太陽光発電所の地震リスクと被害事例|事前対策と万が一に備えた保険・保証内容を解説
- 公開日:2024.11.12
- 更新日:2024.11.12
ローリスクで安定した投資ができることで人気の『太陽光発電投資』。
しかし、野立てに設置するということで、地震や台風などの自然災害を心配される方も多い現状もあります。
特に最近地震が多いこともあり、万が一パネルが破損したり発電所が壊れてしまったときのことを考えると太陽光投資をやめるか悩んでしまいますよね。
この記事では、太陽光発電所の地震のリスクと対処法を解説していきます。
目次
太陽光発電に関する地震による被害
日本は地震大国です。近年の再生可能エネルギーの普及に伴い、地震による太陽光発電所の被害も出ています。
以下の表は、自然災害による太陽光発電設備の被害状況を、平成31年(2019年)に経済産業省がまとめたものです。
出典:太陽電池発電設備をめぐる最近の動向と対応の⽅向性について/経済産業省
台風や豪雨による強風や土砂崩れの被害が多いですが、地震での被害も3件報告されています。
また、2024年1月の能登半島地震では、太陽光発電設備が破損・崩落する事故が16件報告されているとのことです。(参考:読売新聞)
地震が起こることで太陽光発電所が受ける被害は、具体的にどういったものがあるのでしょうか?
地震が原因で太陽光発電に起こる被害
地震が原因でよく起こる被害は以下の通りです。
- 地震によって浸水した太陽光パネルに素手で触れると感電する
- 建物が半壊・全壊してしまう
- 太陽光パネルからの発火で火事が起きる
- 地盤の変化により、太陽光パネルが稼働できなくなる
地震によって津波や水道管の破裂などにより浸水してしまった場合は、太陽光パネルに触れただけで感電してしまう場合があるため、二次被害が発生する可能性があります。
また建物が半壊または全壊してしまえば、太陽光発電もできなくなってしまいます。ほかにも、太陽光パネルが地震で倒壊してしまい、発火すると火事の原因となります。
地震が原因で起こる大きな被害は多数ありますが、過去に実際に起こった地震による被害の事例をご紹介します。
過去に起こった地震被害の事例
過去に起こった地震による被害の事例をご紹介します。
熊本地震
引用:日経XTECH
2016年の熊本地震では、震度7が2回計測されるなど大きな揺れが複数回続きました。太陽光発電所で被害が出たのは、震源に近かった「ソーラーファーム城南藤山」です。
地盤が波打ったことから、太陽光パネルを支えるコンクリート基礎が割れたり傾いたり、敷地の法面の一部が崩れ補修が必要になったりという被害がでました。
また、パワーコンディショナーを支えているコンクリートの基礎が傾き、パワーコンディショナーそのものにもトラブルが発生。売電が再開できるまでに約3ヵ月かかったということです。
北海道胆振東部地震
引用:日経XTECH
2018年に起きた、北海道胆振東部地震では、50kw以上の産業用太陽光発電の被害は3件ありました。
地⾯の隆起や地割れ、液状化等による架台やパネルの損傷や、パワコンの運転機能喪失の被害が報告されています。3件と聞くと一見少なく見えますが、万が一被害に遭った場合立て直しは容易ではありません。
また設置場所が海岸線に近い場合は高潮による被害も考えられるので、地震による被害は見逃せないポイントです。
万が一太陽光発電が破損したらどうする?
もし、地震によって太陽光発電が破損した場合は、絶対触らないようにしましょう!
太陽光パネルが壊れていても、発電し感電してしまう可能性があります。
また、破損したパネルや接続箱、パワーコンディショナーが漏電して発⽕したというケースもあります。
壊れたからと言って自分で片付けずに、購入した販売業者や施工業者に連絡し、対処法を聞いてから対応するようにしましょう。
万が一、人が下敷きになってしまったなど、やむを得ず太陽光パネルを触らなければいけない場合はゴム手袋やゴムの長靴を履くなど感電防止を徹底するようにしましょうね。
地震による太陽光パネル破損の被害を抑えるための対策
どうしても避けられない自然災害とはいえ、地震が起きた際に被害は最小限に留めたいものです。
購入する太陽光発電所の場所を考慮する
被害を抑えるためには、ちゃんとした土地に設置して自然災害を考慮した発電所を使用することです。中には、本来太陽光発電に向かない土地もあります。
地盤がゆるい土地に無理に⾃然地形を変えて設置したり、斜面が急な土地に設置したりと、設置場所がよくない場合は自然災害が起きたときに、土砂災害や地割れの被害に遭いやすくなってしまいます。
ちゃんとした業者であれば設置場所に向かない場所はすすめませんが、中には知識がない業者や悪徳業者の場合は注意が必要です。
そのような業者は耐⾵圧を考慮していない悪質なパネルを勧める可能性も考えられます。いざ地震が起こったときに、大きな被害を受けないためにも業者選びは慎重に行いましょう。
メンテナンスを定期的に行う
地震を原因に太陽子発電システムが壊れてしまうと火災の原因となってしまい、二次被害が発生する可能性があります。
メンテナンスを行っていなければ、所有者の責任となり賠償請求などを請求される可能性もあるため、普段から定期メンテナンスは必ず行うようにしましょう。
地震が発生しなくても、地面に設置するタイプの太陽光の場合は草などが覆いかぶさって、発電量が落ちたり場合によっては山火事の原因となる可能性もあります。
普段から草の除去を行い、4年に一度は業者によるメンテナンスを実施するなど通常時のメンテナンスにより、地震が起きても二次災害を防げる可能性は高められます。
地震による太陽光パネルの破損は保険適応される?
地震によって、設備が壊れてしまうだけでなく、パネル飛散や倒壊による第三者への被害や、売電収入がゼロになってしまうリスクもあります。
そうならないためにも保険に加入するのがおすすめです。
しかし、保険と一口に言っても種類は様々。
太陽光パネルのメーカー保証や企業総合保険(事業体の火災保険です)など多くの保険があります。
その中でも、地震に関係する保険は『施設賠償責任保険』と『休業損害補償保険』です。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険とは、台風や地震などで太陽光発電設備が破損し、飛散してしまった際に、他人に怪我をさせたり、他人の物を壊してしまったときに治療費や修理代を補償してくれる保険です。
パネルはガラスでできているため、地震で割れて飛散してしまった場合はかなり危険です。
近くに家があったり、人が通る場所に設置している場合は加入するのがおすすめです。
逆に、明らかに周りに何もなく、人もそう来ない場所に設置している場合は加入しなくても良いでしょう。
休業損害補償保険
太陽光発電設備が故障すると、設備が復旧するまで発電できないので、当然収入もありません。
収入がないのに、パネルの修理代やローンの支払いをしなければならないのは困りますよね…。
このような状況で、収入を補償してくれるのが休業損害補償保険です。
台風などの、自然災害による損害を保険保証してくれる『企業総合保険』や『動産総合保険』と合わせて加入しておけば、万が一の事態が起こっても支出を抑えることができます。
ただし、『企業総合保険』『動産総合保険』の注意点として、地震による故障や破損は補償対象外となってしまうので気を付けましょう!
修理に迷ったら太陽光発電を売却するのも1つの手
「破損後、修理が面倒」「いろいろ手続きする時間がない」という方は、太陽光発電を売却するのも1つの手です。
「壊れたものなんて売れるわけない」と思うかもしれませんが、ソルセルでは故障・稼働に不具合のある太陽光発電所の修繕の相談、売却の相談も受け付けています!
修理に必要な費用の見積り後、修理するかそのまま売却するか選ぶことができます!
もちろん、条件に納得いただけない場合は、取り下げても費用が発生するような事はないのでご安心ください!
売却を選んだとしても、中古の太陽光発電所は2023年現在もかなりの需要があり、すぐに売れる傾向にあります。
最短5日で売却し、1週間で現金化の実績もあります。
地震が起こりやすい地域に太陽光発電所があると査定に響く?
売却を考えているけれど、最近地震が起こった地域に発電所があるし、もしかしたら査定に関係するかも…と懸念している方もいるかと思います。
結論、地域のみで買取価格が下がるというケースはありません。
もちろん一部が破損しているなどの場合は修理費込みの査定になってしまいますが、地域のみの場合は気にしなくて良いでしょう。
しかし、地震や災害による査定の影響はありませんが、出力抑制(電気の需要と供給を保つために、一定期間買い取ってもらえないこと)の対象地域の場合は人気が出にくいため相場より低くなってしまう可能性はあります。
SOLSELでは、今なら期間限定で売却金額アップキャンペーンも実施しています!
太陽光発電の地震被害に関するよくある質問
太陽光発電投資を考えている方が気になる点についてまとめました。
太陽光発電の地震被害はメーカー保証の対象?
メーカーの中には自然災害補償を付けられるところもありますが、地震・津波による被害は対象外となる場合がほとんどです。
一般的に、火災・落雷・台風・豪雪といった災害による被害が対象となります。メーカー検討時に確認するようにしましょう。
産業用太陽光発電の地震保険加入率は?
令和2年度の調査によると、50kW以上の発電所で地震保険に加入しているのは7%程度にとどまっています。
引用:資源エネルギー庁 令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(太陽光発電に係る保守点検・保険の動向等に関する調査)報告書
火災保険の加入率が82%であるのに比べると、地震保険の加入率はとても低いと言えるでしょう。
地震保険は火災保険と併せて加入する必要がある上、一般的な損害保険に比べると掛け金が高い傾向があります。利回りを高く保つため、入らない場合が多いのかもしれません。
産業用太陽光発電の地震保険の保険料の相場は?
地震保険の保険料は、設置場所の都道府県や設備工事費用によって大きく異なります。一般的には火災保険の保険料30~50%にあたると言われています。
つまり、保険料を1.5倍支払えば、火災保険と地震保険に入れると考えて良いでしょう。あくまでも目安ですので、詳しくは保険会社に確認するようにしてください。
まとめ
今回は、地震による太陽光発電のリスクを解説しました。
地震大国と呼ばれるだけあり、どうしても避けられない地震による被害。
万が一のことが起こっても、しっかり対応できるように保険に加入しておいたり、安全な土地に購入しなおすなど備えておくのをおすすめします。
この記事を書いた人
ikebukuro