ソーラーシェアリングのメリット・デメリット!失敗する問題点や補助金について解説
- 公開日:2026.07.09
- 更新日:2026.07.09
ソーラーシェアリングは農業と太陽光発電を組み合わせて、お互いの強みをブラッシュアップさせる取り組みです。
ソーラーシェアリングで太陽光発電を導入することで、収入が増えたり収穫物が増えるというメリットがあります。近年問題視されている後継者問題や農業の収益性を補うことができる可能性が高いソーラシェアリング。
この記事ではメリットやデメリットはもちろん、失敗しないためのポイントや、ソーラーシェアリングを始めるにあたって必要な一時転用許可と申請方法について解説しています。
関連記事:太陽光発電投資を選ぶメリット・デメリットは?個人で始める方法や危険性・リスクを解説
・ソーラーシェアリングは、農地で作物を育てながら太陽光発電による売電収入や自家消費メリットを得られる仕組みです。
・ソーラーシェアリングは、収入増加や耕作放棄地対策につながる一方で、作物の育成不良・自然災害・融資審査・長期運用計画などに注意が必要です。
・ソーラーシェアリングを始めるには農地の一時転用許可が必要で、営農継続・収量維持・毎年の報告義務を守ることが重要です。
目次
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)とは

ソーラーシェアリングとは農業と太陽光発電事業を組み合わせることで、収穫量をアップさせる・太陽光発電により売電収入が得る方法です。近年SDGsやRE100の観点と、荒廃農地を活用できるといった点から注目を集めています。
農業面でも環境面にも、さらに金銭面にも優しい取り組みです。営農型太陽光発電とも言われます。農業地だけではなく、養蜂場や水産養殖場で導入されることもあります。
太陽光発電のために新しく土地を用意するのではなく、今ある土地を利用しつつ、農業も太陽光発電も成功させることができることがソーラーシェアリングの魅力です。
太陽光パネルで日光が遮られると、作物の育成に悪影響なのではと心配になるかもしれません。しかし、作物の中には日光を浴びすぎると葉が痛んだり、暑さに弱かったりするものもあります。
ソーラーシェアリングと相性のいい作物を選ぶことで、むしろ相乗効果をもたらすのです。
ソーラーシェアリングの仕組み
ソーラーシェアリングは、農地に支柱を立て、その上に太陽光パネルを設置し、下の農地では作物を育てる仕組みです。太陽の光を発電と農業で分け合うことから、営農型太陽光発電とも呼ばれます。
一般的な太陽光発電と違い、農地を発電専用の土地に変えるわけではありません。パネルの下でも農作業を続けられるように、支柱の高さやパネルの間隔、影の出方などを考えて設計します。
ただし、農地に設備を置くには農地法に基づく一時転用許可が必要です。発電だけを目的にするのではなく、作物の収穫量や品質を保ちながら、農業を継続することが大切になります。
ソーラーシェアリングの発祥は日本
ソーラーシェアリングの発祥の地は日本国内です。
千葉県市原市皆吉にあるCHO技術研究所の代表を務めている長島彬さんが開発し、特許を出願したシステムで、現在は日本国内2,000か所以上にソーラーシェアリングが設置されています。
ソーラーシェアリングの設置にかかる初期費用
ソーラーシェアリングの設置費用は、50kWで1,200万円~1,700万円と言われています。
資源エネルギー庁の資料によれば、通常の産業用太陽光発電では、容量が50~250kWの平均費用は18.4万円/kWです。50kWの産業用太陽光発電設備設置にかかる費用は900~1,000万円程度と計算できます。
ただし、この費用は一般的な産業用太陽光発電の場合の費用のため、ソーラーシェアリングの場合はさらに費用がかかる可能性があります。ソーラーシェアリングでは高い架台が必要になったり、作物に合わせてパネルに隙間を開けたりと、工事の難易度が上がるためです。
設置を検討している場合は、複数見積もりをとって比較するのがおすすめです。
参考:資源エネルギー庁|太陽光発電について 2024年12月
ソーラーシェアリングの収益性・採算性を見るポイント
ソーラーシェアリングの収益性は、売電収入だけで判断しないことが重要です。発電による収入に加えて、農作物の販売収入、初期費用、メンテナンス費用、借入金の返済額などを含めて採算を確認します。
とくに見ておきたいのは、設置する設備の容量、日射量、売電単価、電力を自家消費できるかどうかです。FITやFIPを使う場合と、農業施設や地域内で電気を使う場合では、収入の考え方が変わります。
また、パネルの影によって作物の収穫量が下がると、農業収入が減る可能性もあります。発電量を増やすほどよいとは限らないため、作物に合った遮光率や栽培計画を考え、農業と発電のバランスを取ることが採算性を高めるポイントです。
ソーラーシェアリングのメリット

ソーラーシェアリングで得られるメリットは、ただ単に「環境に優しい」というだけではありません。さまざまな問題を解決に導く新たな選択肢として、注目を集めています。
ソーラーシェアリングのメリットには下記があります。
ひとつずつ詳しく解説していきます。
①電気の自家消費ができる分電気代の節約が可能
農業に使う機械の電源やビニールハウスの暖房などに発電した電気を使えば(自家消費)、電力会社から電気を購入する必要がないので電気代を節約することができます。
さらに、自家発電した電力を使用できれば、電気代高騰のあおりを受けるリスクが低くなります。太陽光発電には、燃料費高騰も関係ありません。
太陽光発電で発電した電気は発電所の規模によって売電方法が異なります。
50kWh未満の太陽光発電所の売電方法は余剰売電、50kWh以上の太陽光発電所の売電方法は全量売電となります。
余剰売電とは、発電した電気を家庭や企業内で使い、余った分を売電する方法で、全量売電は発電した電気すべてを売電する方法です。
関連記事:太陽光発電で自家消費するには?売電からの切り替え方法やメリット・デメリットを解説
②収入が増える
ソーラーシェアリングをすれば、これまでの農業での収益に加えて、太陽光発電で発電した電気を売電することで売電収入が得られます。
一般的に農業ができる土地は日当たりのいい土地が多く、これは太陽光発電をするのに適した土地でもあります。
そのため太陽光パネルを設置するだけで、これまでと同じように作業をしていれば収入が増えるという嬉しい話なのです。
③環境にやさしい
地球温暖化対策のために、カーボンニュートラルといったことばを耳にする機会が増えましたが、太陽光発電は発電時に有害物質を発しないクリーンなエネルギーです。
火力発電で使われるような石炭や石油などとは違い、半永久的に資源が枯渇することもありません。
さらに、農作物に「環境に配慮して栽培された」という付加価値を付けることができます。近年、地球にやさしいという観点で商品を選ぶ消費者が増えていることから、農作物の売り上げにも好影響です。
④後継問題が緩和される
ソーラーシェアリングを導入すれば、不作の年であっても売電収入が得られるので、「収入が少ない」「変動する」といったマイナスイメージを払拭することができます。
農業は、
- 重量労働
- 収入が少ない、収入が変動する
- 天候に左右される
このようなネガティブな理由で、若い世代に後を継がれないケースが多いです。
実際に後継されずに荒地となってしまう農地はかなり多いのですが、土地を所有していると固定資産税がかかってしまうので、収入を得られないにもかかわらず税金は払わなければいけないという”損”な状況になってしまいます。
この後継者問題を解決するためにおすすめな方法がソーラーシェアリングで、前述したように太陽光発電は年間を通して安定的に発電するので、売電収入が毎月手元に入ってきます。
⑤耕作放棄地対策になる
ソーラーシェアリングは、日本に存在する耕作放棄地問題を解決する手段にもなり得ます。
元々作物を育てていた耕作放棄地は日当たりが良好なため、ソーラーシェアリングを導入するのに向いている土地です。ソーラーシェアリングによって、農業・電力・環境といったさまざまな課題を解決に導けるでしょう。
耕作放棄地だけでなく、荒廃農地の対策にもなります。
ソーラーシェアリングに適した作物・不向きな作物

ソーラーシェアリングに適した作物・不向きな作物を紹介します。
ソーラーシェアリングに適した作物
ソーラーシェアリングに適しているのは、強い直射日光がなくても育ちやすい作物です。太陽光パネルの下では日射量が少なくなるため、半日陰を好む作物や、日差しが強すぎると品質が落ちやすい作物と相性がよいでしょう。
たとえば、レタス、ほうれん草、ねぎ、サトイモ、ミョウガ、しょうが、シソ、茶、ブルーベリーなどが候補になります。水稲や大豆、麦などで導入されている例もありますが、地域の気候や設備の遮光率によって向き不向きは変わります。
大切なのは、発電量だけでなく、作物の収穫量や品質を保てるかを確認することです。すでに栽培経験がある作物を選ぶと、管理の失敗を減らしやすくなります。
ソーラーシェアリングに不向きな作物
ソーラーシェアリングに不向きなのは、強い日差しを長時間必要とする作物です。パネルによって日射量が減ると、成長が遅れたり、実つきや糖度に影響が出たりする可能性があります。
たとえば、トマト、スイカ、メロン、トウモロコシ、きゅうりなどは、日光を多く必要とする作物として扱われます。
ただし、これらの作物が必ず栽培できないわけではありません。パネルの間隔を広げる、遮光率を低くする、日当たりのよい配置にするなど、設計次第で対応できる場合もあります。
一方で、導入後に収穫量が大きく落ちると、営農の継続が難しくなります。栽培経験が少ない作物や、販売先が決まっていない作物を選ぶ場合は、慎重に検討しましょう。
作物選びで失敗しないためのポイント
作物選びで失敗しないためには、発電に向いた土地かどうかだけでなく、農業として続けられるかを先に考えることが大切です。ソーラーシェアリングは農地の上で発電する仕組みですが、あくまで営農を続けることが前提になります。
確認したいポイントは、次の3つです。
・地域の気候や日射量に合う作物か
・パネルの影が出ても収穫量を保てるか
・栽培経験や販路があり、長く続けられるか
特に、遮光率は作物の育ち方に大きく関わります。発電量を増やそうとしてパネルを多く設置しすぎると、下の作物が育ちにくくなるかもしれません。
まずは試験栽培や専門家への相談を行い、農業と発電のバランスを見ながら作物を選びましょう。
ソーラーシェアリングが失敗する原因・問題点

ソーラーシェアリングが失敗する原因・問題点には、下記のような理由が挙げられます。
具体的に下記で解説します。
①作物がうまく育成しない
ソーラーシェアリングは営農が主たる事業であり、設置後は毎年、収穫状況を翌年二月末までに許可権者へ報告する義務があります。
平均収穫量の八割を下回る状態が続くと、営農継続性が認められず、一時転用の更新不可や設備撤去を求められるおそれがあります。
要因は過度な遮光や作業動線の悪化、排水・土壌条件の変化などです。
対策として、適切なパネル間隔と高さ設定、可動式や間引き配置、作物に応じた遮光率の設計、日照センサーでの常時モニタリングが有効です。
また、作物選定も重要で、日照を多く要するトマト・キュウリ・スイカなどは不向きです。
半日陰でも生育する葉物や菌茸、飼料作物などを中心に、地域の営農計画に合わせて小規模実証から段階的に拡大すると、収量リスクを抑えつつ事業継続性を高めやすくなります。
許可更新時は収穫データや写真、営農計画の実績を整備しておくと審査が円滑です。普及事例の遮光率や栽培手引も参照しましょう。
②自然災害の被害に遭ってしまった
台風や地震などの被害で、太陽光発電設備や農地にダメージを受ける場合もあります。
太陽光発電設備の故障をそのままにしておくと、発電が止まって売電収入が得られないばかりか、農作業中に感電する恐れがあり大変危険です。
太陽光発電設備のメーカー保証では、自然災害による故障は対象外となる場合が多いです。別途保険に入っておくことで、急な出費を防ぐことができるでしょう。
③農地の一時転用許可が必要
日本の土地は使用用途が決まっているため、農地を農業以外に使用したり、農地に支柱を立てて発電所を設置するためには一時転用許可を申請し許可を取らなければなりません。
許可を得ずに農地に太陽光発電を設置してしまうと罰則を受けることになるので要注意です。
また、所有している農地だけではなく周りの農地に影響を与える可能性がないか、という点も確認されます。近くに農地がある場合は事前に現地を視察してリスクがないかどうかを確認しておきましょう。
農地転用について詳しくはこちら
④普通に太陽光発電投資を始めるより融資審査が厳しい
先ほど説明したように一度一時転用許可を得たとしても、次の更新の際に収穫量が減っていたりする場合は更新できない可能性があります。
この場合、ソーラーシェアリングを継続できなくなるので、融資を受けている場合は返済ができなくなってしまいます。
金融機関が大切にしているのは融資を受けた相手が信用できるかどうかです。返済能力がない人にお金を貸したいとは思いませんよね。
ソーラーシェアリングの場合、3年ごとに必要な一時転用許可がネックとなり融資をしてくれる金融機関が少なかったり、条件次第で融資をしてくれないというケースもあるようです。
一時転用許可を10年の更新に変更できる場合もありますので、チェックしてみてください。
農地転用について詳しくはこちら
⑤20年の長期運用計画が求められる
ソーラーシェアリングは一度設置して終わりではなく、少なくとも20年前後の運用を前提に設計と資金計画を立てる必要があります。
許可は3年ごとに更新で、毎年の収穫報告と平均収量8割の達成が求められます。設備面ではパワーコンディショナの更新(10〜15年)、架台の防錆、配線・監視機器の交換、除草や獣害対策、台風・積雪への補修費を見込みます。
電力側は出力制御や制度変更、保険料や点検費の上昇もリスクです。作物側は遮光率の微調整や輪作計画、担い手の確保が鍵になります。
撤去・原状回復費の積立まで含め、20年のキャッシュフローを年次で試算しておくことが失敗を防ぐ最大のポイントです。
ソーラーシェアリングが普及しない理由
ソーラーシェアリングが大きく普及しない理由は、農業と発電の両方を安定して続ける必要があるためです。
通常の太陽光発電なら発電量や売電収入を中心に考えますが、ソーラーシェアリングでは作物の収穫量や品質も守らなければなりません。
さらに、農地に設備を設置するには一時転用許可が必要です。許可を受けたあとも、営農をきちんと続けているか確認されるため、発電だけを目的にした運用は難しくなります。
また、初期費用や災害対策、メンテナンス費用も負担になります。金融機関から見ると、農業収入と発電収入の両方にリスクがある事業に見えやすいため、融資を受けにくい場合もあるでしょう。
制度の理解、農業の知識、長期の資金計画が必要になることが、普及のハードルになっています。
ソーラーシェアリングの農地一時転用許可とは

農地一時転用許可は、太陽光設備を置いても営農を主として継続することを条件に、一定期間だけ農地の別用途を認める制度です。
許可は3年ごとの更新制で、更新時には導入で収入や収穫量が減っていないか、作物の品質や周辺への影響、収支計画の妥当性などが確認されます。
毎年、翌年二月末までに収穫状況等を報告する義務があり、平均収穫量の八割を下回る状態が続くと、更新不可や設備撤去を指示される場合があります。
対象となる立地は農地区分により異なり、駅や官公庁・公共施設からの距離、市街地化の見込みなどの要件を満たす第2種農地や第3種農地が中心です。
報告の失念や条件不充足は事業継続に直結するため、書類整備と営農改善のサイクルを確実に回しましょう。
一時転用許可については農林水産省の公式サイトで詳細が確認できます。
条件を満たせば更新期間が10年に延長できる
基本的に3年ごとに必要な一時転用許可ですが、下記の一定条件を満たせば3年ごとに必要な一時転用許可を10年の更新に変更することができます。
- 担い手が所有している農地又は利用権等を設定している農地で当該担い手が下部農地で営農を行う場合
- 農用地区域内を含め荒廃農地を活用する場合
- 農用地区域以外の第2種農地又は第3種農地を活用する場合
【第2種農地とは】
500m以内に駅や官公庁がある
10ヘクタール以上の集団的農地から外れた場所にある
市街地化が見込まれた地域にある
【第3種農地とは】
300m以内に駅や官公庁がある
500m以内に教育機関などの公共施設が2つ以上ある
市街地になっている地域にある
基本的に市街地近くのエリアに農地がある場合は、第2種・第3種農地に当てはまります。
関連記事:農地転用とは?100坪あたりの費用相場や転用できない土地について解説
農地転用とは?100坪あたりの費用相場や転用できない土地について解説
営農継続・収量維持・毎年の報告義務に注意する
ソーラーシェアリングは、農地の上で太陽光発電をする仕組みですが、発電だけを続ければよいわけではありません。下部の農地で作物を育て続け、農業として成り立つ状態を保つ必要があります。
一時転用許可を受けたあとも、栽培状況や収支などを報告する書類の提出が求められます。農林水産省の様式にも、栽培実績書や収支報告書が用意されているため、導入後の管理まで見据えておきましょう。
特に注意したいのは、パネルの影によって収量や品質が落ちるリスクです。地域の平均的な収量と比べて大きく下回ると、営農に支障があると判断される可能性があります。
作物選びや遮光率の設定を慎重に行い、毎年の営農状況を説明できる体制を整えることが大切です。
日本のソーラーシェアリングの事例
ここからは、ソーラーシェアリングの導入に成功した事例を紹介していきます。まずは、日本国内の事例を見ていきましょう。
ハウステンボスのブルーベリー観光農園(長崎県)

引用:ハウステンボスリゾート
ハウステンボスは、年間約300万人が訪れる長崎県のテーマパークです。
2018年にソーラーシェアリングを導入したブルーベリー観光農園が新設されました。土地面積2,300㎡、設備容量128kWの大型ソーラーシェアリングは、国内初の自家消費型となっています。
電力会社に売電して、収入を得る場合が多いソーラーシェアリングですが、ハウステンボスでは発電した電気を場内で自家消費。エネルギーの地産地消を実現する、より環境負荷の少ないモデルであると言えます。
THE 土と太陽の発電所Soil & Sun(千葉県)

千葉県にある「THE 土と太陽の発電所Soil & Sun」は、2021年に立ち上げられたソーラーシェアリング発電所です。エシカル協会・農業法人Three Little Birds・ハチドリ電力が合同で運営しています。
耕作放棄地となっていた土地が、ソーラーシェアリングを行うことで、売電収入と有機栽培大豆の収穫が得られる生産的な場所へと生まれ変わりました。
大豆の収穫体験イベントなど、「エシカルな暮らし方」を広める活動も実施。持続可能な世界の実現を目指しています。
小掠緑化(三重県)
引用:PVeye
三重県にある「小椋緑化」は、2011年から続くソーラーシェアリングの先駆け的存在。
当時はまだほとんど認知されていない事業でしたが、社長自ら行政に掛け合って「営農型太陽光発電」の許可をとり、タデック(太陽光発電システム設置業者)と協力して1からソーラーシェアリングを作り上げました。
ハウスの上のソーラーパネルは、日照量を計算して設置されています。半日蔭で育つミョウガやショウガだけでなく、日照が必要なスイカやトマトも順調に生育しており、ソーラーシェアリングの設計次第で多くの作物を栽培できることを実証しています。
世界のソーラーシェアリングの事例
続いて、世界のソーラーシェアリングの実例を紹介していきます。
アクオ・エナジー(フランス)

(引用:アクオ・エナジー)
フランスの企業「アクオ・エナジー」は、世界中で30以上のソーラーシェアリングを運営・建設しており、2022年時点の太陽光発電容量は198MWです。
コルシカ島にあるソーラーパネル付き温室もその1つで、地中海の豊富な太陽光を有効利用しています。
今後は、蓄電と生産プラントを組み合わせて、生産される全てのエネルギーを最適に利用できるシステムを目指しています。
キップスター(オランダ)

(引用:キップスター)
オランダ南部の養鶏場「キップスター」は、鶏舎の屋根など敷地内に1078枚のソーラーパネルを設置。発電した電力が鶏舎で利用されるだけでなく、余剰電力は売電収入にもなっています。
ソーラーシェアリングの他にも、フードロスから開発された飼料を使用したり、自然を模した鶏舎で鶏が快適に過ごせるよう配慮したりしていることから、世界で最も動物と環境に優しい養鶏場だと言われています。
ソーラーシェアリングを始めたい!申請方法・申請の流れ

ソーラーシェアリングを始めるためには、経済産業省へ事業計画認定申請をする必要があります。
実際の事業開始までのスケジュールは以下の通りです。
①初期検討段階
まずは、営農型太陽光発電について理解しましょう。自治体の担当部署や、ソーラーシェアリングを手掛けている業者に話を聞いてみるのがおすすめです。
同時に、電力系統に接続できるか確認する必要があります。こちらも、自治体や業者、地域の送配電事業者に相談するのが良いでしょう。
②計画策定
営農計画の策定を行います。土地の利用状況 や測量等現地調査を実施し、太陽光発 電システムの規模や、栽培する作物に合わせたパネルの設計などを決めてください。
施工業者に見積を依頼し、どの程度収益性があるのか・長期運営可能か・初期投資をどれくらいで回収できるかなどを確認しましょう。
ソーラーシェアリング導入時に利用できる補助金制度の確認も、忘れずに行ってください。
③各種申請
設置が決まったら、次のような申請が必要です。
- 経済産業省へ事業計画認定申請
- 送配電事業者に系統連系協議と特定契約申込
- 農業委員会や農地一時転用許可申請
一般人には難しい内容なので、手続きに時間がかかる可能性もあります。なるべく早く事業に着手したい場合は、代行サービスを利用して手続きを進めることをおすすめします。
④工事開始
経済産業省から事業計画認定を受け、送配電事業者へ接続のための工事費負担金支払をすれば、工事が開始できます。
⑤事業開始
太陽光発電システムの設置ができたら、いよいよソーラーシェアリングの運営開始です。営農を開始・継続していくと同時に、電力供給が開始されることになります。
農地転用許可権者への年次報告を含めた、地域住民とのコミュニケーションも大事な仕事です。
ソーラーシェアリングに使える補助金【2026年】

ソーラーシェアリングの導入では、環境省が実施する二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の枠組みが活用されるケースがあります。
この補助金は、再生可能エネルギーの導入や地域のレジリエンス強化を目的とした事業で、営農地を活用した太陽光発電設備の導入も対象とされています。
補助内容や要件は年度や公募回ごとに見直されるため、以下は近年の公募内容をもとにした一般的な概要です。
| 交付額 | 補助率は原則2分の1程度 補助金の上限額は公募要領で定められる |
|---|---|
| 補助対象設備 | ・太陽光発電設備 ・定置用蓄電池 ・自営線 ・エネルギーマネジメントシステム(EMS) ・受変電設備 ・そのほか、認められる設備 |
この補助金は、営農地を活用した太陽光発電設備の導入を支援する事業で、自家消費を前提としたソーラーシェアリングが対象となります。
そのため、発電した電力を系統へ売電することを目的とした設備は、対象外となるのが一般的です。
また、補助率や上限額、対象設備の細かな要件は公募ごとに異なるため、申請を検討する場合は、必ず最新の公募要領を確認した上で進めるようにしましょう。
参考:
一般社団法人 環境技術普及促進協会「令和6年度(補正予算)・令和7年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」
令和7年度(補正予算)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業)のうち、ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の公募について
ソーラーシェアリングに関するよくある質問

ソーラーシェアリングを検討している方が、気になる点をまとめました。
ソーラーシェアリングに興味があるけれど、何から始めたらいい?
まずは、無料の相談窓口に連絡してみましょう。
例えば農林水産省の補助事業として、「全国ご当地エネルギー協会」に相談窓口が設置されています。無料で専門家に相談することができるので、電話・WEBで連絡してみてください。
公式サイト:全国ご当地エネルギー協会
電話番号:03-3355-2212
また、各地方の農政局に再生可能エネルギーの担当窓口もあります。
| 窓口担当部署 | 所在地・電話番号 | 担当する都道府県 |
| 北海道農政事務所 生産経営産業部 事業支援課 |
〒064-8518 札幌市中央区南22条西6丁目2-22 エムズ南22条第2,3ビル 011-330-8810 |
北海道 |
| 東北農政局 経営・事業支援部 食品企業課 |
〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町3丁目3番1号 仙台合同庁舎 022-221-6146 |
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、 福島県 |
| 関東農政局 経営・事業支援部 食品企業課 |
〒330-9722 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1 さいたま新都心合同庁舎2号館 048-740-0427 |
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、 東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県 |
| 北陸農政局 経営・事業支援部 食品企業課 |
〒920-8566 石川県金沢市広坂2丁目2番60号 金沢広坂合同庁舎 076-232-4149 |
新潟県、富山県、石川県、福井県 |
| 東海農政局 経営・事業支援部 食品企業課 |
〒460-8516 愛知県名古屋市中区三の丸1丁目2番 2号農林総合庁舎1号館 052-746-6430 |
岐阜県、愛知県、三重県 |
| 近畿農政局 経営・事業支援部 食品企業課 |
〒602-8054 京都府京都市上京区西洞院通下長者 町下ル丁子風呂町 075-414-9024 |
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、 和歌山県 |
| 中国四国農政局 経営・事業支援部 食品企業課 |
〒700-8532 岡山県岡山市北区下石井1丁目4番1号 岡山第2合同庁舎 086-222-1358 |
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
| 九州農政局 経営・事業支援部 食品企業課 |
〒860-8527 熊本県熊本市西区春日2丁目10番1号 熊本地方合同庁舎 096-300-6330 |
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、 宮崎県、鹿児島県 |
| 沖縄総合事務局 農林水産部 食料産業課 |
〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち2丁目1番1号 那覇第2地方合同庁舎2号館 098-866-1673 |
沖縄県 |
ソーラーシェアリングが普及しない理由は何ですか?
ソーラーシェアリング(営農型太陽光)は、農地での発電と作物栽培を両立させる有望な方式ですが、制度・運用・経済性・農業面の課題が重なり、導入が進みにくい側面があります。
- 農地一時転用、遮光率、営農計画の審査・報告などの許認可手続きの複雑さ
- 高架台などによる設備費の増加と資金調達の難しさ
- 最適遮光率の見極め、農機の動線などの作物適性と収量リスク
- 除草・獣害・腐食対策、作業安全などの維持管理負担
- 系統接続の遅れや出力制御の不確実性
- 地域合意・景観・反射光への配慮
- 撤去・原状回復費の見込み
導入を検討する際は、作物ごとの遮光率検証や小規模試験を行い、早期に自治体・農業委員会・送配電事業者と調整することが重要です。
発電と営農の収支を一体で試算し、保守・保険・更新・撤去まで含めた計画を用意できれば、事業の実現性は高まります。

営農型太陽光発電の許可件数は累計5,351件、下部農地面積は1,209.3haです。年度別の新規許可は、H30=474件、R1=643件、R2=806件、R3=872件、R4=975件と増加傾向が続いています。
下部農地の作物内訳は、観賞用植物36%、野菜等29%、果樹13%、米・麦等9%、その他13%、花き0.3%。遮光率や作業性の相性から、観賞用植物や野菜系の採用が目立ちます。
ソーラーシェアリングのデメリットは?
ソーラーシェアリングには、以下のようなデメリットがあります。
- 太陽光発電設備の設置に多額の初期費用が掛かる
- 事業開始までの計画・手続きが煩雑
- 農業の収穫量や質を一定以上に保たなければならない
- 自然災害のリスクがある
太陽光発電設備の導入には多額の初期費用がかかります。売電収入や電気代コスト削減で相殺していけるとはいえ、負担が大きいことは間違いありません。
また、事業開始から運用を続ける経営能力が求められるだけでなく、農作物の質・量も一定以上を保つ必要があります。
土地選びや収益シミュレーションなどの事前計画と、適切な保険に入るなどのリスク対策で、デメリットを抑えることができるでしょう。
ソーラーパネルは有害ですか?
ソーラーパネルには、人体に有害な鉛・カドミウム・セレンなどが含まれることがありますが、パネルは密閉されており、通常の発電でこれらの有毒物質が外にでることはありません。
また、日本メーカーのパネルには有害物質は含まれていません。
しかし、大きく破損したソーラーパネルが長期間放置された場合には、有毒物質が周囲に漏れ出す可能性はあります。
太陽光発電事業者は、ソーラーパネルのメンテナンスを適切に行い、環境破壊を防ぐ責任があります。
ソーラーシェアリングに向いているおすすめの作物は?

(出典:ソーラーシェアリング協会)
ソーラーシェアリングに適している作物は、日陰でも育つ光飽和点(植物の成長を促すのに必要な光の強さの限界)が低い作物です。
ソーラーシェアリングではパネルで農地に当たる日光が遮られるため、「半陰性植物」や「陰性植物」の栽培に適しています。それぞれ、具体的には以下のような農作物がありますので、検討してみてください。
| 半陰性植物 | イチゴ、ホウレンソウ、 コマツナ、ネギ、カブ、 アスパラガス、ジャガイモ |
| 陰性植物 | ミツバ、クレソン、 ニラ、シソ、フキ、 ミョウガ、キノコ類 |
その他にも養蜂場での導入もおすすめです。
まとめ
ソーラーシェアリングは、農業にも収入アップにも効果的に働きます。
手続きの面倒くささや初期費用の面がボトルネックになってしまう可能性はありますが、長期的な目で見ると収穫量も増え、収入もアップするため次世代の農業として今後さらに注目を集めていくでしょう。
後継者問題や農業での収入が減ってしまい悩んでいる方はソーラーシェアリングの導入を検討してみませんか?
