太陽光発電のCIS太陽電池とは?シリコンとの比較やメリット・デメリットを解説
- 公開日:2026.01.16
- 更新日:2026.01.16
近年、再生可能エネルギーの中でも、太陽光パネル(ソーラーパネル)に用いられる「CIS太陽電池」が大きな注目を集めています。
太陽光発電は、再生可能エネルギーとして大きな期待が寄せられていますが、CIS太陽電池は、今後の地球環境の改善に向けた1つのカギとして有望視されています。
CIS太陽電池の特徴やシリコン太陽電池との違いについて詳しく解説しますので、参考にしてくださいね。
目次
CIS太陽電池(ソーラーパネル)とは

出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
CIS太陽電池とは、「銅(Copper)」「インジウム(Indium)」「セレン(Selenium)」を主な原料とする太陽電池です。
太陽光発電は、再生可能エネルギーとして注目されており、多くの企業や個人が取り入れています。
ソーラーパネルの一種であるCIS太陽電池は、薄膜なため生産性に優れており、製造コストも割安という特徴があります。
また、性能面でも優れており、材料が光をどれだけ吸収できるかを示す「光吸収係数」はシリコン系太陽電池の約100倍です。
耐久性の高いことでも知られており、降雹試験、曝露試験、環境試験などの試験を経て、衝撃への耐久性、長期的な耐久性、厳しい使用環境での耐久性などが証明されています。
環境にも優しいことから、次世代太陽電池(ソーラーパネル)として今後の量産化が期待されています。
CIS太陽電池の構造

出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
CIS太陽電池の構造は、ガラスの基板上に裏面電極があり、CIS系光吸収層とpn接合を作るバッファ層と透明導電膜の上部電極層が重なって構成されています。
光吸収係数が大きいので薄膜化でき、太陽電池セルの厚さは、結晶系シリコン太陽電池が200~300μmなのに対し、CIS太陽電池は2~3μmで、結晶系シリコン太陽電池の1/100分程度で製造できます。
CIS太陽電池(ソーラーパネル)とシリコン系太陽電池の違い

以下の表で、CIS太陽電池とシリコン系太陽電池の違いをまとめました。
| CIS太陽電池 | シリコン系太陽電池 | |
| 主な原料 | 銅・インジウム・セレン | ケイ素 |
| 特徴 | 薄膜でCO2排出量・資源量が少ない | 変換効率が高い |
| 価格 | 安い | 比較的高い |
| 影の影響 | 影響が少ない | 影響が大きい |
| 高温 | 出力低下を抑える | 出力が低下してしまう |
| 発電効率 | 約14〜15% | 約20% |
| 重さ | 1㎡あたり約18.5kg | 1㎡あたり約10〜15kg |
それぞれの特徴があるため、長所や短所を理解しましょう。
シリコン系太陽電池の強みは、CIS太陽電池の変換効率が約14〜15%なのに対し、シリコン系太陽電池の変換効率が約20%と高い水準にあること。
また、重量が軽いこともメリットとして挙げられます。
一方のCIS太陽電池の強みは、製造コストが低く価格が安いこと、影の影響が少なく発電量が安定していること、高温時の出力低下を抑えられることです。
CO2排出量や使用する資源量が少なく、環境に優しい太陽電池です。
シリコン系太陽電池の特徴
シリコン系太陽電池は、ケイ素を原料として使っている太陽電池です。
主に以下の3種類があります。
- ①単結晶シリコン
- ②多結晶シリコン
- ③アモルファスシリコン
シリコン系太陽電池の長所は、変換効率・耐久性・製造コストに優れていることです。
結晶系シリコン太陽電池は主に民間用として普及し、国内市場の80%を占めています。
では、それぞれの特徴を解説します。
単結晶シリコン太陽電池
単結晶シリコン太陽電池は、日本でもっとも普及している太陽電池です。
シリコンの塊から作られていますが、生産コストが高いというデメリットもあります。
しかし、変換効率が約16〜18%と高いというメリットがあり、見た目の美しさも人気の要因となっています。
多結晶シリコン太陽電池
多結晶シリコン太陽電池は、「再利用」や「生産コスト軽減」といった目的で作られた太陽電池です。
変換効率はやや低くなりますが、生産コストが低いため、現在、大量生産されてる太陽電池です。
アモルファスシリコン太陽電池
アモルファスシリコン太陽電池は、ランダムな原子配列と弱い光でも吸収しやすい特徴があります。
また、薄膜化できるため、少ないスペースに設置できるのも魅力です。
製造コストは比較的下がりますが、変換効率は結晶系シリコン太陽電池に比べ、大きく下回るというデメリットがあります。
CIS太陽電池とシリコン系太陽電池どっちがおすすめ?
CIS太陽電池が全ての人におすすめというわけではありません。シリコン系太陽電池の方が向いている場合もあるので、条件を確認していきましょう。
CIS太陽電池がおすすめな人
CIS太陽電池をおすすめな人は、価格の安さ・天気を問わず安定した発電量・真夏の高温下にも影響を受けない特性などを重要視する人です。
シリコン系太陽電池には以下のようなデメリットがあります。
| 名称 | デメリット |
| 単結晶シリコン太陽電池 | 価格が高い・高温下の変換効率が下がる |
| 多結晶シリコン太陽電池 | 単結晶に比べて変換効率が悪い |
| アモルファスシリコン太陽電池 | 変換効率が悪い・初期劣化がある |
CIS太陽電池は、発電効率の悪さや重量の重さが短所ですが、比較的新しい製品なため、今後の技術革新が期待されています。
シリコン系太陽電池がおすすめな人
シリコン系太陽電池には前項で紹介したようなデメリットがあります。しかし、シリコン系太陽電池は長年にわたって研究開発が行われているので、高い耐久性と安定性があるというメリットがあります。
製造技術が進んでいることもあり、コストが比較的安価なので、大規模な太陽光発電システムにも適しているというのも利点です。
また、環境に優しいという長所もあるので、上記のメリットを貴重に思う人はシリコン系太陽電池利用をおすすめします。
CIS太陽電池(ソーラーパネル)の特徴・メリット

CIS太陽電池の特徴とメリットを4項目に分けて解説します。
- 価格が安い
- 省スペースで設置できる
- 曇りの日でも安定して発電できる
- 高温時でも発電量の低下が抑えられる
省資源で製造できる
CIS太陽電池は、発電層が数マイクロメートル程度の薄膜で構成されているため、結晶シリコン系と比べて使う材料の量を大きく減らせます。
ガラスや金属の基板の上に薄く成膜するだけでよく、同じ出力を得るのに必要な資源を抑えられるのが特徴です。材料が少ない分、製造にかかるエネルギーやコストも下げやすいと言われています。
限られた資源を有効に活用しながら再生可能エネルギーを広げていける点は、環境負荷の少ない発電方式を選びたい人にとって大きなメリットと言えるでしょう。
一方で、インジウムなどの希少元素を使うため、資源確保への配慮も今後の課題になります。将来的には、リサイクル技術の向上や代替材料の研究が進むことで、より省資源で持続可能な太陽光発電へと発展していくことが期待されています。
薄膜構造で柔軟・省スペース
CIS太陽電池は、発電層が非常に薄い「薄膜構造」で作られているのが大きな特徴です。一般的なシリコン系パネルより材料の厚さが圧倒的に少なく、数マイクロメートル程度の膜をガラスや金属の基板に重ねて製造します。
そのため、パネル自体が軽く、設置時の負担が少ない点がメリットです。薄さを生かして軽量化できるので、屋根の強度が気になる建物や、限られたスペースでも導入しやすくなります。
さらに、薄膜ならではの柔軟性があり、平坦な屋根だけでなく、わずかに曲面になっている場所にも取り付けやすいという利点があります。
従来の太陽光パネルだと設置が難しい環境でも検討できるため、活用できる場面が広いと言えます。省スペースで扱えることから、住宅だけでなく産業用の屋根、カーポート、外壁などにも応用しやすい点も魅力です。
影の影響を受けにくい
CIS太陽電池は、影の影響を受けにくいため、曇りの日でも安定して発電できます。
シリコン系太陽電池は影の影響を受けやすく、ソーラーパネルの一部に影にかかってしまうと、パネル1枚の発電量が大きく低下してしまいます。
しかし、CIS太陽電池は一部に影がかかっても、発電量の低下は影になった部分のみです。
また、電気の流れが分散されるため、ソーラーパネル部分に影がかかっても発電量はそれほど低下しないという長所があります。
高温時でも発電量の低下が抑えられる
CIS太陽電池のソーラーパネルは、高温時でも発電量の低下を抑えられるというメリットがあります。
真夏の日中は、屋根の上の太陽光パネルの表面温度は約80℃にも達しますが、シリコン系太陽電池は約60〜80℃の高温で出力が下がってしまうという短所がありました。
しかしCIS太陽電池は高温に強く、高温時の出力低下を抑えるという特性があるため、真夏のような季節でも性能を発揮することができます。
シリコン製よりも劣化しにくい
CIS太陽電池は、温度変化や紫外線の影響を受けにくい構造になっているため、シリコン系パネルよりも経年劣化がゆるやかだと言われています。
薄膜タイプのためセル内部にかかる応力が小さく、長期間使っても性能が大きく落ちにくい点が特徴です。
特に、日射量が安定しない地域や夏と冬の温度差が大きい環境でも発電効率を保ちやすく、実使用でのロスが少ないとされています。
また、CISは光による劣化が起きにくいとされており、運転開始から時間が経っても発電量が安定しやすいのも大きなメリットです。
シリコン系では初期にわずかな出力低下が起こることがありますが、CISではその影響が小さいため、長期的な発電量を確保しやすくなります。設備を長く使いたい人にとって、耐久性の高さは導入メリットの一つと言えるでしょう。
CIS太陽電池(ソーラーパネル)の欠点・デメリット
CIS太陽電池の注意点とデメリットを3つ解説します。
- 発電効率が悪い
- パネル重量が重い
- 国内取扱企業はソーラーフロンティアのみ
発電効率が悪い
デメリットの1つに、発電効率の悪さが挙げられます。
| 素材 | 発電効率 |
| CIS | 約14~15% |
| シリコン系 | 単結晶:約20% 多結晶:約10% |
| 有機系 | 約11% |
| 量子ドット系 | 約13% |
シリコン系太陽電池の発電効率は約20%前後ですが、CIS太陽電池の発電効率は約14〜15%。
CIS太陽電池はその発電効率の低さから、発電量を確保するにはパネルの設置面積を広く確保しなくてはいけません。
他社の最高クラスの変換効率を誇る太陽光パネルと比べると、1.5倍の設置面積が必要なため、これは大きなデメリットと言えるでしょう。
しかし2019年、国内でカドミニウムを含まないCIS太陽電池セルが開発され、世界最高のエネルギー変換効率23.35%を実現しました。
今後、さらに発電効率が高いソーラーパネルの研究開発が期待されています。
パネル重量が重い
2つめの課題として重量の重さが挙げられます。
一般的なシリコン系太陽電池の重さ1㎡あたり約10〜15kgに対し、ソーラーフロンティアが開発したCIS太陽電池の重さは1㎡あたり18.5kg。
重量の重いCIS太陽電池を使用したソーラーパネルを設置すると以下のリスクがあります。
- 建物の屋根が、太陽光パネルの重さで耐久性に影響が出るリスク
- 古い木造住宅などで、屋根の劣化や耐震性が落ちるリスク
このようなリスクがあるため、建物の構造や耐久性を考慮して設計する必要があります。
国内で取り扱っているメーカーがない
ソーラーフロンティア株式会社は、これまでCIS太陽モジュールの製造・販売を行っている数少ない国内メーカーでした。
しかし、2021年10月に国内のCIS太陽光パネル生産から撤退しています。近年の中国企業の太陽光発電事業への参入による価格競争が激化した末に経営状況が悪化したためです。
これ以降、CIS太陽電池を扱っている国内メーカーはありません。アフターフォローを考えて国内メーカーを選びたいと思っている方には、デメリットと言えます。
【CIS太陽電池より新しい】ペロブスカイト型太陽電池とは?

「ペロブスカイト型太陽電池」とは、ペロブスカイトの結晶構造を持つ化合物から作られる太陽電池のことで、近年研究開発が加速しています。
厚さがシリコン太陽電池の約100分の1と薄くて軽く、曲げることができるのが大きな特徴です。さまざまな形に加工でき、設置場所の幅が広がります。
エネルギー変換効率も、すでにシリコン太陽電池と同レベルの20%以上と、高い数値を実現しています。
ペロブスカイト太陽電池はまだ実用化されたばかりですが、今後開発が進められ、家庭用や産業用として販売されれば、主流となる可能性もあります。
関連記事:ペロブスカイト太陽電池の実用化はいつ?購入価格やメリット・デメリット解説
まとめ
CIS太陽電池(ソーラーパネル)は、再生可能エネルギーの一役を担う「次世代太陽電池」として、大きな注目を集めています。
CIS太陽電池は、薄膜で形成しやすいため、CO2排出量や使用する資源量が少ないことから、環境への貢献が期待されています。
そして安く購入できて、曇りの日や、真夏の高温時でも安定した発電量を保てることがメリットです。
一方、発電効率の悪さやパネル重量の重さは今後の課題とされています。
今後の地球環境への貢献を念頭に、CIS太陽電池の更なる普及を期待しましょう。
この記事を書いた人
ikebukuro





