太陽光発電を法人化する絶妙なタイミングは?個人から切り替えるメリット・デメリット
- 公開日:2026.08.15
- 更新日:2026.08.15
太陽光発電の法人化のメリット・デメリットや、法人化に適したタイミングについて詳しく解説します。
太陽光発電事業は、太陽光発電設備を購入し、売電収入によって収益を得る事業です。国のFIT制度対象のため安定収入が期待でき、個人でも取り組める投資として注目されています。
個人で太陽光発電事業を始めた場合、事業が拡大してくると法人化を考える方もいるでしょう。太陽光発電事業を法人化すると、節税できたり、融資が受けやすくなったりするメリットがあります。
・太陽光発電の法人化は、年収ではなく課税所得700万円前後や、発電所の買い増し・事業拡大を検討するタイミングがひとつの目安です。
・太陽光発電の法人化には節税や資金管理などのメリットがありますが、法人住民税や社会保険料なども増えるため、必ず得になるわけではありません。
・個人から法人へ切り替える際は、設備の売却だけでなく、FIT・FIP認定や売電契約の名義変更、税金・ローンなどの確認も必要です。
目次
太陽光発電を法人化するのに適切なタイミングは?

太陽光発電の法人化は、年収が700万円、もしくは売電収入が1,000万円を超えた場合にメリットが出てきます。
それぞれのタイミングについて解説します。
年収ではなく課税所得700万円前後がひとつの目安
法人化を検討するときは、年収や売電収入ではなく、経費や所得控除などを差し引いた後の課税所得に注目しましょう。個人の所得税は累進課税で、課税所得が695万円を超える部分には23%の税率が適用されます。
一方、一定の中小法人では、所得800万円以下の部分に軽減された法人税率が適用されます。そのため、課税所得700万円前後は法人化を比較検討するひとつの目安です。
ただし、法人化すると法人住民税や社会保険料、税理士費用などの負担も増える可能性があります。700万円を超えたら必ず得になるわけではないため、実際の収支を比較して判断することが大切です。
関連記事:太陽光発電投資は個人・法人どっちも節税できる!税制優遇を活用した節税方法を解説
売電収入が1,000万円を超えたタイミング
電力の売却金が1,000万円を超えた時も法人化に移行するタイミングです。売却で得た収入が1,000万円を超えた場合、その年の2年後に課税事業者と認定されるためです。
課税事業者とは、消費税の納付義務がある事業者のことで、売り上げに含まれる消費税を納税しなければなりません。ただし、経費で支払った消費税の控除も受けられます。支払った消費税の方が多かった場合は、還付を受けることも可能です。
法人化をしない状態でいると消費税の納付対象者ですが、法人設立後からの2年間は消費税の納付は免除されます。そのため、法人化をしたほうがお得です。
関連記事:太陽光発電投資での消費税還付は知らないと損!手続きの流れや仕組みを解説
複数の発電所を所有し、今後も事業を拡大するタイミング
複数の太陽光発電所を所有し、今後も設備を増やしていく予定があるなら、法人化を検討するタイミングのひとつです。
発電所が増えるほど売電収入や維持管理費、借入金などの管理項目が増え、個人の家計と事業のお金を分けて管理する重要性も高まります。
法人化すれば、法人名義の口座や会計を利用して事業の収支を整理しやすくなり、経営状況も把握しやすくなるでしょう。
また、将来的に従業員を雇ったり、太陽光発電以外の事業へ展開したりする場合にも法人という形が適しているケースがあります。長期的に事業規模を広げる方は、早めに税理士などへ相談しておくと安心です。
追加融資や設備の買い増しを検討するタイミング
新しい発電所の購入や既存設備の増設などで追加融資を検討している場合も、法人化を考えるタイミングです。法人化すると事業と個人の資産や収支を分けられるため、決算書を通じて事業の経営状況を整理して示しやすくなります。
今後も継続して設備投資を行う予定なら、法人として実績を積み上げることも選択肢になるでしょう。ただし、法人にしたからといって融資を受けやすくなるとは限りません。
設立直後は決算実績がなく、代表者の信用力や事業計画、発電所の収益性なども審査されます。購入予定の設備や資金計画が固まった段階で、金融機関や税理士に法人化の時期を相談しましょう。
太陽光発電の法人化は年収700万円で必ず得になるわけではない

「700万円を超えたら法人化したほうがよい」と一律に判断するのは避けましょう。個人と法人では税金や社会保険の仕組みが異なるため、法人化後の負担まで含めて比較する必要があります。
個人と法人では税金の計算方法が異なる
個人で太陽光発電事業を行う場合、所得税は所得が増えるにつれて税率が高くなる累進課税です。課税所得が695万円を超えると、その超えた部分には23%の所得税率が適用され、さらに住民税なども考慮する必要があります。
一方、法人では会社の所得に法人税がかかり、一定の中小法人では年800万円以下の所得に軽減税率が適用されます。ただし、会社から自分に役員報酬を支払えば、個人側では給与所得として所得税や住民税が発生します。
そのため、単純に所得税率と法人税率だけを比べても正確な判断はできません。法人と個人の両方にかかる税金をまとめて比較することが重要です。
法人住民税や社会保険料を含めて判断する
法人化による負担を比較するときは、法人税だけでなく法人住民税や社会保険料も確認しましょう。法人には法人住民税の均等割があるため、利益が少ない年でも一定の税負担が発生する場合があります。
また、法人事業所は原則として健康保険と厚生年金保険の適用対象となり、代表者のみの会社でも加入が必要となるケースがあります。保険料は会社と本人がそれぞれ負担するため、法人側だけでなく個人側の支出も踏まえなければなりません。
さらに、法人の決算や申告を税理士へ依頼すれば報酬も必要です。節税できる税額だけを見るのではなく、法人化によって新たに発生する固定費を含めて判断しましょう。
法人化前後の税負担を簡易シミュレーションで比較する
法人化を検討するときは、現在の課税所得だけで判断せず、法人化した場合の年間負担を簡単に試算してみましょう。たとえば個人の課税所得が700万円前後なら、まず現在の所得税や住民税を確認します。
法人化後は、会社の利益から役員報酬を支払う想定で、法人税や法人住民税、会社と個人が負担する社会保険料、役員個人の所得税・住民税などを合計します。
さらに、法人設立費用や税理士報酬なども含めると、実際の差を把握しやすくなるでしょう。
家族構成や役員報酬、経費、ほかの所得によって結果は大きく変わるため、最終的には税理士に具体的な条件で試算してもらうのがおすすめです。
太陽光発電を法人化するメリット

太陽光発電によって発生する収益を、法人によって管理した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。次より太陽光発電を法人化した際の代表的なメリットを5つ紹介します。
節税対策になる
太陽光発電を法人化するメリットの一つは、節税対策です。太陽光発電による電力売却で収益が出た場合、それは所得の一種である「雑所得」に該当します。
所得税の税率は、累進課税制度という制度で決められているのが特徴です。これは所得の大小に比例して税率も変化する制度で、15〜55%という税率の幅があります。
それに対して、法人税・地方税は税率が約22%、利益800万円以上であれば約35%の税率です。所得税と法人税を比較した場合、法人税のほうが低いため、所得金額によっては法人化したほうが節税になります。
ただし、年収700万円以下・太陽光発電の利益額1,000万円以下の場合、法人化をしても節税にならないケースもあるので、注意が必要です。
損失の繰越期間が長くなる
太陽光発電の法人化をすれば、個人より損失繰り越し期間を長引かせることが可能です。この損失・赤字が可能な期間は、個人事業主の場合だと3年まで繰り越しが可能です。
個人で太陽光発電を行なっている方は、3年間は損失を翌年まで繰り越せます。
それに対して法人は、青色申告であれば太陽光発電で生じた損失を10年間繰り越しが可能です。個人より3倍もの長期にわたって繰り越しできます。
経費にできる費用が増える
法人のメリットは、個人と違って経費として認められる範囲が広がる点です。法人の場合、従業員の給料支払いがありますが、それも役員報酬として経費扱いにできます。
さらに役員報酬は所得控除の対象でもあるため、税金の負担を軽減が可能です。
また、法人になってから経費扱いにできるものは、賃貸住宅の家賃です。法人化をすれば、個人でなくて法人として賃貸住宅と契約することもできます。
法人で契約をすれば社宅扱いとなり、家賃を経費扱いにして計上することが可能です。
金融機関からの融資が受けやすい
個人事業主・フリーランスと法人の違いは、社会的信用度の高さです。個人は自分1人ですが、法人の経営者になれば自分だけでなく自身が抱える従業員に給与を支払って面倒を見なければいけません。
事業に関わる人数が増えると業務内容・動くお金の規模も大きくなり、個人とは違う大きな責任感が生じます。法人は、個人よりも規模の大きい資金・業務内容・社会的信頼度を持っている証拠になるのです。
そして法人は個人よりも社会的信頼度が高いために、銀行からの融資が受けやすくなります。融資をする銀行にとって大事なのは、融資希望者の返済能力です。
法人の場合は、法人としての実績・社会的信頼があるため、融資をしても延滞・滞納をすることなくスムーズに返済をしてくれると判断できます。
円滑な融資を受けられた場合、それを初期費用にしてさらに新たな事業を開始することも可能です。金融機関からの融資が受けやすくなることによって、ますます法人としての収益アップ・事業拡大が実現できます。
小規模企業共済制度に加入できる
法人化は、小規模企業共済制度に加入できることもメリットに挙げられます。
小規模企業共済は、国が作った退職金制度です。小規模企業の個人事業主や役員が「第一線を退いたときの生活の安定や事業の再建を図ることを目的とした資金」をあらかじめ準備できます。
月々の掛け金は1,000円から70,000円まで500円単位で変更でき、収入に合わせて積立ができます。掛け金は全額所得控除の対象なので、課税所得を抑えて節税も可能です。
共済金の受け取り方法は、「一括」「分割」「一括と分割併用」から選択でき、退職金や年金のように受け取れます。
さらに、納付した掛金の7~9割の額を、低金利での借入れが可能です。
太陽光発電は長期的に安定収入が期待できるため、小規模企業共済制度に相性が良い事業です。節税・老後の資産形成・低金利の借入とメリットが大きいので、利用できる方はぜひ検討してください。
参考:小規模企業共済
節税についてもっと知りたい方はこちら
役員報酬や退職金を活用できる
法人化すると、会社から経営者へ役員報酬を支給できるほか、将来の退任時には役員退職金を支給する方法も選べます。
一定の要件を満たす役員報酬は法人の損金に算入でき、役員個人は給与所得として受け取るため、所得の分け方を調整しやすくなる点がメリットです。
また、適正な金額の役員退職金も、所定の手続きを踏めば法人の損金として扱える場合があります。
ただし、役員報酬は自由に増減できるわけではなく、損金算入には定期同額給与などのルールがあります。退職金も金額が不相当に高いと認められない可能性があるため、税理士と相談して設定しましょう。
小規模企業共済制度を利用できる場合がある
法人化後、一定の加入要件を満たす会社の役員であれば、小規模企業共済を利用できる場合があります。小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員などが退職や廃業に備えて積み立てる制度です。
掛金は月1,000円から7万円まで設定でき、支払った掛金は役員個人の所得から全額控除できます。そのため、将来の資金を準備しながら所得税や住民税の負担を抑えられる可能性があります。
ただし、法人が加入する制度ではなく、加入資格を満たす役員本人が契約する仕組みです。勤務先との雇用関係などによって加入できない場合もあるため、事前に条件を確認しましょう。
太陽光発電を法人化するデメリット

先に説明したとおり、太陽光発電の法人化はさまざまなメリットがありますが、デメリットともいえる点も決してゼロではありません。では、太陽光発電の法人化のデメリットとは何か、次より説明します。
事務作業の負担が増える
太陽光発電の法人化に伴い規模を拡大すると、収益向上の一方で事務作業の負担が大幅に増大します。個人事業主とは異なり、法人では複式簿記による厳格な会計管理や決算申告が義務付けられ、経理実務の専門性が高まります。
また、事業規模が大きくなるほど行政への定期報告や法令遵守のための書類作成が頻雑になり、手続きにかかる工数も無視できません。
さらに周辺環境への配慮や近隣住民との調整といった対外的な管理業務も法人としての責任ある事務として重くのしかかります。
個人での運営時にはなかった高度な管理体制が求められるため、増収というメリットの裏にあるバックオフィス業務の負担増を覚悟しておく必要があります。
法人設立に費用がかかる
太陽光発電の法人化の方が節税効果などのメリットがあるという安易な考えで、法人化を進めてはいけません。
法人化をするための登録・資本金・事業所にかかる費用・備品の購入など、決して安くない費用を用意する必要があります。
法人化のための一連の手続きは手間がかかり複雑なので、司法書士などに代行してもらうことも可能ですが、そのための費用を払わないといけません。
法人化を進める前に、どれくらいの費用がかかるのか、その費用を準備できる余裕があるのかを、しっかりと考慮する必要があります。
法人住民税や税理士報酬などの維持費がかかる
法人を設立すると、利益の有無にかかわらず毎年発生する費用があるため注意が必要です。代表的なものが法人住民税の均等割で、赤字の年度でも一定額を納める必要があります。
また、法人の決算や税務申告は個人事業より複雑になりやすく、税理士へ依頼する場合は顧問料や決算申告料もかかるでしょう。
さらに、会計ソフトや法人用口座、各種証明書の取得などで細かな費用が積み重なるケースもあります。
太陽光発電の利益がまだ小さい段階では、節税額より維持費のほうが大きくなる可能性もあります。年間でいくら固定費が増えるかを事前に試算しておきましょう。
社会保険への加入で負担が増える場合がある
法人化すると、原則として法人事業所は健康保険と厚生年金保険の適用対象になります。代表者1人だけの法人でも対象になるため、役員報酬を受け取る代表者は社会保険への加入が必要になるケースがあります。
保険料は会社と本人が原則として分担して負担するため、個人事業のときより会社側の支出が増える可能性があるでしょう。
一方で、厚生年金への加入によって将来受け取る年金額が増えるなどの面もあるため、単純なコストだけで比較するのは適切ではありません。
法人化を判断するときは、税金だけでなく年間の社会保険料も含めて試算することが大切です。
ランニングコストが増える
法人化を選択すると、事業の成否に関わらず発生する固定費が増加します。 まず、赤字であっても毎年約7万円の法人住民税(均等割)がかかります。
さらに、複雑な法人決算を処理するための税理士報酬が欠かせません。 役員報酬を支払う場合は、社会保険料の会社負担分も発生します。
これらの維持費は、個人事業主のときには不要だったコストです。 発電収益からこれらを差し引くため、事前の資金計画が重要となります。
小規模企業共済制度は利用できない場合がある
先述したとおり、法人化をすれば小規模企業共済制度に加入できるメリットがありますが、必ず利用できるわけではありません。
以下の場合は、制度に加入できない決まりです。
- 配偶者等の事業専従者
- 非営利法人の役員等
- アパート経営事業を兼業している給与所得者
- 小規模企業者に該当しない場合
- 学業が本業の全日制高校生
- 会社役員
- 生命保険外務員
- すでに退職金共済機構が運営している制度に加入している場合
自分がそういう立場であるか確認してから加入の手続きをしましょう。
副業が会社にばれるリスクがある
太陽光発電事業を法人化すると、本業の会社に副業がばれる可能性があります。
法人化すると登記簿謄本に記載されるため、勤め先の会社が調べると、副業がばれてしまうでしょう。また、会社員は給与から住民税が天引きされるため、住民税が変動すると、別の収入があるとばれてしまいます。
副業として行っている太陽光発電事業を法人化したい場合は、会社の就業規則をよく確認してください。本業をなくしたくない場合、副業に関するルールを守ることが大切です。
所得が少ないと法人化しても節税にならない
太陽光発電による所得がまだ少ない場合は、法人化しても節税効果を得られないことがあります。個人の所得税は所得が低いほど税率も低いため、法人化による税率差のメリットが小さくなりやすいためです。
一方、法人を設立すると、法人住民税の均等割や社会保険料、税理士報酬などの固定的な負担が発生します。その結果、税金が少し下がっても、法人を維持するための費用を含めると手取りが減るケースも考えられます。
売電収入ではなく、経費を差し引いた所得と法人化後の年間コストを比較し、十分な差が出るか確認してから判断しましょう。
太陽光発電の法人化が向いている人・向いていない人

太陽光発電の法人化が適しているかどうかは、現在の所得だけでなく、事業規模や今後の設備投資によっても変わります。法人化による負担も含め、自分の状況に合うか確認しましょう。
法人化が向いている人
太陽光発電による課税所得が増えている人や、今後も発電所を買い増して事業を拡大したい人は、法人化を検討する価値があります。法人では役員報酬や退職金などを活用でき、個人とは異なる方法で所得や資金を管理できます。
また、複数の設備を所有する場合は、法人名義の口座や決算書を使うことで事業のお金を整理しやすくなるでしょう。追加融資を受けながら長期的に事業を続けたい人にも、法人という形が合う場合があります。
ただし、法人住民税や社会保険料などの固定費も増えるため、法人化前後の負担を試算したうえで判断することが大切です。
法人化せず個人のままが向いている人
太陽光発電による所得がまだ少ない人や、今後発電所を増やす予定がない人は、個人のまま運営したほうが負担を抑えやすい場合があります。
法人化すると、赤字でも発生する法人住民税の均等割や、税理士報酬、社会保険料などの固定費がかかるためです。また、法人の決算や各種届出など、個人事業より事務作業も増えます。
所有する発電所が少なく、売電収入も安定しているのであれば、無理に法人化する必要はありません。節税効果だけで決めず、今後の事業拡大の予定や年間の維持費まで含めて、個人のまま続ける場合と比較しましょう。
太陽光発電を法人化する際の消費税の注意点

太陽光発電を法人化する際は、所得税や法人税だけでなく消費税の扱いにも注意が必要です。売電収入の規模や法人設立時の条件、インボイス登録の有無によって納税義務が変わります。
売電収入1,000万円と消費税の関係
消費税では、原則として基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となります。法人の場合、基準期間は原則として前々事業年度です。
太陽光発電の売電収入は通常、消費税の課税売上に含まれるため、売電収入を中心とした課税売上高が1,000万円を超える場合は注意しましょう。
ただし、1,000万円を超えた年に直ちに消費税を納めるとは限らず、基準期間や特定期間の判定によって納税義務が決まります。
また、インボイス発行事業者として登録している場合は、課税売上高が1,000万円以下でも申告が必要です。売上だけで判断せず、該当する課税期間を確認しましょう。
法人設立後も必ず免税事業者になれるとは限らない
新しく法人を設立すると、1期目と2期目は基準期間がないため、原則として消費税の納税義務が免除されます。
ただし、設立時の資本金が1,000万円以上の新設法人や、一定の要件を満たす特定新規設立法人などは、設立当初から課税事業者になる場合があります。
また、特定期間の課税売上高などが1,000万円を超えると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも免税にならないケースがあります。
さらに、インボイス発行事業者の登録を受ければ、免税事業者の要件を満たしていても消費税の申告が必要です。法人化すれば必ず2年間免税になるとは考えないようにしましょう。
インボイス登録をすると消費税の申告が必要になる
インボイス発行事業者として登録すると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、原則として消費税の申告と納税が必要です。
太陽光発電では、売電先との取引条件などからインボイス登録を検討するケースがありますが、登録後は消費税の負担が発生する可能性があります。
そのため、法人設立後に免税事業者となれる見込みがあっても、インボイス登録をするかどうかは別に検討しましょう。
免税事業者から登録した場合には、一定の要件を満たせば税負担を軽減する経過措置を利用できることもあります。登録前に売電先の対応や納税額への影響を確認することが大切です。
太陽光発電事業を個人から法人に切り替える方法

個人で所有している太陽光発電事業を法人へ移すには、法人設立や設備の譲渡だけでなく、FIT・FIP認定や売電契約などの名義変更も必要です。関係先への手続きを順番に進めましょう。
STEP1:法人を設立する
法人の設立は、司法書士・行政書士・税理士に依頼して行います。
事務所のホームページを見て、法人設立業務の実績があるか確認してください。手数料やサポート内容の比較も重要です。
法人の種類には株式会社・合同会社がありますが、設立コスト・運用コストを考えると、合同会社が向いています。
STEP2:個人から法人に太陽光発電設備を売却する
設立した法人に太陽光発電設備を売却し、所有を個人から法人に移します。売却価格は譲渡所得の課税対象とならないように調整する必要があります。
STEP3:個人と法人の間で債務引き受け契約か、金銭消費貸借契約を締結する
太陽光発電設備を購入した際のローンを法人に移すために、債務引き受け契約か、金銭消費貸借契約を締結します。
太陽光発電設備の減価償却費の範囲内でローンを返済していくことで、法人税を節税できます。
STEP4:FIT・FIP事業計画認定の変更手続きを行う
個人から法人へ太陽光発電事業を譲渡する場合は、FIT・FIPの認定事業者も個人から法人へ変更する必要があります。事業譲渡による事業者変更は、原則として再生可能エネルギー電子申請から変更認定申請を行います。
手続きでは、先に設備の登録者を譲受側へ変更したうえで、譲渡契約書や双方の本人確認・法人確認書類、土地の権利関係を示す書類などを提出します。
設備や変更内容によって必要書類が異なり、説明会や事前周知措置が必要になる場合もあるため、最新の申請要件を確認して進めましょう。
STEP5:電力会社との売電契約の名義を変更する
FIT・FIPの認定事業者を法人へ変更したら、電力会社や買取事業者との契約についても名義変更を進めます。
FITの特定契約などは、変更認定通知書の写しや変更手続きが受理されたことを確認できる書類の提出を求められる場合があります。
必要な申込書や添付書類、手続きの順番は契約先によって異なるため、事前に電力会社へ確認しておくと安心です。
認定上の事業者だけを変更し、売電契約が個人名義のまま残ると、入金や会計処理で支障が出るおそれがあります。法人名義の振込口座への変更もあわせて確認しましょう。
STEP6:土地・保険・メンテナンス契約の名義を変更する
最後に、発電所に関係する土地や保険、メンテナンス契約なども法人名義へ切り替えます。土地を個人から法人へ売却する場合は所有権移転登記などが必要になり、個人所有の土地を法人へ貸す場合は賃貸借契約を結ぶ方法があります。
また、火災保険や動産総合保険、O&M契約、遠隔監視サービスなども、契約先へ法人化を伝えて名義変更や契約の引き直しが必要か確認しましょう。
設備に融資が残っている場合は、金融機関の承諾が必要になるケースもあります。関連契約を一覧にして、変更漏れがないよう順番に確認することが大切です。
個人から法人へ太陽光発電設備を移す際の注意点

個人名義の太陽光発電設備を法人へ移す際は、売却価格や税金、ローン、土地の扱いに注意が必要です。名義だけを変える感覚で進めず、税務と契約の両面を確認しましょう。
設備の売却価格は適正な時価に設定する
個人から自分が設立した法人へ太陽光発電設備を売却する場合でも、売却価格は自由に決めてよいわけではありません。著しく低い価格で法人へ資産を移すと、税務上は時価で譲渡したものとして扱われることがあります。
そのため、取得価格や減価償却後の帳簿価額だけで決めず、中古設備としての価値や残存耐用年数、発電実績などを踏まえて合理的な価格を設定することが大切です。
価格の根拠を説明できるよう、査定資料や計算過程も残しておくと安心でしょう。金額が大きい場合は、売買契約を結ぶ前に税理士へ確認することをおすすめします。
設備売却によって所得税や消費税が発生する場合がある
個人が事業用の太陽光発電設備を法人へ売却すると、売却による所得に対して所得税がかかる場合があります。また、個人側が消費税の課税事業者であれば、事業に使っていた機械や設備の売却は原則として消費税の課税対象です。
反対に、免税事業者であれば通常は消費税の納税義務は生じません。設備と土地をまとめて移す場合も、土地の譲渡は消費税が非課税である一方、設備部分は課税対象になり得るため、金額を分けて考える必要があります。
法人化の手続きだけでなく、売却時にどの税金が発生するかも事前に試算しておきましょう。
ローンは金融機関の承諾なしに引き継げない
太陽光発電設備のローンが残っている場合、設備を法人へ移したからといって借入まで自動的に法人へ移るわけではありません。債務者を個人から法人へ変更するには、原則として金融機関の承諾が必要です。
無断で設備を売却したり名義を変更したりすると、融資契約の内容によっては契約違反となるおそれがあります。
金融機関から法人への債務引受が認められない場合は、個人が借入を残したまま法人へ資金を貸し付けるなど、別の方法を検討するケースもあります。
設備の売買契約を結ぶ前に、現在の融資先へ法人化する予定を伝え、必要な手続きを確認しましょう。
土地を個人名義のまま法人に貸す方法もある
太陽光発電所の土地は、設備と一緒に法人へ売却せず、個人名義のまま残して法人へ貸す方法もあります。この方法なら、土地の所有権移転登記や売却に伴う手続きを避けながら、法人が発電事業で土地を使用できます。
ただし、個人と法人は別の主体なので、賃貸借契約書を作成し、賃料や契約期間などを明確にしておくことが大切です。
受け取った賃料は、個人側で原則として不動産所得として申告します。賃料を不自然に高くしたり低くしたりすると税務上の問題につながる可能性があるため、周辺相場などを参考に合理的な金額を設定しましょう。
法人が利用できる太陽光発電の補助金・税制優遇

法人が太陽光発電設備を導入する際は、補助金や税制優遇を利用できる場合があります。制度ごとに対象設備や申請時期が異なるため、導入前に最新の要件を確認しましょう。
自家消費型太陽光発電に利用できる補助金
法人が工場や店舗、事業所などに自家消費型太陽光発電を導入する場合、国や自治体の補助金を利用できることがあります。2026年度は、環境省が自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入を支援する事業を実施しています。
対象経費や補助率、公募期間は制度によって異なり、申請前に契約や工事を始めると対象外になる場合もあるため注意が必要です。
また、FIT・FIPによる売電を主目的とした設備では対象にならない制度もあります。設備を導入する地域の自治体独自の補助金が用意されていることもあるので、国の制度とあわせて確認しましょう。
中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制は、一定の中小企業者が経営力向上計画の認定を受け、対象設備を取得した場合に税負担を軽減できる制度です。
要件を満たせば、即時償却または取得価額の10%の税額控除を選べますが、資本金3,000万円超の法人は税額控除率が7%となります。太陽光発電設備も、用途や設備要件によって対象となる場合があります。
ただし、全量売電用か自家消費を含む設備かによって確認先や必要書類が異なることがあります。2026年度末までが適用期限とされているため、利用する場合は設備取得前に証明書や計画認定の手続きを確認しましょう。
中小企業投資促進税制
中小企業投資促進税制は、一定の中小企業者が対象となる機械装置などを取得し、指定事業で使用した場合に利用できる制度です。要件を満たすと、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除を選択できます。
ただし、税額控除を利用できる法人には資本金などの条件があります。太陽光発電設備でも、設備の種類や事業内容によって対象になる可能性がありますが、すべての発電設備が自動的に適用されるわけではありません。
中小企業経営強化税制など他制度との重複適用に制限がある場合もあるため、設備購入前に税理士や税務署へ適用可否を確認しましょう。
太陽光発電の法人化に関するよくある質問

太陽光発電の法人化では、年収の目安や会社員の副業、節税効果などで迷う方も少なくありません。最後に、法人化を検討するときによくある疑問をまとめます。
太陽光発電を法人化したほうがよい年収はいくらですか?
法人化を検討する際は、年収ではなく課税所得を基準に考えるのがおすすめです。ひとつの目安として課税所得700万円前後が挙げられますが、700万円を超えたら必ず法人化したほうが得になるわけではありません。
法人化すると法人税だけでなく、法人住民税や社会保険料、税理士報酬などの負担も増える可能性があります。
また、会社員として給与所得がある場合は、太陽光発電以外の所得も含めて判断する必要があります。現在の税負担と法人化後の年間コストを比較し、手取りがどの程度変わるかを試算したうえで決めましょう。
会社員でも太陽光発電事業を法人化できますか?
会社員でも会社を設立し、太陽光発電事業を法人で運営することは可能です。ただし、勤務先が副業を禁止している場合や、許可制としている場合は就業規則に違反するおそれがあります。
そのため、法人設立前に勤務先の副業ルールを確認しておきましょう。また、法人を設立すると登記情報が公開されるほか、役員報酬を受け取る場合は社会保険や住民税の扱いにも影響する可能性があります。
会社員だから法人化できないわけではありませんが、税金だけでなく勤務先との関係や事務負担も含めて検討することが大切です。
太陽光発電事業を法人化すると必ず節税できますか?
太陽光発電事業を法人化しても、必ず節税できるとは限りません。課税所得が大きい場合は、個人の累進課税と法人税の違いや役員報酬の活用によって税負担を抑えられる可能性があります。
一方で、法人化すると法人住民税の均等割や社会保険料、税理士報酬などの固定費が増えます。所得が少ない場合は、節税できる金額より法人の維持費のほうが大きくなり、結果として手取りが減るケースもあるでしょう。
法人化のメリットだけを見るのではなく、税金と維持費を含めた年間負担を比較して判断することが重要です。
法人化してから個人名義の設備を売却できますか?
法人を設立した後に、個人名義の太陽光発電設備を法人へ売却することは可能です。実務では、法人設立後に個人と法人の間で売買契約を結び、設備代金や支払条件を定めたうえで所有権を移します。
ただし、売却価格は適正な時価を基準に設定し、個人側では売却による所得税や消費税が発生しないか確認する必要があります。
また、設備にローンが残っている場合は、金融機関の承諾なしに名義や債務を変更できないケースがあります。FIT・FIP認定や売電契約の変更も必要になるため、設備だけを移して手続きが完了するわけではありません。
太陽光発電投資は法人化すれば儲かりますか?
法人化しただけで太陽光発電投資の利益が増えるわけではありません。法人化は税金や資金管理の方法を変える手段であり、発電量や売電単価そのものを高くする制度ではないためです。
実際の収益性は、設備の取得費用や借入金利、発電量、売電単価、メンテナンス費用などによって決まります。
法人化によって税負担を抑えられたとしても、発電所自体の採算が悪ければ十分な利益は残りません。まずは各発電所のキャッシュフローを確認し、そのうえで法人化によって税引き後の利益が改善するかを比較しましょう。
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個人投資からもう一歩進みたいと感じたら、まずは一度話を聞いてみてはいかがでしょうか?
まとめ
太陽光パネルを使用した太陽発電は、今後さらに拡大するといわれている事業です。地球温暖化への対策である再生可能エネルギーの重要性・関心度、資源に費用がかからないメリットなどにより、将来性のある事業といわれています。
そのため、太陽光発電の法人化を検討している人も少なくありませんが、法人化を進める前に、法人化のメリット・デメリットをしっかりと把握することが大事です。
個人事業主が法人化へ移行するタイミングはいつ頃がベストなのか、しっかりと理解する必要があります。
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