太陽光パネルの廃棄・撤去にかかる費用は?積立義務化に関しても解説
- 公開日:2026.08.04
- 更新日:2026.08.04
太陽光発電設備は処分するとき、どれくらいの廃棄費用・撤去費用が発生するのかや、費用の相場について紹介します。太陽光発電投資の検討をしている方必見です。
太陽光パネルには環境にとって有害な物質が含まれているため、撤去や廃棄処分は法令で決められた手順で行う必要があります。
2022年7月にFIT制度が改正され、出力10kW以上の産業用太陽光発電設備に、廃棄費用の積立が義務化されました。積立は原則として買取期間が終了する前の10年間に行われ、毎月の売電収入から天引きされます。
住宅用太陽光発電設備の場合は費用積立の義務はありませんが、撤去時に備え自分で廃棄費用を用意しておく必要があります。
・太陽光パネルの廃棄・撤去費用は、住宅用で20万〜40万円程度、産業用では数百万円から数千万円になる場合があります。
・10kW以上のFIT・FIP認定設備は、原則として買取期間・交付期間が終了する前の10年間に廃棄等費用を積み立てますが、10kW未満の住宅用設備は対象外です。
・不要になった太陽光パネルは、許可を持つ業者へ依頼して適正に撤去・運搬・処分する必要があり、状態によってはリユースや設備・発電所の売却も検討できます。
目次
太陽光パネルの廃棄・撤去費用はいくらかかる?

太陽光パネルの廃棄・撤去費用は、設備の規模や設置場所、足場の有無などによって大きく異なります。処分費だけでなく、取り外しや運搬、架台の撤去などにかかる費用も含めて確認しましょう。
住宅用太陽光発電の廃棄・撤去費用
住宅用太陽光発電をすべて撤去して処分する費用は、一般的に20万〜40万円程度が目安です。費用には、パネルや架台の取り外し、電気配線の処理、処分施設までの運搬、リサイクルや最終処分などが含まれます。
屋根の高さや勾配によっては足場が必要となり、さらに10万〜20万円程度かかる場合もあるでしょう。また、架台を固定していた穴の補修や屋根の防水工事は、撤去費とは別に請求されることがあります。
見積もりを比較するときは、足場代や屋根の補修費まで含まれているかを確認することが大切です。
産業用・投資用太陽光発電の廃棄・撤去費用
産業用・投資用太陽光発電は設備規模が大きいため、撤去・廃棄にかかる総費用が数百万円から数千万円になることもあります。
経済産業省が買取価格を算定する際に想定している「廃棄等費用」は、近年の事業用設備で1kWあたり1万円程度です。
ただし、この金額は実際の撤去・処分にかかる総費用を示すものではありません。パネルや架台の撤去、基礎の解体、重機の手配、収集運搬、処分、土地の原状回復などを含めると、1kWあたり2万円程度以上になる場合もあります。
そのため、100kW設備では廃棄等費用の想定額が約100万円となる一方、撤去から処分、原状回復まで含めた実際の総費用は約200万円以上になる可能性があります。
山間部や搬出経路が狭い発電所ではさらに費用が増えるため、現地調査を受けて見積もりを取りましょう。
太陽光パネル1枚あたりの処分費用
太陽光パネル1枚あたりの処分費用は、処理施設へ直接持ち込む場合で1,200〜3,000円程度が一つの目安です。ただし、この金額には屋根や架台から取り外す作業費や、処理施設までの運搬費が含まれていないケースが一般的でしょう。
住宅の屋根から1枚だけ撤去する場合でも、作業員の出張費や安全対策費、車両費が発生するため、総額では8,000〜2万円程度になることがあります。
複数枚をまとめて処分すれば1枚あたりの負担を抑えやすいものの、パネルの種類や状態、処理施設までの距離によって料金は変わります。単価だけでなく、費用の内訳も確認してください。
廃棄・撤去費用を左右する要因
太陽光パネルの廃棄・撤去費用は、パネルの枚数や発電容量だけで決まるわけではありません。住宅では屋根の高さや傾斜、足場の設置範囲が費用を大きく左右します。
産業用設備では、架台やコンクリート基礎の構造、重機を搬入できる道路の有無、土地をどこまで元の状態に戻すかが重要です。
また、処理施設までの距離が長い場合や、鉛などの有害物質を含むパネルを適切に処理する場合は、運搬費や処分費が高くなる可能性があります。
見積もりでは、撤去、運搬、処分、基礎解体、原状回復がそれぞれ含まれているかを確認しましょう。
太陽光パネルの廃棄費用は誰が払う?
太陽光パネルの廃棄・撤去費用は、原則として設備の所有者や発電事業者が負担します。住宅用設備は、撤去を依頼する住宅所有者が施工業者へ費用を支払うのが一般的です。
事業用設備についても、廃棄物を適正に処理する責任は、最終的に発電事業者などの排出者が負います。なお、10kW以上のFIT・FIP認定設備は廃棄等費用積立制度の対象となり、原則として買取期間や交付期間が終わる前の10年間に積み立てます。
ただし、積立金だけで実際の費用を賄えない場合、不足分は事業者が用意しなければなりません。住宅用の10kW未満の設備は、この制度の対象外です。
太陽光発電設備の廃棄費用積立制度がスタート

国はFIT認定を受けた太陽光発電設備の廃棄費用積立を2022年7月より開始しています。
もともと、太陽光発電設備の廃棄処理は太陽光発電事業者が責任を持って行うと法律で定められています。FIT価格は廃棄費用も含んで、事業者が再生可能エネルギー事業で採算がとれるよう価格が決定されているのです。
そのため、事業者は売電収入の中から廃棄費用を積み立てておく必要があります。
しかし、2019年の調査では、廃棄費用の積み立てを行っている事業者は16%だけと非常に少ない状態でした。この現状を踏まえ、廃棄費用の積立制度がスタートしました。
参考:資源エネルギー庁 太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について
10kW以上の産業用太陽光発電は廃棄費用積立が義務化
廃棄費用積立制度では、国が「廃棄等費用積立ガイドライン」を作成し、10kW以上の産業用太陽光設備の廃棄費用の積立が義務化されています。廃棄費用の積立金額は、FIT制度の売電収入から源泉徴収的に差し引かれます。
積立を開始する期間はFITの売電期間が終わる10年前で、終了時期はFIT売電が終了する日です。積立金額は毎月の売電収入から天引きされます。
廃棄費用の積立方法は、買取価格から積立費用を事前に差し引かれる「外部積立」が原則です。電力広域的運営推進機関が廃棄費用の積立金を管理しています。
廃棄費用の積立金の額はFIT認定された年度や設備の容量によって決まります。詳細は以下の通りです。
例えば、2020年にFIT認定された100kWの設備の場合、売電価格から廃棄費用の積立額0.66円/kWが差し引かれることになります。差し引かれた廃棄費用は外部機関に積み立てられ、廃棄費用が必要な時に払い戻しを受けられます。廃棄費用の払い戻しを受けられる条件は以下の通りです。
- ①FIT期間中に発電事業を終了
- ②FIT期間中に発電事業を縮小
- ③FIT期間終了後に発電事業を終了
- ④FIT期間終了後に発電事業を縮小
- ⑤FIT期間終了後に一部の太陽光パネルを交換
- ⑥FIT期間終了後に全てに太陽光パネルを交換
上記の条件を満たしていれば、FIT期間中でも廃棄費用の払い戻しを受けることができます。
高圧発電所は内部積立の選択も可能
50kW以上の高圧発電所は、条件を満たせば事業者自身で廃棄費用の積立を行う「内部積立」を選べます。廃棄費用の内部積立を選べる条件は以下の通りです。
- 認定における事業計画の事業者が電気事業法錠の発電事業者に該当する
- 外部積立の水準以上の廃棄費用の積立が予定されており、それを公表する
- 定期報告(年1回)で外部積立の水準額以上の廃棄費用が積み立てられており、それを公表する
- 金融機関または会計士などにより廃棄費用の確保が定期的に確認されている
もし条件をクリアできなかった場合は、廃棄費用は外部積立へ移行されます。
家庭用太陽光発電は廃棄費用積立制度の対象外
家庭用太陽光発電は、廃棄費用積立制度の対象ではありません。家庭用太陽光発電を廃棄する際には産業廃棄物となり、廃棄業者に引き取ってもらう必要があります。
住宅のリフォームをする場合やパネルが故障した場合、地震や台風などの被害を受けた場合に処分するケースがあります。
リフォームのケースでは解体業者や撤去業者に、設置したパネルが破損や故障したケースではメーカーや販売店に処分・修理を依頼しましょう。
積立金を取り戻せる条件と手続き
外部積立したお金は、事業者が希望すれば自由に取り戻せるわけではありません。発電事業を終了し、基礎や架台を含む設備全体を解体・撤去する場合など、廃棄処理が確実に行われると確認できるときに取戻しが認められます。
事業を縮小したり一部のパネルを交換したりする場合は、原則として廃棄するパネルが認定出力の15%以上かつ50kW以上であることが条件です。
取戻しには、再生可能エネルギー電子申請から必要な手続きを行い、撤去工事の契約書や処分を証明する資料などを提出します。実際の費用や積立残高によっては、申請額の全額を受け取れない場合もあります。
太陽光パネルの廃棄は義務?

太陽光パネルは、一定の使用年数を過ぎたという理由だけで、すぐに廃棄しなければならないわけではありません。ただし、使用を終えて不要になった設備は、廃棄物処理法などに従って適切に処理する必要があります。
寿命を迎えただけで直ちに撤去する義務はない
太陽光パネルの一般的な寿命を迎えたとしても、年数だけを理由に直ちに撤去しなければならないという一律の義務はありません。発電量が低下していても、安全に使用できる状態であれば、点検や修理をしながら使い続けられる場合があります。
一方、破損や腐食によって落下、感電、火災などの危険がある設備を放置するのは避けるべきです。
FIT・FIP認定を受けた事業では、設備を適切に保守点検し、事業終了時には必要な廃止手続きや解体等完了確認を受ける必要があります。年数だけで判断せず、専門業者に状態を確認してもらいましょう。
不要になったパネルは適正に処理する必要がある
故障や事業終了、建物の解体などによって太陽光パネルが不要になり、廃棄物に該当する場合は、廃棄物処理法に従って適正に処理しなければなりません。
空き地や倉庫に長期間放置したり、無許可の回収業者へ引き渡したりすると、不法投棄や不適正処理につながるおそれがあります。
処分する際は、再使用できるかを確認したうえで、難しい場合はリサイクルや適正な埋立処分を検討しましょう。撤去業者へ依頼するときも、収集運搬や処分を行う業者が必要な許可を持っているか、処分先が明確かを確認することが重要です。
太陽光パネルは産業廃棄物として扱われる場合がある
事業用の発電所から撤去された太陽光パネルや、住宅の解体・撤去工事に伴って施工業者から排出されたパネルは、一般的に産業廃棄物として扱われます。
この場合、排出事業者には適正処理の責任があり、許可を持つ収集運搬業者や処分業者への委託、契約書の作成、マニフェストによる処理状況の確認などが必要です。
一方、家庭の所有者が自ら取り外して廃棄する場合は、一般廃棄物として扱われる可能性があり、自治体によって受入方法が異なります。個人で判断してごみ集積所へ出さず、自治体や施工業者へ処分方法を確認してください。
太陽光パネルを廃棄・撤去する手順

太陽光パネルを安全かつ適正に処分するには、撤去工事だけでなく、運搬先や処分方法、必要な行政手続きまで事前に確認することが大切です。一般的な流れを順番に見ていきましょう。
施工会社や専門業者へ相談する
太陽光パネルの廃棄を決めたら、まずは設置を担当した施工会社や、撤去工事に対応する専門業者へ相談します。設置時の図面や設備の型式、発電容量、設置年などが分かる資料を用意すると、話が進みやすいでしょう。
住宅用設備では、屋根工事や電気工事、処分までまとめて依頼できるかを確認してください。産業用発電所の場合は、架台や基礎の撤去、土地の原状回復まで対応できる業者を探します。
撤去したパネルを処分するには廃棄物処理法に沿った対応も必要なため、処分先や委託先を明確に説明できる業者を選びましょう。
現地調査を受けて見積もりを比較する
相談後は現地調査を受け、設備の規模や設置状況に合った見積もりを出してもらいます。調査では、パネルの枚数や屋根の高さ、足場の必要性、架台や基礎の構造、重機を搬入できるかなどを確認するのが一般的です。
見積書では、パネルや架台の撤去費だけでなく、足場、電気工事、運搬、処分、屋根補修、土地の原状回復が含まれているかを確認しましょう。
金額だけで決めると、工事後に追加費用が発生するおそれがあります。できれば複数社から見積もりを取り、作業範囲と処分方法を比較してください。
太陽光パネル・架台・配線を撤去する
撤去工事では、はじめに設備を停止し、電気が流れないよう安全を確保してから配線やパワーコンディショナーを取り外します。その後、太陽光パネル、架台、必要に応じてコンクリート基礎などを順番に撤去していきます。
太陽光パネルは光が当たると発電するため、感電や破損を防ぐ知識が欠かせません。屋根上での作業には転落の危険もあるので、自分で取り外さず専門業者へ依頼しましょう。
撤去したパネルは割れないように扱い、破損品は飛散や水濡れを防ぎながら、運搬まで安全な場所で保管します。
収集運搬業者が処分場へ運ぶ
撤去した太陽光パネルが産業廃棄物に該当する場合は、原則として必要な許可を持つ収集運搬業者が、中間処理施設やリサイクル施設まで運びます。
撤去業者がそのまま運搬できるとは限らないため、誰が運び、どの施設へ持ち込むのかを契約前に確認しましょう。運搬中はパネルの破損や荷崩れを防ぎ、破損している場合はガラス片の飛散や雨水への接触を防ぐ必要があります。
処理を業者へ委託する排出事業者は、書面による契約を結び、マニフェストを交付して、廃棄物が適正に処理されたか確認します。
リサイクルまたは産業廃棄物として処分する
処分場へ運ばれたパネルは、状態や受入施設に応じてリサイクルまたは埋立処分されます。
リサイクル施設では、アルミフレームやガラス、金属などを分離し、再利用できる資源を回収します。ただし、すべてのパネルを必ずリサイクルしなければならない全国一律の義務があるわけではなく、地域や施設によって対応が異なる点に注意しましょう。
リサイクルが難しい場合も、廃棄物処理法に沿った適正な処分が必要です。業者を選ぶ際は、処分先が明確であるか、メーカーから提供された有害物質の情報を処理施設へ伝えているかも確認してください。
FIT・FIP認定設備の廃止手続きを行う
FIT・FIP認定を受けた発電事業を終了する場合は、設備を撤去するだけでなく、認定事業の廃止手続きも必要です。対象設備や規模に応じた方法で、再生可能エネルギー電子申請システムなどから事業廃止届を提出します。
廃棄等費用積立金を取り戻して撤去に使う場合は、取戻しに必要な申請も別途行いましょう。
また、認定設備の解体や撤去を終えた後には、解体等完了確認申請が必要になる場合があります。電力会社との受給契約や系統連系の終了手続きもあるため、撤去業者や電力会社、所管窓口へ早めに確認して進めてください。
太陽光パネルの処分業者を選ぶポイント

太陽光パネルを適正に処分するには、料金だけでなく、業者の許可や処分先、必要書類まで確認することが大切です。不法投棄や追加費用などのトラブルを避けるため、依頼前に次のポイントを比べましょう。
産業廃棄物処理や収集運搬の許可を確認する
太陽光パネルを産業廃棄物として処分する場合は、委託する業者が必要な許可を持っているか確認しましょう。収集や運搬を行うには産業廃棄物収集運搬業、破砕や埋立処分などを行うには産業廃棄物処分業の許可が原則として必要です。
ただし、許可があっても、取り扱える廃棄物の種類や営業区域が合っているとは限りません。
許可証の有効期限、許可を受けた自治体、事業範囲まで確認することが大切です。環境省が案内している産廃情報ネットや自治体の公開情報も活用し、無許可業者への委託は避けてください。
撤去から処分まで一括対応できるか確認する
太陽光パネルの処分では、設備の停止、パネルや架台の撤去、運搬、リサイクルまたは最終処分まで複数の工程が発生します。一括対応できる業者であれば、依頼先を個別に探す手間を減らし、工程間の連絡も進めやすいでしょう。
ただし、一社がすべての作業を自社で行うとは限らず、収集運搬や処分を別の許可業者へ委託するケースもあります。
その場合は、各工程をどの業者が担当し、事故や破損が起きたときに誰が責任を負うのか確認してください。見積書や契約書に作業範囲が明記されている業者を選びましょう。
処分先やリサイクル方法を確認する
処分業者を選ぶ際は、撤去したパネルが最終的にどこへ運ばれ、どのように処理されるのかを確認してください。
リサイクル施設では、アルミフレームやガラス、金属などを分離して再資源化しますが、施設によって受入条件や処理方法が異なります。
また、リサイクルできない部分は、適切な中間処理を経て最終処分される場合もあるでしょう。
処分先をはっきり説明しない業者や、相場より極端に安い料金を提示する業者には注意が必要です。処理施設の名称や所在地、再資源化される割合などを質問しておくと安心できます。
マニフェストや処分証明書を発行できるか確認する
産業廃棄物の処理を業者へ委託する場合、排出事業者は紙または電子のマニフェストを使用し、運搬から最終処分まで適正に行われたか確認する必要があります。
そのため、マニフェストの交付や登録に対応し、処理終了後の報告を確実に返せる業者を選びましょう。業者によっては、処分施設の計量票や写真、処理完了報告書などを発行してくれる場合もあります。
ただし、処分証明書は全国共通の法定書類ではありません。書類の名称だけで判断せず、処分先と処理完了をどの資料で確認できるのかを契約前に聞いてください。
複数の業者から見積もりを取る
太陽光パネルの撤去・処分費用は、パネルの枚数や設置場所、足場、運搬距離、処理方法などによって変わります。適正価格を見極めるため、できれば2〜3社から見積もりを取り、総額だけでなく内訳も比較しましょう。
確認したい項目は、撤去工事、電気工事、足場、収集運搬、処分、リサイクル、架台や基礎の撤去、原状回復などです。
処分費が安くても、運搬費や追加工事が別料金になっていることがあります。見積条件をそろえたうえで、許可や処理方法、説明の丁寧さも含めて依頼先を決めてください。
太陽光パネルを処分できない場合の相談先

太陽光パネルは、自治体の一般的なごみ回収では処分できない場合があります。処分方法や依頼先が分からないときは放置せず、設備を設置した会社や自治体、許可を持つ処理業者へ相談しましょう。
設置時の販売店や施工会社に相談する
処分方法が分からないときは、まず太陽光発電設備を購入した販売店や、設置工事を担当した施工会社へ相談しましょう。
設備のメーカーや型式、設置方法を把握しているため、撤去に必要な作業や処分先を案内してもらえる可能性があります。
屋根に設置した設備では、パネルだけでなく架台や配線の撤去、屋根の補修まで依頼できるか確認してください。
ただし、販売店が廃業していたり、撤去や産業廃棄物処理に対応していなかったりする場合もあります。その際は、メーカーや保守点検業者、撤去専門業者へ相談先を広げるとよいでしょう。
自治体に処理業者や相談窓口を確認する
家庭から太陽光パネルを排出する場合は、住んでいる市区町村の廃棄物担当窓口へ処分方法を確認しましょう。自治体によっては太陽光パネルを一般ごみや粗大ごみとして回収しておらず、専門業者への依頼を案内されることがあります。
住宅の解体工事や業者による撤去で排出されたパネルは、産業廃棄物として扱われるのが一般的です。
自治体へ問い合わせる際は、パネルの枚数、設置場所、破損の有無、自分で外したのか業者が撤去するのかを伝えると案内を受けやすくなります。自治体の指示を確認してから処分を進めてください。
産業廃棄物処理業者を検索する
事業用発電所や撤去工事から出たパネルは、必要な許可を持つ産業廃棄物処理業者へ依頼します。業者を探す際は、産廃情報ネットの検索サービスなどを利用すると、地域や廃棄物の種類、収集運搬業・処分業の区分から候補を絞れます。
ただし、検索結果に表示された業者が太陽光パネルを受け入れているとは限りません。パネルの種類や枚数、破損状態を伝えたうえで、対応地域、処理方法、費用を直接確認しましょう。
収集運搬と処分を別の会社が担当する場合は、それぞれが必要な許可を持っているかも確かめることが大切です。
災害で破損した場合はむやみに触らない
台風や地震、水害などで太陽光パネルが破損しても、むやみに近づいたり触ったりしないでください。パネルは割れていても、光が当たると発電することがあり、切れた配線や水没した設備に触れると感電するおそれがあります。
また、割れたガラスによるけがや、含有物質が雨水とともに流れ出す危険にも注意が必要です。周囲へ人が近づかないよう安全な距離を取り、施工会社やメーカー、電気工事士、自治体へ連絡しましょう。
火災や倒壊など差し迫った危険がある場合は、消防や警察の指示に従ってください。
太陽光パネルの大量廃棄で懸念されている問題

太陽光パネルの排出量は2030年代後半以降に大きく増えると予測されており、処理体制の整備が課題となっています。放置や有害物質の問題だけでなく、処分場の容量やリサイクル費用への影響も考えなければなりません。
放置・不法投棄
太陽光発電購入時に廃棄費用を含めたシミュレーションを実施しておらず、廃棄費用がどのくらいかかるかを知らない所有者もいるようです。
運用期間中に廃棄費用を積み立てしていないと、太陽光発電所を撤去することが決まってから費用を準備しなければならなくなります。
そうなってしまうと、廃棄費用が準備できず発電所を放置したり、正しい方法で廃棄できず不法投棄されてしまうかもしれません。
前述しましたが、廃棄コストはFIT価格の中に含まれているものです。
太陽光発電所の所有者としての管理責任を果たすため、忘れずに積み立てし、事前に準備しておきましょう。
有害物質が流出する可能性がある
破損した太陽光パネルを不適切に放置・処分すると、雨水などの影響により、鉛をはじめとする含有物質が流出する可能性があります。
一方、通常の使用状態では、これらの物質はガラスや封止材などによって内部に密閉されているため、直ちに周辺環境へ流出するものではありません。
太陽光パネルの種類や製造年度によって、含まれる物質は異なります。一般的な結晶シリコン型では、配線やはんだなどに鉛が使われている場合があります。
また、一部の海外製薄膜型パネルには、カドミウム化合物を使用した製品もあります。カドミウムは日本製の主流である結晶シリコン型パネルには通常使用されていません。
ただし、破損品を長期間放置したり、不適切に埋め立てたりすると含有物質が流出するおそれがあるため、メーカーが提供する含有物質情報を確認し、許可を持つ業者へ適正な処理を依頼しましょう。
最終処分場がひっ迫する可能性がある
太陽光パネルの大量廃棄が進むと、最終処分場の残り容量を圧迫する可能性があります。環境省は、2030年代後半以降に排出量が大きく増え、年間最大50万トン程度に達する可能性を示しています。
太陽光パネルはガラスが重量の多くを占めるうえ、アルミや樹脂など複数の素材で構成されているため、すべてを埋め立てると処分場への負担が大きくなるでしょう。
一般の廃棄物処理にも影響が及ぶおそれがあることから、長く使用する取り組みやリユース、リサイクルを進め、最終処分量を減らす必要があります。
リサイクル費用が高くなりやすい
太陽光パネルのリサイクル費用は、埋立処分より高くなりやすい点が課題です。パネルからガラスやアルミ、銅などを回収するには、運搬後に枠を外し、素材ごとに分離する設備や作業が必要になります。
また、排出場所が全国に分散しているため、リサイクル施設までの収集運搬費もかかるでしょう。回収したガラスなどの売却額だけでは処理費用を賄いにくく、施設へ持ち込まれる量が少ないと稼働効率も下がります。
今後は広域的な回収体制を整え、処理量をまとめることで、運搬費や再資源化費用を抑える取り組みが求められます。
太陽光パネルの廃棄費用を抑える方法

太陽光パネルの廃棄費用は、依頼する業者や撤去の時期、設備の状態によって変わります。処分を急いで一社に決めず、工事のまとめ方や売却の可能性も含めて検討しましょう。
複数業者の見積もりを比較する
廃棄費用を抑えるには、複数の業者から同じ条件で見積もりを取ることが大切です。太陽光パネルの撤去では、足場、電気工事、架台や基礎の解体、収集運搬、リサイクルや最終処分など、さまざまな費用がかかります。
総額だけを比較すると、安い業者でも一部の作業が別料金になっている場合があるでしょう。パネルの枚数や設置場所、撤去範囲を同じように伝え、費用の内訳まで確認してください。
極端に安い見積もりは、不適正処理や追加請求につながるおそれもあるため、許可や処分先も含めて選びましょう。
建物の解体や屋根工事と同時に撤去する
建物の解体や屋根の葺き替えを予定している場合は、太陽光パネルの撤去を同じ時期に行うと費用を抑えられる可能性があります。別々に依頼すると、その都度足場の設置や作業員、車両の手配が必要になるためです。
工事をまとめれば、足場代や出張費、運搬費などの重複を減らしやすいでしょう。ただし、解体業者や屋根業者がパネルの電気工事や産業廃棄物の運搬まで対応できるとは限りません。
各作業を誰が担当するのか、処分費まで見積もりに含まれているかを事前に確認してください。
自治体の補助金制度を確認する
自治体によっては、住宅の解体や災害復旧、省エネ改修などに関連して、太陽光パネルの撤去費用を補助対象に含める場合があります。
ただし、パネルの廃棄だけを対象とした制度は限られており、対象設備や申請者、工事内容などの条件も地域ごとに異なるでしょう。
補助金は工事の契約や着工前に申請が必要なケースが多いため、撤去業者を決める前に自治体の公式サイトや担当窓口へ確認してください。
制度があっても予算上限に達すると受付が終了することがあるので、申請期間と必要書類も早めに調べましょう。
リユースやリサイクルを検討する
まだ安全に使用できる太陽光パネルは、廃棄せずに中古品としてリユースできる可能性があります。外観や発電性能、絶縁性などの検査で再使用に適すると判断されれば、買取価格を撤去費用の一部に充てられる場合もあるでしょう。
リユースできない設備でも、アルミやガラス、金属を再資源化するリサイクルを選択できます。
ただし、検査費や運搬費がかかり、必ず処分費より安くなるとは限りません。無理に中古品として流通させず、適切な検査や情報提供に対応する事業者へ相談することが重要です。
設備や発電所を売却する
発電を続けられる状態であれば、パネルを撤去せず、太陽光発電設備や発電所全体を売却する方法もあります。買主が事業を引き継げば、売主がすぐに撤去・処分費用を負担せずに済む可能性があるでしょう。
ただし、設備の劣化や土地の契約、売電実績、保守状況などによっては買い手が見つからない場合もあります。F
IT・FIP認定事業を譲渡するときは、単なる売買契約だけでなく、認定事業者の変更手続きなども必要です。撤去と売却のどちらが有利か、将来の修繕費や廃棄費まで含めて比較しましょう。
太陽光パネルを廃棄する前に検討したい4つの選択肢

太陽光パネルを廃棄する前に考えておいたほうがいいことを4つ紹介します。
太陽光パネルなどの資材を売却する
太陽光発電システムを撤去する前に、パネルや架台などの資材を買取業者へ売却できる可能性を確認しましょう。
近年は、リユース・リサイクルの需要が高まっており、状態が良いパネルであれば再利用や部品取り目的で買い取ってもらえるケースがあります。
撤去・廃棄を依頼すると処分費や運搬費がかかりますが、買取を活用すればそれらのコストを抑えられることもあります。
また、売却前には安全な取り外しや動作確認が重要です。定期的なメンテナンスを行っていれば、パネルや架台の状態が良く、査定価格が高くなる可能性もあります。
費用面・環境面の両方から、撤去前に一度買取業者への相談を検討しましょう。
自家消費型太陽光発電に切り替える
FIT制度(固定価格買取制度)の満了後は、売電による収益を得にくくなるため、産業用では自家消費型への切り替えが有効です。
自家消費型は原則として発電所と電力を使う場所が同一敷地内や至近にあることが前提で、離れた拠点で使う場合は自己託送などのスキームが必要になり、系統使用料や手続きが増える点に留意しましょう。
自家消費型とは、発電した電力を自社の工場や店舗、オフィスなどで直接使用する仕組みのことです。電力会社からの購入電力量を削減でき、電気料金や燃料費の高騰リスクを抑えられます。
また、発電した電気を事業活動に使うことで、再エネ利用によるCO₂削減にもつながり、環境への配慮を示す取り組みとして企業価値向上にも寄与します。
近年、太陽光発電を蓄電池とセットで使用する方法もトレンドになっています。10kW以上の家庭用蓄電池を導入すると、電気自動車の充電が自宅でできたり、非常用電源として夜でも電気を使用できるといったメリットがあります。
万が一停電になったときでも、大容量の蓄電池を保有していれば、普段通りに近い生活ができるでしょう。大家族であれば、大容量の家庭用蓄電池を導入すると非常時でも安心です。
中古太陽光発電設備として売却する
太陽光パネルを廃棄するのではなく、中古太陽光発電所として買取業者や仲介業者に売却する方法もあります。
中古太陽光発電所は、発電実績や物件の所在地によって価格が決まります。
近年では稼働済み太陽光発電の需要が高まっており、比較的早期に買い手がつきやすいです。なお、設備投資がかかる点には注意しましょう。
詳しくは以下の記事で紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
関連記事:太陽光発電で自家消費するには?売電からの切り替え方法やメリット・デメリットを解説
売電を継続する
FIT(固定価格買取制度)満了後でも、設備を残して大手電力会社や新電力へ余剰電力を売り続けられる可能性があります。
多くの事業者が卒FIT向けの買取メニューを用意しており、受給契約の切り替えだけで運用を継続できるケースが一般的です。
ただし、買取単価はFIT期間中より下がる傾向にあり、市場価格に連動するプランや、契約期間・解約手数料などの条件が異なります。
自家消費の割合や設備のメンテナンス状況も踏まえ、複数社の条件を比較して最適な売電先を選びましょう。撤去費用をかけずに一定の収益を確保できる点も検討価値があります。
関連記事:太陽光発電投資20年後の出口戦略はどうする?10年後、FIT終了後の対策も解説
廃棄・リサイクル・売却の比較表
廃棄は故障や著しい劣化によって再使用が難しい設備に適していますが、撤去費や運搬費、処分費がかかります。リサイクルでは、ガラスやアルミなどを再資源化できる一方、施設までの運搬や分離処理に費用が必要です。
売却は撤去費の負担を減らせる可能性があるものの、発電性能や安全性、設備の年式などによっては買い手が見つかりません。
FIT・FIP認定設備や発電所を売却する場合は、契約だけでなく認定事業者の変更なども必要です。設備の状態と手続き、見込める収支を比べて判断しましょう。
| 選択肢 | 向いている状態 | 主なメリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 廃棄 | 破損や劣化が激しく、再使用できない | 使用できない設備を適正に処理できる | 撤去・運搬・処分費がかかり、産業廃棄物に該当する場合は許可業者への委託が必要です |
| リサイクル | 再使用は難しいが、資源として回収できる | ガラスやアルミ、金属などを再資源化できる | 受入施設が限られ、運搬費や再資源化費が高くなる場合があります |
| パネルや資材の売却 | パネルや架台などに再利用価値がある | 売却代金を撤去費の一部に充てられる可能性がある | 検査や取り外し、運搬に費用がかかり、必ず売れるとは限りません |
| 中古設備・発電所の売却 | 発電を継続でき、収益性や管理状態に問題が少ない | 撤去せずに設備や事業を引き継いでもらえる可能性がある | 査定や契約、土地・電力会社との手続き、FIT・FIP認定の変更などが必要です |
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太陽光パネルの廃棄に関するFAQ

太陽光パネルの処分には、撤去費用や廃棄物の区分、依頼先など分かりにくい点があります。廃棄を検討する際によくある疑問を、Q&A形式で確認しましょう。
太陽光の廃棄費用はいくらですか?
太陽光パネルの廃棄費用は、設備の規模や設置場所、撤去範囲によって異なります。住宅用太陽光発電では、パネルや架台の撤去、運搬、処分を含めて20万〜40万円程度が一つの目安です。
ただし、高所作業用の足場や屋根の補修が必要になると、費用がさらに増えるでしょう。産業用設備では、発電容量や基礎の構造、重機の搬入条件、土地の原状回復範囲によって数百万円以上かかる場合もあります。
正確な金額を知るには現地調査を受け、複数社の見積もりで作業内容と費用の内訳を比較してください。
太陽光パネルを廃棄したい場合はどうすればいいですか?
太陽光パネルを廃棄したい場合は、まず設置時の販売店や施工会社、撤去に対応する専門業者へ相談しましょう。現地調査を受けたうえで、設備の停止、配線の切り離し、パネルや架台の撤去、運搬、処分を依頼します。
事業活動や業者による撤去工事で排出されたパネルは、産業廃棄物として適正に処理する必要があるため、許可を持つ収集運搬業者や処分業者の利用が必要です。
まだ使用できる場合は、廃棄する前に中古売却やリユースが可能かどうかも確認するとよいでしょう。
太陽光パネルの廃棄費用は誰が払いますか?
太陽光パネルの撤去・廃棄費用は、原則として設備の所有者や発電事業者が負担します。住宅用設備では住宅所有者、事業用発電所では発電事業者が業者へ費用を支払うのが一般的でしょう。
10kW以上のFIT・FIP認定太陽光発電事業には廃棄等費用積立制度がありますが、積立額が実際の撤去・処分費用に足りない場合は、事業者が不足分を用意しなければなりません。
住宅用に多い10kW未満の設備は制度の対象外なので、将来の撤去に備えて所有者自身で資金を確保しておく必要があります。
太陽光パネルの廃棄は義務ですか?
太陽光パネルが一般的な耐用年数やメーカーの保証期間を過ぎただけで、直ちに廃棄・撤去しなければならないという一律の義務はありません。安全に発電できる状態であれば、点検や修理を行いながら使い続けることも可能です。
ただし、事業終了や故障などで不要となり、廃棄物に該当したパネルは、廃棄物処理法に従って適正に処理しなければなりません。
破損や腐食によって感電、落下、火災などのおそれがある場合は放置せず、専門業者に状態を確認してもらい、修理や撤去を検討しましょう。
太陽光パネルは一般ゴミとして処分できますか?
太陽光パネルは、通常の家庭ゴミとして集積所へ出せるものではありません。家庭の所有者が自ら取り外して排出した場合は一般廃棄物に該当する可能性がありますが、自治体によって受入方法が異なり、回収していない地域もあります。
一方、住宅の解体・撤去工事や発電事業に伴って業者から排出されたパネルは、一般的に産業廃棄物として扱われます。
この場合は、必要な許可を持つ業者への委託が必要です。自己判断で粗大ゴミとして出したり、無許可の回収業者へ渡したりせず、自治体や施工会社へ確認してください。
太陽光パネルを処分できない場合はどこに相談しますか?
処分先が分からない場合は、最初に設置時の販売店や施工会社、設備メーカーへ相談しましょう。
撤去や処分に対応していなければ、設備がある自治体の廃棄物担当窓口へ問い合わせると、地域の処理方法や許可業者について案内を受けられる場合があります。
事業用設備や撤去工事から出たパネルは、産業廃棄物処理業者へ相談してください。
問い合わせる際は、パネルの枚数や型式、設置場所、破損の有無、誰が取り外すのかを伝えるとスムーズです。災害で破損した設備には触れず、施工会社や自治体へ連絡しましょう。
まとめ
産業用太陽光発電の撤去費用について解説してきました。
撤去にはまとまったお金がかかるのでしっかりと積み立てて、出口戦略まで考えて投資をすると良いでしょう。
投資では利益を出しているのに撤去費用で貧乏になってしまったら元も子もありません。
会社で言えば黒字倒産のような事態に陥ってしまう可能性もあるので、準備を欠かさずにしておくようにしましょう。

