太陽光発電での収入はインボイス制度の対象?個人の売電収入に影響はある?

  • 公開日:2026.08.22
  • 更新日:2026.08.22
thumbnail

インボイス制度に関する詳細や太陽光発電との関係性、また太陽光発電事業者が受ける影響やとるべき対応について詳しく解説していきます。

2023年10月から始まったインボイス制度ですが、インボイス制度の影響で売電収入が減ることはありません。

ただし、太陽光発電設備を購入した年に消費税の還付を受けるためには、原則としてインボイス(適格請求書)発行事業者として登録が必要です。

この記事の概要

・太陽光発電のインボイス登録はすべての人に必要ではなく、一般家庭や免税事業者は原則として登録不要です。
・インボイス登録をしなくても売電はできますが、FIP・非FITでの売電や発電所の売却では取引条件に影響する場合があります。
・太陽光発電設備の購入時に消費税還付を受ける場合は、課税事業者になることやインボイス登録などの手続き・条件を確認する必要があります。

\節税したいけど、自分に合った方法がわからない、、/
専門家に相談する

【結論】太陽光発電のインボイス登録はケースによって異なる

太陽光発電で売電収入を得ていても、すべての人がインボイス登録をする必要はありません。

消費税の課税・免税の状況や、個人・法人などの立場によって対応が異なるため、自分がどのケースに当てはまるか確認しましょう。

一般家庭・個人事業主・法人別の登録要否早見表

太陽光発電のインボイス登録が必要かどうかは、売電している人の立場だけでは決まりません。特に重要なのは、消費税の課税事業者か免税事業者かという点です。

一般家庭で余剰電力を売電している場合や、消費税を申告・納付していない免税事業者は、基本的に登録する必要はありません。

一方、課税事業者で取引先からインボイスへの対応を求められる場合などは、登録を検討する必要があります。まずは以下の表で、自分の状況を確認してみましょう。

区分 インボイス登録の考え方
一般家庭 原則不要
免税事業者の個人 原則不要
課税事業者の個人 任意だが登録が必要になるケースあり
免税事業者の法人 原則不要
課税事業者の法人 任意だが取引状況に応じて検討

個人の免税事業者はインボイス登録不要

消費税を払う必要がない「免税事業者」であれば、インボイスの登録は不要です。

免税事業者はそもそもインボイスに登録する必要がありません。太陽光発電事業を行っている場合も同様で、適格請求書発行事業者になることは必須条件ではありません。

今までと同様に消費税を含めた金額が調達価格となります。

(参考:資源エネルギー庁「インボイス制度関連」)

課税事業者はインボイス登録をする必要がある

消費税を払う必要がある「課税事業者」は、太陽光発電の売電収入に関わらずインボイスの登録をする必要があります。

FIT認定を受けている発電事業者が課税事業者である場合、インボイス制度が開始するまでに適格請求書発行事業者となることは必須となっています。

2022年12月には、FITの新規認定を受ける際にも「インボイス発行事業者として登録を行うこと」が認定要件であると示されました。

課税事業者も登録自体は任意だが必要になるケースがある

消費税の課税事業者だからといって、自動的に適格請求書発行事業者になるわけではありません。インボイスを発行するには、税務署へ登録申請を行い、適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があります。

登録そのものは事業者の任意ですが、売電先などの取引相手が仕入税額控除を受けるためにインボイスを必要とする場合は、登録を求められることがあります。

特にFIT制度で売電している課税事業者は、登録後に買取義務者へ登録番号を報告する必要があるため、案内を確認して対応しましょう。

家庭用太陽光発電は原則としてインボイス登録不要

太陽光発電の売電自体は消費税の課税対象外であるため、インボイス制度の登録は必要ありません。実際にほとんどの一般家庭では消費税の納税義務がなく、インボイス登録をしていないとされています。

しかし、売上が1,000万円を超えている・事業性が高いと判断されるケースでは課税対象となることがあるため注意しましょう。

そもそもインボイス制度とは

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を適切に行うための制度です。太陽光発電の売電にも関係するため、まずは制度の基本的な仕組みを押さえておきましょう。

消費税と仕入税額控除の仕組み

消費税の仕入税額控除は、課税事業者が納税する消費税を計算するとき、仕入れでかかった消費税を売上にかかる消費税から差し引いて計算することにより、消費税の二重課税を解消させられる制度です。

インボイス制度導入後は、仕入税額控除を適用するために「適格請求書」の発行と保存が必要になりました。

課税事業者と免税事業者の違い

消費税の納税義務の有無は、事業者の課税売上高などによって異なります。原則として、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合は課税事業者となり、1,000万円以下の場合は免税事業者として消費税の納税義務が免除されます。

・基準期間の課税売上高が1,000万円超:原則として課税事業者
・基準期間の課税売上高が1,000万円以下:原則として免税事業者

なお、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合や、適格請求書発行事業者として登録している場合などは、課税事業者となることがあります。

なぜかというと、免税事業者から発行される従来の請求書では「仕入税額控除」が適用できなくなるからです。適格請求書を発行できない免税事業者との取引においては仕入額に対する税額控除が適用できないため、必然的に買い手の税負担が増えてしまうのです。

この「税負担が増加すること」は買い手側にとって単純にデメリットであるため、免税事業者との取引を敬遠する動きが強まる可能性が高いです。

結果的に、消費税分の単価を下げられたことで売上が下がったり、「今後は免税事業者との取引を避けたい」という理由で取引が停止される可能性もゼロではありません。

そのような事態を避けたいなら、売上が少ない個人事業主などの免税事業者であっても適格請求書発行事業者になるための申請を行い、買い手が仕入税額控除を適用できるように準備を整えておく必要があるのです。

ただし登録により「消費税の課税義務」も発生するため、免税事業者は負担が増えることになります。

適格請求書発行事業者とは

適格請求書発行事業者とは、税務署に申請し、インボイスを発行できる事業者として登録を受けた個人事業主や法人などを指します。

登録すると登録番号が通知され、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトにも所定の情報が掲載されます。インボイスには、登録番号や取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額、消費税額などを記載する必要があります。

また、登録後は取引先から求められた場合にインボイスを交付するなどの義務が生じます。免税事業者が登録すると原則として消費税の申告・納税が必要になるため、登録前に負担も確認しておきましょう。

FIT制度と消費税の関係

FIT価格は10%の消費税が含まれた価格です。

FIT制度とは、再生可能エネルギーに分類される太陽光発電等により作られた電気を、特定の期間中は電力会社が高額で買い取ることを保証してくれるしくみです。

太陽光発電はパネルの設置等で多額の初期コストが発生しますが、このFIT制度によって家庭や事業者はリスクヘッジが可能となっています。

現在の制度では、売り手が課税事業者・免税事業者どちらでも、電力を買い取る電力会社による仕入税額控除が可能となっています。

ただしインボイス制度が開始されると、電力会社が仕入税額控除を行うためには売り手が適格請求書発行事業者に登録する必要があります。

特にFIT制度で売電している課税事業者は、登録後に買取義務者へ登録番号を報告する必要があるため、案内を確認して対応しましょう。

\ 今の発電所、いくらで売れる?無料で調べてみる /
売却相談をする(無料)

太陽光発電でインボイス登録が必要になるケース

太陽光発電の売電をしていても、インボイス登録が一律に義務付けられるわけではありません。ただし、課税事業者になった場合や取引先との関係によっては、登録を検討する必要があります。

基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合

太陽光発電の売電を事業として行っている場合、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると、原則として消費税の課税事業者になります。個人事業主の基準期間は原則として前々年、法人は前々事業年度です。

そのため、今年の売電収入が1,000万円を超えたからといって、その年から直ちに課税事業者になるとは限りません。

また、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合などは、基準期間が基準以下でも課税事業者になることがあります。

課税事業者となったうえで取引先にインボイスを交付する必要がある場合は、適格請求書発行事業者への登録を検討しましょう。

個人事業主が課税事業者を選択している場合

課税売上高が1,000万円以下でも、消費税課税事業者選択届出書を提出すれば、自ら課税事業者を選択できます。

太陽光発電では、設備の購入や工事で多額の消費税を支払うため、仕入税額控除や還付を目的に課税事業者を選ぶケースがあります。

ただし、課税事業者になっただけではインボイスを発行できません。取引先から適格請求書を求められる場合は、別途インボイス登録が必要です。

また、一度課税事業者を選択すると原則としてすぐには免税事業者へ戻れないため、将来の売電収入や設備投資も踏まえて慎重に判断しましょう。

法人が課税事業者として太陽光発電による売電を行っている場合

法人が太陽光発電による売電を行っていても、法人であることだけを理由にインボイス登録が義務になるわけではありません。基準期間の課税売上高が1,000万円以下の法人は、一定の例外を除き免税事業者となる場合があります。

一方、課税事業者の法人が電力会社などとの取引で適格請求書の発行を求められる場合は、登録を検討する必要があります。

なお、新設法人でも資本金が1,000万円以上である場合などは、基準期間がなくても消費税の納税義務が生じることがあります。法人化しただけで判断せず、自社の課税区分を確認することが大切です。

FIT・FIP認定に伴い登録番号の報告が必要な場合

FIT制度で売電する課税事業者がインボイス登録を行った場合は、登録番号を取引先の買取義務者へ報告する必要があります。報告方法は電力会社などの買取義務者によって異なるため、案内や専用ページを確認しましょう。

一方、免税事業者はインボイス登録への対応は不要とされており、登録していないことだけを理由にFITの買取価格が変更されることもありません。

FIPやFIT以外の取引では、契約や売電先によって対応が異なる可能性があります。認定制度だけで登録要否を決めず、消費税の課税区分と取引条件をあわせて確認することが重要です。

消費税還付を受けるため課税事業者になる場合

太陽光発電設備を新たに購入すると、本体代や工事費などに多額の消費税が含まれることがあります。

課税事業者が一般課税で申告し、売上にかかる消費税より仕入れにかかる消費税が大きくなるなど一定の条件を満たせば、消費税の還付を受けられる場合があります。

そのため、設備投資のタイミングで課税事業者を選択するケースもあります。

ただし、課税事業者を選ぶこととインボイス登録は別の手続きです。また、高額な設備を取得した場合は一定期間、免税事業者へ戻れないなどの制限が生じることもあるため、還付額だけで判断しないようにしましょう。

太陽光発電でインボイス登録をしないとどうなる?

インボイス未登録でも売電自体ができなくなるわけではありません。ただし、売電方法や取引相手によっては、相手側の仕入税額控除や取引条件に影響する可能性があります。

FIT売電の買取価格は原則として変わらない

FIT制度で売電している免税事業者は、インボイス登録をしていなくても、原則として現在の買取価格が変更されることはありません。

資源エネルギー庁も、消費税を申告・納付していない免税事業者については、インボイス登録への対応は不要と案内しています。

そのため、一般家庭や小規模な個人事業主が、FIT価格を維持するためだけに課税事業者となって登録する必要は基本的にありません。

ただし、ほかの事業によって課税事業者に該当する場合や、今後課税事業者になる予定がある場合は扱いが変わるため、自身の消費税の状況も確認しましょう。

FIP・非FITでは取引条件を見直される可能性がある

FIP制度や非FITでの売電は、FITの固定価格による買取とは取引の仕組みが異なります。

売電先が課税事業者の場合、売り手がインボイスを発行できないと、買い手側が仕入税額控除を十分に受けられず、実質的な税負担が増えることがあります。

その結果、契約更新時などに価格や手数料などの取引条件について協議を求められる可能性があります。

ただし、インボイス未登録を理由とした一方的な値下げが常に認められるわけではありません。FIPや相対契約で売電する場合は、登録要否だけでなく、売電先との契約内容や消費税の扱いも確認しておきましょう。

発電所売却時に消費税相当額の値引きを求められる可能性がある

太陽光発電所を事業者へ売却する場合、売り手がインボイス未登録だと、買い手が設備部分の取得にかかる消費税について仕入税額控除を十分に受けられないことがあります。

買い手の税負担が増えるため、価格交渉の中で消費税相当額などを考慮した値下げを求められる可能性はあります。

ただし、値引きが法律上自動的に発生するわけではなく、実際の条件は売買契約や買い手の課税区分などによって異なります。

また、土地の譲渡は原則として消費税の非課税取引です。発電所を売却する際は、設備と土地の価格区分についても確認しましょう。

適格請求書を発行できず取引先が仕入税額控除を受けられない

インボイス登録をしていない事業者は、適格請求書を発行できません。

売電先などの買い手が課税事業者で一般課税を採用している場合、原則として適格請求書などの保存が仕入税額控除の要件となるため、取引先の税負担に影響する可能性があります。

ただし、免税事業者などからの課税仕入れには経過措置があり、一定期間は仕入税額相当額の一部を控除できます。

また、簡易課税制度を利用する事業者など、取引先がインボイスを必要としない場合もあります。未登録による影響は相手の消費税の申告方法によっても変わると理解しておきましょう。

\ 今の発電所、いくらで売れる?無料で調べてみる /
売却相談をする(無料)

インボイス制度の経過措置による太陽光発電への影響

インボイス未登録事業者との取引には、買い手側の負担を段階的に増やす経過措置があります。2026年度の改正で控除割合と期間が変更されているため、最新のスケジュールを確認しておきましょう。

2026年9月までは仕入税額の80%を控除できる

インボイス未登録事業者からの課税仕入れには、買い手側が仕入税額相当額の一部を控除できる経過措置が設けられています。

2026年9月30日までは80%、2026年10月1日から2028年9月30日までは70%を控除できます。

2026年10月から2028年9月までは70%に縮小される

2026年10月1日から2028年9月30日までは、免税事業者などインボイスを発行できない相手からの課税仕入れについて、仕入税額相当額の70%を控除できる経過措置となります。

従来予定されていた50%ではなく、2026年度の改正を反映した現在の割合は70%です。

買い手側が控除できる金額は80%の期間より少なくなるため、インボイス未登録の発電事業者との取引コストが徐々に大きくなる可能性があります。

売電事業者は登録による消費税負担と、未登録を続けた場合の取引への影響を比較したうえで判断することが大切です。

2028年10月から2030年9月までは50%に縮小される

2028年10月1日から2030年9月30日までは、インボイス未登録事業者などからの課税仕入れについて、仕入税額相当額の50%を控除できます。

70%の期間からさらに控除割合が下がるため、買い手側にとっては未登録事業者との取引による消費税負担が大きくなります。

太陽光発電の売電でも、FIT以外の相対取引や発電所の売買などでは、取引条件の見直しにつながる可能性があるでしょう。

インボイス登録をするか迷っている事業者は、目先の納税額だけでなく、数年後の取引環境まで見据えて検討することが重要です。

2030年10月から2031年9月までは30%になり、その後は原則控除できない

2030年10月1日から2031年9月30日までは、経過措置による仕入税額控除の割合が30%まで縮小されます。

その後は、原則としてインボイス未登録事業者からの課税仕入れについて仕入税額控除ができなくなるため、買い手側の税負担はさらに大きくなります。

太陽光発電事業者が未登録を続ける場合、売電先や発電所の買い手から取引条件の見直しを求められる可能性も考えられます。

ただし、FITの免税事業者についてはインボイス未登録だけで買取価格が変更されるわけではありません。取引形態ごとに影響を分けて考えましょう。

太陽光発電でインボイス制度を利用するメリット

太陽光発電でインボイス制度を利用する際のメリットを解説します。

太陽光発電設備を購入する際消費税還付を受けられる

太陽光発電を購入する際、課税事業者は消費税還付を受けられます。

免税事業者の場合でも、事前に「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署に提出すれば、課税事業者となり消費税還付を受け取ることが可能です。

ただし、一度課税事業者になると最低3年間消費税を納める必要があります。4年目以降に免税事業者に戻りたい場合は自分で手続きしなければなりません。

年間収入が1,000万円以下の太陽光発電事業者は、免税事業者に戻った方が消費税の納付が免除されるのでメリットが大きいです。

手続きを忘れてしまうと課税事業者のままになってしまい、消費税の支払いが発生してしまうので注意してください。

関連記事:太陽光発電投資での消費税還付は知らないと損!手続きの流れや仕組みを解説

電力会社や取引先が仕入税額控除を受けられる

インボイス登録をすると、要件を満たした適格請求書を発行できるようになります。

電力会社や発電所の買い手などが一般課税で消費税を申告している場合、適格請求書などを保存することで、原則として取引にかかる消費税の仕入税額控除を受けられます。

売り手が未登録の場合は、経過措置を除いて控除できる金額が制限されるため、買い手の税負担が増えることがあります。

その点、登録済みであれば取引先の消費税処理に影響を与えにくく、法人や事業者との売電・売買を進めるうえで取引条件を整えやすいでしょう。

ただし、相手が簡易課税を利用している場合など、インボイスの有無が仕入税額控除に影響しないケースもあります。

発電所売却時の取引条件に影響しにくい

太陽光発電所を事業者へ売却する場合、インボイス登録済みであれば、買い手は要件を満たす適格請求書の保存によって設備部分にかかる消費税を仕入税額控除しやすくなります。

未登録の売り手から購入すると、買い手が控除できる金額が経過措置により制限され、将来的には原則として控除できなくなるため、価格交渉で不利になる可能性があります。

登録しておけば、こうした消費税上の理由による値下げや条件変更を求められるリスクを抑えやすいでしょう。

ただし、売買価格や条件は設備の収益性、残存FIT期間、土地の権利関係などにも左右されるため、インボイス登録だけで有利な条件が保証されるわけではありません。

\ 今の発電所、いくらで売れる?無料で調べてみる /
売却相談をする(無料)

太陽光発電でインボイス制度を利用するデメリット

続いてインボイス制度利用の際のデメリットも見ていきましょう。

消費税を支払う必要がある

課税売上高が1000万円以下の個人事業主は消費税が免除になるので、インボイスに登録するメリットがありません。課税売上高が1000万円を超える事業者が自宅の太陽光発電の余剰電力を売却した場合も、電気販売の売上に消費税がかからないという利点があります。

しかし、インボイス制度を利用する場合、消費税の申告や納付をしなければならなくなるため、場合によりコストが高くなるデメリットが生じます。

インボイス発行事業者の登録に手間がかかる

インボイス発行事業者になる場合には登録をしなければなりませんが、インボイス発行事業者として登録されるまでの期間は、e-Taxなら1ヶ月、書面では1ヶ月半前後です。

登録処理が目安の期間を超えている場合にはインボイス登録センターで進捗状況を確認できないという難点もあります。

インボイス発行事業者の登録時には手間も時間もかかるということを配慮しておきましょう。

原則として一定期間は免税事業者に戻れない

免税事業者がインボイス発行事業者として登録すると、登録を取りやめても直ちに免税事業者へ戻れるとは限りません。

一定の経過措置を利用して登録した場合は、原則として登録開始日から2年を経過する日の属する課税期間まで、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも消費税の納税義務が免除されないケースがあります。

また、一般課税で1,000万円以上の高額特定資産を取得した場合は、原則として一定期間、事業者免税点制度を利用できません。

太陽光発電設備は金額が大きくなりやすいため、設備購入時の消費税還付だけで判断せず、登録後に何年間課税事業者となるかまで確認しておくことが重要です。

太陽光発電で消費税還付を受ける際の注意点

太陽光発電設備は購入時の支出が大きいため、条件を満たせば消費税の還付を受けられる場合があります。ただし、課税事業者になる時期や計算方法によって結果が変わるため、設備購入前に確認しておきましょう。

消費税還付を受けるには課税事業者になる必要がある

消費税の還付を受けるには、原則として消費税の課税事業者である必要があります。

太陽光発電設備の購入や設置工事で支払った消費税が、売電収入などで預かった消費税を上回る場合、一般課税で申告すれば差額が還付されることがあります。

免税事業者は消費税の申告・納付義務がないため、設備購入時に消費税を負担しても原則として還付を受けられません。

課税売上高が1,000万円以下でも、課税事業者を選択したりインボイス登録をしたりすることで課税事業者になることは可能です。

ただし、その後の売電収入にも消費税の申告・納付が必要になるため、還付額だけで判断しないようにしましょう。

原則課税と簡易課税では仕入税額の計算方法が異なる

消費税の計算方法には、実際の課税仕入れに含まれる消費税額をもとに計算する一般課税と、売上にかかる消費税額に一定のみなし仕入率を掛けて仕入税額を求める簡易課税があります。

太陽光発電設備の購入時に支払った消費税の還付を受けたい場合、実際の仕入税額を計算に反映できる一般課税を選ぶことが基本です。

簡易課税では設備の購入額に含まれる消費税をそのまま控除する仕組みではないため、多額の設備投資をしても原則としてその支出を理由とした還付は受けられません。

設備購入の予定がある場合は、どちらの計算方法が有利か事前に比較しましょう。

届出書には提出期限がある

消費税の課税方法を変更するための届出書には提出期限があります。たとえば、消費税課税事業者選択届出書は、原則として課税事業者になろうとする課税期間の初日の前日までに提出する必要があります。

消費税簡易課税制度選択届出書も、原則として適用を受けたい課税期間の初日の前日までが期限です。ただし、新たに事業を始めた場合やインボイス制度の経過措置を利用する場合など、特例が適用されるケースもあります。

太陽光発電設備の購入後に手続きしようとしても希望する課税期間に間に合わない可能性があるため、設備を契約する前に提出期限を確認しておきましょう。

還付額だけでなく将来の消費税負担も比較する

太陽光発電設備は高額になりやすいため、課税事業者となって一般課税で申告すると、購入した年に消費税の還付を受けられる場合があります。

ただし、還付を受けた後も売電収入などに対する消費税の申告・納付が続くケースがあり、高額特定資産を取得した場合には一定期間、免税事業者に戻ることや簡易課税を選ぶことが制限される場合もあります。

そのため、購入時に戻ってくる金額だけを見て課税事業者を選択するのはおすすめできません。今後の売電収入、保有期間、設備の売却予定なども含め、数年間の消費税負担を試算して判断しましょう。

\ 今の発電所、いくらで売れる?無料で調べてみる /
売却相談をする(無料)

太陽光発電でインボイス登録をする方法

インボイス登録は、登録申請書を提出して登録番号の通知を受けた後、必要に応じて売電先へ番号を報告する流れで進めます。登録後は消費税の申告・納付も必要になるため、手続き全体を把握しておきましょう。

適格請求書発行事業者の登録申請書を提出する

インボイスを発行するには、適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があります。登録を希望する事業者は、納税地を所轄する税務署長へ適格請求書発行事業者の登録申請書を提出します。

申請は書面で郵送できるほか、e-TaxソフトのWEB版からオンラインで手続きすることも可能です。免税事業者が登録を受けると、原則として登録日から消費税の課税事業者となり、消費税の申告・納付が必要になります。

そのため、太陽光発電の売電先から登録を求められた場合でも、納税額や事務負担を確認してから申請することが大切です。

税務署から登録番号の通知を受ける

登録申請後は税務署で審査が行われ、適格請求書発行事業者として登録されると登録番号が通知されます。

登録番号は、法人の場合は法人番号の先頭に「T」を付けた番号となり、個人事業主などには「T」から始まる13桁の数字が付与されます。

登録通知は書面または電子データで受け取ることができ、e-Taxで電子通知を希望した場合はe-Tax上で確認できます。

登録番号はインボイスへの記載や売電先への報告で必要になるため、通知を受けたら内容を確認し、大切に管理しましょう。登録情報は国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトでも確認できます。

電力会社や買取事業者へ登録番号を報告する

FIT制度で売電している課税事業者がインボイス登録を受けた場合は、取引先である買取義務者へ登録番号を報告する必要があります。

資源エネルギー庁も、買取義務者が仕入税額控除に必要な情報を把握できるよう、登録番号をあらかじめ報告するよう案内しています。

具体的な手続き方法は電力会社などの買取義務者によって異なるため、各社のWebサイトや案内を確認しましょう。

なお、免税事業者はインボイス登録への対応が不要とされており、FITで売電しているすべての人に登録番号の報告が必要なわけではありません。自身の課税区分を確認したうえで対応することが大切です。

消費税の申告・納付を行う

インボイス発行事業者として登録されている課税期間は、原則として消費税の確定申告と納付が必要です。

申告では、売電収入などで預かった消費税額から、一般課税であれば仕入れや経費に含まれる控除対象の消費税額を差し引くなどして納付税額を計算します。

還付となる場合は、消費税の還付申告に関する明細書など必要書類の提出も求められます。個人事業者と法人では申告・納付期限が異なるため、期限を事前に確認しておきましょう。

インボイス登録後は、売電の入金管理だけでなく、請求書や領収書などの保存も含めて消費税申告に備えることが重要です。

​インボイス制度と太陽光発電に関するFAQ

最後に、太陽光発電発電事業者から寄せられやすいインボイス制度による影響への質問について回答していきます。

インボイス制度への登録は義務ですか?

インボイス制度への登録は、すべての太陽光発電事業者に義務付けられているわけではありません。適格請求書発行事業者への登録は任意であり、免税事業者や一般家庭が必ず登録しなければならない制度ではありません。

一方、課税事業者が電力会社や発電所の買い手などからインボイスの交付を求められる場合は、取引上の必要性から登録を検討することがあります。

なお、登録すると原則として消費税の申告・納付が必要です。売電先との契約条件や自身の課税区分を確認したうえで、登録するか判断しましょう。

太陽光発電でインボイス登録をしないとどうなりますか?

インボイス登録をしなくても、太陽光発電による売電が直ちにできなくなるわけではありません。

FITで売電する免税事業者については、インボイス未登録だけを理由に現在の買取価格が変更されるものではないと資源エネルギー庁が案内しています。

ただし、FIPや非FITの相対取引、発電所売却などでは、買い手が仕入税額控除を受けにくくなることで取引条件に影響する可能性があります。

未登録のままにする場合は、売電先や売却先がインボイスを必要としているかを確認しておくと安心です。

太陽光発電の適格請求書発行事業者とは何ですか?

太陽光発電における適格請求書発行事業者とは、税務署へ登録申請を行い、インボイスを発行できる事業者として登録を受けた個人事業主や法人などを指します。

登録後は登録番号が付与され、取引先から求められた場合には、必要事項を記載した適格請求書を交付する義務があります。

また、原則として消費税の課税事業者となり、消費税の申告・納付も必要です。太陽光発電では、課税事業者がFITで売電している場合などに、登録番号を電力会社や買取義務者へ報告する対応が求められます。

インボイス制度によって電気が売れなくなる?

インボイス制度が開始しても、大手電力会社や新電力に電気が売れなくなることはありません。FIT制度の変更はなく、卒FIT後の売電にも変更はありません。免税事業者の方は、インボイス登録も不要です。

ただし、課税事業者の方はインボイスの登録を行う必要があります。

インボイス制度によって電気の売上は減る?

FIT制度で売電する免税事業者は、インボイス未登録を理由に買取価格が変更されることはありません。

ただし、FIPや非FITなどでは取引条件に影響する可能性があります。詳しくは「太陽光発電でインボイス登録をしないとどうなる?」で解説しています。

太陽光発電投資をしていてもインボイスを発行しなくて大丈夫?

売り上げ1千万円以下の小規模事業者や個人事業主の場合、免税事業者のままでいても大丈夫です。

課税事業者である取引先との機会を損失したくない場合には、適格請求書事業者手続きをおこなった方が良いでしょう。

しかし、1千万円以上の売り上げがない場合、登録を行わず免税事業者のままでいた方が、消費税納税の義務が発生しないというメリットがあります。

一般家庭でもインボイス登録が必要ですか?

一般家庭が自宅に設置した太陽光発電設備から生じる余剰電力を売却しているだけであれば、原則としてインボイス登録は必要ありません。

国税庁は、事業者ではない会社員などが生活用に設置した設備から生じた余剰電力の売却について、消費税の課税対象にならないとしています。

そのため、住宅用太陽光で余った電気を電力会社へ売っているだけなら、通常は適格請求書発行事業者になる必要はありません。

ただし、別に事業を営んでいて売電がその事業の一部となる場合などは扱いが変わるため、個別に確認しましょう。

法人の売電収入には消費税がかかりますか?

法人が事業として太陽光発電による電力を販売する場合、その売電収入は原則として消費税の課税売上に該当します。ただし、法人だから必ず消費税を納付するとは限りません。

基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、ほかの要件にも該当しない場合は免税事業者となることがあります。

一方、課税事業者に該当する法人や自ら課税事業者を選択した法人は、売電収入にかかる消費税を含めて申告・納付する必要があります。

新設法人は資本金などによって扱いが変わる場合もあるため、設立時から課税区分を確認しておきましょう。

太陽光発電では簡易課税を選択できますか?

太陽光発電事業でも、一定の要件を満たせば簡易課税制度を選択できます。簡易課税は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が、所定の届出をした場合に利用できる制度です。

実際の仕入税額を集計するのではなく、売上にかかる消費税額に事業区分ごとのみなし仕入率を掛けて仕入税額控除を計算します。

そのため、太陽光発電設備を購入した年に多額の消費税を支払っていても、その実額をそのまま控除する仕組みではありません。設備投資による還付を見込む場合は、一般課税との比較が必要です。

\ 今の発電所、いくらで売れる?無料で調べてみる /
売却相談をする(無料)

まとめ

インボイス制度によって消費税の取扱が変わっています。課税事業者の場合は、インボイス発行事業者の登録手続きを行い、売電先の電力会社に登録番号の報告が必要です。

しかし、課税売上高が1千万円以下の免税事業者や、家庭用太陽光発電で売電を行っている個人では、インボイス発行事業者の登録は不要です。登録しないことで、売電収入が減ることはありません。

ただし、免税事業者が太陽光発電設備を売却する際、消費税分の割引を交渉される可能性はあります。

また、太陽光発電設備を購入する際に、消費税還付を受けたい場合は、インボイス発行事業者の登録を行い、課税事業者になる必要があります。

太陽光発電を取り巻く環境は日々変化しています。安定した収入が得られるメリットがある一方で、保険料の値上げや出力制御の増加など、場合によっては不安に感じる場合もあるでしょう。

太陽光発電設備の売却を考えるなら、投資用太陽光発電設備の売却実績No.1の「SOLSEL(ソルセル)」にご相談ください。相談料・仲介手数料は無料なので、まずは物件の現在の価値だけでも確認してみるのがおすすめです。

今なら期間限定で売却金額アップキャンペーンも実施しています。

監修者コメント

インボイス制度の導入による影響は、太陽光発電事業に関わらず不確定要素が大きいです。

しかし、少なからず取引高に影響を与える可能性はあります。

そのため、事前にインボイス制度をよく理解しておき、今後の意思決定のために準備をしておくことが大切です。

免税事業者の方は取引先にコンタクトを取り、今後の予定や希望を聞き出しておくのも良いかもしれません。

監修者:藤沼 寛夫

太陽光発電 インボイス制度

公認会計士・税理士
アカウントエージェント株式会社 代表取締役
藤沼会計事務所 代表社員

前職では再生可能エネルギーに係るプロジェクトファイナンスの財務アドバイザリー業務に従事。現在は会計・税務に関する幅広いアドバイザリーサービスを提供している。

公式HP:https://a-agent.co.jp

当記事の監修者
馬橋聖生

馬橋 聖生(Mabashi Sei)
SOLSEL Unit マネージャー

【専門分野・領域】
・太陽光発電所の売買契約およびコンプライアンス実務
・プロダクトの全体マネジメント

【経歴】
2022年にSOLSELへ参画。
参画後はわずか1年半でユニットマネージャーに昇格。
現在はマネージャーとして、案件全体の統括から契約実務までを幅広く担当。
投資家にとって最も安全で収益性の高い資産運用モデルの構築を徹底している。

【メディア掲載・登壇実績】
2025.08.29:Forbes Japan 掲載(掲載記事)

【編集・監修ポリシー】
当メディアでは、太陽光発電投資や節税対策を検討される投資家の皆様へ、実務に即した正確な情報提供を徹底しています。
自社で太陽光関連事業を多角的に展開しているからこそ、シミュレーション上の収益性だけでなく、投資判断に不可欠なリスクや前提条件を明示。
実数値に基づいた「持続可能な資産運用と確実な出口戦略」をお届けすることを約束します。

執筆者

no_image

ikebukuro

SNSでシェアする

「太陽光投資の運用」
でおすすめの記事

無料ダウンロード
節税の仕組みと、
いまの太陽光投資。はじめる前に読む1冊。
制度が変わり、太陽光投資の「正解」も変わりました。
最新のルールを前提に、基礎から解説します。
太陽光投資スターターガイド
節税の仕組みを図解でやさしく
アップデートされた太陽光の最新ルール
利回り・融資・出口の基礎知識
はじめる前に知っておきたい注意点
あと4項目の入力だけ。
ご登録後、すぐにガイドをお受け取りいただけます。
お名前をご入力ください
メールアドレスの形式をご確認ください
電話番号の形式をご確認ください
送信をもってプライバシーポリシーに同意したものとみなします。ご入力内容をもとに担当者よりご連絡を差し上げる場合があります。
✓
ダウンロードを受け付けました
ご登録のメールアドレス宛に
ガイドをお送りしました。
数分経っても届かない場合は
迷惑メールフォルダをご確認ください。
\ 簡単30秒 /
\ 簡単30秒 /
\ 簡単30秒 /
\ 簡単30秒 /