太陽光発電投資は儲からないと言われる理由は?損しない方法や今後の展望を解説
- 公開日:2024.11.19
- 更新日:2024.11.21
太陽光発電投資は儲からないという意見もありますが、それは嘘です。
太陽光発電投資とは、設置した太陽光パネルなどの発電システムから作った電力を、契約する電力会社に買い取ってもらうことで売電収益を得る仕組みになっています。
国のFIT制度で売電価格が保証されているため、安定した収入が得られると資産運用として人気を集めています。
実際のところ、太陽光発電投資は節税対策としても適しているので、早いうちに始めた方がお得です。
太陽光発電の基本概要から儲からないと言われる理由、儲かるためのポイントなどを紹介します。
太陽光発電投資が儲からないと言われる理由
これから太陽光発電投資を儲かることを目的に始めようと考えている人からすると、儲からない・危ないという噂は気になってしまいますよね。
ここからは、太陽光発電投資が儲からない・危ないというのは嘘なのですが、そんな噂が生まれる理由について紹介します。
理由①固定買取価格が毎年低下している
太陽光発電投資が儲からない・危ないと言われる理由の一つに、「固定買取価格が毎年低下している」点が挙げられます。
2021年度からの固定買取価格を見てみると、1円~2円程度落ちています。
50kW以上 | 10kW以上 50kW未満 |
10kW未満 | |
2021年度 | 11円 | 12円 | 19円 |
2022年度 | 10円 | 11円 | 17円 |
2023年度 | 9.5円 | 10円 | 16円 |
2024年度 |
9.2円 | 10円 | 16円 |
12円(屋根設置) |
2024年の下落幅は抑えられていますが、「今後も売電価格が下がり続けるのではないか」という懸念点から、儲からない・危ないと言われることがあります。
しかし、太陽光発電システムの性能が向上したり、生産量が増えたりしたおかげで、設備費用も大幅に下がっています。下のグラフは、産業用太陽光発電システムのコスト推移です。
太陽光発電システムの設備費用が安くなり初期費用が下がっているので、固定買取価格が下がっても、利回りが大幅に下がることはないと考えられます。
2024年時点では新規発電所を購入して投資を始めるケースはほとんどなく、一般的には中古太陽光発電を購入するのが主流になっています。
新規より中古太陽光が儲かる理由
儲からない説がささやかれている太陽光発電所を新設するよりも、中古太陽光発電が人気の理由は以下の通りです。
- 初期費用が抑えられる
- 稼働済みなのですぐに収入が得られる
- 固定買取価格が高い
- 利回りが高い
- 発電実績がありシミュレーションが正確
中古の太陽光発電設備は、同じ容量の新設発電設備よりも安く購入することができます。すでに稼働しているので、契約後はすぐに売電収入を得ることが可能なので、儲かる可能性が極めて高いです。
また、固定買取価格は稼働開始年から20年間保証されるので、2024年に稼働し始めた太陽光発電設備よりも高い売電価格となっています。例えば、2020年度に稼働した10~50kWの設備の場合、売電価格は13円/kWhと、2024年度よりも3円高いです。
初期費用が安く、売電収入が高くなるため、利回りも高い傾向です。初期費用の回収が比較的早くできるので、初心者でも挑戦しやすいです。
新設発電設備は儲からない可能性がありますが、中古発電設備にはこれまでの発電実績があるため、利回りの計算や投資シミュレーションはより正確にできます。
儲からないというのは事実ではありません。
理由②天候によって発電量が左右される
太陽光発電は、雨や曇りの日が続くと発電量が下がるので、儲からなくなってしまうことを恐れる人も多いです。特に、梅雨の時期や台風が多い地域などは天候に大きく影響するので、儲からないというイメージをさらに強めます。
天候 | 晴れの日の発電量を 100%とした場合 |
曇り | 40~60% |
雨 | 10~20% |
雪 | 0~10% |
また、気温が高くなりすぎると発電効率も下がってしまうので、真夏の猛暑で発電量が下がることもあるでしょう。
しかし、太陽光は年間の発電量で収益シミュレーションをするので、1ヶ月単位での発電量減はあまり気にする必要はありません。過去のNEDOの日照時間データを地域ごとに参考にしているので、シミュレーションは正確にできます。
理由③定期的にメンテナンス費用が掛かる
太陽光発電システムのメンテナンスは義務となっており、必ず実施しなければなりません。
定期的にメンテナンスを実施しないと、設備機器の期待寿命よりも早く故障してしまったり、発電量がグッと下がってしまう可能性もあります。
住宅用太陽光発電のメンテナンス費用は年間3,000円/kW、産業用太陽光発電では年間5,000円/kWが相場です。
メンテナンスは専門業者に依頼すれば、基本的に全てまかせられます。業者によってメンテナンス費用や内容が異なりますので、しっかりチェックするようにしてください。
理由④自然災害などで破損する可能性がある
太陽光発電のシステムは自然災害などで破損する可能性があります。
たとえば、強風や積雪で局所的に圧迫されることで破損したりなど、太陽光発電投資にとって大きな損害が出るのが自然災害です。
日本は地震大国とも呼ばれており、東日本大震災や西日本豪雨、北海道地震など自然災害が多いです。
破損してしまうと、修理費用として10万円~40万円以上かかることが多く、利益よりも修理費用の方が高く付くケースもあります。
太陽光発電システムを設置・購入する場合は、ハザードマップをチェックするなどして、自然災害の被害に遭いにくい場所を選びましょう。
また、メーカー保証とは別に保険に入り、万一のリスクにも備えておくと安心です。
太陽光発電投資で儲かるためのポイント
儲かることを目的に太陽光発電投資を検討しているなら、投資を始める前にいくつかのポイントを押さえておけば「儲からない」と嘆く可能性が低くなります。
ここからは、太陽光発電投資が儲からないというイメージを払拭するためのポイントを紹介します。
元を取るのにかかるのはおよそ10年
太陽光発電投資は気軽に始められる資産運用の一つですが、儲かるという目的を達成する、つまり元を取るのに10年程度かかることを覚えておきましょう。
儲かるまでの10年という期間を長いと取るか短いと取るかは人それぞれですが、10年で投資額を回収した後は、安定した売電価格で収入も安定しているため、資産形成にも役立ちます。
ただし、10年の間に必ず儲かる=元を取れるというわけでもありません。
この10年を一つの目安として儲かるかどうかをしっかりと検証したうえで、投資を始めるべきかを判断することで儲からないという事態を避けられます。
■5年後に売却を検討する
太陽光発電設備の中古市場は活発になっており、売却もしやすい状況です。
運用開始後5年で売却を検討すると、FIT期間が長く残っており、設備の劣化も少ないので、より条件よく売却することが期待できます。ローンの残債が残った状態でも売却は可能です。
売却金額がローン残債を上回れば現金が手元に戻ることになり、別の投資に再投資することも考えられます。
固定価格買取制度も売電ができなくなるわけではない
太陽光発電投資では「固定価格買取制度(FIT制度)」があるため安定した収益に期待できますが、20年経った後はその価格の保証が無くなってしまいます。
ただし、保障が無くなると儲からないわけではありません。
むしろ、売電価格が上がれば保証期間以上に儲かる可能性も十分にあります。
どちらにしろ、売電価格がいきなり0円になることはないので、儲からないというのは嘘だといえますね。
太陽光発電投資で儲かりやすいのは中古購入
太陽光発電投資を始める際、新規で発電所を建てるか、中古発電所を購入するかの2択で悩むことが多いです。
結論から言うと、購入すべきなのは中古物件です。
現在稼働している中古太陽光発電所を購入してしまえば、ローリスクかつ高い収益に期待できます。
「固定価格買取制度(FIT制度)」の価格は年々下がっており、新規で投資を始めるよりも数年前から「固定価格買取制度(FIT制度)」が適用されている中古発電所の方が単価が高いです。
また、中古の発電所はこれまでの発電実績が分かるので、収益の見込みが立てやすい点も魅力です。
安定した数字を維持していれば、システムが破損したりしない限りは安定して儲かることに期待できます。
自己所有の土地ありなら新規設置も検討する
自己所有の空いている土地があるなら、新設設置で太陽光発電投資をするのも検討してください。
特に郊外にある土地であれば、日光を遮る建物もないため発電に向いていますし、土地は既に確保しているので初期費用は設備投資だけで安く済みます。
環境省が発表しているデータによると、初期費用が少ないほど収益性に期待ができるとされています。
ローリスクで投資資金を回収しながら安定した収益が望めるのは大きなメリットです。
融資を受けられれば頭金がなくても始められる
太陽光発電投資は、銀行、日本政策金融公庫、信販会社から融資を受けられます。
太陽光発電投資は、融資さえ受けられれば頭金ゼロでも始められるので、頭金を用意する貯蓄に余裕がない人でも気軽に始められるのが特徴です。
銀行から融資を受ける場合、金利が1.5~2.3%と低いのが特徴です。審査基準は日本政策金融公庫と比べるとやさしく、担保があれば比較的借りやすくなっています。
日本政策金融公庫は、どの融資先よりも金利が低いのが特徴です。ただし、審査基準も一番難しく、事業計画書の提出が必要となります。
信販会社は手続きや審査も簡単で、多くの投資家の融資先として選ばれています。金利は高めですが、融資を受けられる可能性が高いです。
同じ価格で売電収入が得られる
太陽光発電投資には「固定価格買取制度(FIT制度)」があり、10kW以上の太陽光発電の場合は20年間電気を固定の料金で買い取ってもらえます。
つまり、売電価格が保証されているということです。
これにより、長期的に安定した売電収入が得られるのが最大の特徴です。
株式投資やFX、不動産投資などは価格が保証されていることはありません。
太陽光発電投資は、20年という長期間同じ価格で売電収入が得られるのが魅力です。
景気に左右されず安定した経営ができる
太陽光発電投資は、「固定価格買取制度(FIT制度)」の期間内であれば売電価格が保証されており、景気の悪化による影響を受けることはありません。
他の投資方法と比べても収益が安定しており、急に儲からない状態になってしまうリスクもありません。
投資と言えば、景気に左右されるイメージが強く、実際に株式投資やFX、不動産投資は景気や流行に左右されて安定投資は難しいです。
太陽光発電は企業や社会からも認められているサスティナブル経営に必須とも言えます。
節税対策にもなる
太陽光発電投資では、個人も企業も節税対策になります。
太陽光発電設備は償却資産です。設備費用は減価償却費として、耐用年数で分割して毎年計上でき、メンテナンス費用も経費として計上でき課税所得の削減が可能です。
また、太陽光発電を購入した年は、初期費用で支払った消費税が売電収入で預かった消費税より多くなるため、課税事業者となれば、消費税還付を受けることができます。
1度課税事業者になると、3年間は消費税を納める必要がありますが、それを考慮しても還付金の方が高い場合がほとんどです。
関連記事:太陽光発電投資は個人・法人どっちも節税できる!税制優遇を活用した節税方法を解説
太陽光発電投資で儲かるための物件の選び方
太陽光発電投資を始める場合、物件の選び方が重要です。どのような条件をチェックすればいいのかをまとめます。
立地条件
太陽光発電の立地は、以下の条件を確認しましょう。
- 日照時間が長い
- 周囲に日光を遮るものがない
- 自然災害のリスクが低い
- 交通の便が良い
日照時間が長かったり、周囲に影を作るものがなかったりすると、設備の性能を十分に活かした発電量が期待できます。
また、ハザードマップを確認し、土砂崩れ・浸水・津波などの被害を受けない箇所であれば、自然災害の被害を受けるリスクが低くなり、急な出費を抑えられるでしょう。
交通の便が良いと、草刈りや点検などのメンテナンス作業がやりやすいです。さらに、人通りがあると盗難被害にも遭いにくいというメリットもあります。
設備の状態
太陽光発電設備全体の状態も、投資の収入に大きく影響します。
- FIT価格・残FIT期間
- メンテナンス状況
- メーカー保証期間の残年数
- フェンス・防犯対策などの周辺設備
まず確認するのは、その設備のFIT価格とFIT期間です。
特に中古物件の場合、残FIT期間が短くてもFIT価格が高く利回りが高い物件がいいのか、FIT価格が低くてもFIT期間が長い方がいいのか、物件のシミュレーションを行い検討する必要があります。
また、メンテナンスが適切に行われているか、機器が新しいものに交換されているかも重要です。長期間稼働している太陽光発電設備であっても、パワコンやパネルがリパワリングされていれば、効率の良い発電が期待できます。
太陽光発電投資の儲けに関するよくある疑問
太陽光発電投資は7割が損するって本当?
「太陽光発電投資は7割が損する」と言われることもありますが、これは事実です。
環境省が2018年に発表した「再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開に関する委託業務報告書」では、太陽光発電にかかる費用から最終的な損益を計算し、その結果7割近くの家庭で損をしてしまうという事実が分かりました。
「7割が損をする」と記載されているわけではないですが、環境省が発表したデータということもあり、信憑性は高いです。
ですが、太陽光発電に初期費用が低い家庭では、7割近くが得をする計算とも発表しています。
つまり、太陽光発電投資ではいかに初期費用を抑えるかが大事なポイントとも言えるでしょう。
住宅用太陽光は儲かる?
太陽光発電の売電には「固定価格買取制度(FIT制度)」があるため元を取ることは十分に可能です。
例えば、出力10kW以上の家庭用太陽光システムを導入した場合の初期費用が200万円だったとします。
年間10万円の電気代削減プラス売電収入を得ることができれば、10年~20年ほどで元が取れる計算です。
初期費用はどれくらいかかる?
太陽光発電投資にかかる初期費用は、1kWあたり20万円~30万円程度が相場です。
太陽光発電設備の設置には、太陽光発電パネル、パワーコンディショナー、工事や手続きなどの諸費用がかかります。
既に持っている住宅に太陽光パネルを設置するのか、安い土地を購入して設置するのかによっても初期費用は大きく異なります。
複数の業者に見積りを出してもらえば、一番安い価格で太陽光発電投資を始められるでしょう。
太陽光発電設備に固定資産税はかかる?
産業用の10kW以上の太陽光発電設備であれば、固定資産税の対象になります。
10kW以下の太陽光発電設備であれば、固定資産税は発生しません。
太陽光発電設備にかかる固定資産税の計算方法
太陽光発電設備にかかる固定資産税の税率は、課税対象評価額の1.4%です。
なお、太陽光発電設備は償却資産なので、毎年資産価値が減価します。
- 1年目の減価率0.064
- 2年目以降の減価率0.127
例えば、太陽光発電設備を500万円で購入した場合、課税対象評価額の1.4%をかけた約7万円が固定資産税になる計算です。
まとめ
太陽光発電投資が儲かるか儲からないというのは嘘であり、実際は儲かります。他の投資方法と比べても初期費用が比較的少ない上に、「固定価格買取制度(FIT制度)」により20年間売電価格が固定しています。
毎年制度の見直しはあるものの、将来的な太陽光発電の必要性を考えると電力の買取自体が無くなってしまうリスクは考えられません。
たとえ売電価格が下がったとしても、買取が続く限りは儲けることができます。
また、太陽光発電は節税対策も可能なので、早いうちに始めた方がお得です。
ソルセルでは太陽光発電投資のご紹介だけでなく、税金対策に必要な補助金制度、軽減措置に関する申請手続きをサポートしています。
太陽光発電投資をご検討の事業者は、ソルセルまでお問い合わせください。
この記事を書いた人
ikebukuro