定期預金はやめたほうがいいというデメリットとは?仕組みやメリットも詳しく解説
- 公開日:2024.11.29
- 更新日:2024.11.29
貯蓄・資産形成の手段のひとつとして知られているのが、定期預金です。長い期間、定期預金をしてもそれほどの利益はないのでやめたほうがいいのではないか、と疑問に思っている人もいるでしょう。果たして、定期預金は資産運用としてどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
今回は、定期預金について、以下のポイントをわかりやすく解説しています。
記事の最後に、定期預金でよく挙がる疑問とその回答も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
定期預金とは
定期預金とは、期間を設定して銀行などの金融機関にお金を預ける預金のことです。普通預金は、自分が引き出したいタイミングで自由にお金を下ろすことが可能ですが、定期預金は、原則的として設定した期間中はお金を引き出せません。
そして、普通預金に比べると金利が高く設定されているのも、定期預金の特徴です。預ける期間は数ヶ月〜10年と選べる仕組みで、期間が長いと利息を受け取る回数も増えるので、それだけお金は増えます。
金利には単利・複利の2種類があり、その違いは以下の通りです。
- 単利:元本(最初に預けた金額)に対して利息が発生
- 複利:元本+利息を足した金額に対して利息が発生
複利では、発生した利息が元本に組み入れられることによって、より多くの利息を得ることができるため、預けたお金を効率的に増やすことができます。短期よりも長期にわたって預けた方が、より複利の効果が大きくなります。
定期預金の種類
預金といっても、通常の預金と定期預金を混同している人も少なくないでしょう。通常の預金と定期預金にはどのような違いがあるのか、その違い・種類をわかりやすく以下の表にまとめてみました。
流動性預貯金 | 定期性預貯金 | |
種類 | 普通預金 当座預金 貯蓄預金 通知預金 納税準備預金 |
スーパー定期預金 大口定期預金 積立定期預金 定期積金 期日指定定期預金 変動金利定期預金 |
期間の有無 | 期間の設定がなくいつでも引き出し可能 | 設定した期間内は原則的に引き出し不可、期間は1ヶ月〜10年など選択可能 |
目的 | 給与などの振り込み・引き落としなどの窓口 | 資産貯金・運用・将来の積み立てなど |
では、表にある定期預金の種類について、それぞれの特徴を以下より説明しましょう。
スーパー定期預金
期間を設定して銀行に預けるのが、スーパー定期預金です。預金期間は1ヶ月〜10年とさまざまな期間があり、期間満了時に継続するか終了して普通預金に移行するかを決めます。
継続する場合は、元本だけを残して期間中に生じた利息を受け取るタイプ・元本+利息の合計額で継続するタイプがあり、どちらかの選択が可能です。
スーパー定期は、預金額300万円未満のものがこの名称で呼ばれ、300万円以上の預金はスーパー預金300と呼ばれています。
大口定期預金
1,000万円以上という多額の預金を対象とするのが、大口定期預金です。スーパー定期預金と同じく、1ヶ月〜10年と預金期間を選択できます。
金利は、預金開始時に設定され、満期日まで金利が変化しない固定金利が特徴です。金利は、金融機関によって異なります。
積立定期預金
一括でまとまった金額を預けるのではなく、毎月一定額のお金を積み立てる預金が、積立定期預金です。
預金開始時にまとまった金額がなくても始めることができ、長期にわたっての積立であれば時間の経過とともに資産が形成できるメリットがあります。
積立定期預金は、普通預金口座から一定額の金額が、積立定期預金用の口座に自動振替されて積み立てられる仕組みです。
毎月の積立金額は1,000円以上、預金期間は6ヶ月〜5年となっています。
定期積金
主に信用金庫、信用組合、農業協同組合(JA)などで取り扱われ、「スーパー積金」という名称でも知られているのが、定期積金です。主に、進学や住宅購入の費用の捻出のために行われます。
定期積金の手順は、期間を設定して掛金を払込み続け、期間終了時に満期金(給付金)を受け取るという流れです。
期間終了時に受け取る金額と、掛金累計額の差額が預金の利息にあたる金額で、給付補てん金と呼ばれています。
定期積立の種類は取扱い金融機関によってさまざまですが、主に以下の2通りです。
目標式
期間終了時に受け取る給付金の金額を最初に決めて、目標額を達成するために積立する方式。
定額式
掛金金額を決めて期間中に積立を続ける方式。
掛金の払込方法は、普通預金口座を経由しての振替、専用窓口での支払いなどがあります。
期日指定定期預金
他の定期預金のように預金開始前に満期日が設定されるのではなく、開始後に満期日を決めるのが、期日指定定期預金です。
預金してから1年間は据え置き期間であるため、引き出すことはできませんが、1年経過後は、満期日を決めて預金を引き出すことができます。基本的には、最長3年間預けることが可能です。
金利は固定で、1年ごとの複利計算式なので、預金が長いほど受け取る利息が増えます。
変動金利定期預金
定期預金のなかでも、基本的に6ヶ月ごとに適用金利を見直すのが、変動金利定期預金です。期間は1〜3年で、その間に金利が上昇すれば利息はふえますが、金利が下がれば固定金利を下回る場合があります。
常に金利が一定である固定金利と比較すると、変動金利はリスクがあるといえるでしょう。
定期預金を利用するメリット
定期預金の主なメリットは、以下の4つです。
- 普通預金より金利が高め
- 預金保険制度の対象内
- 期間を選べる
- 手数料がかからない
普通預金より金利が高め
定期預金は、普通預金に比べて金利が高く設定されているのが特徴です。同じ額を同じ期間預けた場合、普通と定期では定期の方が利息が多くなります。
預金保険制度の対象内
預金保険制度の対象であることも、定期預金のメリットです。預金保険制度とは、預けていた銀行が経営破綻した場合でも、預金者1人あたり、1金融機関ごとの合算で、元本1,000万円までとその利息が保護される制度です。銀行が破綻しても預けていたお金を失う心配はありません。
なお、定期預金であっても、外貨建ての預金は預金保険制度の対象外のため注意が必要です。
期間を選べる
定期預金の場合、預金期間を1ヶ月〜10年と自由に選択可能です。自分のライフスタイルに合った期間を選び、効率よく着実に預金を増やしていけます。
手数料がかからない
手数料が発生しないのも、定期預金の大きなメリットといえるでしょう。わずかな金額に思える手数料でも数年かけて積み重なるとかなりの額になりますが、定期預金ならそういった出費の心配が要りません。
定期預金を利用するデメリット
定期預金のデメリットに該当する特徴は、以下の通りです。
- 他の資産運用に比べると目立つ利益が少ない
- 自由に引き出しができない
- 資産価値が目減りする可能性がある
他の資産運用に比べると目立つ利益が少ない
定期預金は金利が高いというイメージがありますが、それはあくまで普通預金と比べた場合です。超低金利時代と言われる昨今では、利率は全体的に低いため、定期預金にすれば飛躍的に利息が増えるわけではありません。
株・不動産といった投資による資産運用は、良い方向にいけば大きな利益が生まれますが、必ず利益が発生する保証はなく、大きな損失が生じるケースも想定されます。
少額の利息でも損失の心配をしたくない人は、定期預金が向いているといえるでしょう。
自由に引き出しができない
自由に引き出しができない点も、定期預金のデメリットです。預け入れた後は、原則として満期まで引き出しはできません。
定期預金の種類によっては途中解約することも可能ですが、解約にあたっては、中途解約利率が適用されるため金利は低くなり受け取れる利息は少なくなります。
急に多額の費用が必要になっても、定期預金で預けたお金は利用できないので、人によっては不便に感じるかもしれません。
資産価値が目減りする可能性がある
普通預金よりも金利が高く安定した貯蓄を続けられる定期預金ですが、定期預金の金利で得た利益を超えるペースのインフレが発生した場合、資産価値が目減りする可能性があります。
物価上昇が年2%の割合だった場合には、定期預金の金利だとインフレによる損失を補填するほどの収入を得られません。
定期預金はインフレのリスクが高い時期に始めない方が無難です。
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定期預金を利用する際の注意点
定期預金への預け入れを検討している人は、事前に定期預金に関する注意点を把握しておくことが大事です。定期預金における注意するべきポイントは、次の3つです。
- ペイオフの対象になっている銀行か
- 預金金利が高い銀行か
- 通貨の種類は円・外貨どちらなのか
では、この3つの注意点について、以下より説明しましょう。
ペイオフの対象になっている銀行か
定期預金をしたい銀行・金融機関が見つかった場合、その機関がペイオフ対象であるか、確認する必要があります。
ペイオフとは、預金保険制度に加盟している金融機関が経営破綻をした場合、預金者を保護するための、破綻処理方式の一種です。
この方式が採用されている銀行であれば、破綻をしても、預金者の元本1,000万円までとその利息が保護される仕組みです。
保護の基準を超える部分については、破綻した金融機関の経済状況により支払われることもあります。
ほとんどの金融機関は、預金保険機構に加盟していますが、中には加盟していないところもあるので注意しましょう。
預金保険制度の対象外となっている金融機関は、海外支店・海外の銀行の在日支店・政府系金融機関です。
預金保険制度の対象金融機関であっても、海外支店は含まれないので注意が必要です。
預金金利が高い銀行か
定期預金を始めるにあたっては、その銀行が設定している金利に注目しましょう。金利は共通ではなく、それぞれの銀行が独自に設定しています。
何も考えずに最寄りの銀行で定期預金を預け入れたあとになってより金利が高い銀行があるのを発見した場合、後悔をするでしょう。その金利が高い銀行に乗り換えをするためには、その預金を解約しなくてはいけません。解約をするためには、手続きの手間やもらえる利息が減るというデメリットが生じます。
定期預金の手続きをする前に、いくつかの銀行をピックアップして金利を比較しましょう。金利情報を並列に並べることによって、比較がわかりやすくなり、どの銀行の金利がお得なのかひと目でわかります。
ただし、同じ銀行でも月単位で金利が変動しますので、スピード感も必要です。余程のことがない限り大きく変動する可能性は低いため、預け入れた後は、一喜一憂しないことも大切です。
通貨の種類は円・外貨どちらなのか
定期預金をする際は、通貨を円にするか外貨にするか迷っている人もいるかもしれません。どちらかを選ぶ際に重要なのは、外貨預金のメリット・デメリットを把握することです。外貨には以下のような特徴があります。
メリット
- 金利が高い
- 円安の時に円に交換すると利益になる(為替差益)
- 預金するだけなので、外貨を扱っても難しくない
デメリット
- 為替手数料が発生する
- 解約するとマイナスになる可能性がある
- 預金保険制度の対象外
- 円高になると元本割れになり損失となる
また、外貨は米・ユーロなどその通貨国の社会情勢や経済状況によるため、それぞれの特徴や値動きについて把握することも大事です。
人によっては外貨の方が相性が良い場合もあるので、円・外貨どちらが自分に適しているのか事前によく検討をしましょう。
定期預金に加えて始めたい資産運用におすすめのネット証券
資産運用におすすめのネット証券を、4つご紹介します。
SBI証券
口座数 | 1100万口座 |
取引手数料 | 国内株式の売買手数料0円 |
NISA | 〇 |
積立NISA | 〇 |
投資信託 | 2,684本 |
外国株 | 5,400銘柄以上 |
スマホアプリ | あり |
ポイント | Tポイント / Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
SBI証券は口座数が1100万口座を超えている人気のネット証券です。NISAや積立NISAなどにも対応している点や、外国株などの取扱商品も豊富なので、利用者が増えています。
国内株式の売買手数料がかからない点や、スマホアプリも使いやすく、初心者でもスムーズに利用できる点から、初めてネット証券を利用する人にもおすすめです。
商品購入によってTポイントやPontaポイントなどが貯まるので、購入に使用したりコンビニなど日常生活に利用できる点も、人気を集めています。
マネックス証券
口座数 | 222万口座以上 |
取引手数料 | 単元未満株の買い付け手数料無料 |
NISA | 〇 |
積立NISA | 〇 |
投資信託 | 1,300本以上 |
外国株 | 4,900銘柄以上 |
スマホアプリ | あり |
ポイント | マネックスポイント |
マネックス証券は、口座開設数が年々増えていて2023年7月時点で222万口座を突破しているネット証券です。新NISAやiDeCoといった話題の商品も取り扱っていたり、マネックスポイントが貯まる点も人気を集めています。
マネックスポイントは、毎月の平均保有残高に対して最大0.08%のポイントが獲得でき、買い付けや手数料にも利用できますし、他社のポイントに交換もできます。
マネックス証券のツールも充実していて、パソコンだけでなくアプリも利用しやすく、公式サイトでは初心者向けのツールを解説しています。
GMOクリック証券
口座数 | 100万口座以上 |
取引手数料 | 手数料0円のプランあり |
NISA | 〇 |
積立NISA | – |
投資信託 | 130本以上 |
外国株 | 4,900銘柄以上 |
スマホアプリ | あり |
ポイント | – |
GMOクリック証券は、総口座数100万口座を突破しているネット証券です。積立NISAは取り扱っていませんが手数料が安く、27歳以下なら選択したプランにかかわらず、27歳以下現物取引手数料無料が適用になるため、他のネット証券に比べてもお得に取引が行えます。
投資資金がなくても100円から投資を始められる投資信託や、数百円程度から始められるFXも取り扱っているので、自分に合った投資を探せます。
株主優待も1,500前後の銘柄で採用されているので、優待を利用したい人にもおすすめのネット証券です。
定期預金に関するFAQ
定期預金に関する、よく挙がる疑問をまとめてみました。以下より疑問とその回答を紹介しましょう。
定期預金の利用がおすすめな人は?
定期預金に向いている人は、以下のような人です。
- 短期間での大きな利益を期待せずに、堅実にお金を増やしたい人
- 経済的に余裕があり、まとまったお金を早急に必要としない人
- 他の資産運用のように面倒な手続き・作業をしたくない人
- お金があるとつい使ってしまう人(普通預金のように簡単に引き出せない)
資産運用で元本以上に大きな利益を得るためには、市場の流れの把握だけでなく運も必要です。手間をかけず、大きな利益を期待せず、堅実にお金を貯めたい人は、定期預金に向いています。
定期預金と普通預金の違いは?
定期預金と普通預金の違いは、以下の通りです。
- 定期預金の方が金利が高い
- 定期預金は普通預金のように簡単に引き出しができない
定期預金は、自由に引き出せる普通預金とは異なり、原則として満期まで引き出せません。引き出す場合には、途中解約をする必要があり、うけとる利息も少なくなります。
簡単に引き出しできないという特徴は、メリット(無駄使い防止)・デメリット(急な出費に対応できない)どちらにも当てはまるので、定期・普通のどちらの預金が自分に合っているか、検討しましょう。
定期預金の利息に税金はかかる?
定期預金では、預けた元本から発生した利息は課税対象です。利息に対する税率は、20.315%(内訳は所得税15%・地方税5%・復興特別所得税0.315%)です。
例えば、金利1%、預入れ期間1年(単利)の定期預金に500万円を預けた場合に発生する利息は5,000円ですが、1,015円(5,000×20.315%)の税金が差し引かれて、受け取る利息は3,985円となります。
定期預金がおすすめな理由は?
預入期間を定められている定期預金は、普通預金よりも高い金利が設定されているのが一般的です。
将来的に必要となる金額を貯蓄でき、預金保険制度の対象なので、安全性が高いというのが大きなおすすめポイントです。
定期預金は安全?
定期預金は元本が保証されているので、満期前に途中解約した場合には受け取れる利息が少なくなるものの、元本割れになりません。
普通預金に比べると安全性が高いというのが大きな利点です。
まとめ
定期預金と通常の普通預金を同じと考えている人もいるでしょうが、金利の差や引き出しの制限など異なる点があるので、違いを覚えておきましょう。
また、定期預金には多くの種類があります。それぞれに特色があるので、特徴を把握して、自分に適したタイプを選びましょう。
そして、定期預金のメリット・デメリットを、しっかりと理解しておくことも大事です。少しずつでも着実に積み上げたい堅実なタイプには向いていますが、短期間での大きなリターンは期待できません。
定期預金の特色をしっかりと頭に入れて、自分に適しているかどうか判断することが大事です。
超低金利時代と言われ、実際には悲しくなるほどの利息しかつかないのが現実ですが、元本保証という点で、定期預金は資産を守る手段として有効です。自分にとっての「向き」「不向き」を知るとともに、投資による資産運用と定期預金など貯蓄による着実な資産形成をバランスよく組み合わせることも、長期的目線でみると効果があります。
なお、いざという時に慌てないよう、半年から1年分程度の生活資金を流動性ある普通預金で確保しておくこともおすすめします
ファイナンシャルプランナー(CFP)・相続診断士
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て、2015年FP事務所開業。幅広い年齢層に対応できるFPとして個別相談を中心に、執筆活動・講師業を行う。日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)、広報センター(2020年)スタッフとしてFPの認知度アップ、またFPのスキルアップにも携わる。
不安の正体を知り、理解することで、「より豊かに自分らしく生きる」をサポートします。
この記事を書いた人
ikebukuro