ソーラーシェアリングのメリット・デメリット!失敗する問題点や補助金について解説

  • 公開日:2026.07.25
  • 更新日:2026.07.25
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ソーラーシェアリングは農業と太陽光発電を組み合わせて、お互いの強みをブラッシュアップさせる取り組みです。

ソーラーシェアリングで太陽光発電を導入することで、収入が増えたり収穫物が増えるというメリットがあります。近年問題視されている後継者問題や農業の収益性を補うことができる可能性が高いソーラーシェアリング。

この記事ではメリットやデメリットはもちろん、失敗しないためのポイントや、ソーラーシェアリングを始めるにあたって必要な一時転用許可と申請方法について解説しています。

関連記事:太陽光発電投資を選ぶメリット・デメリットは?個人で始める方法や危険性・リスクを解説

この記事の概要

・ソーラーシェアリングは、農地で作物を育てながら太陽光発電による売電収入や自家消費メリットを得られる仕組みです。
・ソーラーシェアリングは、収入増加や耕作放棄地対策につながる一方で、作物の育成不良・自然災害・融資審査・長期運用計画などに注意が必要です。
・ソーラーシェアリングを始めるには農地の一時転用許可が必要で、営農継続・収量維持・毎年の報告義務を守ることが重要です。

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ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)とは

ソーラーシェアリングとは

ソーラーシェアリングとは農業と太陽光発電事業を組み合わせることで、収穫量をアップさせる・太陽光発電により売電収入が得る方法です。近年SDGsやRE100の観点と、荒廃農地を活用できるといった点から注目を集めています。

農業面でも環境面にも、さらに金銭面にも優しい取り組みです。営農型太陽光発電とも言われます。農業地だけではなく、養蜂場や水産養殖場で導入されることもあります。

太陽光発電のために新しく土地を用意するのではなく、今ある土地を利用しつつ、農業も太陽光発電も成功させることができることがソーラーシェアリングの魅力です。

太陽光パネルで日光が遮られると、作物の育成に悪影響なのではと心配になるかもしれません。しかし、作物の中には日光を浴びすぎると葉が傷んだり、暑さに弱かったりするものもあります。

ソーラーシェアリングと相性のいい作物を選ぶことで、むしろ相乗効果をもたらすのです。

ソーラーシェアリングの仕組み

ソーラーシェアリングは、農地に支柱を立て、その上に太陽光パネルを設置し、下の農地では作物を育てる仕組みです。太陽の光を発電と農業で分け合うことから、営農型太陽光発電とも呼ばれます。

一般的な太陽光発電と違い、農地を発電専用の土地に変えるわけではありません。パネルの下でも農作業を続けられるように、支柱の高さやパネルの間隔、影の出方などを考えて設計します。

ただし、農地に設備を置くには農地法に基づく一時転用許可が必要です。発電だけを目的にするのではなく、作物の収穫量や品質を保ちながら、農業を継続することが大切になります。

ソーラーシェアリングの発祥は日本

ソーラーシェアリングの発祥の地は日本です

千葉県市原市皆吉にあるCHO技術研究所の代表・長島彬氏が開発し、特許を出願した仕組みとされています。その後、農地で営農を続けながら発電できる方法として、全国各地に広がりました。

農林水産省によると、営農型太陽光発電設備を設置するために行われた農地の一時転用許可は、2022年度までの累計で5,351件です。

これは設備が現在設置されている場所の数ではなく、制度開始後に出された一時転用許可を累計した件数を示しています。

参考:農林水産省説明資料

ソーラーシェアリングの設置にかかる初期費用

ソーラーシェアリングの設置費用は、50kWで1,200万円~1,700万円と言われています。

資源エネルギー庁の資料によれば、通常の産業用太陽光発電では、容量が50~250kWの平均費用は18.4万円/kWです。50kWの産業用太陽光発電設備設置にかかる費用は900~1,000万円程度と計算できます。

ただし、この費用は一般的な産業用太陽光発電の場合の費用のため、ソーラーシェアリングの場合はさらに費用がかかる可能性があります。ソーラーシェアリングでは高い架台が必要になったり、作物に合わせてパネルに隙間を開けたりと、工事の難易度が上がるためです。

設置を検討している場合は、複数見積もりをとって比較するのがおすすめです。

参考:資源エネルギー庁|太陽光発電について 2024年12月

ソーラーシェアリングの収益性・採算性を見るポイント

ソーラーシェアリングの収益性は、売電収入だけで判断しないことが重要です。発電による収入に加えて、農作物の販売収入、初期費用、メンテナンス費用、借入金の返済額などを含めて採算を確認します

とくに見ておきたいのは、設置する設備の容量、日射量、売電単価、電力を自家消費できるかどうかです。FITやFIPを使う場合と、農業施設や地域内で電気を使う場合では、収入の考え方が変わります。

また、パネルの影によって作物の収穫量が下がると、農業収入が減る可能性もあります。発電量を増やすほどよいとは限らないため、作物に合った遮光率や栽培計画を考え、農業と発電のバランスを取ることが採算性を高めるポイントです。

ソーラーシェアリングのメリット

ソーラーシェアリングで得られるメリットは、ただ単に「環境に優しい」というだけではありません。さまざまな問題を解決に導く新たな選択肢として、注目を集めています。

ソーラーシェアリングのメリットには下記があります。

  • 電気の自家消費ができる分電気代の節約が可能
  • 収入が増える
  • 環境にやさしい
  • 後継問題が緩和される
  • 耕作放棄地対策になる

ひとつずつ詳しく解説していきます。

①電気の自家消費ができる分電気代の節約が可能

農業に使う機械の電源やビニールハウスの暖房などに発電した電気を使えば(自家消費)、電力会社から電気を購入する必要がないので電気代を節約することができます。

さらに、自家発電した電力を使用できれば、電気代高騰のあおりを受けるリスクが低くなります。太陽光発電には、燃料費高騰も関係ありません。

太陽光発電で発電した電気の売電方法は、設備の出力や認定年度によって異なります。

2020年度以降にFITの新規認定を受けた10kW以上50kW未満の事業用太陽光発電は、原則として発電した電気を自家消費し、余った分を売る余剰売電が適用されます。

50kW以上の設備では、発電した電気をすべて売る全量売電を選択できます。

余剰売電とは、発電した電気を農業用設備や事業所などで使用し、余った分を電力会社へ売る方法です。

一方、全量売電は、発電した電気を原則としてすべて売電する方法を指します。なお、具体的な売電方法や適用制度は、設備の認定年度やFIT・FIPの区分によって異なるため、導入前に確認しましょう。

関連記事:太陽光発電で自家消費するには?売電からの切り替え方法やメリット・デメリットを解説

②収入が増える

ソーラーシェアリングをすれば、これまでの農業での収益に加えて、太陽光発電で発電した電気を売電することで売電収入が得られます。

一般的に農業ができる土地は日当たりのいい土地が多く、これは太陽光発電をするのに適した土地でもあります。

そのため太陽光パネルを設置するだけで、これまでと同じように作業をしていれば収入が増えるという嬉しい話なのです。

環境にやさしい

地球温暖化対策のために、カーボンニュートラルといったことばを耳にする機会が増えましたが、太陽光発電は発電時に有害物質を発しないクリーンなエネルギーです。

火力発電で使われるような石炭や石油などとは違い、半永久的に資源が枯渇することもありません。

さらに、農作物に「環境に配慮して栽培された」という付加価値を付けることができます。近年、地球にやさしいという観点で商品を選ぶ消費者が増えていることから、農作物の売り上げにも好影響です。

④後継問題が緩和される

ソーラーシェアリングを導入すれば、不作の年であっても売電収入が得られるので、「収入が少ない」「変動する」といったマイナスイメージを払拭することができます。

農業は、

  • 重量労働
  • 収入が少ない、収入が変動する
  • 天候に左右される

このようなネガティブな理由で、若い世代に後を継がれないケースが多いです。

実際に後継されずに荒地となってしまう農地はかなり多いのですが、土地を所有していると固定資産税がかかってしまうので、収入を得られないにもかかわらず税金は払わなければいけないという”損”な状況になってしまいます。

この後継者問題を解決するためにおすすめな方法がソーラーシェアリングで、前述したように太陽光発電は年間を通して安定的に発電するので、売電収入が毎月手元に入ってきます。

⑤耕作放棄地対策になる

ソーラーシェアリングは、日本に存在する耕作放棄地問題を解決する手段にもなり得ます

元々作物を育てていた耕作放棄地は日当たりが良好なため、ソーラーシェアリングを導入するのに向いている土地です。ソーラーシェアリングによって、農業・電力・環境といったさまざまな課題を解決に導けるでしょう。

耕作放棄地だけでなく、荒廃農地の対策にもなります。

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ソーラーシェアリングに適した作物・不向きな作物

ソーラーシェアリングに適した作物・不向きな作物を紹介します。

ソーラーシェアリングに適した作物

ソーラーシェアリングに適しているのは、強い直射日光がなくても育ちやすい作物です。太陽光パネルの下では日射量が少なくなるため、半日陰を好む作物や、日差しが強すぎると品質が落ちやすい作物と相性がよいでしょう。

たとえば、レタス、ほうれん草、ねぎ、サトイモ、ミョウガ、しょうが、シソ、茶、ブルーベリーなどが候補になります。水稲や大豆、麦などで導入されている例もありますが、地域の気候や設備の遮光率によって向き不向きは変わります。

大切なのは、発電量だけでなく、作物の収穫量や品質を保てるかを確認することです。すでに栽培経験がある作物を選ぶと、管理の失敗を減らしやすくなります。

ソーラーシェアリングに不向きな作物

ソーラーシェアリングに不向きなのは、強い日差しを長時間必要とする作物です。パネルによって日射量が減ると、成長が遅れたり、実つきや糖度に影響が出たりする可能性があります。

たとえば、トマト、スイカ、メロン、トウモロコシ、きゅうりなどは、日光を多く必要とする作物として扱われます。

ただし、これらの作物が必ず栽培できないわけではありません。パネルの間隔を広げる、遮光率を低くする、日当たりのよい配置にするなど、設計次第で対応できる場合もあります。

一方で、導入後に収穫量が大きく落ちると、営農の継続が難しくなります。栽培経験が少ない作物や、販売先が決まっていない作物を選ぶ場合は、慎重に検討しましょう。

作物別の遮光率の目安

遮光率とは、太陽光パネルによって農地に届く日射が遮られる割合です。たとえば、遮光率30%であれば、日射量が設備を設置していない場合よりおおむね30%少なくなることを意味します。

作物別の遮光率に全国共通の基準はありませんが、農林水産省が紹介している導入事例や実証事業では、次のような遮光率が採用されています

作物 遮光率の目安 公的事例・実証で確認された内容
水稲 25~37%程度 25~37%の設備で水稲を栽培している事例がある
25~30%程度 水稲との輪作では25%、麦畑での導入事例では30%
大豆 33%程度 千葉県匝瑳市の事例で採用
40~50%程度 40%の導入事例があり、実証事業では50%で生育を確認
ブルーベリー 36~37%程度 36%の実証では収量・果実品質が慣行栽培と同等
キウイフルーツ 36%程度 36%の実証で収量・果実品質が慣行栽培と同等
ばれいしょ 68.5%程度 宮城県の事例では、地域平均と比べて84%の収量を確保

上記は、実際の導入事例や実証結果をもとにした目安であり、同じ遮光率なら必ず収量を維持できるわけではありません。品種や地域の日射量、パネルの向き・高さ・間隔、栽培時期などによって適切な数値は変わります。

特に、水稲・麦・大豆など日照を必要とする作物では、遮光率を低めに設定し、パネルの間隔を広く取る設計が必要です。

また、農地の一時転用許可では、原則として地域の平均的な収量と比較しておおむね8割以上を確保することが求められます。

遮光率だけで判断せず、導入前に日射量のシミュレーションや試験栽培を行い、作物に適した設備設計を検討しましょう。

参考:農林水産省「営農型太陽光発電 取組支援ガイドブック」

作物選びで失敗しないためのポイント

作物選びで失敗しないためには、発電に向いた土地かどうかだけでなく、農業として続けられるかを先に考えることが大切です。ソーラーシェアリングは農地の上で発電する仕組みですが、あくまで営農を続けることが前提になります。

確認したいポイントは、次の3つです。

・地域の気候や日射量に合う作物か
・パネルの影が出ても収穫量を保てるか
・栽培経験や販路があり、長く続けられるか

特に、遮光率は作物の育ち方に大きく関わります。発電量を増やそうとしてパネルを多く設置しすぎると、下の作物が育ちにくくなるかもしれません。

まずは試験栽培や専門家への相談を行い、農業と発電のバランスを見ながら作物を選びましょう。

ソーラーシェアリングが失敗する原因・問題点

ソーラーシェアリングが失敗する原因・問題点

ソーラーシェアリングが失敗する原因・問題点には、下記のような理由が挙げられます。

  • 作物がうまく育成しない
  • 自然災害の被害に遭ってしまった
  • 農地の一時転用許可が必要
  • 普通に太陽光発電投資を始めるより融資審査が厳しい
  • 20年の長期運用計画が求められる

具体的に下記で解説します。

①作物がうまく育成しない

ソーラーシェアリングは営農が主たる事業であり、設置後は毎年、収穫状況を翌年2月末までに許可権者へ報告する義務があります。

平均収穫量の8割を下回る状態が続くと、営農継続性が認められず、一時転用の更新不可や設備撤去を求められるおそれがあります

要因は過度な遮光や作業動線の悪化、排水・土壌条件の変化などです。

対策として、適切なパネル間隔と高さ設定、可動式や間引き配置、作物に応じた遮光率の設計、日照センサーでの常時モニタリングが有効です

また、作物選定も重要で、日照を多く要するトマト・キュウリ・スイカなどは不向きです。

半日陰でも生育する葉物や菌茸、飼料作物などを中心に、地域の営農計画に合わせて小規模実証から段階的に拡大すると、収量リスクを抑えつつ事業継続性を高めやすくなります。

許可更新時は収穫データや写真、営農計画の実績を整備しておくと審査が円滑です。普及事例の遮光率や栽培手引も参照しましょう。

②自然災害の被害に遭ってしまった

台風や地震などの被害で、太陽光発電設備や農地にダメージを受ける場合もあります。

太陽光発電設備の故障をそのままにしておくと、発電が止まって売電収入が得られないばかりか、農作業中に感電する恐れがあり大変危険です。

太陽光発電設備のメーカー保証では、自然災害による故障は対象外となる場合が多いです。別途保険に入っておくことで、急な出費を防ぐことができるでしょう。

③農地の一時転用許可が必要

日本の土地は使用用途が決まっているため、農地を農業以外に使用したり、農地に支柱を立てて発電所を設置するためには一時転用許可を申請し許可を取らなければなりません。

許可を得ずに農地に太陽光発電を設置してしまうと罰則を受けることになるので要注意です。

また、所有している農地だけではなく周りの農地に影響を与える可能性がないか、という点も確認されます。近くに農地がある場合は事前に現地を視察してリスクがないかどうかを確認しておきましょう。

農地転用について詳しくはこちら

④普通に太陽光発電投資を始めるより融資審査が厳しい

先ほど説明したように一度一時転用許可を得たとしても、次の更新の際に収穫量が減っていたりする場合は更新できない可能性があります。

この場合、ソーラーシェアリングを継続できなくなるので、融資を受けている場合は返済ができなくなってしまいます。

金融機関が大切にしているのは融資を受けた相手が信用できるかどうかです。返済能力がない人にお金を貸したいとは思いませんよね。

ソーラーシェアリングの場合、3年ごとに必要な一時転用許可がネックとなり融資をしてくれる金融機関が少なかったり、条件次第で融資をしてくれないというケースもあるようです。

一時転用許可を10年の更新に変更できる場合もありますので、チェックしてみてください。

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⑤20年の長期運用計画が求められる

ソーラーシェアリングは一度設置して終わりではなく、少なくとも20年前後の運用を前提に設計と資金計画を立てる必要があります

許可は3年ごとに更新で、毎年の収穫報告と平均収量8割の達成が求められます。設備面ではパワーコンディショナの更新(10〜15年)、架台の防錆、配線・監視機器の交換、除草や獣害対策、台風・積雪への補修費を見込みます。

電力側は出力制御や制度変更、保険料や点検費の上昇もリスクです。作物側は遮光率の微調整や輪作計画、担い手の確保が鍵になります。

撤去・原状回復費の積立まで含め、20年のキャッシュフローを年次で試算しておくことが失敗を防ぐ最大のポイントです。

ソーラーシェアリングが普及しない理由

ソーラーシェアリングが大きく普及しない理由は、農業と発電の両方を安定して続ける必要があるためです

通常の太陽光発電なら発電量や売電収入を中心に考えますが、ソーラーシェアリングでは作物の収穫量や品質も守らなければなりません。

さらに、農地に設備を設置するには一時転用許可が必要です。許可を受けたあとも、営農をきちんと続けているか確認されるため、発電だけを目的にした運用は難しくなります。

また、初期費用や災害対策、メンテナンス費用も負担になります。金融機関から見ると、農業収入と発電収入の両方にリスクがある事業に見えやすいため、融資を受けにくい場合もあるでしょう。

制度の理解、農業の知識、長期の資金計画が必要になることが、普及のハードルになっています。

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ソーラーシェアリングの農地一時転用許可とは

農地一時転用許可は、太陽光設備を置いても営農を主として継続することを条件に、一定期間だけ農地の別用途を認める制度です

許可は3年ごとの更新制で、更新時には導入で収入や収穫量が減っていないか、作物の品質や周辺への影響、収支計画の妥当性などが確認されます。

毎年、翌年2月末までに収穫状況等を報告する義務があり、平均収穫量の8割を下回る状態が続くと、更新不可や設備撤去を指示される場合があります。

対象となる立地は農地区分により異なり、駅や官公庁・公共施設からの距離、市街地化の見込みなどの要件を満たす第2種農地や第3種農地が中心です

報告の失念や条件不充足は事業継続に直結するため、書類整備と営農改善のサイクルを確実に回しましょう。

一時転用許可については農林水産省の公式サイトで詳細が確認できます。

条件を満たせば更新期間が10年に延長できる

基本的に3年ごとに必要な一時転用許可ですが、下記の一定条件を満たせば3年ごとに必要な一時転用許可を10年の更新に変更することができます。

  • 担い手が所有している農地又は利用権等を設定している農地で当該担い手が下部農地で営農を行う場合
  • 農用地区域内を含め荒廃農地を活用する場合
  • 農用地区域以外の第2種農地又は第3種農地を活用する場合

【第2種農地とは】

500m以内に駅や官公庁がある
10ヘクタール以上の集団的農地から外れた場所にある
市街地化が見込まれた地域にある

【第3種農地とは】

300m以内に駅や官公庁がある
500m以内に教育機関などの公共施設が2つ以上ある
市街地になっている地域にある

基本的に市街地近くのエリアに農地がある場合は、第2種・第3種農地に当てはまります。

関連記事:農地転用とは?100坪あたりの費用相場や転用できない土地について解説

営農継続・収量維持・毎年の報告義務に注意する

ソーラーシェアリングは、農地の上で太陽光発電をする仕組みですが、発電だけを続ければよいわけではありません。下部の農地で作物を育て続け、農業として成り立つ状態を保つ必要があります。

一時転用許可を受けたあとも、栽培状況や収支などを報告する書類の提出が求められます。農林水産省の様式にも、栽培実績書や収支報告書が用意されているため、導入後の管理まで見据えておきましょう。

特に注意したいのは、パネルの影によって収量や品質が落ちるリスクです。地域の平均的な収量と比べて大きく下回ると、営農に支障があると判断される可能性があります。

作物選びや遮光率の設定を慎重に行い、毎年の営農状況を説明できる体制を整えることが大切です。

日本のソーラーシェアリングの事例

ここからは、ソーラーシェアリングの導入に成功した事例を紹介していきます。まずは、日本国内の事例を見ていきましょう。

ハウステンボスのブルーベリー観光農園(長崎県)

ソーラーシェアリング

引用:ハウステンボスリゾート

ハウステンボスは、年間約300万人が訪れる長崎県のテーマパークです

2018年にソーラーシェアリングを導入したブルーベリー観光農園が新設されました。土地面積2,300㎡、設備容量128kWの大型ソーラーシェアリングは、国内初の自家消費型となっています。

電力会社に売電して、収入を得る場合が多いソーラーシェアリングですが、ハウステンボスでは発電した電気を場内で自家消費。エネルギーの地産地消を実現する、より環境負荷の少ないモデルであると言えます。

THE 土と太陽の発電所Soil & Sun(千葉県)

ソーラーシェアリング

(引用:THE 土と太陽の発電所Soil & Sun)

千葉県にある「THE 土と太陽の発電所Soil & Sun」は、2021年に立ち上げられたソーラーシェアリング発電所です。エシカル協会・農業法人Three Little Birds・ハチドリ電力が合同で運営しています。

耕作放棄地となっていた土地が、ソーラーシェアリングを行うことで、売電収入と有機栽培大豆の収穫が得られる生産的な場所へと生まれ変わりました。

大豆の収穫体験イベントなど、「エシカルな暮らし方」を広める活動も実施。持続可能な世界の実現を目指しています。

小掠緑化(三重県)

引用:PVeye

三重県にある「小掠緑化」は、2011年からソーラーシェアリングに取り組む先駆け的な事例です

当時はまだほとんど認知されていない事業でしたが、代表自ら行政に掛け合って営農型太陽光発電の許可を取得し、太陽光発電システムの設置業者であるタデックと協力して、ソーラーシェアリングを一から作り上げました。

ハウス上部の太陽光パネルは、作物に必要な日照量を考慮して設置されています。

半日陰でも育つミョウガやショウガに加え、日照を必要とするスイカやトマトなども栽培されており、設備の設計次第でさまざまな作物を育てられることを示しています。

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世界のソーラーシェアリングの事例

続いて、世界のソーラーシェアリングの実例を紹介していきます。

アクオ・エナジー(フランス)

ソーラーシェアリング

(引用:アクオ・エナジー

フランスの企業「アクオ・エナジー」は、世界中で30以上のソーラーシェアリングを運営・建設しており、2022年時点の太陽光発電容量は198MWです

コルシカ島にあるソーラーパネル付き温室もその1つで、地中海の豊富な太陽光を有効利用しています。

今後は、蓄電と生産プラントを組み合わせて、生産される全てのエネルギーを最適に利用できるシステムを目指しています。

キップスター(オランダ)

ソーラーシェアリング

(引用:キップスター)

オランダ南部の養鶏場「キップスター」は、鶏舎の屋根など敷地内に1078枚のソーラーパネルを設置。発電した電力が鶏舎で利用されるだけでなく、余剰電力は売電収入にもなっています。

ソーラーシェアリングの他にも、フードロスから開発された飼料を使用したり、自然を模した鶏舎で鶏が快適に過ごせるよう配慮したりしていることから、世界で最も動物と環境に優しい養鶏場だと言われています。

ソーラーシェアリングを始めたい!申請方法・申請の流れ

ソーラーシェアリングを始めたい!申請方法・申請の流れ

ソーラーシェアリングを始めるためには、経済産業省へ事業計画認定申請をする必要があります

実際の事業開始までのスケジュールは以下の通りです。

①初期検討段階

まずは、営農型太陽光発電について理解しましょう。自治体の担当部署や、ソーラーシェアリングを手掛けている業者に話を聞いてみるのがおすすめです。

同時に、電力系統に接続できるか確認する必要があります。こちらも、自治体や業者、地域の送配電事業者に相談するのが良いでしょう。

②計画策定

営農計画の策定を行います。土地の利用状況 や測量等現地調査を実施し、太陽光発 電システムの規模や、栽培する作物に合わせたパネルの設計などを決めてください。

施工業者に見積を依頼し、どの程度収益性があるのか・長期運営可能か・初期投資をどれくらいで回収できるかなどを確認しましょう。

ソーラーシェアリング導入時に利用できる補助金制度の確認も、忘れずに行ってください。

③各種申請

設置が決まったら、次のような申請が必要です

  • 経済産業省へ事業計画認定申請
  • 送配電事業者に系統連系協議と特定契約申込
  • 農業委員会や農地一時転用許可申請

一般人には難しい内容なので、手続きに時間がかかる可能性もあります。なるべく早く事業に着手したい場合は、代行サービスを利用して手続きを進めることをおすすめします。

④工事開始

経済産業省から事業計画認定を受け、送配電事業者へ接続のための工事費負担金支払をすれば、工事が開始できます

⑤事業開始

太陽光発電システムの設置ができたら、いよいよソーラーシェアリングの運営開始です。営農を開始・継続していくと同時に、電力供給が開始されることになります。

農地転用許可権者への年次報告を含めた、地域住民とのコミュニケーションも大事な仕事です。

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ソーラーシェアリングに使える補助金【2026年】

 

項目 内容
対象事業 営農地を活用した太陽光発電設備などの導入
補助率 補助対象経費の2分の1
補助上限額 1事業あたり1億5,000万円
主な対象設備 太陽光発電設備、定置用蓄電池、EMS、自営線など
主な申請対象者 民間企業、地方公共団体、一般社団法人、農林水産事業を行う個人・個人事業主など
事業期間 単年度

対象となるのは、農業の生産活動に関する適切な事業計画があり、農地転用許可を必要とする営農地です。農地の一時転用許可は、補助金の交付申請までに取得し、許可書の写しを提出する必要があります。

また、補助対象設備で発電した電力は、農業者などが所有・管理する施設や同一敷地内の施設、地方公共団体の施設などへ供給することが求められます。

FIT・FIP制度の認定を取得する設備は対象外となるため、売電を中心とした事業ではなく、自家消費や地域内での電力利用を前提に検討しましょう

2026年度の二次公募期間は、2026年6月22日から7月17日正午まででした。今後の追加公募や次年度の実施内容は変更される可能性があるため、申請時には環境省や執行団体の最新情報を確認してください。

参考:

環境省「令和8年度予算『地域共生型の太陽光発電設備の導入促進事業』の公募について(二次公募)」

一般社団法人環境技術普及促進協会「令和7年(補正予算)・令和8年度 地域共生型太陽光発電設備導入事業〈営農地・水面事業〉公募概要」

ソーラーシェアリングに関するよくある質問

ソーラーシェアリングを検討している方が、気になる点をまとめました。

ソーラーシェアリングに興味があるけれど、何から始めたらいい?

まずは、無料の相談窓口に連絡してみましょう。

例えば農林水産省の補助事業として、「全国ご当地エネルギー協会」に相談窓口が設置されています。無料で専門家に相談することができるので、電話・WEBで連絡してみてください。

公式サイト:全国ご当地エネルギー協会
電話番号:03-3355-2212

また、各地方の農政局に再生可能エネルギーの担当窓口もあります。

窓口担当部署 所在地・電話番号 担当する都道府県
 北海道農政事務所
 生産経営産業部 事業支援課
 〒064-8518 札幌市中央区南22条西6丁目2-22
 エムズ南22条第2,3ビル 011-330-8810
 北海道
 東北農政局
 経営・事業支援部 食品企業課
 〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町3丁目3番1号
 仙台合同庁舎 022-221-6146
 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、
 福島県
 関東農政局
 経営・事業支援部 食品企業課
 〒330-9722 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1
 さいたま新都心合同庁舎2号館 048-740-0427
 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、
 東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県
 北陸農政局
 経営・事業支援部 食品企業課
 〒920-8566 石川県金沢市広坂2丁目2番60号
 金沢広坂合同庁舎 076-232-4149
 新潟県、富山県、石川県、福井県
 東海農政局
 経営・事業支援部 食品企業課
 〒460-8516 愛知県名古屋市中区三の丸1丁目2番
 2号農林総合庁舎1号館 052-746-6430
 岐阜県、愛知県、三重県
 近畿農政局
 経営・事業支援部 食品企業課
 〒602-8054 京都府京都市上京区西洞院通下長者
 町下ル丁子風呂町 075-414-9024
 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、
 和歌山県
 中国四国農政局
 経営・事業支援部 食品企業課
 〒700-8532 岡山県岡山市北区下石井1丁目4番1号
 岡山第2合同庁舎 086-222-1358
 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、
 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
 九州農政局
 経営・事業支援部 食品企業課
 〒860-8527 熊本県熊本市西区春日2丁目10番1号
 熊本地方合同庁舎 096-300-6330
 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、
 宮崎県、鹿児島県
 沖縄総合事務局
 農林水産部 食料産業課
 〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち2丁目1番1号
 那覇第2地方合同庁舎2号館 098-866-1673
 沖縄県

引用:農林水産省 再生可能エネルギーの導入促進

ソーラーシェアリングはどれくらい普及していますか?

農林水産省の最新資料によると、営農型太陽光発電設備を設置するための農地の一時転用許可件数は、2023年度までの累計で6,137件です。設備下部の農地面積は、累計1,361.6haとなっています。

年度別の新規許可件数は、2018年度が475件、2019年度が640件、2020年度が807件、2021年度が880件、2022年度が1,020件、2023年度が791件です。

なお、ここでいう許可件数とは、新たに営農型太陽光発電設備を設置するために行われた農地の一時転用許可の件数です。

許可期間を更新する際の再許可件数は含まれておらず、現在稼働している設備数とも必ずしも一致しません。

参考:農林水産省「営農型太陽光発電について」

ソーラーシェアリングのデメリットは?

ソーラーシェアリングには、以下のようなデメリットがあります

  • 太陽光発電設備の設置に多額の初期費用が掛かる
  • 事業開始までの計画・手続きが煩雑
  • 農業の収穫量や質を一定以上に保たなければならない
  • 自然災害のリスクがある

太陽光発電設備の導入には多額の初期費用がかかります。売電収入や電気代コスト削減で相殺していけるとはいえ、負担が大きいことは間違いありません。

また、事業開始から運用を続ける経営能力が求められるだけでなく、農作物の質・量も一定以上を保つ必要があります。

土地選びや収益シミュレーションなどの事前計画と、適切な保険に入るなどのリスク対策で、デメリットを抑えることができるでしょう。

ソーラーパネルは有害ですか?

ソーラーパネルには、製品によって鉛・カドミウム・セレンなどの物質が含まれている場合があります

ただし、これらは通常、ガラスや樹脂などで密閉されているため、適切に設置・使用されている状態で外部へ流出する可能性は低いとされています。

一方、災害などによってパネルが大きく破損した場合や、破損した状態で長期間放置された場合には、含有物質が周囲へ流出するおそれがあります。

破損を発見した際は直接触れず、施工業者や専門業者へ点検・撤去を依頼しましょう。

ソーラーシェアリングに向いているおすすめの作物は?

ソーラーシェアリング

(出典:ソーラーシェアリング協会

ソーラーシェアリングに適している作物は、日陰でも育つ光飽和点(植物の成長を促すのに必要な光の強さの限界)が低い作物です。

ソーラーシェアリングではパネルで農地に当たる日光が遮られるため、「半陰性植物」や「陰性植物」の栽培に適しています。それぞれ、具体的には以下のような農作物がありますので、検討してみてください。

半陰性植物 イチゴ、ホウレンソウ、
コマツナ、ネギ、カブ、
アスパラガス、ジャガイモ
陰性植物 ミツバ、クレソン、
ニラ、シソ、フキ、
ミョウガ、キノコ類

その他にも養蜂場での導入もおすすめです。

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まとめ

ソーラーシェアリングは、農業にも収入アップにも効果的に働きます。

手続きの面倒くささや初期費用の面がボトルネックになってしまう可能性はありますが、長期的な目で見ると収穫量も増え、収入もアップするため次世代の農業として今後さらに注目を集めていくでしょう。

後継者問題や農業での収入が減ってしまい悩んでいる方はソーラーシェアリングの導入を検討してみませんか?

当記事の監修者
当記事の監修者
石野 拓弥(Ishino Takuya)
エレビスタ株式会社 代表取締役

【専門分野・領域】
・再生可能エネルギー・カーボンニュートラル戦略
・太陽光発電プラットフォームの構築・運営
・デジタルマーケティング・経営戦略

【経歴】
2009年より起業家としてのキャリアをスタートさせ、現在は起業17年目を迎える連続起業家。
2013年より、国内最大級の太陽光発電所売買仲介プラットフォーム「SOLSEL(ソルセル)」を立ち上げ、運営。
WEBマーケティングの知見と再生可能エネルギー市場を融合させ、これまでに累計流通総額2,800億円以上という圧倒的な実績を築き上げる。

【メディア掲載・登壇実績】
経済誌「Forbes JAPAN」掲載
クラウドファンディング「CAMPFIRE Owners」インタビュー取材
「ベストベンチャー100」選出
「アジアの注目企業100」選出

【編集・監修ポリシー】
当メディアでは、再生可能エネルギーの普及および太陽光発電を活用した節税・投資対策を検討される皆様へ、実務に即した正確な情報提供を徹底しています。

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