太陽光発電の低圧・高圧・特別高圧とは?違いとメリット・デメリット

  • 太陽光発電投資
  • 公開日:2024.11.18
  • 更新日:2024.11.18
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太陽光発電は、低圧・高圧・特別高圧の3種類に分かれています。

太陽光発電を導入する上で、それぞれの種類の特徴や違いを理解しておくことは非常に重要です。

特別高圧連系太陽光は、発電規模が1,000KWを超える大規模な太陽光発電システムにおける発電のことです。

当記事では、低圧と高圧と特別高圧の特徴の詳細を解説します。太陽光発電の設置を検討されている方は、太陽光発電の種類や特徴、違いをしっかりと理解し、自分に適した種類の太陽光発電を導入しましょう。

当記事の監修者

当記事の監修者

石野拓弥

エレビスタ株式会社(https://erevista.co.jp/)代表取締役。2009年から起業14年目のWEBマーケッター兼 連続起業家。2013年から太陽光発電所の売買仲介No.1プラットフォーム「SOLSEL(https://solsel.jp/)」を運営。累計の流通総額は1,400億円を超えている。

「世界をもっと”もっとも”に。」というミッションのもと、再生可能エネルギーと金融の分野でメディア事業を展開し、「業界No.1プラットフォーム」を目指して、日々奮闘中。

経済誌「Forbes JAPAN」や「ベストベンチャー100」「アジアの注目企業100」の選出などメディア掲載多数。

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太陽光発電は低圧・高圧・特別高圧の3種類

太陽光発電

太陽光発電の種類には、以下3つがあります。

設備容量 電圧区分 用途
低圧連系 50kW未満 600V以下 住宅用
小規模産業用
高圧連系 50kW以上
2,000kW未満
600~7,000V以下 産業用
工場・商業ビル
特別高圧連系 2,000kW以上 7,000V超 メガソーラー
ソーラーパーク

ひとつずつ詳細を説明していきます。

低圧連系(一般用電気工作物)

一般用電気工作物とは、電圧が600Vより低く、受電または一定の出力以下の小規模な発電設備で、受電線路以外の線路で繋がれていないなど、安全性が高い電気工作物のことです。

一般家庭や小規模の事務所、商店などの屋内で使われている配線や、一般家庭における太陽電池発電設備などがあります。

高圧連系(自家用電気工作物)

電気事業法では、50KWを超える高圧連系の発電設備を利用する際は、発電所と考えられ、「自家用電気工作物」に分類されます。

変圧器を設置するなど、経済産業省令で設定されている技術基準に従い、電気工作物を安全に維持しなければなりません。

また、高圧連系の場合、月額基本料金を電力会社に支払う必要があり、管轄の消防署などに対し、保安規定を設定し届け出が必要です。

自家用電気工作物に分類されるため、設備を運営したり、維持したりするために電気主任技術者を選任しなければならず、工事は第一種電気工事士、または認定電気工事従事者のみ行えます。

特別高圧連系(メガソーラー)

メガソーラーとは、発電規模が1,000KWを超える大規模な太陽光発電システムにおける発電のことです。

一般家庭の屋根に設置されている太陽光発電システムは10KWより低いため、メガソーラーは一般家庭の約100倍になります。

メガソーラーを設置するには、広大な土地が必要であり、企業が産業用電力として運営していることがほとんどです。

基本的に、1,000KWを超えるメガソーラーを設置する場合、2ヘクタール程度の土地が必要になります。

サッカー競技場のフィールドや、野球場のフェアグラウンドが1ヘクタール程度のため、約2倍以上の土地となるため、いかに広大な土地が必要か分かるかと思います。

太陽光発電の低圧・高圧・特別高圧連系の違い

太陽光発電

低圧と高圧、特別高圧連系では、コストや届け出などさまざまな違いがあります。

電気事業法による規定の違いは以下の通りです。

  • 低圧:定格出力が50kW未満・交流電圧が600V以下・直流電圧が750V以下
  • 高圧:定格出力が50kW以上から2,000kW未満・交流電圧が600V以上・直流電圧が750V以上
  • 特別高圧:定格出力が2,000kW以上・交流電圧が7,000V以上・直流電圧が7,000V以上

低圧連系は高圧や特別高圧に比べ、導入するハードルが低いです。

例えば、低圧では消防署への保安規程といった届け出や手続きが必要ありません。

また、設備もコンパクトであり、設置に広大なスペースは不要です。

一方、50KWを超える太陽光発電設備を設置したい場合、「電気主任技術者の選任」や「保安規定の届け出」などを行う必要があります。

また、工事に関しても認定電気工事従事者か第一種電気工事者のみ工事可能です。

広大な土地も必要になり、電気主任技術者に年間契約料を支払う必要もあるため、コストも発生します。 

その他にも、鉄塔や昇圧設備を設置が定められており、小規模な設備に比べて多くのコストが必要です。SOLSEL

特別高圧連系太陽光のメリット・デメリット

太陽光発電

特別高圧連系のメリットおよびデメリットは、以下の通りです。

特別高圧連系のメリット

特別高圧連系のメリットは、以下7つです。

  1. 売電収入が得られる
  2. FITによって収入が長期間安定
  3. 土地を有効に使える
  4. 他の発電と比べ、トラブルが少ない
  5. CO2排出が少ないクリーンなエネルギー
  6. 規模が大きくなるほど初期費用がお得になる
  7. 国からの融資や優遇税制を受けられる

メガソーラーは大規模な発電設備のため、発電量も多く、売電収入も高くなります。さらに、太陽光発電設備は大規模になるほどKWあたりの初期費用が安くなります。

そのため、住宅用よりも規模が大きいメガソーラーでは、KWあたりの初期費用がお得になります。

また、メガソーラーを自家消費型太陽光発電として設置する場合、「環境・エネルギー対策資金」という返済期間20年の特別金利による融資を日本政策金融公庫からから受けられる可能性があります。

さらに、減価償却の対象であり、税額控除が適用される場合や特別償却もあったりするため、メガソーラーの導入は節税対策に繋がります。

特別高圧連系のデメリット

特別高圧連系のデメリットは、以下3つです。

  1. 発電所の設置費用が高くなる
  2. 高圧連系にコストがかかる
  3. 自然破壊・環境破壊の原因になる可能性がある

メガソーラーは大規模のため、設置費用が非常に高いです

また、システム容量が50KWを超える高圧の太陽光発電では、電力会社と高圧連系の契約を交わす必要があります。

契約には、手数料や設置協議費用など20万円程度必要であり、高圧連系においても、変圧器である高圧受電設備を設置しなければなりません。

設置には、100KWあたり100〜150万円程度かかり、高圧の太陽光発電の場合は、電気主任技術者を選任することも定められています。

定期的に電気主任技術者による保守点検を受ける必要もあり、設備費用の他にも170〜270万円程度の費用が初期費用としてかかります 

また、メガソーラーを設置するためには大きな土地がいります。山林開拓を行い、自然環境を破壊することもあるため中止が必要です。

低圧連系太陽光のメリット・デメリット

太陽光発電 

低圧連系のメリットおよびデメリットは、以下の通りです。

低圧連系のメリット

低圧連系のメリットは、以下4つです。

  1. 高額な変圧器や電気主任技術者を設置する必要がない
  2. 小規模の発電所のため導入しやすい
  3. 管轄の消防署への届け出が必要なく手続きが簡単
  4. 第二種電気工事士でも設置できる

このように高圧の発電所で定められているような手続きや届け出が必要なく、小規模の発電所のため、専門的な知識がない方でも始めやすいメリットがあります。

変圧器や電気主任技術者も設置する必要がないため、コストも比較的に低いです。

低圧連系のデメリット

低圧連系のデメリットは、以下3つです。

  1. 規模があまりにも小さいと、収益と支出のバランスが崩れてしまう可能性がある
  2. 土地の坪単価が高くなる場合がある
  3. 1KWあたりの設備単価が、高圧に比べが高くなることがある

50KWに満たない土地では、地目が宅地になっていることも多く、「山林」などに建設することが多い高圧の発電所と比較し坪単価が高くなる傾向があります。

設備全体にかかる費用が少なく初心者でも始めやすい低圧連系ですが、1KWあたりのコストが高くなることも多いため、規模次第では収益を生めない可能性もあります。

高圧連系太陽光のメリット・デメリット

太陽光発電

高圧連系のメリットおよびデメリットは、以下の通りです。

高圧連系のメリット

高圧連系のメリットは、以下5つです。

  1. 企業であれば環境への配慮などから、会社のイメージアップが見込める
  2. 投資利回りが高くなる
  3. 売電収入が大きくなる
  4. 1KWあたりの建設費用が安く済む
  5. 一括で管理できる

太陽光発電の知識がある程度ある方で、大規模太陽光発電所を建設したい場合は、高圧連系がおすすめです。

高圧にすることで建設費の単価が安く済み、投資利回りや売電収入も大きくなります。

また、大規模の太陽光発電所を運営していることにより、世間に環境に優しいイメージを持ってもらえる可能性もあります。

高圧連系のデメリット

高圧連系のデメリットは、以下5つです。

  1. 第一種工事士または認定電気工事従事者による作業が必要
  2. イニシャルコストが高くなる
  3. メンテナンス費用など運用にかかるコストが高くなる
  4. 電気主任技術者の選任と管轄消防署等への保安規程の届け出が必要
  5. 高額な変圧器が必要

大規模の太陽光発電所を建設する場合、当然ですが低圧よりも多くの建設費用が必要です。

また、建設費用だけでなく、メンテナンスなどの運用コストも高くなるため、経費も考えておかなければなりません。

電気主任技術者の選定にも国家資格が必要なため、個人や小規模な企業の場合、自分で勉強し資格を取る手間がかかることもあります。
SOLSEL

太陽光発電の新規認定申請方法

太陽光発電

太陽光発電の新規認定申請方法は、低圧連系と高圧連系の2種類です。

なお、特別高圧は法人のみ設置することができます。

低圧連系と高圧連系の共通する手順は、以下の通りです。

  1. 申請にあたり、事業計画策定ガイドラインを事前に確認する
  2. 「再生可能エネルギー電子申請」のサイトで、ユーザ情報を登録した後、ログインIDを取得
  3. ②で登録した「再生可能エネルギー電子申請」のサイトから、申請情報を入力し添付書類をPDFもしくはZIP形式でアップロードする

正式な申請方法は、低圧連系か高圧連系によって手続きが異なります。

ここから、それぞれの新規認定申請方法を解説します。

低圧連系の申請方法

低圧連系の申請方法手順は、以下の通りです。

  1. 登録したメールアドレスに、申請内容の確認要請メールが送られてくるため、「再生可能エネルギー電子申請」サイトから申請内容を確認する
  2. 申請内容に問題がなければ「承諾」または「拒否」を選択
  3. 承認完了後、審査され手続きで問題が無ければ、基本的に3ヶ月程度で認定される
  4. 認定されたら、事業者またはサイト登録者に認定通知がメールで届く
  5. 「再生可能エネルギー電子申請」のサイトから、認定通知書がダウンロードできる

以上の手順で低圧連系の申請が完了です。

高圧連系の申請方法

高圧連系の申請方法手順は、以下の通りです。

  1. 申請書に必要事項を入力する
  2. 申請書を出力する。
  3. 以下の書類について太陽光発電設備を設置する都道府県を管轄している経済産業局へ送付
    ・申請書
    ・添付書類
    ・返信用封筒

    ※封筒には、切手を貼り付け、返送先の宛名や住所を必ず記載する
    また、受付印を押した申請書の写しを求められた場合は、返信用封筒を2部同封する必要がある
    申請を出してから認定されるまでは、手続きに問題が無い場合で3ヶ月程度が目安
  4. 無事認定された場合、認定通知書が申請者に届く
  5. 「再生可能エネルギー電子申請」のサイトから、認定通知書のダウンロードが可能になる

以上の手順で高圧連系の申請が完了です。

高圧・特別高圧の設置には別途費用が必要

高圧連系・特別高圧連系の設置時には別途費用が発生します。費用の内訳は以下の通りです。

  • キュービクルの設置費用
  • 電気技術主任技術者への委託費用
  • 電力会社への競技申請費用

キュービクル設置と電気技術主任技術者委任の費用は、太陽光発電設備の容量によって異なるので、費用を確認した上で導入しましょう。

太陽光発電の種類(低圧・高圧・特別高圧)に関するFAQ

太陽光発電に関するFAQを3つ紹介します。

低圧・高圧・特別高圧連系どれがおすすめ?

低圧電力・高圧電力・特別高圧電力は、電圧の大きさにより、法律のもと分類されています。

そこまで多くの電力を利用することがない一般家庭のような場合は、低圧の利用が一般的です。

一方で、事業などで多くの電力を利用する企業や施設においては、一般用の低圧では電力が足りないため、高圧や特別高圧が利用されていることがほとんどです。

また、近年では特別高圧連系であるメガソーラー・低圧太陽光発電の売却や購入を希望するオーナーも増加しています。 

当記事でも解説したように、太陽光発電の低圧・高圧・特別高圧では、それぞれメリットやデメリットが存在します。

そのため、どの種類がおすすめかは、その人の事業規模や目的次第であり、メリットデメリットを踏まえて、目的に合わせて選ぶ必要があります。

太陽光発電の「過積載」とは?

太陽光発電の過積載とは、ソーラーパネルの容量が、パワーコンディショナーの容量を超えてしまった状態のことです。

規模が大きい太陽光発電では、過積載が一般的であり、最近では住宅用の太陽光発電でも増加しています。

太陽光発電の「低圧分割」とは?

低圧分割とは、同じ事業地で大規模の設備を意図的に50KW未満などのシステムに低圧分割することです。

分割し50KW未満の低圧にすれば、安全規制の適用などが適用外となり、発電事業にかかるコストを減らせます。

ですが、低圧分割は本来適用されるべき安全規制が適用されないため、安全性はもちろん、公平性などが懸念されています。

一般送配電事業者側が負担する設備維持管理コストが増えることにより事業者間の不公平、不必要な電柱や電気料金への転嫁の発生、メーターなどの設置による社会的な非効率が発生したりなど問題視されている部分も多いです。

まとめ

太陽光発電の種類は低圧・高圧・特別高圧の3種類です。

規模の大きさや管理にかかるコストを始め、工事を担当できる資格なども変わってきます。

太陽光発電を導入する際には、運用コストなどの費用と収益のバランスを検討し、自分に適した種類の太陽光発電を導入することが大切です。

特徴や違いを十分理解した上で、必要な申請を行い太陽光発電を取り入れましょう。

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この記事を書いた人

ikebukuro

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