年収の目安は700万円

法人に移行するタイミングは年収700万円を超えたあたりを目安にするのが望ましいです。法人化のメリットの一つに節税対策があります。

700万円以下であれば通常の税率でも問題ないですが、700万円を超えた場合、法人化をして法人税の対象になったほうが税率は下がる仕組みです。

また、年収が700万円であれば、仕事が順調である程度の社会的信頼度を得ている証明にもなるため、法人化もスムーズに行なえます。

高年収のまま法人化をしない状態でいると高い税金を払い続けないといけないため、年収700万円を超えたあたりで、法人化を検討するのがおすすめです。

関連記事:太陽光発電投資は個人・法人どっちも節税できる!税制優遇を活用した節税方法を解説

売電収入が1,000万円を超えたタイミング

電力の売却金が1,000万円を超えた時も法人化に移行するタイミングです。売却で得た収入が1,000万円を超えた場合、その年の2年後に課税事業者と認定されるためです。

課税事業者とは、消費税の納付義務がある事業者のことで、売り上げに含まれる消費税を納税しなければなりません。ただし、経費で支払った消費税の控除も受けられます。支払った消費税の方が多かった場合は、還付を受けることも可能です。

法人化をしない状態でいると消費税の納付対象者ですが、法人設立後からの2年間は消費税の納付は免除されます。そのため、法人化をしたほうがお得です。

太陽光発電を法人化するメリット

太陽光 法人化

太陽光発電によって発生する収益を、法人によって管理した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。次より太陽光発電を法人化した際の代表的なメリットを5つ紹介します。

税負担が軽くなる可能性がある

太陽光発電を法人化するメリットの一つは、節税対策です。太陽光発電による電力売却で収益が出た場合、それは所得の一種である「雑所得」に該当します。

所得税の税率は、累進課税制度という制度で決められているのが特徴です。これは所得の大小に比例して税率も変化する制度で、15〜55%という税率の幅があります。

それに対して、法人税・地方税は税率が約22%、利益800万円以上であれば約35%の税率です。所得税と法人税を比較した場合、法人税のほうが低いため、所得金額によっては法人化したほうが節税になります。

ただし、年収700万円以下・太陽光発電の利益額1,000万円以下の場合、法人化をしても節税にならないケースもあるので、注意が必要です。

損失の繰越期間が長くなる

太陽光発電の法人化をすれば、個人より損失繰り越し期間を長引かせることが可能です。この損失・赤字が可能な期間は、個人事業主の場合だと3年まで繰り越しが可能です。

個人で太陽光発電を行なっている方は、3年間は損失を翌年まで繰り越せます。

それに対して法人は、青色申告であれば太陽光発電で生じた損失を10年間繰り越しが可能です。個人より3倍もの長期にわたって繰り越しできます。

経費にできる費用が増える

法人のメリットは、個人と違って経費として認められる範囲が広がる点です。法人の場合、従業員の給料支払いがありますが、それも役員報酬として経費扱いにできます

さらに役員報酬は所得控除の対象でもあるため、税金の負担を軽減が可能です。

また、法人になってから経費扱いにできるものは、賃貸住宅の家賃です。法人化をすれば、個人でなくて法人として賃貸住宅と契約することもできます。

法人で契約をすれば社宅扱いとなり、家賃を経費扱いにして計上することが可能です。

金融機関からの融資が受けやすい

個人事業主・フリーランスと法人の違いは、社会的信用度の高さです。個人は自分1人ですが、法人の経営者になれば自分だけでなく自身が抱える従業員に給与を支払って面倒を見なければいけません。

事業に関わる人数が増えると業務内容・動くお金の規模も大きくなり、個人とは違う大きな責任感が生じます。法人は、個人よりも規模の大きい資金・業務内容・社会的信頼度を持っている証拠になるのです。

そして法人は個人よりも社会的信頼度が高いために、銀行からの融資が受けやすくなります。融資をする銀行にとって大事なのは、融資希望者の返済能力です。

法人の場合は、法人としての実績・社会的信頼があるため、融資をしても延滞・滞納をすることなくスムーズに返済をしてくれると判断できます

円滑な融資を受けられた場合、それを初期費用にしてさらに新たな事業を開始することも可能です。金融機関からの融資が受けやすくなることによって、ますます法人としての収益アップ・事業拡大が実現できます。

小規模企業共済制度に加入できる

法人化は、小規模企業共済制度に加入できることもメリットに挙げられます。小規模企業共済制度とは、中小機構が運営してる退職金制度の一種で、小規模企業の経営者・役員などの積立によって成り立っています

この制度の特徴は以下のとおりです。

  • 月々の掛金は増額可能で、所得控除の対象なので節税効果もある
  • 共済金の受取りは、一括・分割と選択が可能
  • 掛金の範囲内で貸付が可能、返済は低金利

このようにお得な制度に加入できることも、法人化のメリットです。

節税についてもっと知りたい方はこちら

太陽光発電を法人化するデメリット

太陽光 法人化

先に説明したとおり、太陽光発電の法人化はさまざまなメリットがありますが、デメリットともいえる点も決してゼロではありません。では、太陽光発電の法人化のデメリットとは何か、次より説明します。

事務作業の負担が増える

太陽光発電の法人化にあたって、発電機の規模を拡大しようと検討している人もいると思います。しかしその場合に生じるのが事務作業の負担です。

発電機を大きくした場合、その重量に耐える環境を整えないといけません。それを怠ると重量に耐えられずに、周辺環境にも支障をきたします。

また、反射光の角度や向きによって、反射した光が周辺住民に迷惑をかける場合も少なくありません。そのようなトラブルを想定して、さまざまな工夫をする必要があり、手間がかかります。

個人で発電をしていた時はそれほどの気遣いをする必要はないですが、法人化により発電の拡大をすればそれだけ収益も上がりますが、負担も増えてしまうのです。

法人設立に費用がかかる

太陽光発電の法人化の方が節税効果などのメリットがあるという安易な考えで、法人化を進めてはいけません。

法人化をするための登録・資本金・事業所にかかる費用・備品の購入など、決して安くない費用を用意する必要があります

法人化のための一連の手続きは手間がかかり複雑なので、司法書士などに代行してもらうことも可能ですが、そのための費用を払わないといけません。

法人化を進める前に、どれくらいの費用がかかるのか、その費用を準備できる余裕があるのかを、しっかりと考慮する必要があります。

ランニングコストが増える

太陽光発電は発電機を設置して、あとは放置すれば問題ないというわけではありません。太陽光発電で円滑に発電を続けるためには、日頃のメンテナンス・確認が必要です。

メンテナンスを怠ると、太陽光発電がストップしてしまい、その間は発電が不可能となるため収益がゼロになります。また故障した部位の修理・部品交換は簡単にできるものではなく、自分で修理するとさらに不具合が発生する可能性が高いです。

そのため、専門家である業者に依頼をすることになりますが、この場合、業者に払う料金も決して安くはありません

このような事態を回避するためには日頃からのマメなメンテナンスが必須ですが、法人化と同時に大規模な発電機を用意した場合、それだけメンテナンスにも手間と費用がかかります。日頃のランニングコストに手間と費用が増えることも、法人化のデメリットです。

小規模企業共済制度は利用できない

先述したとおり、法人化をすれば小規模企業共済制度に加入できるメリットがありますが、必ず利用できるわけではありません。

以下の場合は、制度に加入できない決まりです。

  • 配偶者等の事業専従者
  • 非営利法人の役員等
  • アパート経営事業を兼業している給与所得者
  • 小規模企業者に該当しない場合
  • 学業が本業の全日制高校生
  • 会社役員
  • 生命保険外務員
  • すでに退職金共済機構​​が運営している制度に加入している場合

自分がそういう立場であるか確認してから加入の手続きをしましょう。

副業が会社にばれるリスクがある

太陽光発電事業を法人化すると、本業の会社に副業がばれる可能性があります。

法人化すると登記簿謄本に記載されるため、勤め先の会社が調べると、副業がばれてしまうでしょう。また、会社員は給与から住民税が天引きされるため、住民税が変動すると、別の収入があるとばれてしまいます。

副業として行っている太陽光発電事業を法人化したい場合は、会社の就業規則をよく確認してください。本業をなくしたくない場合、副業に関するルールを守ることが大切です。

太陽光を個人から法人に切り替える方法

太陽光 法人化

個人で運営していた太陽光発電事業を法人化するための流れを解説します。

  1. 法人を設立する
  2. 個人から法人に太陽光発電設備を売却する
  3. 個人と法人の間で債務引き受け契約か、金銭消費貸借契約を締結する

STEP1:法人を設立する

法人の設立は、司法書士・行政書士・税理士に依頼して行います。

事務所のホームページを見て、法人設立業務の実績があるか確認してください。手数料やサポート内容の比較も重要です。

法人の種類には株式会社・合同会社がありますが、設立コスト・運用コストを考えると、合同会社が向いています。

STEP2:個人から法人に太陽光発電設備を売却する

設立した法人に太陽光発電設備を売却し、所有を個人から法人に移します。売却価格は譲渡所得の課税対象とならないように調整する必要があります。

STEP3:個人と法人の間で債務引き受け契約か、金銭消費貸借契約を締結する

太陽光発電設備を購入した際のローンを法人に移すために、債務引き受け契約か、金銭消費貸借契約を締結します。

太陽光発電設備の減価償却費の範囲内でローンを返済していくことで、法人税を節税できます。

まとめ

太陽光パネルを使用した太陽発電は、今後さらに拡大するといわれている事業です。地球温暖化への対策である再生可能エネルギーの重要性・関心度、資源に費用がかからないメリットなどにより、将来性のある事業といわれています。

そのため、太陽光発電の法人化を検討している人も少なくありませんが、法人化を進める前に、法人化のメリット・デメリットをしっかりと把握することが大事です。

個人事業主が法人化へ移行するタイミングはいつ頃がベストなのか、しっかりと理解する必要があります。

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この記事を書いた人

ikebukuro

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