中古太陽光発電所の購入で失敗しない方法は?メリット・デメリット・節税計算まで完全解説
- 公開日:2026.04.30
- 更新日:2026.05.18
太陽光発電の新規導入を検討されている方に知ってほしいのが「中古購入」です。
「太陽光発電の新規導入=新品購入」というイメージを持たれる方が多いですが、中古設備の売買も活発に行われています。
2012〜2015年に認定を受けた高単価FIT物件※が中古市場に流通している今、中古で太陽光投資を始めることは有力な選択肢のひとつとなっています。
ほかにも、中古太陽光投資ならではの隠れたメリットも多く存在します。
本記事では、中古太陽光投資についてのメリット・デメリットや節税計算、投資の判断基準などを幅広く解説していきます。
※1kWhあたり27円〜40円程度の高い売電価格が20年間固定で適用される物件。
この記事でわかること
・中古太陽光発電投資のメリット4つとデメリット3つ、新築との違い
・中古資産の簡便法で耐用年数を短縮し、減価償却で節税する具体的な計算方法
・残存FIT年数別の収益シミュレーションと、購入時の手続き・見落としやすい費用
目次
中古太陽光発電投資とは?新築と異なる3つのポイント
太陽光発電所の中古購入では、FITの権利・売電単価などがそのまま引き継がれます。よって、新築とは異なるメリット、デメリットをもつ投資となっています。
中古車や中古住宅を購入するイメージに近いですが、大きく異なるのは「FIT(固定価格買取制度)の権利がセットで移転する」という点です。
まずは、中古太陽光発電投資が新築とどのように異なるのか、3つの重要なポイントから整理していきましょう。
売電単価・買取期間がセットで移転する
中古太陽光発電所を購入すると、前所有者が持っていたFITの権利が、そのまま新所有者に引き継がれます。これが中古投資の最大の特徴です。
FIT(Feed-in Tariff/固定価格買取制度)とは、2012年7月にスタートした「再生可能エネルギーで発電した電気を国が定めた単価で一定期間(10kW以上の事業用太陽光は20年間)、電力会社が買い取ることを義務付けた制度」です。
中古太陽光発電所では、この「買取単価」と「買取期間」が認定を受けた年度の条件で固定されるという点が大きな特長になっています。
たとえば、2013年度に認定を受けた太陽光発電所であれば、20年間ずっと36円/kWh(税抜)で売電できます。この物件を2026年に中古で購入したとしましょう。
この場合、新しい所有者にもこの条件が引き継がれ、期間満了まで同条件で発電した電気を買い取ってもらえます。
一方、2026年度のFIT単価は、おおよそ10円/kWhでしか売電できないため、単価の差は非常に大きいです。
ここで、中古太陽光発電所の購入時に何が引き継がれて何が変わるのか、整理してみます。
▼引き継がれるもの
- 売電単価(認定年度の単価)
- 残りの買取期間
- 事業計画認定ID(発電所を特定する番号)
- 電力会社との接続契約
▼新所有者に変わるもの
- 認定事業者の名義
- 売電収入の振込先口座
- 廃棄費用積立金の積立主体
- メンテナンスや保守点検の責任主体

売主の売却理由の大半は「節税完了」か「資金回収」
太陽光発電設備の売却理由の大半は、減価償却による節税メリットを活用し終えたタイミングでの売却など、税制面での前向きな事情が中心です。
太陽光発電が中古で売りに出されているのを見ると、「太陽光投資が上手くいかなかったのではないか?」、「設備に何か不具合があったのではないか?」と身構える方が多いかと思いますが、実務面ではこういった理由での売却はあまり見かけません。
▼おもな太陽光発電設備の売却理由
- 減価償却による節税メリットが一巡した←最多
- 投下資本を早期回収したい
- 相続・事業承継に伴う整理
- 複数物件保有者のポートフォリオ見直し
- 取得から5年超で譲渡所得が半減するタイミングを狙った売却
総務省の調査では、FIT認定を受けた10kW以上の事業用太陽光は約73.5万件存在します。母集団が大きい分、前向きな理由での売却物件が常に市場に出続けているのが実態です。
■参考:総務省行政評価局|太陽光発電設備等の導入に関する調査結果報告書(令和6年3月)P.2
中古太陽光投資の4つのメリット
中古太陽光発電には、高単価FITの継承・融資のしやすさ・即収入化・短期減価償却の4点の中古独自の強みがあります。
住宅などでは中古による時間経過がマイナスと見られることも多くありますが、太陽光発電では、時間の経過が必ずしもデメリットになるとは限りません。
2012〜2015年のFIT物件は年間売電収入が新築の2倍以上
中古太陽光投資の最大の魅力は、高単価FIT時代の物件をそのまま引き継ぐことができる点にあります。同じ発電量でも、認定年度が違うだけで年間売電収入に倍以上の差が生まれます。
下記は資源エネルギー庁が公表しているFIT買取価格を表形式に加工したものです。
▼FIT買取価格の年度別推移(10kW以上・事業用)
| 認定年度 | 買取単価(税抜) |
|---|---|
| 2012年度 | 40円/kWh |
| 2013年度 | 36円/kWh |
| 2014年度 | 32円/kWh |
| 2015年度 | 29円/kWh(途中で27円へ引き下げ) |
| 2016年度 | 24円/kWh |
| 2017年度 | 21円/kWh |
| 2018年度 | 18円/kWh |
| 2019年度 | 14円/kWh |
| 2020年度 | 13円/kWh |
| 2021年度 | 12円/kWh |
単価差がどれだけの収入差を生むのか、同じ発電量の低圧50kW帯物件(年間発電量6万kWh想定)で比較してみましょう。
▼FIT認定年度ごとの年間売買収入差
| 認定年度 | 買取単価 | 年間発電収入 | 新築比 |
|---|---|---|---|
| 2013年度 | 36円/kWh | 216万円 | 約3.6倍 |
| 2015年度 | 27円/kWh | 162万円 | 約2.7倍 |
| 2018年度 | 18円/kWh | 108万円 | 約1.8倍 |
| 2026年度(新築・地上設置) | 9.9円/kWh | 59.4万円 | 1倍(基準) |
2013年度認定物件なら、新築の約3.6倍の売電収入が得られる計算になります。
仮に2026年に中古として購入し、残存FIT年数が7年あるとすれば、7年間の売電収入は約1,500万円に達します。新築で同じ規模を建てた場合の7年分(約416万円)と比べると、その差は約1,100万円。
これが、中古物件が「今なお魅力的」と言われる最大の理由です。
当然ながら、単価が高い物件ほど購入価格も高くなる傾向があります。2013年度認定のような高単価物件では、売主も残存年数や単価、発電量などを踏まえた強気の価格を設定するケースが一般的です。
重要なのは、表面利回りだけで判断するのではなく、「残存年数 × 単価 × 発電量 − ランニングコスト」をもとに、実質的な収益性を確認することです。
稼働実績があれば銀行融資の審査が通りやすい
あまり知られていませんが、太陽光発電所を中古で購入すると、新築と比べ融資審査の通過率が高くなる傾向にあります。
▼金融機関が融資で見ているポイント
- 個人の属性(年収・勤続年数・既存借入)
- 自己資金の割合
- 事業計画の実現可能性(物件の収益性)
このうち、中古物件が圧倒的に有利なのが「事業計画の実現可能性」です。
新築物件の場合、金融機関が見るのは推定値のみです。予測が外れるリスクを織り込むため、自己資金比率を高く要求したり、金利が高めに設定されがちです。
一方、中古物件であれば、実際に何年も稼働してきた実績データをそのまま利用できます。
発電量(月別・年別)、機器トラブル履歴、メンテナンス記録といった実際の数字があるため、金融機関も融資の判断を行いやすくなります。
地方銀行には、法人や個人事業主を対象とした「太陽光発電事業支援融資制度」が用意されていることがあります。こういった専用の融資制度の利用も検討してみてください。
▼各金融機関の目安金利
- 地方銀行・信用金庫:2%前後
- 信販会社(ソーラーローン):2~3%台
■参考:常陽銀行 | 太陽光発電事業支援融資制度「LALAサンシャイン」
新築は連系完了まで6〜18か月かかる
太陽光発電を新築で始める場合、申し込みから売電開始までに半年〜1年半もの期間がかかります。この「空白期間」が、新築投資の見えにくいコストとなっています。
▼新築と中古の収入開始までの期間比較
| 項目 | 新築 | 中古 |
|---|---|---|
| 事業計画認定 | 1~2ヶ月 | 不要 (変更認定のみ:約1ヶ月) |
| 電力会社との接続契約 | 2~3ヶ月 | 不要 (変更認定のみ:数週間) |
| 設備工事・設置 | 2~6ヶ月 | 不要 |
| 試運転 | 1~2ヶ月 | 不要 |
| 合計 (収入開始まで) | 6~18ヶ月 | 1~2ヶ月 |
特に注意したいのが、空白期間中も融資の金利は発生し続ける点です。
たとえば2,000万円を金利2%で借りた場合、1年間の金利負担は約40万円。売電収入ゼロの期間中、この40万円は自己資金から持ち出すことになります。
対する中古物件はすでに稼働している発電所を引き継ぎます。名義変更の手続きが完了すれば、最短1ヶ月程度で売電収入が自分の口座に入り始めます。
最初の返済から売電収入で賄える設計にできるため、キャッシュフローの安定性という点も中古独自のメリットです。
耐用年数が短くなる分、減価償却が早く終わる
事業用(売電目的)の太陽光発電設備の法定耐用年数は、17年と定められています。
Q.「法定耐用年数17年」の根拠は何ですか。
A.『減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四十年三月三十一日大蔵省令第十五号)』の中の、別表第二 機械及び装置の耐用年数表31番 電気業用設備 その他の設備 主として金属製のもの(17年)になります。
■引用:太陽光発電協会|よくあるご質問
中古太陽光発電所であれば、新築なら17年かけて償却する設備費用をより短い期間で償却できる可能性があります。
中古は「簡便法」で耐用年数を短縮できる
中古資産を購入した場合、国税庁が定める「簡便法」という計算式を使い、経過年数に応じて耐用年数を短縮できる仕組みがあります。
▼簡便法の計算式
中古資産の耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+(経過年数 × 20%)
※1年未満の端数は切り捨て、2年未満になる場合は最低2年
稼働から10年経過した中古太陽光発電所を購入した場合で計算してみましょう。
(17年 − 10年)+(10年 × 20%)= 7年 + 2年 = 9年
新築なら17年かかる償却が、中古なら9年で完了する計算です。その結果、年間の減価償却費は新築よりも大きくなり、節税効果も高くなる傾向があります。
法人・個人事業主の節税インパクト比較
2,000万円の中古物件(経過10年・耐用年数9年)を定額法で償却した場合、年間減価償却費は約222万円です。この金額は、課税所得の計算上、必要経費として計上できます。
▼節税額シミュレーション(1年あたり)
| 区分 | 税率 | 年間節税額の目安 |
|---|---|---|
| 個人事業主 (課税所得900万円超) | 所得税33%+住民税10%=43% | 約95万円 |
| 法人 (中小法人・所得800万円超) | 実効税率 約33% | 約73万円 |
| 個人事業主 (課税所得695万円超) | 所得税23%+住民税10%=33% | 約73万円 |
新築で17年かけて同額を償却する場合と比べ、中古は節税のスピードが約2倍になる計算です。手元キャッシュを早く厚くできるため、次の投資への再投資もしやすくなるメリットがあります。
なお、中古物件は「中小企業経営強化税制」などの特別償却の対象外となるケースが一般的です。この点については、別章で解説しています。
※実際の償却年数や節税効果は、個別の状況によって異なるため必ず税理士にご相談ください。
中古太陽光投資の3つのデメリット
中古太陽光発電には、FIT残存期間の短さ・設備劣化リスク・特別償却不可といったデメリットがあります。購入前に押さえておきましょう。
買取期間が残り10年の物件と15年の物件では価格差がある
中古太陽光投資のわかりやすいデメリットは、FIT買取期間の残りが新築より短いことです。
新築の場合は認定時点の単価で20年間売電できますが、中古は当然新築より残存期間が短くなります。たしかに「残存期間の短さ」はデメリットですが、残存期間が短い物件は、その分だけ価格が下がる傾向にあります。
たとえば、同じ規模・同じ立地の低圧50kW物件で比較してみましょう。
| 物件タイプ | 残存FIT期間 | 物件価格の目安 | 想定される残りの総売電収入 |
|---|---|---|---|
| 物件A(2013年度認定) | 約7年 | 1,800~2,000万円 | 約2,000万円 |
| 物件B(2016年度認定) | 約10年 | 1,800~2,200万円 | 約1,920万円 |
| 物件C(2019年度認定) | 約13年 | 1,100~1,400万円 | 約1,500万円 |
- 残存7年の高単価物件 → 高単価で収益性が高い(高単価型)
- 残存13年の標準単価物件 → 運用期間が長く、安定した長期キャッシュフローが得られる(長期運用型)
どちらが適しているかは投資目的次第です。
短期で大きな節税・キャッシュフローを得たいなら高単価型、安定した長期収益や融資期間との整合性を重視するなら長期安定型というように、自分の戦略に合わせて選ぶのが正解になります。
パワーコンディショナは10〜15年で交換が必要

中古太陽光発電所を購入する際、注意したいのが設備の劣化です。
特にパワーコンディショナ(以下、パワコン)は、10〜15年で交換が必要になります。稼働から8〜10年経過した中古物件の場合、購入から数年でパワコン交換時期を迎える可能性が高いです。
購入前に、50〜150万円程度の支出を想定しておく必要があります※。
※交換費用を物件価格に織り込んでいるケースもあります。
▼各設備の寿命と交換費用の目安
| 設備 | 寿命の目安 | 交換費用の目安(低圧50kW) |
|---|---|---|
| 太陽光パネル | 20~30年以上 | 200~400万円 ※全面交換時 |
| パワーコンディショナー | 10~15年以上 | 50~150万円 |
| 架台 | 20~30年 ※亜鉛メッキ銅製の場合 | 100~200万円 |
| ケーブル類 | 20~25年 | 30~80万円 |
■参考:JPEA|機器の耐用年数はどれくらいですか?
購入前の確認項目(=デューデリジェンスチェックリスト)
中古太陽光発電所の設備状態を見極めるため、購入前に以下のポイントを必ず確認してください。
こちらのチェックリストは、太陽光発電協会(JPEA)の「太陽光発電所の中古市場の活性化を図るために作成したガイド」を参考に作成しています。
▼権利・契約関連のチェック項目
- 事業計画認定通知書(設備認定通知書+変更認定履歴)
- 事業計画認定への移行手続完了の確認
- 系統連系契約書・電力受給契約書
- 土地の権原(土地登記簿謄本、借地契約書)
- 借地契約の残存期間(事業期間を満たすか)
- 進入路・送電線路・放流路の使用権原
▼設備関連のチェック項目
- パワコンの型番・製造年月(交換時期の予測)
- 太陽電池モジュールの型番・枚数・出力劣化率
- 架台の構造・材質・錆/腐食の有無
- 基礎の設計図書と施工記録
- 接続箱・集電箱の状態
- フェンス・標識の設置状況
- ケーブル類の劣化状況
- 敷地・地盤・擁壁・法面の状態(現地確認)
- 排水設備(排水溝・調整池)の機能
▼書類関連のチェック項目
- 竣工検査記録・試験成績書
- 機器保証書(残存期間含む)
- 施工記録(着工〜完工の写真等)
- 発電実績レポート(月別・年別、最低3年分)
- 保守点検計画書と実施記録
- 修理・修繕等の記録
- 動産総合保険・施設賠償責任保険の加入状況
■参考:JPEA|太陽光発電事業の評価ガイド(PDF)
■参考:日経BP「メガソーラービジネス」|中古太陽光発電所のデューデリジェンス
中古は「特別償却」が使えない
たしかに、中古物件では「特別償却」は使えません。しかし、「特別償却が使えない=節税できない」というのは誤解です。
「中古太陽光投資の4つのメリット」でも紹介した通り、中古物件には簡便法による耐用年数の短縮という独自の節税メリットがあります。
新築の17年に対して、経過10年の中古なら耐用年数9年まで短縮でき、減価償却を前倒しで進めることができます。
- 新築:特別償却により初年度に大きく節税
- 中古:減価償却により数年にわたって継続的に節税
どちらが有利かは、個別のケースにより異なりますが、「特別償却が使えない=中古は損」というわけでは必ずしもありません。
+特別償却とは?
特別償却とは、通常の減価償却に加えて初年度に一括で多額の経費計上ができる優遇制度です。
この制度は、中小企業者等で青色申告書を提出するもののうち、中小企業等経営強化法の認定(以下「特定認定」といいます。)を受けた特定事業者等に該当するものが、平成29年4月1日から令和9年3月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に、その中小企業者等のその特定認定に係る特定経営力向上計画に記載された新品の特定経営力向上設備等の取得または製作もしくは建設をして、国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却または税額控除を認めるものです。
■引用:国税庁|No.5434 中小企業経営強化税制
残存FIT年数別の収益シミュレーション — 残り5年・8年・12年でどれだけ変わるか
中古物件では、「単価×残存年数」のバランスが収益性を多く左右しますが、基本的には高単価物件が有利です。
具体例を使いながら、投資回収率と実質利回りの計算方法を見ていきましょう。
残存年数と単価のバランスで投資効率が決まる — 残存年数別の試算表
▼シミュレーションの前提条件
- 設備容量:50kW(低圧)
- 年間発電量:約6万kWh(設備利用率13.7%で試算)
- 年間運転維持費:21万円(0.42万円/kW/年)
- 物件価格:1,200万円
- 買取単価:認定年度ごとのFIT単価
※物件価格は共通条件として1,200万円で固定。実際の市場では、高単価・短残存の物件ほど相場価格も高くなる傾向があるため、下表は「同じ価格で買えた場合の単純比較」としてご覧ください。
■参考:経済産業省|調達価格等算定委員会 資料
▼残存年数別の投資回収率シミュレーション
| 残存FIT年数 | 認定年度 | 単価 | 年間純収益 | 物件価格 | 残存純収益 | 回収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 残り5年 | 2012年度 | 40円 | 219万円 | 1,200万円 | 1,095万円 | 約91% |
| 残り8年 | 2014年度 | 32円 | 171万円 | 1,200万円 | 1,368万円 | 約114% |
| 残り12年 | 2018年度 | 18円 | 87万円 | 1,200万円 | 1,044万円 | 約87% |
注目すべきは、残り12年の2018年度物件(回収率87%)より、残り8年の2014年度物件(回収率114%)のほうが有利という逆転現象です。
中古太陽光投資では、残存年数の長さよりも「単価 × 残存年数」のバランスが投資回収率を決めるため、高単価時代(2012〜2015年度)の物件が狙い目になります。
表面利回りが同じでも実質利回りは中古が高くなるケースがある — メンテ費・積立を含めた比較
表面利回りは「収入だけを見た数字」、実質利回りは「コストを差し引いた手残りベースの数字」です。
- 表面利回り = 年間売電収入 ÷ 物件価格 × 100
- 実質利回り =(年間売電収入 − ランニングコスト※)÷ 物件価格 × 100
※メンテナンス費用、保険料、廃棄費用積立など
新築と中古では、表面利回りが同じでも、中古の方が実質利回りで有利な数値が出るケースがあります。
中古の実質利回りが有利になりやすい理由として、稼働実績からメンテナンス費用が読みやすいという点があります。新築は維持費が想定ベースとなるため、実際の利回りが下振れする可能性があります。
また、中古物件はパワコン交換のタイミングや維持費の水準を踏まえた価格で売り出されていることが多く、実質利回りで見ると手残りが増えるケースも少なくありません。
中古太陽光発電所を購入する場合、表面利回りだけで判断せず、実質利回り(=売電収入 − 実際のコスト)で収益性を判断することが重要です。
中古太陽光発電所を買うときの手続きと、見落としやすい費用
中古太陽光発電所の購入後に発生する手続きは3ステップで約2〜3ヶ月かかり、物件価格以外に権利金・積立金・固定資産税が発生します。
物件価格だけでは見えない「見落としがちな初期費用」は、購入前に必ず確認したい重要ポイントです。
購入決定から売電収入が入るまでの手続きは3ステップ
中古太陽光発電所の購入手続きには、所有権の移転に加えて、FIT認定の名義変更手続きがあります。この流れは大きく3つのステップに分かれており、全体でおおむね2〜3ヶ月程度必要です。
STEP1. 経済産業省への事業計画変更認定申請(約1~2ヶ月)
最初に、経済産業省(資源エネルギー庁)への事業計画変更認定申請を行います。FIT認定事業者の名義を新所有者に切り替える重要な手続きです。
「再生可能エネルギー電子申請システム」を通じて電子申請するのが一般的です。必要書類は、売買契約書・印鑑証明書・登記事項証明書・委任状などで、新旧所有者双方の書類が求められます。
ソルセルでは仲介業者として、こういった書類準備のサポートを行っております。
■参考:資源エネルギー庁|なっとく!再生可能エネルギー
■参考:資源エネルギー庁|変更内容ごとの変更手続の整理表(PDF)
STEP2. 電力会社への売電契約(名義変更)の申請(約2~4週間)
次は電力会社への売電契約の名義変更に進みます。
電力会社によって書式・必要書類は異なりますが、基本的には経済産業省(資源エネルギー庁)の「変更認定通知書の写し」が必要です。振込先口座の変更も、このタイミングで合わせて行います。
STEP3. 土地登記の名義変更(約2~4週間)
最後に、土地の所有権移転登記を法務局で行います(土地付き物件の場合)。この手続きは、司法書士に依頼するのが一般的で、登録免許税(原則2%)と司法書士報酬で合計10〜20万円程度の費用が必要です。
借地物件の場合は、地主の承諾を得たうえで借地権の承継や新たな賃貸借契約の締結を行います。
スケジュール全体で押さえておきたいのは、「売電収入が自分の口座に入り始めるのはSTEP2完了後」という点です。購入代金は契約時に支払っても、実際の収入化には1〜2ヶ月のタイムラグがあることに留意して、事前のキャッシュフロー計画を立てておきましょう。
土地の権利金・廃棄費用積立・償却資産税
中古太陽光発電所を購入するとき、物件価格以外に発生する費用を見落としてしまうと、想定していた利回りを下回る結果になります。
1.土地の権利金(借地物件の場合)
土地を借りて運営する物件を購入すると、地主に支払う権利金が発生するケースがあります。権利金は一度に支払いますが、会計上は一括経費にできません。
税務上は「繰延資産」として処理し、契約期間に応じて償却します。契約期間の定めがない場合などは、5年間で均等償却するのが一般的です※。
※権利金の性質判定は契約内容によるため、具体的な処理は税理士にご確認ください。
+償却期間について
(資産を賃借するための権利金等)
8-1-5 次のような費用は、令第14条第1項第6号ロ《資産を賃借するための権利金等》に規定する繰延資産に該当する。(昭55年直法2-8「二十八」、平19年課法2-3「十八」、平19年課法2-17「十六」により改正)
(1) 建物を賃借するために支出する権利金、立退料その他の費用
(2) 電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費その他の費用
(注) 建物の賃借に際して支払った仲介手数料の額は、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
2.廃棄費用積立金
廃棄等費用積立金制度とは、廃棄等費用の確実な積立てを担保するために、10kW以上のすべての太陽光発電のFIT・FIP認定事業(ただし、複数太陽光発電設備設置事業を含む。)を対象とし、認定事業者に対して、原則として、源泉徴収的な外部積立てを求める制度です。
■引用:電力広域的運営推進機関|廃棄等費用積立金・交付金相当額積立金
本制度は、不法投棄の防止を目的に2022年7月から義務化されました。
積立はFIT買取期間の終了10年前から開始され、毎月の売電収入から源泉徴収される仕組みです。電力広域的運営推進機関(OCCTO)が管理します。
積立金額は認定年度ごとの「解体等積立基準額」×発電量で決まります。
▼積立金額の目安

■引用:経済産業省|令和7年度以降(2025年度以降)の調達価格等について|⑤解体等積立基準額(太陽光(10kW以上))
3.償却資産税(固定資産税)
太陽光発電設備は償却資産に該当し、毎年固定資産税(償却資産税)がかかります。税率は1.4%(自治体により異なる場合あり)で、課税標準額は設備の評価額をもとに算定されます。
たとえば、設備価格が1,200万円程度の低圧50kW物件であれば、初年度の税額は年間15〜17万円程度が目安です(設備部分のみ)。年数が経つにつれて評価額が下がるため、納税額も徐々に減少していきます。
中古太陽光投資が合う人・合わない人
一般的に、中古太陽光投資は課税所得の高い法人・個人事業主に向いており、出口戦略まで設計できると最適です。
課税所得が高い法人や個人事業主は中古の減価償却で節税しやすい
中古太陽光投資で節税効果が得られるかは、課税所得の水準によって大きく変わります※。
節税メリットを最大限に活かせるのは、以下の条件にあてはまるケースです。
※実際に節税効果が得られるかどうかは、個別の状況によって異なるため、必ず税理士にご相談ください。
▼個人(給与所得者・個人事業主)の場合
- 課税所得が900万円超の高所得層(超過部分の所得税率33%+住民税10%)
- 副業収入や事業所得で節税効果を高めたい人
- 不動産投資に加えて節税手段を分散したい人
▼法人の場合
- 当期利益が継続的に800万円超ある中小法人(超過部分の実効税率 約30〜34%)
- 減価償却による損金算入で課税所得を圧縮したい企業
- 本業の利益変動を平準化させたい経営者
逆に、課税所得が330万円以下(所得税率10%以下)の層では、中古太陽光の減価償却メリットを十分に活かしきれません。メンテナンス費や保険料などの負担が重くなるため、表面利回りだけで判断するのは注意が必要です。
FIT終了後の選択肢は3つ — 卒FIT売電・FIP転換・発電所売却のどれがいい?
FIT終了後の出口戦略には、卒FIT売電・FIP転換・売却の3択があり、個人投資家には卒FIT売電か売却の2択が現実的です。
1.卒FIT売電を継続する(最も手軽)
FIT期間終了後も、電力会社や新電力に余剰電力を売り続ける選択肢です。設備をそのまま使えるため追加投資は不要です。
しかし、FIT期間中の単価(2013年度認定なら36円/kWh)と比べると売電単価は大幅に下がります。
- 大手電力会社:6~8円/kWh程度
- 新電力:8~14円/kWh程度(契約条件により大きく異なる)
このように売電価格は固定ではなく、契約内容や市場環境によって変動します。
■参考:資源エネルギー庁|FIT・FIP制度|買取価格・期間等(2012年度~2025年度)
2.FIP制度に転換する(市場価格次第)
FIP制度とは、2022年4月に開始した「市場価格+プレミアム(補助額)」で売電する制度です。電力市場が高騰した時間帯を狙えば収益拡大も可能ですが、市場価格変動リスクと需給管理コスト(インバランス対応)が発生します。
本制度の導入には一定規模以上の設備が必要であるため、一般的には法人や大規模物件向けの選択肢と言えるでしょう。
3.発電所を売却する
設備を中古市場で売却し、投下資本の回収を図る方法です。FIT残存期間が短くなるほど価格は下がる傾向にありますが、メンテナンスや廃棄費用の負担から解放されるメリットがあります。
ソルセルでは、中古太陽光発電所の購入・売却の両方をサポートしております。
個人投資家の場合、おもに「卒FIT売電 or 売却」の二択で考えることになります。
中古太陽光発電所を購入するときは、購入時点で出口の見通しを立てておくとより安心でしょう。
まとめ|中古太陽光発電所には新築にはないメリットがある
中古太陽光発電所には、「高単価FITの引き継ぎ」・「減価償却の早期化」・「実績データを活かした融資のしやすさ」という、新築にはない3つの独自メリットがあります。
一方で、パワコン交換時期が近いことや特別償却対象外といった注意点も存在します。
本記事を参考に、ご自身の課税所得や投資スタイルに合った物件を見極めてみてください。
