雪でも太陽光発電はできる?雪国の物件を購入するときの注意点や発電量の比較・メリットを解説
- 公開日:2024.11.19
- 更新日:2024.11.19
「雪国でも太陽光発電はできるの?」
「雪の降る地域に住んでいるけど、太陽光パネルは設置できる?」
このような疑問をもっている方も多いのではないでしょうか?結論から言うと、雪国で太陽光発電は可能です。雪国で太陽光発電を行うと、発電効率が良かったり・台風の影響が少なかったり・年間発電量が多いといったメリットがあります。
この記事では、雪国で太陽光発電をする場合のメリットやデメリット、押さえておきたいポイントや注意点について詳しく解説します。
目次
雪国でも太陽光発電はできる?発電量を比較!
下の地図は、県ごとの平均日射量と、そこから計算した年間予想発電量をまとめたものです。
出典:地域資源利用型産業創出緊急対策事業(太陽光パネル緊急導入事業)
日本の豪雪地帯と言われる地域の年間予想発電量は以下の通りです。
北海道 | 1,047kWh |
青森 | 975kWh |
山形 | 991kWh |
新潟 | 941kWh |
長野 | 1,052kWh |
全国の平均的な年間発電量は約1,000kWhですので、雪国の発電量は極端に少ないわけではなく、むしろ多い地域もあるとわかります。
雪がよく降る北海道や東北は雪の有無に関係なく、他の地域よりも気温が低いのが特徴です。なので、「発電が上手くできない」「日射量が低い」といった疑問もあるでしょう。
ですが太陽光パネルは、気温が25度以上になると、発電効率が低下します。その結果、発電量が低下してしまう可能性が高いです。なので、必ずしも雪の降る地域が発電量が低いわけではありません。
雪国の太陽光投資を購入しても問題ない理由
雪が降る地域には降らない地域にはないメリットもあるため、雪が降る地域でも太陽光発電はできます。
太陽光発電投資について考えたとき、気になるのは雪国で太陽光発電ができるかどうかです。雪国で太陽光発電をする際、雪が降らない地域では考えられないようなデメリットはあります。
雪はパネルから自然と滑り落ちる
雪国の太陽光発電で最も心配なのは、太陽光パネルを雪が覆って発電できなかったり、雪の重量がパネルにダメージを与えたりする事態です。
しかし、太陽光パネルの表面はガラスなので、雪が積もっても自然と滑り落ちます。スムーズに雪が落下するように、パネルの傾斜角度を15度以上に傾けておくようにしてください。
ただし、あまり設置角度を大きくすると、設置できるパネルの枚数が減少するので、注意が必要です。
保証や施工次第で対策できる
施工時の対策には以下のようなものがあります。
- 積雪仕様の耐荷重性能の高いパネル
- 架台の強度を強くする
- 地面の積雪対策に架台を高くする
一晩で2m以上の積雪があるような豪雪地帯では、耐荷重性能の高いパネルを選んでください。メーカーによっては、積雪仕様のパネルや、耐雪アタッチメント、雪が滑り落ちやすいフレームを用意しているところもあります。
架台にも雪の重量がかかるので、強度を高める工夫が必要です。また、地面に積雪してもパネルが雪上に出るように、架台を高くするといいでしょう。
メーカー保証や保険も積雪対策となります。例えば、メーカー保証の出力保証では、雪による出力低下も保証される場合があります。また、自然災害保険に加入しておくと、積雪の重みでフレームがゆがむなどの被害も補償してくれます。
雪かきは自分でもできるが注意が必要
雪が降っても太陽光発電を問題なく行うためには、太陽光パネルの上に積もってしまった雪を除去する必要があります。
雪国で暮らす方であれば、雪かきを自力で行うケースも多いでしょう。しかし、太陽光パネルを設置しているときに自力でパネル上の雪かきをするのは危険です。そのため、専門知識を持つ業者に雪かきやメンテナンスを依頼するのが良いでしょう。
■自分で雪かきをする時の注意点■
自分で雪かきをする際に気をつけることとしては、安全に出来る範囲でなければ、無理に雪下ろしをしない・専門業者に依頼する・融雪機能が備わった太陽光パネルを導入するといったことが挙げられます。
自分で雪かきをすることで、設置した太陽光パネルに傷がついてしまったり、破損してしまったりするリスクが考えられます。
また、太陽光発電投資のために設置したパネルはサイズも大きく、パネル上の雪かきをするだけで時間と手間がかかってしまいます。太陽光パネルが遠方にある場合は、移動のために時間もお金も必要です。
さらに、雪が降ったときに太陽光パネルに異常がないかどうかを確認したくても、自力ではなかなか難しいです。
雪国の太陽光物件を購入するデメリット
雪国で太陽光発電をするデメリットを解説していきます。雪による影響はどのくらい受けるのでしょうか?
デメリット①雪にパネルが覆われると発電しない
太陽光発電は、パネル表面に太陽光が当たることで電気が発生する仕組みです。そのためパネル表面が雪に覆われてしまうと、太陽光が当たらなくなり発電できなくなりますよね。おそらく多くの方が、この発電しなくなるというデメリットを懸念しているのではないでしょうか。
太陽光パネル表面のうち、少しでも太陽の光が当たっていれば発電は可能です。しかし、豪雪地帯など連日雪がたくさん降る地域の場合、パネル全体が雪で覆われてしまう可能性もあります。
雪に覆われることで太陽光パネルに日光が当たらないと、冬の発電量が少なくなってしまいます。雪が降る地域の冬の太陽光発電量が、降らない地域に比べて落ちてしまうのはデメリットといえるでしょう。
デメリット②落雪による被害
雪が降る地域で太陽光パネルを設置する場合、落雪による被害も起こり得ます。
太陽光パネルの表面は非常に滑りやすくなっているため、雪もパネル表面を滑って落ちやすくなっていますよ。また、雪が降る地域に太陽光パネルを設置する場合、雪が滑り落ちやすくなるように傾斜をつけて設置されます。そのため、ある程度の雪であればパネルを覆うことなく、速やかに落ちてくれるのですね。
しかし、雪が勢いよく滑り落ちることで、太陽光パネルの下にいる人が落雪に巻き込まれてしまう可能性があります。落雪によって近くにいた人が怪我をしてしまったり、近くにあった車などの物が壊れてしまったりすることも考えられますよ。
また、太陽光パネルを設置した近隣に住宅がある場合、他人の家の敷地内に落雪してしまいトラブルに発展することもあるため、太陽光パネル設置によって落雪の危険性があることは覚えておかなければなりません。
デメリット③雪の重みで設備が故障する可能性がある
豪雪地帯ではたくさん降る雪の重みによって、太陽光発電の設備が故障する可能性もあります。
雪がたくさん積もるとその分太陽光パネルにも重さが加わり、パネルを覆っているカバーガラスが割れることがあります。また、屋根の高低差を利用して縦に複数の太陽光パネルを設置している場合は、雪の重さと上段のパネルの重さにより、下段のパネルにヒビが入ってしまったケースもありますね。
太陽光パネルは簡単に壊れるものではありませんが、あまりにも雪によるダメージが大きいと壊れる可能性もあるため注意しなければなりません。太陽光発電によって利益を得たとしても、太陽光パネルの修理にお金がかかってしまっては本末転倒です。
さらに、雪の重みで故障する可能性があるのは太陽光パネルだけではありません。雪が降る地域では、架台の倒壊や周囲の建物の損壊にも注意しましょう。
雪国の太陽光物件を購入するメリット
続いて、メリットについてもまとめますので確認していきましょう。
メリット①実は発電効率が良い
雪が降る地域で太陽光発電をする場合は、雪によるデメリットを考えなければなりません。しかし、雪が降る地域は発電効率が良いというメリットもあります。これは、雪が降る地域では気温が適度に抑えられ、太陽光パネルの発電効率を維持しやすいからです。
太陽光パネルは日光が当たる時間が長ければ長いほどたくさん発電しますが、日照時間が長い夏に発電量が多くなるわけではありません。それは、太陽光パネルが熱に弱いからです。
太陽光パネルがパフォーマンスを発揮できる適正温度は、25度といわれています。つまり、25度よりも暑くなればなるほど発電効率が落ちてしまうのです。
近年では真夏の外気温が30度を超える地域も多く、そのような地域では夏の発電効率が落ちてしまいます。雪が降る地域は降らない地域よりも夏の気温が低い傾向にあるため、夏の発電効率低下を抑えることが可能です。結果的に、雪が降る地域は発電効率が良く発電量をきちんと確保できるといえます。
メリット②台風の影響が少ない
雪が降る地域は台風の影響が少ないため、太陽光発電に向いていると考えられます。
太陽光パネルは日照時間が長く暖かい地域に設置するのが良いと考える方も多いですが、実は必ずしもそうとは言い切れません。沖縄や九州などの暖かい地域は、台風による被害が多くあります。台風による強風で太陽光パネルが飛んでいってしまったり、暴風によって運ばれてきたもので太陽光パネルが損傷してしまったりすることもあるのです。
太陽光パネルが故障したり破損したりしてしまうと、高い修理費用がかかります。そのため台風の悪影響がないのは、雪が降る地域の大きなメリットといえるでしょう。
メリット③年間発電量は暑い地域よりも多いケースもある
雪が多く降る地域の冬の太陽光発電量は、雪が降らない地域よりも少なくなってしまいます。これは紛れもない事実です。
しかし、太陽光発電で確認するべきは年間の発電量です。年間の発電量は、暑い地域よりも雪が降る寒い地域のほうが多くなるケースがあります。
先述のとおり、雪が降る地域では気温が高くなりすぎない傾向にあるため、夏でも高い発電効率で電気を生み出せます。冬に発電量が落ちてしまっても、夏に他地域より多くの発電量を確保できれば、年間の発電量が著しく少なくなってしまうことはありません。
場合によっては、暑い地域よりも雪が降る地域のほうが年間発電量を多く確保できることもあるのです。
メリット④遠隔装置で積雪対策もできる
太陽光発電設備と自宅が離れていても、遠隔装置で対策を取ることができます。以下は、積雪対策の例です。
- 遠隔監視装置で発電量の低下をアラームで通知
- 監視カメラでパネルの状況を確認
- 融雪装置を設置
遠隔監視装置には、発電量が著しく低下している場合にアラームを送信してくれるタイプがあります。また、監視カメラがあれば、実際にパネルにどの程度雪が積もっているのか確認可能です。
積雪による影響がでていると分かれば、現地の管理業者に雪下ろしなどの対応を迅速に依頼できます。
また、融雪装置を設置しておけば、遠隔地からでも雪下ろしが可能です。ヒーターや散水装置を取り付け、必要な時にスイッチをいれるだけで雪を除去できます。
雪国で太陽光発電を成功させるためのポイント・注意点
太陽光発電を雪国に設置した際に、発電量を維持しながら利益を出すための注意点について解説します。
①野立て太陽光発電なら架台の高さを確保する
野立て太陽光発電の場合、太陽光パネルを設置する架台の高さが重要です。野立てであれば太陽光パネルの表面から滑り落ちた雪は地面に落ちることになりますが、架台の高さが低ければ太陽光パネルの周辺に雪がたくさん積もってしまいます。その結果、太陽光パネルが雪で覆われてしまい、発電効率の低下につながってしまうのです。
架台の高さは、なるべく高くすることを心がけましょう。最低でも地面から100cm以上の場所にしておくと安心ですが、周囲の積雪量も考えて決めるのがおすすめです。
②太陽光パネルの角度は30度以上
太陽光パネルを設置する角度は、一般的に30度程度が理想といわれています。積雪を避け冬でも太陽光発電を継続するためにも、しっかりと傾斜のついた30度以上が良いですね。
太陽光パネル設置業者によっては、より多くのパネルを販売するために10度など緩やかな傾斜を勧めてくることもありますが、傾斜が緩やかであればあるほど積雪のリスクが高まります。
一方、太陽光パネルの設置角度が大きすぎると発電効率が落ちてしまうので、傾斜をつけすぎてもいけません。積雪のリスクを避けるとともに発電効率を高められる30度程度が理想ですよ。
③雪国に向いている太陽光パネルを選ぶ
雪が降る地域に太陽光パネルを設置する場合は、雪国に向いているパネルを選びましょう。雪が多い国のメーカーで作られた太陽光パネルや、積雪耐性の高い太陽光パネルを選ぶのがおすすめです。
また、上に雪が載っていても影の影響を受けにくい太陽光パネルもあるため、発電効率を高めるためにそのようなパネルを選んでも良いでしょう。
④その地域で実績が豊富な施工業者に依頼する
雪が降る地域の太陽光発電で気にするべきは、太陽光パネルの種類だけではありません。地域で実績が豊富な施工業者に依頼することも大切です。
雪国の事情を正しく理解し、適切に太陽光パネルの取り付けを行ってくれる施工業者を選べば、雪が降る地域でも問題なく太陽光発電ができますよ。雪国といっても地域によって最適な設置方法は異なるため、必ずその地域に合った対応をしてくれる施工業者を選びましょう。
施工業者を選ぶときは、その地域での設置実績があるかチェックすると安心です。また、場所に合った丁寧な施工をしてくれるかや正しくシミュレーションをしてくれるかも確認すれば、信頼できる業者を見つけやすいですね。
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まとめ
パネルに日光を当てて電気を作り出す太陽光発電にとって、パネルに積もってしまう雪は天敵ともいえる存在です。しかし、雪によるデメリットを正しく理解し適切に対策を取ることで、雪が降る地域でも無理なく太陽光発電ができますよ。
雪国での太陽光発電には、雪が降らない地域にはないメリットがあります。上手に雪と付き合いながら太陽光発電ができるよう、正しい知識を持って対策しましょう!
この記事を書いた人
ikebukuro