太陽光発電の地震リスクとは?実際の被害事例や事前対策、保険・保証が使えるのかについて解説

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  • 公開日:2025.10.22
  • 更新日:2025.10.30
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太陽光発電所の地震のリスクと、その対策を解説していきます。

ローリスクで安定した投資ができることで人気の『太陽光発電投資』。しかし、野立てに設置するということで、地震の被害が心配という方も多いです。

特に最近地震が多いこともあり、万が一パネルが破損したり発電所が壊れてしまったときのことを考えると太陽光投資をやめるか悩んでしまいますよね。

この記事では、実際に起きた地震被害や、万一の時に被害を抑えるための対策が分かります。

関連記事:太陽光発電投資を始めるメリット・デメリットは?2025年からでも遅くない理由と個人で始める方法を紹介

目次

太陽光発電に関する地震による被害

日本は地震大国です。近年の再生可能エネルギーの普及に伴い、地震による太陽光発電所の被害も出ています。

地震が起こることで太陽光発電所が受ける被害は、具体的にどういったものがあるのでしょうか?

令和6年能登半島地震の太陽光発電被害

引用:経済産業省

令和6年に起きた能登半島地震では、太陽光発電施設が破損・崩落する事故が約19か所で起きていたことが分かりました。国に報告があったのが16か所でしたが、読売新聞が航空写真を分析した結果、ほか3か所でも確認されています。

また、パネルの破損や敷地外への流出などがあった場合は詳細を経済産業省に報告する義務が定められています。

太陽光パネルは損壊しても日射があれば、発電して発火の恐れがあります。安全に利用するため、政府の環境整備が求められているのが特徴です。

平成30年北海道胆振東部地震の太陽光発電被害

太陽光 地震リスク

引用:日経XTECH

2018年に起きた、北海道胆振東部地震では、50kw以上の産業用太陽光発電の被害は3件ありました。

地⾯の隆起や地割れ、液状化等による架台やパネルの損傷や、パワコンの運転機能喪失の被害がありました。

また設置場所が海岸線に近い場合は高潮による被害も考えられるので、地震による被害は見逃せないポイントです。

平成28年熊本地震の太陽光発電被害

太陽光 地震リスク

太陽光 地震リスク

引用:日経XTECH

2016年の熊本地震では、震度7が2回計測されるなど大きな揺れが複数回続きました。太陽光発電所で被害が出たのは、震源に近かった「ソーラーファーム城南藤山」です。

地盤が波打ったことから、太陽光パネルを支えるコンクリート基礎が割れたり傾いたり、敷地の法面の一部が崩れ補修が必要になったりという被害がでました。

また、パワーコンディショナーを支えているコンクリートの基礎が傾き、パワーコンディショナーそのものにもトラブルが発生。売電が再開できるまでに約3ヵ月かかったということです。

地震が原因で太陽光発電に起こる被害

地震が原因でよく起こる被害は以下の通りです。

  • 地震によって浸水した太陽光パネルに素手で触れると感電する
  • 建物が半壊・全壊してしまう
  • 太陽光パネルからの発火で火事が起きる
  • 地盤の変化により、太陽光パネルが稼働できなくなる

地震によって津波や水道管の破裂などにより浸水してしまった場合は、太陽光パネルに触れただけで感電してしまう場合があるため、二次被害が発生する可能性があります。

また建物が半壊または全壊してしまえば、太陽光発電もできなくなってしまいます。ほかにも、太陽光パネルが地震で倒壊してしまい、発火すると火事の原因となります。

地震が原因で起こる大きな被害は多数ありますが、過去に実際に起こった地震による被害の事例をご紹介します。

万が一太陽光発電が破損したらどうする?

もし、地震によって太陽光発電が破損した場合は、絶対に触らないでください。

太陽光パネルが壊れていても、発電し感電してしまう可能性があります。

また、破損したパネルや接続箱、パワーコンディショナーが漏電して発⽕したというケースもあります。

壊れたからと言って自分で片付けずに、購入した販売業者や施工業者に連絡し、対処法を聞いてから対応するようにしましょう。

万が一、人が下敷きになってしまったなど、やむを得ず太陽光パネルを触らなければいけない場合はゴム手袋やゴムの長靴を履くなど感電防止を徹底するようにしてください。

関連記事:パワーコンディショナー(パワコン)とは?太陽光発電を最大活用するための選び方やおすすめメーカー解説
関連記事:太陽光パネルは燃えやすい?感電・火災のリスクや事前対策を解説

太陽光発電投資に地震被害が与える影響

太陽光発電投資に地震被害が与える影響としては、下記のようなものが挙げられます。

  • 発電できなくなるリスク
  • 漏電・火災のリスク
  • 他人への損害賠償が発生するリスク
  • 初期費用の回収が遅くなるリスク

発電できなくなるリスク

地震の震源地に近い地域では、強い揺れによって設備が破損し、発電能力が低下・発電停止することもあります

2016年の熊本地震では、断層の近隣に建設された太陽光パネルの脱落やねじれなどの被害がありました。これは、太陽光パネルの上下に強い力が加わったためにパネルが跳ね上げられたのが原因とされています。

漏電・火災のリスク

地震によって太陽光発電設備が損傷した場合には、漏電や火災のリスクが発生しやすくなります

設備のメンテナンスをしっかり行った上で火、地震の際の漏電と火災に対応しましょう。

他人への損害賠償が発生するリスク

自然災害で太陽光発電設備が損壊し他人の所有物などに損害がでても、事業者が必要な修理や修繕を行っている場合には損害賠償の責任を負わない場合もあります。

しかし、事業者の管理責任が問われた場合は、損害賠償を支払う責任を負う場合もあります

初期費用の回収が遅くなるリスク

地震被害によって、売電収入が減ったり、なくなったりする可能性もあります

2018年の北海道胆振東部地震では、地域で最も規模が大きい苫東厚真発電所が停止したことにより、電力供給のバランスが崩れて全域停電状態に陥りました。

発電はできても送電ができないという状況だったので、送電が完全復旧し売電できるようになるまでに約1週間かかったため、その間は売電収入を得られなかったのです。

太陽光発電が損壊して普及するまでの売電金額を補償する休業損害補償保険が、電力会社の出力制御で失われた売電ロスを補償する出力抑制保険がありますが、一般的に地震被害は対象外なのでご注意ください

地震による太陽光パネル破損の被害を抑えるための対策

太陽光 地震リスク

どうしても避けられない自然災害とはいえ、地震が起きた際に被害は最小限に留めたいものです。

設置場所のハザードマップを確認する

ハザードマップを活用すると、地震災害・河川浸水洪水(破堤等の河川氾濫・水害・治水)・土砂災害・火山防災・津波浸水・高潮といった情報が分かります。

ハザードマップに引っかかっていた場合、太陽光発電機を設置するのにリスクがあるということなので、設置する際は気をつけるようにしましょう。

ハザードマップは自治体の公式サイトで確認できます。また、現地地方自治体の役所に行けば、きちんと管理されているハザードマップの位置を確認できます

地盤・土地の形状を確認する

地盤がゆるい土地に無理に⾃然地形を変えて設置したり、斜面が急な土地に設置したりと、設置場所がよくない場合は自然災害が起きたときに、土砂災害や地割れの被害に遭いやすくなってしまいます。

ちゃんとした業者であれば設置場所に向かない場所はすすめませんが、中には知識がない業者や悪徳業者の場合は注意が必要です。

いざ地震が起こったときに、大きな被害を受けないためにも業者選びは慎重に行いましょう。

架台の強度をチェックする

架台の強度は、建築基準法をもとに決められており、架台の強度が高くなるにつれて設備にかかる費用は高くなります。

工事を行う際は、費用の安さだけで決めずに地震にも耐えうる強度なのか、しっかりと確認するようにしましょう。

メンテナンスを定期的に行う

地震を原因に太陽子発電システムが壊れてしまうと火災の原因となってしまい、二次被害が発生する可能性があります。

メンテナンスを行っていなければ、所有者の責任となり賠償請求などを請求される可能性もあるため、普段から定期メンテナンスは必ず行うようにしましょう。

地震が発生しなくても、地面に設置するタイプの太陽光の場合は草などが覆いかぶさって、発電量が落ちたり場合によっては山火事の原因となる可能性もあります。

普段から草の除去を行い、住宅用太陽光発電は4年に1度、産業用太陽光発電は年に1回は業者によるメンテナンスを実施するなど、メンテナンスにより、地震が起きても二次災害を防げる可能性は高められます。

関連記事:太陽光発電のメンテナンスに必要な維持費用はどのくらい?

保険に加入する

保険に加入しておくのも、地震の際の太陽光パネル破損の被害を抑えるためにも大切です。

太陽光パネル破損の保険適応については、下記で詳しく解説しています。

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地震による太陽光パネルの破損は保険適応される?

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地震によって、設備が壊れてしまうだけでなく、パネル飛散や倒壊による第三者への被害や、売電収入がゼロになってしまうリスクもあります。

そうならないためにも保険に加入するのがおすすめです。

しかし、保険と一口に言っても種類は様々。

太陽光パネルのメーカー保証や企業総合保険(事業体の火災保険です)など多くの保険があります。

地震被害は火災保険や自然災害補償では対応できない

火災保険やメーカーの自然災害補償は、地震被害に対応できません

また、台風や地震などで太陽光発電設備が破損し、飛散してしまった際や他人に怪我をさせたりしてしまったときに治療費や修理代を補償してくれる施設賠償責任保険は適用されないのが一般的です。

設備が復旧するまでの収入を補償してくれる休業損害補償保険も、『企業総合保険』『動産総合保険』のため、基本的に地震による故障や破損は補償対象外となるのでご注意ください

「地震保険」または「地震危険補償特約」なら被害をカバー

地震が原因で起こる被害は、地震保険でカバーされます。ほかにも、住宅や家財が地震による火災や津波によって被害を受けた場合は、火災保険では補償されません。

地震による火災・津波で建物や家財に損害があった場合に補償が受けられる地震保険は、単独での加入は不可であるため、火災保険とセットで加入する必要があるのです

また、地震保険や津波保険は火災保険の特約でつけた場合、保険料は高くなる可能性があるでしょう。

基本的には火災保険の保険金額に対し、30%から50%の範囲内で設定されます。建物・家財共に上限額が設定されており、建物は5,000万円で家財は1,000万円です

地震の被害によっては太陽光の売却も視野に入れる

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「破損後、修理が面倒」「いろいろ手続きする時間がない」という方は、太陽光発電を売却するのも1つの手です。

「壊れたものなんて売れるわけない」と思うかもしれませんが、ソルセルでは故障・稼働に不具合のある太陽光発電所の修繕の相談、売却の相談も受け付けています!

修理に必要な費用の見積り後、修理するかそのまま売却するか選ぶことができます!

もちろん、条件に納得いただけない場合は、取り下げても費用が発生するような事はないのでご安心ください!

売却を選んだとしても、中古の太陽光発電所は2023年現在もかなりの需要があり、すぐに売れる傾向にあります。

最短5日で売却し、1週間で現金化の実績もあります。

関連記事:太陽光発電を売却する時の相場価格は?2025年に高額買取を狙う方法を解説

地震が起こりやすい地域に太陽光発電所があると査定に響く?

売却を考えているけれど、最近地震が起こった地域に発電所があるし、もしかしたら査定に関係するかも…と懸念している方もいるかと思います。

結論、地域のみで買取価格が下がるというケースはありません。

もちろん一部が破損しているなどの場合は修理費込みの査定になってしまいますが、地域のみの場合は気にしなくて良いでしょう。

しかし、地震や災害による査定の影響はありませんが、出力抑制(電気の需要と供給を保つために、一定期間買い取ってもらえないこと)の対象地域の場合は人気が出にくいため相場より低くなってしまう可能性はあります。

関連記事:太陽光発電の出力制御とは?対象地域と今後の見通し・対策を解説

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太陽光発電の地震被害に関するよくある質問

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太陽光発電投資を考えている方が気になる点についてまとめました。

太陽光発電の地震被害はメーカー保証の対象?

メーカーの中には自然災害補償を付けられるところもありますが、地震・津波による被害は対象外となる場合がほとんどです。

一般的に、火災・落雷・台風・豪雪といった災害による被害が対象となります。メーカー検討時に確認するようにしましょう。

産業用太陽光発電の地震保険加入率は?

令和2年度の調査によると、50kW以上の発電所で地震保険に加入しているのは7%程度にとどまっています。太陽光 地震リスク

引用:資源エネルギー庁 令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(太陽光発電に係る保守点検・保険の動向等に関する調査)報告書

火災保険の加入率が82%であるのに比べると、地震保険の加入率はとても低いと言えるでしょう。

地震保険は火災保険と併せて加入する必要がある上、一般的な損害保険に比べると掛け金が高い傾向があります。利回りを高く保つため、入らない場合が多いのかもしれません。

産業用太陽光発電の地震保険の保険料の相場は?

地震保険の保険料は、設置場所の都道府県や設備工事費用によって大きく異なります。一般的には火災保険の保険料30~50%にあたると言われています。

つまり、保険料を1.5倍支払えば、火災保険と地震保険に入れると考えて良いでしょう。あくまでも目安ですので、詳しくは保険会社に確認するようにしてください。

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まとめ

今回は、地震による太陽光発電のリスクを解説しました。

地震大国と呼ばれるだけあり、どうしても避けられない地震による被害。特に問題視されているのは、地震による売電ロスと他人の体や財産に被害を与えてしまった場合の補償です。

地震保険は高いのでなかなか加入できないという人も多いのですが、地震被害に対応可能な保険も多く用意されているので、万が一のことが起こっても、しっかり対応できるように保険に加入しておきましょう。

また、安全な土地に購入しなおすなど備えておくのをおすすめします。


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この記事を書いた人

ikebukuro

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