太陽光発電の売電収入には確定申告が必要!やり方や経費計上の条件を解説
- 公開日:2024.11.19
- 更新日:2024.11.19
太陽光発電を設置し、売電収入を得られるようになると、確定申告を行う必要があります。
給与所得者と自営業・事業者が申告しなければならない条件には、それぞれ違いがあります。
具体的には、給与所得者は発電所得を含む雑所得20万円以上で確定申告が必要とされます。また、自営業と事業者は太陽光発電以外の所得を含めて38万円以上になったときには確定申告が必要でしょう。
この記事では、太陽光で確定申告が必要になるパターン・確定申告をしないとどうなる?・経費が認められる範囲・税制優遇措置とその利用方法などについて詳しく解説します。
目次
太陽光発電で確定申告が必要になるパターン
太陽光発電を設置し、売電によって収益を獲得できるようになると、一定の金額以上で確定申告が必要になります。
まず、給与所得者と自営業・事業者が申告しなければならない条件をご覧ください。
所得の区分 | 申告が必要な所得 | |
給与所得者 | 雑所得 | 太陽光発電を入れた雑所得が20万円以上になったとき |
自営業・事業者 | 雑所得または事業所得 | 太陽光発電を含めた全ての所得が38万円を超えたとき |
給与所得者の申告条件が発電所得を含めた雑所得20万円以上なのに対し、自営業と事業者の事業所得は、太陽光発電以外の所得も含めて38万円以上になったときに確定申告しなければなりません。
発電設備の規模別で確定申告が必要になるケースをもう少し詳しく見てみましょう。
住宅用太陽光発電の場合
例えば、10kWh以下の住宅用太陽光発電を設置した場合、給与所得者の雑所得扱いになるので、発電所得が20万円を超えたときには確定申告を求められます。
しかし、発電の容量が10kWh以下の設備だと売電収入が20万円以上になることはないので、確定申告が不要になるケースが多いです。
太陽光発電を含んだ雑所得が20万円以下なら太陽光発電についての確定申告は不要ですが、株投資など給与以外の雑所得がある場合には売電収入に加える必要があるので、雑所得が20万円以上になることがあります。その場合は当然確定申告が必要です。
また、給与所得者の年収が2000万円以上の場合、会社で年末調整を行わないので個人で確定申告をしなければなりません。
産業用太陽光発電の場合(10kW以上)
出力が10kWを超える太陽光発電は産業用太陽光発電に区分されます。この場合も、年間の所得が20万円以上になれば確定申告します。
しかし、売電収入が雑所得ではなく事業所得に該当している場合には、所得が38万円以上にならなければ確定申告の必要はありません。
売電収入が事業所得に該当するのは以下の条件です。
- 出力が50kW以上
- 発電設備に柵やフェンスを設置するなどの管理を実施している
発電設備をフェンスで囲んだり除草するなどの整備を行っている場合には、太陽光発電設備を所有していることを事業と見なされるため、売電の収入が少なくても事業所得という扱いになります。
太陽光発電で確定申告をしないとどうなる?
確定申告を怠った場合にどうなるのかを解説します。
確定申告を行わなかった場合、税務署から延滞税や無申告加算税を請求されます。それぞれの利息を見てみましょう。
税の区分 | 利息 |
延滞税 | 約7.3%~14.6% |
無申告加算税 | ・税額50万円未満:15% ・税額50万円以上:20% |
支払わないまま放置すると利息が加算されていくので、延滞税・無申告加算税共に請求された場合には速やかに支払わなければなりません。
申告が必要だった年に見過ごされていても、数年後に請求されることがあります。2、3年経っても延滞税と無申告加算税を請求されなかった場合でも、税務署は7年前からの記録に基づいて無申告加算税を請求することがあるので、確定申告は必ず行いましょう。
太陽光発電の確定申告では、適切な経費計上が重要です。以下に主な経費項目を解説します。 太陽光発電システムは、高額な設備投資となるため、購入した年に全額を経費として計上することはできません。代わりに、耐用年数に応じて少しずつ経費として計上する「減価償却」が認められています。 設備の取得価額を法定耐用年数(一般的に17年)で割り、毎年定額を経費として計上できます。これにより、設備投資の負担を長期間に分散させることができ、税負担の軽減につながります。 減価償却費の計算方法や耐用年数は、国税庁の定める規定に従って行う必要があります。 太陽光発電システムは、一定規模を超えると「償却資産」として固定資産税が課せられます。この税額も、経費として計上することが可能です。 固定資産税は設備の評価額に基づいて計算され、毎年支払う必要があります。ただし、住宅用太陽光発電(10kW未満)の場合は固定資産税が課されないため、経費として計上することはできません。固定資産税の額は地域によって異なるため、設置場所の自治体に確認することが重要です。 太陽光発電設備の導入にローンを利用した場合、そのローン利息は利息は事業を運営するためにかかる「必要経費」として認められます。ローン返済時の利子分を毎年の経費として計上することで、実質的な税負担を軽減できます。 ただし、元本部分は経費として認められないため、利息部分のみを正確に計算して計上します。 太陽光発電に関連する様々な費用も経費として認められます。 例えば、システムのメンテナンス費用や保険料、電力会社との契約費用、法定点検費用などがあります。これらは、発電システムを安全かつ効率的に運用するために必要な支出ということで、経費として認められています。 さらに、設置場所の賃借料や、専門家に依頼した申請手続き費用も該当する場合があります。 太陽光発電には6つの税制優遇措置があります。それぞれの概要をご覧ください。 まずは、1つ目の再生可能エネルギーの税制優遇措置を解説します。 再生可能エネルギー発電設備に関する課税標準の特例措置は、太陽光発電が新たに固定資産税として加わった年度から3年度分の固定資産税の課税標準を、課税標準価格から軽減するという制度のことです。 令和5年度末までの期限でしたが、適用期限が令和7年度末まで延期されました。 太陽光発電設備の課税標準は以下の通りです。 (7/12~11/12) (1/2~5/6) ※わがまち特例(各自治体が一定の幅で独自に軽減率を設定できる制度)を適用。上表の()内の間で設定される。 再生可能エネルギーの税制優遇措置を受ける条件を以下表にまとめました。 ・1,000kW未満:2/3 再生可能エネルギー税制優遇措置以外にも利用できる税制優遇措置を利用することで、太陽光発電運用に関連する出費を大幅に補填できます。 利用できる優遇措置をチェックしておきましょう。 太陽光発電で確定申告をインターネットで行う流れを5ステップに分けて解説します。 最初に必要書類を準備します。太陽光発電設置に関連した書類の一例は以下の通りです。 書類が用意出来たら、以下の流れで確定申告を行います。 国税庁の公式サイトの確定申告書作成コーナーで作成開始ボタンを押し、印刷した確定申告書を税務署に郵送するかe-Taxによりインターネット上で提出するかを選択します。 インターネット上で提出する場合は、全てネットで申告できます。 続いて、作成する申告書の種類を選びます。個人事業主や法人で事業収入から特別控除を受けたい方は青色申告を、その他の方は白色申告を選んでください。 「左記以外の所得がある方(全ての所得対応)」ボタンを押下します。 給与所得がある人は給与所得ボタンを押し、画面に必要事項を入力します。続いて雑所得(その他)のボタンを押下し、以下の項目に入力します。 用意しておいた書類で、太陽光発電にかかった費用や、売電収入を確認しましょう。 仕上がった書類を郵送またはe-Taxで税務署に提出すれば確定申告完了です。税金の還付が受けられる場合は、指定した銀行口座に還付金が振り込まれます。 申告後、税務署から確認の連絡が来ることがあります。訂正が必要になる場合もあるので、指示に従って対応してください。 確定申告などの諸手続きは必要書類を揃えるところから始まりますが、初めての確定申告だと何が不足しているかなどが分からず、面倒に感じる人が多いです。 しかし、ソルセルになら面倒な諸手続きを全て任せられるので、確定申告の時期に頭を悩ませることがなくなります。 ソルセルを利用するメリットを紹介します。 太陽光発電投資を始めたばかりの人なら、取引総額900億円を超える実績を持つソルセルに任せることをおすすめします。 特に、諸手続きの手順が分からない人には士業丸投げサービスがおすすめです。プロのサポートを受ければ、確定申告の手続きに不備が生じるなどのデメリットを避けられます。 太陽光発電設備を安全に運用していくためのメンテナンスも重要なポイントです。 メンテナンスが行き届いている太陽光発電なら今後売却するときにも高値で売れるので、ソルセルに任せられるところは全て任せて、太陽光発電で安定した収入を得られるようにしましょう。 太陽光発電で収益を得られるようになった場合、給与所得者は発電所得を含む雑所得20万円以上で確定申告が必要とされ、自営業と事業者は太陽光発電以外の所得を含めて38万円以上になったときには確定申告が必要です。 また、太陽光発電設備は、住宅用か産業用かで確定申告が必要な売電収入の額が異なります。 住宅用太陽光発電も産業用太陽光発電も発電所得が20万円を超えたときに確定申告が必要ですが、産業用は売電収入が雑所得ではなく事業所得に当たる場合、所得38万円以下の場合には確定申告をする必要がなくなります。 確定申告を必要とする条件も太陽光発電の規模により異なるので、自分が所有する太陽光発電の規模を把握した上で確定申告を行いましょう。太陽光発電の経費が認められる範囲
減価償却
固定資産税
ローン利息
その他必要経費
太陽光発電の税制優遇措置とその利用方法
税制優遇措置の6つの概要
税制優遇措置
概要
再生可能エネルギー発電設備に関連する課税標準の特例措置
3年度分の固定資産税の課税標準を、課税標準価格から軽減する制度
中小企業経営強化税制
設備投資をした際に費用の即時償却・税額免除などの優遇措置を受けられる。
免税事業者扱いで消費税納付を免除
課税売上高が1000万円未満の事業者は免税事業者に該当するので、売電したときに受け取った消費税を納付しなくてよい。課税事業者も条件次第で消費税還付を受けられる。
環境リスク調査融資促進利子補給事業の利子軽減措置
環境省が実施する支援制度。太陽光発電投資などで融資を受けるときに利子を軽減される。
環境・エネルギー対策資金利用
日本政策金融公庫が実施する融資制度。利用することで非化石エネルギー導入の際に金利を下げて融資を受けられる。
グリーンファンド(地域低炭素投資促進ファンド事業)の出資
グリーンファイナンス推進機構に事前相談をした上で必要書類を提出し、審査に合格すれば出資を受けられる。
再生可能エネルギーの税制優遇措置
設備
発電出力
課税標準※
基本条件
太陽光発電設備
1,000kW未満
3/4
FIT・FIP認定外 (自家消費型補助金の交付を受けて取得した設備)
1,000kW以上
2/3
優遇措置を受けるための条件
適用される期間
令和7年度末(2026年3月31日)まで
対象となる企業
再エネ発電設備を取得した法人・個人事業主
対象となる設備
・FIT・FIP制度の認定を受けていない太陽光発電設備
・自家消費型補助金の交付を受てけ取得した設備
措置の内容
再生可能エネルギー発電設備が固定資産税が課せられるようになった年度から3年度分の固定資産税にについて、課税標準を課税標準となる価格から以下の割合に軽減する
・1,000kW以上:3/4太陽光発電の収入を確定申告手続きする流れ
必要書類一覧
自分で確定申告をする流れ
■STEP1 国税庁の確定申告書作成コーナーで作成開始■
■STEP2 作成する申告書の種類を選択■
■STEP3 給与所得・雑所得のボタンを押下■
■STEP4 税務署に申告書を提出する■
ソルセル(SOLSEL)なら面倒な手続きも丸投げできる
まとめ
この記事を書いた人
ikebukuro