新電力はなぜ安い?電気代高騰の今、料金が安くなる仕組みやを解説
- 公開日:2024.12.10
- 更新日:2024.12.10
新電力とは、2016年4月に一般家庭向けの電力小売自由化が開始してから、新たに電力事業に参入した電力会社のことです。
大手電力会社よりも安い料金設定や、独自のサービスなどのメリットが多いことから、新電力に乗り換える方が増えています。
しかし、新電力がなぜ安いのか分からなかったり、停電にならないか心配だったりするかもしれません。
そこで今回は、新電力の仕組みの基本的な解説と、新電力に関する疑問を取り扱っていきます。新電力が安い理由や、どんな方に新電力がおすすめできるかも紹介しますので、電気代を下げたいという方はぜひチェックしてください。
新電力はなぜ大手電力会社より安いのか
新電力の料金プランは、大手の電力会社より安く設定されているところが多いです。ここでは、なぜ新電力会社が電気料金を安くできるのかについて解説していきます。
①電力自由化により規制料金から自由料金へ
電力自由化が始まるまで、電気料金は法律に基づき規制料金(総括原価方式)が用いられていました。
規制料金とは、電気を供給・販売するのに必要な費用に一定の利益を加えた額が、電気の販売収入と等しくなるようにする料金設定方法のことです。この方式により電力会社は一定の利益を保証されており、消費者にとっては有利なものではありませんでした。
しかし、電力自由化によって電気料金は自由料金となり、各電力会社は自由に電気料金を設定できるようになりました。
電力自由化までの歴史
電力自由化になるまでの歴史を下記の表で詳しく解説します。
2000年3月 | 特別高圧区分(原則契約電力2,000kW以上の大規模工場・オフィスビル・デパートなど)を対象として、電力自由化が開始された |
2004年4月 | 高圧区分(原則契約電力50kW以上の中小規模工場・中小ビルなど)のなかの契約電力500kW以上まで電力自由化の対象を広げた |
2005年5月 | 高圧区分(原則契約電力50kW以上の中小規模工場・中小ビルなど)のすべてを電力自由化の対象に広げる |
2016年4月 | 低圧区分(契約電力50kW未満の小規模商店や一般家庭)までを電力自由化の対象を広げる |
②新電力各社による価格競争
電力自由化以前、電気は各地域に1社しかない地域電力会社から買うしか選択肢がありませんでした。そのため、電気料金が高くても顧客を獲得でき、電気料金を下げる必要性もなかったのです。しかし、電力自由化以降、多くの会社が電力市場に参入しており、今では数百社もの新電力会社が存在しています。
たくさんの競合相手がいる中で、各電力会社には顧客を獲得していく必要が出てきました。そのため、各電力会社は自社のプランに乗り換えてもらうため、他社との差別化を図り、お得な料金プランを打ち出しています。
③新電力と他サービスのセット販売
新電力会社には、携帯電話やガス、クレジットカードなど電力以外にメイン事業を持っている会社も多くあります。そのため、メイン事業と電気プランを一緒に契約すると割引になるサービスが提供されています。
また、メイン事業での収益もあるため電気事業のみで大きな収益をあげる必要がなく、電気料金を抑えることが可能になっています。
④経費を削減して運営している
新電力会社では、運営にかかるコストを削減することで電気料金を引き下げています。ここでは、その取り組みの一部をご紹介します。
検針票を発行しない
多くの新電力会社が紙の検針票を発行せず、請求額などはネット上で確認するシステムを採用しています。紙の検針票を発行するには手数料が100円程度かかる場合が多いです。
支払い方法が限定されている
新電力会社では、決済方法がクレジットカードに限定されていたり、コンビニ払いには手数料がかかったりします。コンビニ払いに対応するには、払込票の郵送やコンビニへの決済手数料といったコストがかかるため、これらのコストをなくすことで運営経費を削減しています。
大手電力会社が続々と値上げ…その理由は?
2023年、北海道電力・東京電力・中部電力・九州電力の4社が8月分からの電気代の値上げを決定しました。
電気代が値上がりしている理由を解説します。
燃料費調整額の値上がり
一番の理由は、原油やLNGなどの電気を発電するための材料が値上がりしていることです。
電力会社の基本料金や従量料金のなどのプラン料金は変わっていなくても、燃料費調整額が上がったことにより、電気代が高くなっています。
日本は太陽光発電や水力発電などの再生可能エネルギーの割合も増えつつありますがまだまだ火力発電が主流のため、原油やLNGを材料の輸入が不可欠です。
経済活動の再開により、原油価格が高騰
経済活動の再開によって電気使用量が増えたため、原油価格が高騰が起きています。
2020年、新型コロナウィルスが猛威をふるったことにより世界的に経済活動はストップ。電力消費量も減ったことにより、原油価格は下落していました。
しかしWHOが新型コロナウィルスの終息を宣言したことにより、電気使用量が増えています。
さらに中東での石油施設の事故の影響もあり、原油の価格はますます高騰中です。
ロシアのウクライナへの侵攻
2023年における日本の電気代の値上がりしている大きな原因の1つに、ロシアのウクライナ侵攻があげられます。
ロシアは天然ガス輸出量が世界1位・石油輸出量が世界2位と、広大な領土と豊かとな資源に恵まれた国です。ヨーロッパの国はロシアの原料に30%は依存していると言われています。
戦争の影響を受け、アジアでも石炭・天然ガスなどの原料の値段が上がっています。
大手電力会社と新電力、結局どっちがおすすめ?
大手電力会社が値上げ傾向にある今、少しでも電気代を安くしようと新電力会社への乗り換えを検討している方が多くいます。
しかし、場合によっては新電力会社に乗り換えると損する場合もあるため、注意が必要です。
新電力がおすすめな人
- 基本料金をたくさん支払っている人
- ピークカットで効率よく節電ができる人
- 4~5人暮らしの人
- 今後の値上がりが心配な人
- ポイ活をしたい人
新電力会社の中には、Looopでんき・あしたでんき・楽天でんきなど基本料金が0円の会社があります。基本料金をたくさん払っている家庭は新電力に乗り換えるだけで電気代を安くすることが可能です。
アプリを使ってリアルタイムに電気代を確認できる場合も。電気代が安いピークカットの時間を利用して家事を行えば、電気代を節約できます。
たいていの新電力会社は電気を使うほどお得になるため、4~5人暮らしの家庭など電気消費量が多い場合は割引額も大きくなる傾向に。
その他にも「世界情勢によって値段の変更はしない」としている会社や、「電気代のポイント還元がある」会社などがあります。
大手電力会社が向いている人
- 電気消費量が少ない一人暮らしの人
- 最低アンペア契約が20の人
- マンション・アパートに住んでいる人
電気使用量が少ない一人暮らしの場合だと、新電力会社に乗り換えてもあまり変化がありません。
また新電力会社の中には「最低アンペア契約30以上」など、一人暮らし向けのアンペアに対応していない場合も多くあります。最低アンペア数が上がると基本料金も高くなるので、注意が必要です。
一部のマンションやアパートなどに住んでいる場合は、新電力の変更を自分でできない可能性があります。建物一括で一つの電力会社と契約しているためです。新電力に乗り換える場合は、大家や管理会社に確認を取る必要があります。
新電力の安さに関するよくある質問
最後に、新電力に関するよくある疑問に回答します。
①新電力で停電は増えない?
新たに参入してきた新電力会社では停電が増えたり電力供給が不安定になるのではないかといった心配の声が聞かれます。しかし、新電力だからといって停電になりやすいということはありません。その理由は、新電力に切り替えた後も大手電力会社と同じ送配電システムを用いて電気が供給されるため、停電するリスクも大手電力会社と変わらず、新電力と大手との間で電力供給の品質に差はありません。
②新電力会社が倒産したら?
新電力会社は小規模なものも少なくないため、倒産が心配になるかもしれません。実際に倒産した新電力会社もありますが、その場合でも電気の供給が止まることはありません。
もし契約している新電力会社が倒産した場合、その会社は契約者にいつ電気が止まるのか通知を出します。その期限までに他の電力会社と契約すれば問題なく電気を使い続けられます。
また、他の電力会社と契約できなかった場合でも、地域電力会社が電気を供給してくれるため、電気が止まることはありません。
③乗り換え手続きは面倒?
大手電力会社から新電力に乗り換えを検討している方の中には、手続きが面倒くさそうという印象を持っている方もいるのではないでしょうか。
新電力への乗り換え手続きは想像しているよりも簡単で、インターネット申し込みを使えば5分程度で申し込みが完了します。
手続きは、新しく契約する新電力に契約の申し込みをするだけ!
現在契約中の電力会社への解約手続きは電力会社同士が行ってくれるため、契約者がしなければいけない手続きはありません!
また、多くの新電力は解約金がかからないケースが多いので、新電力はどんなものかまずは契約してお試ししてみたい♪という方も気軽に契約をすることができますね。
(キャンペーンを利用して契約する場合は、契約の条件が提示されていることもあるので事前に確認しておくことをおすすめします!)
まとめ
新電力は、従来の電力会社よりお得に電気を利用することができる、私たちにとってとても嬉しい仕組みです。
新しい会社である分、電気供給の安定性や倒産が心配になることもありますが、電気の供給自体が変わるわけではないため、切り替えた後も安心して電気を使えます。
そして、新電力では様々なプランが提供されているため、自分にあったプランを選ぶことで電気代を節約したり、サービスが受けられたりします!
電気代についてお悩みの際は、新電力への切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
ikebukuro