法人企業が太陽光発電を導入するメリット・デメリットとは?補助金や法人税節税について解説
- 公開日:2026.06.27
- 更新日:2026.06.27
法人企業が太陽光発電を導入するメリットとデメリットを詳しく解説します。法人が太陽光発電を導入することには、故障したときに対応できる業者が多い・設置場所の制約が比較的に少ないなどのメリットがあります。
近年、環境問題やSDGsなど、未来に向けた活動に注目を集めています。中でも、太陽光発電を使って電気を再生可能エネルギーで作り出し、環境を壊さずに生活できる仕組み作りを導入する法人も増えてきました。
法人が実際に導入する際に知っておくべき注意点も解説していくので、是非参考にしてください。
・法人が太陽光発電を導入する主なメリットは、電気代削減・節税対策・企業イメージ向上です。
・法人の太陽光発電は、自社所有・PPA・屋根貸し・リースなどの導入方式によって、初期費用や節税効果が変わります。
・太陽光発電を導入する際は、補助金や税制優遇だけでなく、売電単価の低下・維持費・投資回収年数まで確認することが大切です。
目次
- 1 法人企業も注目!太陽光発電とは
- 2 法人企業が再生可能エネルギーを導入する際「太陽光」を選ぶメリット
- 3 法人企業が太陽光発電を導入するメリット
- 4 法人の太陽光発電 導入方式の比較(自社所有/PPA/屋根貸し/リース)
- 5 法人の太陽光発電 売電方式の選び方(全量売電 vs 余剰売電)
- 6 法人の太陽光発電による節税の仕組み
- 7 法人企業が太陽光発電所を購入する際の注意点・デメリット
- 8 法人の太陽光発電 費用相場と投資回収年数
- 9 法人企業が太陽光発電を導入する際に使える補助金
- 10 法人の太陽光発電と確定申告・税務処理
- 11 FIT満了後の選択肢と出口戦略
- 12 法人企業で太陽光発電の導入を検討している方はまず無料個別商談を!
- 13 法人の太陽光発電に関するよくある質問
- 14 まとめ
法人企業も注目!太陽光発電とは

太陽光発電とは、太陽の光を利用して電気を作る発電方法です。屋外に太陽電池をたくさん集めたソーラーパネルを利用して、電気を作ります。
電力を蓄える一般的な電池ではなく、太陽光エネルギーを電力に変換する発電機のことです。太陽光発電で作られた電気は、蓄電池などがないと貯めておくことができません。
そのため、実際に太陽光発電で作られた電気だけで1日分の使用電力量を100%カバーはできないでしょう。ただし、電力会社に売電することで収入が得られるので、夜間分の電気代の一部を補うことは可能です。
法人企業が再生可能エネルギーを導入する際「太陽光」を選ぶメリット

他の再生可能エネルギーと比較した場合、太陽光発電には他の発電方法よりもメリットが多いです。
ここからは、太陽光発電を導入するメリットを紹介します。
太陽光発電のメリットは以下になります。
- 他の再生可能エネルギーと比べて導入コストが安い
- 故障したときに対応できる業者が多い
- 設置場所の制約が比較的に少ない
それぞれ詳しく解説していくので、是非参考にしてください。
他の再生可能エネルギーと比べて導入コストが安い
| 発電方法 | 設置コスト (1kWあたり) |
| 太陽光 | 約23万円 |
| 風力 | 約30万円 |
| バイオマス | 約100万円 |
| 水力 | 約200万円 |
太陽光発電は他の再生エネルギーと比べても、導入コストが低いことがメリットに挙げられます。
そのため、比較的導入へのハードルは低いのではないでしょうか。
導入コストが低いため国内で最も普及している再生可能エネルギー発電設備となっています。
その需要の高さから、、太陽光発電に関する機器の製造コストがどんどん下がっています。
他の再生可能エネルギー設備と比べて初期コストを抑えられるのは、大きなメリットでしょう。
故障したときにトラブル対応できる業者が多い
太陽光発電は屋外に設置するため、故障やトラブルが発生する恐れがあります。
その場合は、対処できる専門業者に依頼しなければいけません。
太陽光発電は普及度の高さから、専門業者もどんどん増えています。
そのため、緊急事態でもすぐにトラブル対処できる専門業者が多いことはメリットになります。
また、太陽光パネル自体は単純な構造になっているため、故障のリスク自体が低いこともメリットとして挙げられます。
設置場所の制約が比較的に少ない
太陽光発電日光が当たりやすい場所であれば発電できるため、法人の建物屋上や屋根、空き地など、設置場所はさまざまです。
そのため、設置するために新たに土地を用意する必要もないため、導入ハードルがかなり低いでしょう。
現存している建物の規模や形状に応じて、自由度の高い配置や施工ができる点も大きな魅力として挙げられるでしょう。
法人企業が太陽光発電を導入するメリット

法人企業が太陽光発電を購入するメリットは以下になります。
- 企業イメージの向上
- 収益アップ・電気代の節約
- 減価償却・節税対策となる
- 「初期投資支援スキーム」で費用を早期回収できる
- カーボンニュートラル実現に貢献できる
それぞれ詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
企業イメージの向上
太陽光発電を導入することで、SDGsへ積極的に取り組んでいる企業として、世間からのイメージが向上します。
最近では、世界的にSDGsや脱炭素社会への取り組みが注目されています。
事業などで使われるエネルギーを太陽光発電で賄うことで、SDGsへ積極的に取り組んでいる姿勢を見せられるでしょう。
政府はSDGsの理念に基づき、地方創生に取り組む企業に対して、さまざまな金融支援を行うことを名言しています。
また、地方銀行を中心にSDGsに折り組む企業や法人に対しての融資プランなどを提供できるケースや、ESG投資の対象となり効果的な資金調達に繋がる可能性もあります。
収益アップ・電気代の節約
法人企業が太陽光発電を導入することで、収益アップや電気代の節約が期待できます。
収益アップ
自社で使いきれなかった電気は、売電して収入を得ることができます。
10kW以上の産業用太陽光発電設備の場合、固定価格買取制度の認定(FIT認定)を受けると、20年間相場より高い固定価格で売電が可能です。
太陽光発電による発電量が日中の消費電力量を大きく上回って余る場合は、自家消費と同時に売電を行うことで経済的メリットも高まるでしょう。
電気代の節約
最近は燃料費の高騰から電気代が値上がりしているため、売電するよりも法人で自家消費して電気代を節約する方がメリットが大きいです。
2024年度の売電価格(FIT価格)は、産業用太陽光発電の場合9.2~12円です。対して東京電力の従量電灯の電力量料金は30~40.69円となっています。発電した電気を自社で使って、電力会社から買う電気を減らした方がお得です。
自社で発電した電気なら、燃料費高騰や再生可能エネルギー促進賦課金の値上げなどの影響を受けません。
一緒に蓄電池を導入すれば、昼間の余った電気を蓄電しておいて、太陽光発電ができない夜間に使用できるので、より効率よく太陽光発電由来の電気を自家消費することができます。
減価償却・節税対策となる
法人企業が太陽光発電設備を導入するメリットとして、節税対策や優遇節税を受けられることが挙げられます。
企業や法人が太陽光発電設備を導入する場合、設備投資の一環として、以下の税制優遇措置を受けられる可能性があります。
- 中小企業経営強化税制
- 中小企業投資促進税制
そのため、資金力が乏しい中小企業にとっては、ランニングコストを抑えながらも事業の成長につながるメリットがあるでしょう。
また、節税効果だけでなく、金融支援を受けられるメリットもあります。
法人がSDGsに積極的に取り組むことで、政府は地方再生に取り組む企業に対して、法人向けの融資プランを提供しています。
そのため、有利な条件で資金調達の期待もできます。
関連記事:太陽光発電でも使える中小企業経営強化税制で即時償却もできる!申請方法や条件を解説
「初期投資支援スキーム」で費用を早期回収できる

初期投資支援スキームの最大のメリットは、導入から数年間で初期費用を回収しやすい設計になっている点です。従来のFITでは単価が年々下がっており、投資回収まで10年以上かかるケースも多くみられました。
しかし本スキームでは、導入初期の4年間に24円/kWhという高単価が適用されるため、売電収入が一気に増え、実質的な回収期間が大幅に短縮されます。また、日中の電力使用量が少ない家庭ほど売電量が増えるため、特に共働き世帯や日中不在の家庭ではメリットが大きくなります。
4年間の高単価期間でできるだけ多くの電力を売電し、5年目以降は蓄電池の併用で自家消費を高めることで、光熱費削減と投資回収の両面に優れた運用が可能になります。
太陽光の収益性を引き上げる、新しい制度ならではのメリットといえるでしょう。
カーボンニュートラルに貢献できる

出典:環境省
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量を減らしたり、排出した二酸化炭素を吸収・回収したりして、二酸化炭素排出量をプラマイゼロにすることです。
自家消費型太陽光発電を設置すれば、自社で二酸化炭素排出量ゼロの電気を使用することができます。
蓄電池を設置して、昼間に余った電気を蓄電し、日没後に使用するようにすれば、さらに太陽光発電由来の電気を効率よく使えます。
カーボンニュートラルへの貢献は、法人のCSR活動としてアピールすることも可能です。
法人の太陽光発電 導入方式の比較(自社所有/PPA/屋根貸し/リース)

ここでは、法人の太陽光発電 導入方式の比較をします。
自社所有(自己投資)型
自社所有型は、企業が太陽光発電設備を購入し、自社の屋根や敷地に設置する方法です。初期費用は大きくなりますが、発電した電気を自社で使えるため、電気代削減効果を得やすい点がメリットです。
設備は自社の資産になるため、減価償却による法人税の節税効果も期待できます。売電を行う場合は、FITやFIPの認定条件、余剰売電の扱いなどを確認する必要があります。
一方で、保守点検、修繕、保険、固定資産税などの管理負担は自社にかかります。長く使う前提で、電気使用量が多く、投資回収まで見通せる企業に向いているでしょう。
オンサイトPPAモデル
オンサイトPPAモデルは、PPA事業者が企業の屋根や敷地に太陽光発電設備を設置し、企業が発電した電気を購入する方法です。設備費や工事費を事業者が負担するため、初期費用を抑えて再生可能エネルギーを導入しやすい点が魅力です。
設備の所有権は原則としてPPA事業者にあり、保守管理も事業者が行うケースが多いです。そのため、自社で設備を持たずに電気代削減やCO2排出量削減を進めたい企業に向いています。
ただし、契約期間が長くなりやすく、途中解約や電力単価の条件には注意が必要です。節税効果は自社所有型より限定的になるでしょう。
屋根貸しモデル
屋根貸しモデルは、企業が保有する工場や倉庫などの屋根を発電事業者に貸し、賃料収入を得る方法です。太陽光発電設備の設置費用や管理費用は基本的に事業者が負担するため、自社の初期費用をかけずに空きスペースを活用できます。
設備の所有権や売電収入は事業者側にあることが多く、自社で発電した電気を使えるとは限りません。
そのため、電気代削減よりも、遊休スペースの活用や賃料収入を重視する企業に向いています。契約前には、屋根の修繕時の対応、雨漏りや設備撤去の責任、契約期間中の建物売却への影響を確認しましょう。
リース
リースは、リース会社が太陽光発電設備を購入し、企業が毎月リース料を支払って利用する方法です。自社で一括購入するより初期費用を抑えやすく、毎月の支払いが一定になりやすいため、資金計画を立てやすい点がメリットです。
発電した電気は自社で使えるため、電気代削減も見込めます。リース料は契約内容に応じて経費処理できる場合がありますが、会計・税務上の扱いは契約形態によって変わります。
自社所有ほど大きな減価償却メリットは得にくい一方、PPAより自由度が高いケースもあります。導入前に総支払額や中途解約条件を確認しましょう。
導入方式の比較表(初期費用・所有権・節税効果・FIT適用)
| 導入方式 | 初期費用 | 設備の所有権 | 節税効果 | FIT適用の考え方 |
|---|---|---|---|---|
| 自社所有型 | 高い | 自社 | 減価償却による節税効果を見込みやすい | 自社が認定を受ける場合がある |
| オンサイトPPA | 低い | PPA事業者 | 自社の減価償却効果は基本的にない | 事業者側の契約条件による |
| 屋根貸し | 低い | 発電事業者 | 設備による節税効果は基本的にない | 発電事業者側が関係する |
| リース | 中程度 | リース会社または契約内容による | リース料を経費化できる場合がある | 契約内容や事業スキームによる |
導入方式を選ぶときは、初期費用の安さだけで決めないことが大切です。電気代を大きく下げたいなら自社所有型やリース、初期費用を抑えたいならPPA、屋根スペースを収益化したいなら屋根貸しが候補になります。
法人税の節税効果を重視する場合は、自社の資産として持てるかどうかが重要です。
ただし、FITの適用可否や税務処理は設備規模、売電方法、契約内容によって変わります。導入前には、施工会社だけでなく税理士や電力契約に詳しい専門家にも確認しましょう。
法人の太陽光発電 売電方式の選び方(全量売電 vs 余剰売電)

法人の太陽光発電 売電方式の選び方について解説します。
全量売電と余剰売電の違い
全量売電とは、太陽光発電でつくった電気を自社で使わず、すべて電力会社などに売る方式です。売電収入を得やすい一方で、電気代の削減にはつながりにくい特徴があります。
余剰売電は、発電した電気をまず自社で使い、余った分だけを売る方式です。工場や店舗、オフィスなどで昼間の電力使用量が多い法人では、余剰売電のほうが電気代削減効果を得やすいでしょう。
現在は売電単価が以前より下がっているため、売るより使うことを重視する考え方が広がっています。導入時は、売電収入だけでなく、自家消費による電気代削減額も含めて判断しましょう。
10kW以上50kW未満が余剰売電に変更された経緯
10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電は、以前は全量売電を目的に導入されるケースも多くありました。
しかし、FIT制度による売電収入を目的とした小規模発電所が増えたことで、地域で電気を使うという再生可能エネルギー本来の役割が課題になりました。
そのため、2020年度以降の10kW以上50kW未満の事業用太陽光では、自家消費型の地域活用要件が設けられています。
現在の新規認定では、発電した電気を一定割合以上自家消費することや、災害時に活用できることなどが求められます。法人が新たに導入する場合は、売電専用ではなく、自社で使う前提で計画しましょう。
FIT買取単価の最新動向(2024年16円・2025年15円・卒FIT 6~10円)
FITの買取単価は、太陽光発電設備の普及や設置費用の低下にあわせて、長期的に下がってきました。たとえば、10kW未満の太陽光では2024年度が16円/kWh、2025年4月から9月が15円/kWhとなっています。
ただし、法人で多い10kW以上の設備では区分が異なり、10kW以上50kW未満は2025年度に10円/kWh、2026年度は9.9円/kWhが目安です。
FIT期間が終わった卒FIT後は、電力会社との個別契約になり、6~10円/kWh前後で買い取られるケースもあります。売電単価だけに頼るより、自家消費で電気代を減らす視点が重要です。
法人にとってどちらが有利か(自家消費比率で判断)
法人が全量売電と余剰売電を選ぶときは、自家消費比率で判断するのが現実的です。昼間に電気を多く使う工場、倉庫、店舗、介護施設、学校などでは、発電した電気を自社で使いやすいため、余剰売電が向いています。
購入電力を減らせれば、売電収入より大きなメリットになる場合もあります。一方で、休日が多い施設や昼間の電力使用量が少ない建物では、発電した電気を使い切れず、余剰分が多くなる可能性があります。
その場合は、蓄電池の併用や設備容量の調整も検討しましょう。法人では、売電単価よりも自社でどれだけ電気を使えるかを重視すると失敗しにくいです。
法人の太陽光発電による節税の仕組み

法人の太陽光発電による節税の仕組みについて詳しく解説します。
法人にかかる税金(法人税・固定資産税・償却資産税)
法人が太陽光発電を導入すると、主に法人税、固定資産税、償却資産税を意識する必要があります。法人税は、売電収入や電気代削減によって増えた利益に対してかかる税金です。
一方で、設備の減価償却費やメンテナンス費などを経費にできれば、課税所得を抑えられる場合があります。固定資産税は土地や建物にかかる税金で、太陽光発電設備は償却資産として申告が必要になることがあります。
特に自社所有で設備を持つ場合は、導入後の税負担まで含めて収支を確認しましょう。
減価償却の方法(定額法・定率法)
太陽光発電設備を購入した場合、設置費用をその年にまとめて経費にするのではなく、法定耐用年数に応じて分けて経費計上します。この仕組みが減価償却です。
定額法は、毎年ほぼ同じ金額を経費にする方法で、収支の見通しを立てやすい点が特徴です。定率法は、初年度ほど大きく償却し、年数が経つほど償却額が少なくなる方法です。早めに経費を多く計上したい場合に向いています。
ただし、選べる方法は資産の種類や届出状況によって変わるため、導入前に税理士へ確認しましょう。
税額控除を受けられるケース
法人が太陽光発電設備を導入する場合、一定の条件を満たすと税額控除を受けられることがあります。
たとえば、中小企業経営強化税制などでは、認定を受けた経営力向上計画に基づいて対象設備を取得し、事業用に使う場合に、特別償却または税額控除を選べるケースがあります。
税額控除は、経費を増やすのではなく、法人税額から一定額を差し引ける制度です。ただし、すべての太陽光発電設備が対象になるわけではありません。設備の用途、取得時期、事業内容、認定の有無を事前に確認しましょう。
設備設置費の経費計上
太陽光発電の設備設置費には、パネル本体、パワーコンディショナー、架台、配線工事、設置工事費などが含まれます。これらは基本的に固定資産として扱い、減価償却によって毎年少しずつ経費にしていきます。
メンテナンス費、保険料、点検費、草刈り費用などの運用費は、その内容に応じて毎期の経費にできる場合があります。
ただし、修理に見えても設備の価値を高める工事は資本的支出として扱われることがあります。導入費用と運用費用を分けて管理しておくと、税務処理がしやすくなるでしょう。
消費税還付が受けられるケース
太陽光発電設備を導入すると、設備購入時に大きな消費税を支払うことがあります。法人が課税事業者で、売電収入などの課税売上がある場合は、支払った消費税が預かった消費税を上回ることで、消費税還付を受けられるケースがあります。
特に初期費用が大きい自社所有型では、資金繰りへの影響も含めて確認しておきたいポイントです。
ただし、免税事業者や簡易課税を選んでいる法人では、還付を受けられない場合があります。課税事業者の選択は後戻りしにくい面もあるため、導入前に税理士へ相談しましょう。
節税目的での導入に関する規制動向の注意
太陽光発電は、減価償却や税額控除によって節税につながる場合があります。ただし、節税だけを目的に導入すると、想定より収益が出なかったり、制度変更の影響を受けたりするリスクがあります。
近年は、売電中心の導入よりも、自家消費や地域での活用を重視する流れが強まっています。
低圧の事業用太陽光では、全量売電だけを前提にした計画が立てにくくなっている点にも注意が必要です。法人が導入する際は、税金対策だけでなく、電気代削減、脱炭素、BCP対策まで含めて検討しましょう。
法人企業が太陽光発電所を購入する際の注意点・デメリット

ここからは、法人企業が太陽光発電所を購入する際の注意点を解説していきます。
法人企業が太陽光発電所を購入する際の注意点は以下になります。
- 固定買取価格が低下している
- 出力制御の影響を受ける可能性がある
- 自然災害などで故障する可能性がある
それぞれ詳しく解説していくので、是非参考にしてください。
出力制御の影響を受ける可能性がある
出力制御とは、電力需給のバランスを保つために、一般送配電事業者が発電所から電力系統への出力を抑制することです。需給バランスが崩れてしまうと、電力設備の故障や大規模停電に繋がる可能性があります。
太陽光発電設備の場合、東京・中部・関西電力管内では50kW以上、北海道・東北・北陸・中国・四国・九州・沖縄電力管内では全ての容量が、出力制御の対象です。
出力制御されてしまうと、その間は売電をすることができないため、売電収入が減ってしまいます。
太陽光発電に出力制御が発生する優先順位は低くなっています。しかし、春や秋は太陽光発電の発電量が増え、空調設備を使わず電力需要が少ないため、出力制御がされる可能性もあります。
関連記事:太陽光発電の出力制御(出力抑制)とは?対象地域と今後の見通し・対策を解説
全国展開しているような大手の設置業者の場合、万が一のことが起きても迅速に対応してもらえるでしょう。
天候や時間帯によっては発電効率が低下する

太陽光発電は、天候や時間帯によって発電効率が低下するデメリットがあります。
太陽光発電所は、当然ながら日光が出ている日中の時間帯に発電できます。
そのため、晴れの日の発電量を100%とすると、曇りの日は40%、雨の日は10%程度にまで発電量が低下します。さらに、夜間には全く発電しません。
太陽光パネルのみでは安定的な電力供給を実現することは難しいため、蓄電池などと組み合わせることが一般的でしょう。
導入費用やランニングコストが掛かる
太陽光発電を導入するためには、少なからず導入費用やランニングコストがかかってきます。
2024年に設置された10kW以上の産業用太陽光発電設備の場合、22.6万円/kW(中央値は21.5万円/kW)の設置コストがかかっています。(参考:資源エネルギー庁)
特に、法人の大規模な工場や商業施設などでの導入の場合は、太陽光発電設備も大規模です。その分設備投資に掛かる導入費用も高くなっていきますが、1kWあたりのコストは安くなっていきます。
また、太陽光発電設備を設置した後も、定期的にメンテナンスを行わなければいけません。産業用太陽光発電の維持費は、年間で平均0.53万円/kWとなっています。(参考:資源エネルギー庁)
2017年からはFIT法が改正されており、50kW以上の太陽光発電設備の場合は定期的な点検の実施やメンテナンスの実施が義務化されています。
他にも太陽光パネルは屋外に設置するため、破損や故障のリスクも考えられます。
最近では台風やゲリラ豪雨、地震、津波など自然災害が増えてきています。例えば、法人で自然災害時に使える保険に加入したり、自然災害に耐えられるためにしっかりとした地盤に設置したりなど、リスク削減はできるでしょう。
屋根自体に負荷がかかる
企業や工場の屋根にパネルを設置する場合、太陽光パネルの重さで屋根へ負荷がかかることが挙げられます。
太陽光パネルは1枚あたりの重量が15〜20kg前後のものが多いです。
そのため、1平方メートル換算の場合、13〜17kg程度の荷重が屋根に掛かるでしょう。
太陽光パネルを地上で設置する場合は問題ありません。しかし、屋根や屋上へ太陽光パネルを設置して施工不良があった場合、負荷が原因で屋根の破損や雨漏りの発生など、さまざまなリスクが発生する可能性があります。
反射光によるトラブルの可能性がある
太陽光パネルを設置した場合、反射光が原因で周辺の住民と法人のトラブルになる可能性があります。
太陽光パネルの設置場所や角度、太陽の位置などさまざまなタイミングが合ってしまうと強烈な反射光が発生して、周辺の建物や住民とのトラブルの原因になります。
周辺に民家やビルが無いような土地だったり、ビルの屋上などに設置する場合は、反射光が原因でトラブルに発展する可能性は低いでしょう。
しかし、法人の工場や社屋の屋根に設置する場合は、さまざまなケースをシュミレーションしたり、仮設置などを行ったり、なるべく反射光の影響が出ないようにしなければいけません。
知識・技量不足の業者に当たる可能性がある
太陽光発電の設置やメンテナンスを依頼する際に、知識・技量不足の業者に当たる可能性もあります。
太陽光発電設備は、個人・法人関係なく多くの ユーザーから注目を集めており、設置工事やメンテナンスを請け負う事業者もどんどん増えてきています。
提示されている条件が妥当であるかも分かりづらいため、複数の業者から見積りを取ることをオススメします。
見積もりでは、作業料金の内訳や契約条件などを比較して、信頼できるか検討することが重要です。
法人の太陽光発電 費用相場と投資回収年数

法人の太陽光発電における費用相場と投資回収年数について詳しく解説します。
規模別の導入費用相場(50kW・100kW・250kW)
法人向け太陽光発電の導入費用は、設置場所や工事内容によって変わりますが、屋根設置の事業用太陽光では1kWあたり20万円前後を目安にすると考えやすいです。
単純計算では、50kWで約1,000万円、100kWで約2,000万円、250kWで約5,000万円が目安になります。
実際には、パネルやパワーコンディショナーの費用だけでなく、架台、配線、電気工事、設計、申請費用もかかります。屋根の補強工事や高圧受電設備の改修が必要な場合は、追加費用が発生するため、複数社から見積もりを取りましょう。
| 設備容量 | 導入費用の目安 |
|---|---|
| 50kW | 約1,000万円 |
| 100kW | 約2,000万円 |
| 250kW | 約5,000万円 |
ランニングコスト(メンテ・保険・税金)
太陽光発電は設置して終わりではなく、運用中にもランニングコストがかかります。主な費用は、定期点検、パネル清掃、草刈り、パワーコンディショナーの交換、保険料、固定資産税や償却資産税などです。
屋根設置の場合は草刈り費用がかからない一方、屋根の修繕や防水工事との兼ね合いを確認する必要があります。
自然災害や火災、盗難に備える保険も検討しておくと安心です。収支を試算するときは、発電量や電気代削減額だけでなく、毎年の維持費を差し引いた手残りで判断しましょう。
投資回収年数の試算
投資回収年数は、導入費用を年間メリットで割って考えます。たとえば、100kWの太陽光発電を約2,000万円で導入し、年間10万kWhを発電するとします。
そのうち7割を自社で使い、電気代単価を30円/kWhとすると、自家消費による削減額は年間約210万円です。
余った3万kWhを10円/kWhで売電できれば、売電収入は約30万円になります。ここからメンテナンス費などを年間30万円差し引くと、年間メリットは約210万円です。この場合、投資回収年数は約10年が目安になります。
法人企業が太陽光発電を導入する際に使える補助金

法人が太陽光発電を導入する際には、使える補助金制度や税制優遇があります。
中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制は、中小企業が対象の設備を導入する際に、即時償却または税額控除のいずれかを選び適用できる制度です。
中小企業への再エネ導入をさらに促進するため、積極的な設備投資の支援を目的に期間が延長され、延長後の期間は2027年3月末までとなりました。
税額控除の場合であれば、対象の設備を導入する際に発生した費用の税額控除ができます。
資本金が3,000万円に満たない企業の場合では10%、資本金が3,000万円以上で1億円以下の企業の場合は、7%の控除が受けられます。控除の上限額は、その年度の法人税額と所得額に対し20%までです。
即時償却を選択した際には、対象設備を取得する金額を減価償却としてではなく、全額が経費計上可能なため、初年度に大きく節税できます。
参考:令和7年度(2025年度)経済産業関係税制改正について 経済産業省
関連記事:太陽光発電でも使える中小企業経営強化税制で即時償却もできる!申請方法や条件を解説
ストレージパリティ補助金
ストレージパリティには、それを対象とした「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)」という補助金制度があります。
ストレージパリティとは、太陽光発電システムにおいて蓄電池を併用することで経済的メリットを得られる状態です。
支給額は、太陽光発電および蓄電池の種類によって異なりますが、1kwを対象として支給されます。支給額は1kWにつき4万〜7万円です。
設備を対象とした補助金の上限額は、産業用95万円・家庭用40万円(どちらも1設備が対象)となっています。
補助金受給の条件は、以下の通りです。
- 自家消費型の太陽光発電および蓄電池を導入していること
- 太陽光発電の発電電力を系統に逆潮流しない(売電しない)
売電することはできませんが、蓄電池も一緒に導入することで夜間や災害時にも自家発電した電力を法人で使うことができ安心です。
参考:環境省HP「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」、ストレージパリティ補助金要項
関連記事:ストレージパリティとは?2025年の補助金制度や達成に向けた太陽光の動きについて解説
法人の太陽光発電と確定申告・税務処理

法人の太陽光発電と確定申告・税務処理を紹介します。
売電収入の所得区分・勘定科目
法人が太陽光発電で売電収入を得た場合、その収入は法人の益金として扱われます。個人のように事業所得、雑所得、不動産所得のどれに当たるかを細かく分けるよりも、法人の事業収益として会計処理するのが基本です。
勘定科目は、発電事業を主な事業として行う場合は売上高、通常の事業に付随して売電する場合は雑収入や営業外収益として処理するケースがあります。
あわせて、設備の減価償却費、メンテナンス費、保険料、固定資産税なども経費として整理します。継続して同じ方法で処理できるよう、導入時に税理士へ確認しておきましょう。
確定申告で必要な書類と手続き
法人が太陽光発電を導入した場合は、個人の確定申告ではなく、事業年度ごとに法人税申告を行います。
申告では、売電収入や電気代削減効果、設備にかかる減価償却費、保守費用、保険料、固定資産税などを帳簿に記録しておくことが大切です。
主に必要になる書類は、法人税申告書、決算書、勘定科目内訳明細書、減価償却資産の明細、消費税申告書などです。
償却資産税の対象になる設備を所有している場合は、市区町村への償却資産申告も必要になることがあります。契約書、請求書、売電明細、点検記録は保管しておきましょう。
法人と個人事業主の違い(出典:国税庁 質疑応答事例)
法人と個人事業主では、太陽光発電による売電収入の扱いが変わります。法人の場合、売電収入は会社の収益として法人税の計算に含めるのが基本です。
一方、個人の場合は、設備の使い方によって所得区分が変わります。国税庁の質疑応答事例では、給与所得者が自宅に設置した太陽光発電の余剰電力を売る場合は、一般に雑所得とされています。
事業者が店舗や事業所で使う電力を発電し、余った電気を売る場合は、事業所得の付随収入と考えられます。法人記事では、個人の雑所得の話と混同しないよう注意しましょう。
FIT満了後の選択肢と出口戦略

FIT満了後の選択肢と出口戦略について詳しく解説します。
卒FIT後の選択肢(継続売電・自家消費転換・売却・撤去)
FITの買取期間が終わると、これまでの固定価格では売電できなくなります。事業用太陽光のFIT期間は原則20年のため、満了前から次の運用方針を決めておくことが大切です。
主な選択肢は、電力会社や新電力と契約して継続売電する方法、自社で電気を使う自家消費へ切り替える方法、発電所として売却する方法、設備を撤去する方法です。
売電単価はFIT期間中より下がりやすいため、電気代削減につながる自家消費の価値も見直しましょう。設備の劣化、パワーコンディショナーの交換費、屋根や土地の契約期間も確認しておくと、判断しやすくなります。
売却を選ぶべきケース(中古太陽光市場の動向)
FIT満了前後に売却を選ぶべきなのは、今後のメンテナンス費が重くなる場合や、自社で発電した電気をあまり使えない場合です。
パワーコンディショナーの交換時期が近い、屋根や土地の契約更新が難しい、担当者を置けず管理負担が大きいといった企業も、売却を検討する価値があります。
中古太陽光市場では、FIT期間が残っている物件や発電実績が安定している物件は、投資対象として見られやすいです。
一方で、FIT満了後の物件は売電収入が下がるため、査定では設備状態や自家消費への転用しやすさが重視されます。高く売りたいなら、満了直前ではなく早めに査定を取りましょう。
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法人の太陽光発電に関するよくある質問

ここでは、法人の太陽光発電に関するよくある質問に回答します。
法人が太陽光発電を導入する初期費用はどれくらい?
法人向け太陽光発電の初期費用は、設備容量や設置場所によって変わります。
目安として、2025年に設置された事業用太陽光の屋根設置費用は、10kW以上の平均で20.8万円/kWとされています。単純計算では、50kWなら約1,040万円、100kWなら約2,080万円、250kWなら約5,200万円が目安です。
ただし、屋根の補強工事、電気工事、足場代、申請費用、蓄電池の有無によって総額は変わります。自社所有は初期費用が大きくなりやすい一方、PPAやリースを選ぶと初期負担を抑えやすいでしょう。
法人税の節税効果はどれくらい見込める?
法人税の節税効果は、設備価格、利益額、減価償却の方法、税率、使える税制によって変わります。太陽光発電設備を自社で所有する場合、取得費用を減価償却費として複数年に分けて経費計上できます。
その分、課税所得を抑えられる可能性があります。ただし、節税額は設備費用がそのまま戻るわけではありません。
たとえば、減価償却費が年間300万円あり、実効税率を30%と仮定すると、税負担の軽減は約90万円が目安です。中小企業向けの税額控除を使える場合もありますが、対象設備や認定条件を事前に確認しましょう。
PPAと自社所有はどちらが法人に向いている?
PPAは、初期費用を抑えて太陽光発電を導入したい法人に向いています。設備はPPA事業者が所有し、企業は発電した電気を購入するため、設置費用や保守管理の負担を軽くしやすいです。
一方、自社所有は初期費用がかかりますが、発電した電気を自社で使えるうえ、設備を資産として持てます。
減価償却による節税効果や、長期的な電気代削減を重視する企業には自社所有が合うでしょう。短期的な資金負担を避けたいならPPA、投資回収や税務メリットまで取りたいなら自社所有を検討しましょう。
全量売電と余剰売電の確認方法は?
全量売電か余剰売電かを確認するには、まずFIT認定通知書、電力会社との接続契約書、売電契約書、検針票や売電明細を確認しましょう。全量売電は、発電した電気をすべて売る方式です。
余剰売電は、自社で使ったあとに余った電気だけを売ります。現在の低圧事業用太陽光では、自家消費を前提にした地域活用要件が設けられているため、新規導入では余剰売電型になるケースが多いです。
過去に認定を受けた設備では全量売電のケースもあるため、導入年度や認定区分も確認しましょう。不明な場合は、施工会社や電力会社に問い合わせると安心です。
まとめ
本記事では、法人企業が太陽光発電を導入するメリット・デメリットを紹介していきました。最近ではSDGsの取り組みにも注目が集まっているため、導入することで企業イメージのアップができます。
また、電気代の節約や収益アップの期待もできるでしょう。その他にも、節税効果や補助金制度を受けられるというメリットもあります。
法人企業で太陽光発電を導入する場合は、メリット・デメリットをしっかりと理解して、太陽光発電設備を導入するか決めましょう。

