太陽光発電における土地貸しのメリット・デメリットとトラブル事例を解説

  • 太陽光発電投資
  • 公開日:2024.11.21
  • 更新日:2024.11.21
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土地を活用するにはアパートやマンションに活用する方法もありますが、今回紹介するのは「太陽光発電への土地貸し」です。一見使い道のないような土地でも、太陽光投資なら有効活用できることがあります。

ただし、トラブルが起こるリスクを把握しておくことが必要です。例えば、自然災害などで近隣住民に被害がでてしまった場合に、土地の所有者としての責任を問われる可能性があります。

太陽光発電の土地貸しのメリットやデメリット、ぴったりな土地などを解説します。

太陽光発電への土地貸しでトラブルを回避するには

土地を貸すには、「定期借地」と「普通借地」の2種類がありますが、太陽光発電の都土地貸しの場合には「定期借地」として貸すのがおすすめです。

「定期借地」とは、一定期の期間を決めて土地を貸し出すもので、契約満了時には土地が返還されます。

太陽光発電事業用地として土地貸しする場合、契約期間をFIT期間の20年間としておけば、太陽光発電投資終了後に土地が返還され、別の用途に有効利用することができます。

対して「普通借地」の場合、貸出期間を決めて契約したとしても、借主が「契約を更新しない」と申し出なければ、契約が自動で更新されます。これを法定更新といい、貸主は正当な理由がなければ更新を拒否できません。

つまり、普通借地で土地貸しをすると、土地が返還されるタイミングを貸主が決められません。貸主から立ち退きを要請する場合には、正当な理由を示し、立退料を支払う必要があります。

太陽光の事業用地として土地を貸すデメリット・リスク

太陽光発電 土地がし

続いて、太陽光発電に土地を貸すデメリットについても見てみましょう。

  • 大きな収益を見込めない
  • 長期間他の用途に使えない
  • 農地を転用するための手続きが煩雑
  • 近隣トラブルに発展する可能性がある
  • 中には悪質な業者がいる

①大きな収益は見込めない

太陽光発電へ土地を貸せば安定的な賃料収入を得られるものの、大きな収益を見込めないのが難点です。

太陽光発電は安定した投資であるので、どうしてもアパートやマンション経営と比べるとリターンでは劣ってしまいます。

ただ収益性の低さが必ずしも悪いわけではありません。ほかに土地を活用できない所有者にとって、太陽光発電へ貸せることは十分な活用手段と言えるからです。

先にも述べたとおり、人里離れた農耕地や休耕地の場合、アパートやマンションなどを建てたとしても収益を見込めないでしょう。

一方で太陽光発電ならば、いくら不便な土地であっても、条件を満たせば活用できる魅力があるのです。

②20年間は他の用途に使えない

太陽光発電に土地を貸せば、その期間中はほかの用途に使えません特に太陽光発電投資の場合、契約期間を20年間で締結する事が多く、その間は土地を利用できません。

土地を貸した後に「アパートを建てたい」「やっぱり自分で太陽光発電を始めたい」と思っても、契約期間中に用途を変更することは困難です。太陽光発電に土地を貸す場合は、収入見込みやほかの用途の可能性などを考慮しながら、慎重に判断しましょう。

仮に、資金に余裕のある場合は、自分で太陽光発電を運用する方が売電収入で大きな収益を得られます。

③農地を転用するための手続きが煩雑

農地を借りて太陽光発電を設置する場合は、所有者が「農地転用許可」を受ける必要があります。

農地転用は都道府県知事が許可を出しており、審査が厳しく、かつ手続きに手間がかかります。日本は国土面積が狭いことから土地の希少性が高く、国が厳しく制限を掛けることで保護しているからです。

農地転用許可の手続きには「土地利用計画書」や「工事計画書」のほか、近隣住民の同意がいる場合は「同意書」が必要になることもあります。

また都道府県によって、許可を受けた後に工事進捗状況の報告が必要です。このように、厳しい審査と手間の掛かる手続きなどが、農地転用のネックとなります。

しかし、そこまで悲観する必要はありません。行政書士に依頼すれば、農地転用の許可申請や届出などをサポートしてくれるからです。必要に応じて、行政書士に任せるようにしましょう。

④近隣トラブルに発展する可能性がある

以下のような近隣トラブルが考えられます。

  • 反射光によるトラブル
  • 動作音のトラブル
  • 災害によって設備が倒壊するトラブル

太陽光発電は、反射光が近隣に差し込む、太陽光発電の動作音が響く、などでトラブルに発展し、裁判になった例もあります。

また、豪雨や台風などの災害によって太陽光パネルが破損すると、最悪の場合近隣に被害を及ぼす可能性もあります。

太陽光発電の災害対策などは太陽光発電事業者の責任ですが、地域の住宅などに被害が出てしまうと、土地の所有者が責任を負う可能性もあります。

太陽光発電に土地を貸す以上、このようなリスクがあることも承知しておきましょう。

⑤中には悪質な業者がいる

知識がないことに漬け込んで、土地を安く借り上げようとする業者もいるので注意しましょう。

先にも述べたように、太陽光発電に土地を貸した場合の賃料相場は、おおむね1㎡あたり150円です。

しかし悪質な業者は、土地所有者の知識不足に漬け込んで、賃料相場よりもかなり安く借りようとします。当然、今まで太陽光発電に関わったことがなければ、損かどうかもわかりません。

そこで、太陽光発電の土地貸しを検討している場合は、最低でも2~3社で相見積もりを取りましょう。もともとの悪条件の土地で賃料が低い可能性もあるので、数社から見積もりを取ることで適切な相場を知れます。

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太陽光発電用に土地を貸す4つのメリット

太陽光発電 土地がし

太陽光投資に土地を貸すことで得られるメリットには下記があります。

  • 安定して収入を得られる
  • 利用価値のない土地も活用できる
  • 草刈りや土地管理問題から解放される
  • 借り手が見つかるまでが早い

ひとつずつ解説していきます。

①安定した収入を得られる

太陽光発電に土地を貸す最も大きなメリットは、安定して賃料収入を得られる点です。

賃料収入について理解する前に、まずは太陽光発電の運営側のメリットについて見てみましょう。

FIT制度では、太陽光発電設備で発電した電力を、電力会社が「一定期間」、「一定価格」で買い取ることを義務付けています。

具体的には、投資に使われる10kW以上の産業用太陽光発電の場合、設置から20年間は一定の単価で買い取るようになっているのです。

また、太陽光で発電した電力は、つぎの買取単価で電力会社が買い取ることになっています。

太陽光発電に投資する方にとって、安定した収入を得られるメリットがあるのですが、この恩恵は土地の所有者にもあります。

土地の所有者にとっても、20年間は賃貸収入が保障されることになるのです。

アパートやマンション経営の場合、空室が増えると一定の収益を見込めなくなります。

一方で太陽光発電の場合、20年間は太陽光発電の買取単価が変動することはないので、回りまわって土地所有者も安定した賃料収入を得られるのです。

産業用太陽光発電の買取価格と買取期間

10kW以上50kW未満 50kW以上250kW未満 250kW以上
2019年度 14円 14円 【500kW未満】14円
【500kW以上】入札により決定
2020年度 13円 12円 入札により決定
2021年度 12円 11円 入札により決定
2022年度 11円 10円 入札により決定
2023年度 10円 9.5円 入札により決定

②利用価値のない土地も活用できる

太陽光発電に活用する場合、一見すると利用価値のないような土地の場合でも事業者に貸せることがあります。

人里離れた農耕地や休耕地の場合、アパートやマンション建てたとしても収益を見込めないことがあります。

とはいえ、何もせずに土地を放置していると、固定資産税が掛かってしまうだけです。

そこで、利用しようのないような土地でも、太陽光発電ならば土地を活用できる可能性があります。

実際に、太陽光発電の多くは郊外の土地を活用しています。

そのため、利用価値のないような土地を相続した場合でも、太陽光発電への土地を貸すことで、有効活用できる可能性を秘めているのです。

③草刈りや土地管理問題から解放される

太陽光発電に土地を貸せば、太陽光発電の事業者が草木の手入れをするため、土地のメンテナンスをする必要がありません。

伸びた草木は発電効率を妨げることがあるため、事業者は定期的に土地をメンテナンスします。

そのため、所有者は、土地の手入れをする必要がなくなるというメリットがあるのです。

特に高齢の方が草木をメンテナンスする際は怪我や体力の問題もあるため、手入れから解放されるのは嬉しいポイントです。

土地の所有者にとっては副産物のようなメリットですが、特に広大な土地を所有している人ほど、貸すことによる恩恵を受けられるのです。

④借り手が見つかるまでが早い

実は太陽光発電所の土地を借りたい人は多く、土地の需要があるのもポイントです。

近年、太陽光発電所の用地に対する需要が高まってきています。

農業従事者の高齢化により、農地としての需要が減っている中、利回りが良いとされる太陽光発電投資への人気が高まっています。

そのため、比較的早く借り手が見つかります。

太陽光発電の事業用地に向いている土地の特徴

太陽光発電 土地がし

太陽光発電を設置するにも、土地によって向き・不向きがあります。

そこで、太陽光発電にぴったりの土地を3つ紹介します。

  • 日照時間が長い
  • 電柱が近くにある
  • ある程度大きな広さがある

①日照時間が長い

日照時間の長い土地ほど発電量は多くなります。

年間の日照時間が長い都道府県として挙げられるのは、「山梨県」「群馬県」「愛知県」です。

②電柱が近くにある

電線が近くにある土地は、太陽光発電の土地に向いています

なぜなら、太陽光発電設備から送配電線までの接続工事は事業者負担になるため、電柱の近い土地の方が、費用が掛からず設置しやすいからです。

太陽光発電設備で発電した電力は、電力会社の配電線へ流れるようになっています。

新たに太陽光発電設備を接続するときは、電力系統へ接続するための送配電線工事が必要です。

この工事費用は公共性がないので、電力会社ではなく、太陽光発電の事業者負担になってしまいます。

電柱から近い場所にある土地ほど、業者にとっては活用しやすい土地と言えるでしょう。

ただし、電柱を一見しただけでは接続できるかどうかわからないので、業者へ相談してください。

③ある程度大きな広さがある

太陽光発電には、1つの基準として、発電容量1kWあたり15㎡の土地の広さが必要です。

この基準を参考にすると、10kWの太陽光発電設備を設置するにも、150㎡の広さが必要ということになります。

150㎡といえばコンビニの売場面積ほどの大きさです。10kW以上が産業用太陽光発電に該当するので、土地を貸すにも最低限コンビニの広さが必要ということになります。

さらに、発電容量が10kWの太陽光発電は少なく、ほとんどが数百kW単位なので、太陽光発電へ土地を貸すには、コンビニ10店舗以上の広さが必要です。

あまりにも狭い土地だと、太陽光発電に活用できない点について理解しておきましょう。

まとめ

土地の活用方法の1つとして、太陽光発電投資への土地貸しを解説しました。

安定した賃料収入が得られ、また一見利用価値の内容な土地でも有効活用できる魅力があります。

一方で、賃料収入は低く、農地転用の手続きの煩雑さがネックとなっています。

太陽光発電投資に活用するにもメリット・デメリットがあるので、内容をしっかり理解してから検討してみましょう。

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