非化石証書とは?仕組みと発行するメリット・デメリット・購入方法を簡単に解説
- 公開日:2025.03.05
- 更新日:2025.03.21

近年は、気候変動や環境問題への注目が高まる中で、さまざまな制度が誕生しています。日本でも、環境に優しいということを証明する制度も増えてきました。
非化石証書とは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーや原子力発電などの非化石電源で、発電された電力が持つ「二酸化炭素(CO2)を排出しない」という 環境価値の部分を分離して取引ができるように証書化したものです。
非化石証書には企業価値を上げられるといったメリットがありますが、一方で使用期限があって転売できないというデメリットが指摘されています。
この記事では、非化石証書について、購入できる場所・上記以外のメリットとデメリット・よくある質問などを解説します。非化石証書についてあまり知らない方は、この記事を読むことで、知識が身につきますよ。
目次
非化石証書とは
非化石証書とは、化石燃料を使わずに発電された電気の売買・取引を可能にした証書です。
非化石燃料由来の発電とは、具体的に以下のものを指します。
非化石がもつ環境価値を証書という形にして、実際に抽出した環境価値のみの売買や取引ができることを示します。
国内では、以下のような環境価値トレードの仕組みが施されています。
脱炭素を目指して環境価値を高めるために、電力会社を乗り換えるときに非化石証書を活用する電気料金プランを選択することで、環境対策の目的を果たせるでしょう。
非化石証書の仕組み
非化石証書は、化石燃料以外のエネルギーで発電された電気から、環境価値だけを取り出して証書化し、売買できるようにしたものです。
石油・石炭・LNGといった化石燃料で発電するとCO2が排出されますが、非化石燃料で発電するとCO2の排出量が削減されます。そのため、非化石燃料で発電された電気には「環境に優しい」という環境価値が付加されていると言えます。
環境価値のみを取引できるようにすることで、非化石燃料の発電設備を持っていない企業でもCO2の削減に取り組めます。また、再生可能エネルギーの発電設備の普及を促進することも可能です。
非化石証書の種類
3種類の非化石証書について、内容を詳しく解説します。理解しておくと、さらに自分の理想に合ったエネルギーを使うことができますよ。
グリーン電力証書 | 非化石証書 | J-クレジット | |
対象 | 再エネ発電由来 | 非化石燃料由来 | 温室効果ガスの削減量・吸収量 |
取引 | 発行事業者から 直接購入 |
取引市場で入札 | 仲介事業者・相対取引 |
転売 | 不可 | 不可 | 可 |
活用 | CDP・RE100・SBT |
FIT非化石証書(再エネ指定)
FIT(固定価格買取制度)で買い取られた電気の非化石証書です。
FITとは、再生可能エネルギーで発電された電気を、一定価格で一定期間電力会社が買い取る制度のこと。買取費用には、電気代に加算されている「再生エネルギー賦課金」が充てられています。
「太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの、再生可能エネルギーで発電された電気を使いたい。」「FIT制度で買い取られた電気を使って、再エネ発電所の普及に貢献したい。」という場合に使用されます。
非FIT非化石証書(再エネ指定)
再生可能エネルギーで発電されており、FIT制度で買い取られていない電気の価値を表す証書です。
大手電力会社の大型水力発電所や、FIT制度が終了した住宅用太陽光発電システムで発電された電気がこれに当たります。
再生可能エネルギー由来の電気という点では、「FIT非化石証書(再エネ指定)」と同じです。
非FIT非化石証書(指定なし)
二酸化炭素の排出量がゼロであれば、再生可能エネルギー由来の電気でなくても構わないという場合に使用されます。
原子力発電や廃プラスチックを利用したゴミ発電由来の電気が含まれます。
トラッキング付非化石証書とは
トラッキング付非化石証書というのは、再生可能エネルギー発電設備で発電された電力が電力系統に間違いなく供給されたことをトラッキング(追跡)できる非化石証書を表す言葉です。
トラッキング技術を活用することにより、電力供給源から電力使用者までのエネルギーの流れ・配分がトラッキングされることにより、発電者情報や電力が使われた場所などを証明できます。
非化石証書はGHGプロトコルや温対法・SBT認定などに使用できる
イニシアティブ | 非化石証書の活用 |
GHGプロトコル | 〇 |
温対法 | 〇 |
省エネ法 | 〇 |
SBT認定 | 〇 |
RE100 | トラッキング付非化石証書のみ |
非化石証書はGHGプロトコル・温対法・SBT認定に使用することができます。
以前は非化石証書を調達できるのは電力事業者だけでしたが、令和3年11月から電力需要家(消費者)も非化石証書を調達できるようになりました。
それに伴い、国内の法律や国際的イニシアティブにも非化石証書を活用できるようになっています。
参考:国際的な気候変動イニシアティブへの対応に関するガイダンス 経済産業省 環境省、温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度 環境省
非化石証書を購入するメリット
ここからは、非化石証書を持つメリットを紹介します。
実は、太陽光発電事業を展開している企業や小売電気事業者や消費者にとってメリットはたくさんあります。
非化石証書を活用するメリットは、以下の3つです。
- 小売電気事業者は再エネ由来の電力を安く供給できる
- 発電設備を導入しなくても再エネ由来の電気が使える
- 消費者・取引先・投資家に環境活動としてアピールできる
それぞれ詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
小売電気事業者は再エネ由来の電力を安く供給できる
非化石証書は、消費者に対して再生可能エネルギーで発電された電気を提供していることを表示できるメリットがあります。
電力の小売全面自由化によって、多くの企業が小売電気事業者として電力の販売サービスを展開するようになっているため、小売電気事業者として参入する場合、大手電力会社や新電力会社と異なるサービスの差別化を図らなければいけません。
非化石証書を取得することで環境問題に取り組んでいる消費者を集めやすく、各新電力との差別化につながるでしょう。
消費者にとって非化石証書を取得している小売電気事業者との契約は、電気料金削減のメリットにつながる可能性があります。非化石証書を取得している小売電気事業者との契約数が増えることで、再エネルギー賦課金に充てられる資金も増える可能性があるのが特徴。
そのため、電気料金を負担している消費者も再エネルギー賦課金も減らせるでしょう。
ただし、再エネルギー賦課金の負担を減らすためには、ひとりひとりが非化石証書付きの電気料金プランを利用しなければいけません。
発電設備を導入しなくても再エネ由来の電気が使える
以前は、再生可能エネルギーを活用している企業になるためには、太陽光発電設備などの再生可能エネルギー発電設備を設置しなければなりませんでしたが、再生可能エネルギー発電設備を導入するのには膨大なコストがかかるため、中小企業は断念せざるを得ませんでした。
しかし、2018年以降非化石証書購入を再生可能エネルギー電源を使用した実績として記載できるようになりました。
それにより非化石証書を購入するか、または非化石証書を購入している電気小売事業者と契約・連携することにより、発電設備の導入なしに再生可能エネルギー由来の電気を使えるようになったのです。
消費者・取引先・投資家に環境活動としてアピールできる
日本でも世界でも環境保全意識が高まっている近年、世界全体が環境活動に熱心な企業や自治体に注目するようになっています。
2018年以降は、非化石証書を活用するだけで企業が消費者・取引先・投資家に環境活動を実施している企業としてアピールできるようになりました。
非化石証書の発行のアピールを行うことで、企業価値アップにも繋がります。非化石証書が発行されていることを公式サイトなどでアピールも可能です。しかも、取引先や消費者に対して環境へ配慮している企業だということも継続的にアピールできるでしょう。
サプライヤーにも脱炭素を求めているRE100対応企業や、ESG投資を行なうようになっている投資家が増えているため、大企業との取引や投資家の支援などが期待できるようになったのです。
2025年8月です!
非化石証書のデメリット
非化石証書のデメリットを3つ紹介します。
- 自然エネルギー導入が滞る場合がある
- RE100にはトラッキング付非化石証書しか使えない
- 使用期限があり転売できない
下記でそれぞれ詳しく解説します。
自然エネルギー導入が鈍る場合がある
2021年、高度化法の義務の達成にFIT証書が使用できなくなっているのが特徴。これによって小売電気事業者は、高度化法の目的達成を優先させるため大型の水力などがメインのNon-FIT非化石証書(再エネ指定)を多く購入する必要があります。
それにより、FIT非化石証書(再エネ指定)の取引が増えず、自然エネルギーを導するのが難しい場合があるのです。
RE100にはトラッキング付非化石証書しか使えない
RE100では企業において、再エネルギーの電気を100%にするのを目標にしていますが、RE100にはトラッキング付非化石証書しか使えません。
トラッキングができない、再エネ指定の非FIT非化石証書はRE100には適用が不可能なのです。
使用期限があり転売できない
非化石証書には使用期限があります。具体的には、1~12月に発電された電力の非化石証書は、その年の4月~翌年6月までに使用した電力に環境価値として付加するといった決まりがあります。
また非化石証書は購入者しか使用できず、転売は不可なので気を付けてください。
非化石証書の購入方法
非化石証書は、2018年から売買を行う制度が誕生しました。日本卸電力取引所(JEPX)内の「再エネ価値取引市場」と「高度化法義務達成市場」で取引が行われています。
国内で非化石証書を購入できるのは小売電気業者のみでしたが、2021年から一般企業や需要家も取引可能です。
これまで通り、小売事業者と電力供給契約を結び、非化石証書の発行を行ってもらうこともできます。
非化石証書の利益は、国民が支払っている再エネ賦課金と同じ仕組みとなっており、その利益がクリーンエネルギーの資金として利用されます。
そのため、小売電気事業者は化石燃料を使う代わりに、クリーンエネルギーへの資金を提供できます。
最近では、電力業者が再エネルギーを購入するほど、国民の負担が大きくなっていくことが問題に挙げられています。
結果的に、現在も再エネルギー賦課金の価格が上昇し続けています。
一方、非化石証書は再エネルギー賦課金に対する国民の負担を軽減できることにより、注目が集まっています。
非化石証書の売上は再エネルギーの安定的な普及に役立てられるため、結果的に電気料金から再エネルギー賦課金の減額につながるでしょう。
非化石証書の市場動向
2021年から新しい制度が始まり、「再エネ価値取引市場」と「高度化法義務達成市場」という2つの市場で取引されています。
再エネ価値取引市場
FIT非化石証書のみを取り扱う市場です。従来の発電事業者と小売電気事業者だけでなく、参加要件を満たした企業・需要家も「非化石証書」を取引できます。
一般企業も参加できるようになったことで、市場規模は拡大傾向にあります。
高度化法義務達成市場
小売電気事業者が、高度化法の非化石電源比率目標を達成する際に取引する市場です。高度化法とは「エネルギー供給構造高度化法」のことを指し、資源エネルギー庁では次のように説明されています。
エネルギー供給構造高度化法は電気やガス、石油事業者といったエネルギー供給事業者に対して、太陽光、風力等の再生可能エネルギー源、原子力等の非化石エネルギー源の利用や化石エネルギー原料の有効な利用を促進するために必要な措置を講じる法律です。
エネルギー供給事業者が対象の法律なので、取引に参加できるのは発電事業者と小売電気事業者のみです。非FIT非化石証書だけが取引対象で、市場を通さない相対取引もできます。
非化石証書の価格相場
ここからは、非化石証書の価格相場27回分を表で紹介します。
約定量 | 約定最高価格 | 約定最安価格 | |
---|---|---|---|
2017 年度(通年) | 5,155,738kWh | 4.00円/kWh | 1.30円/kWh |
2018 年度(第1回) | 2,241,311kWh | 4.00 円/kWh | 1.30 円/kWh |
2018 年度(第2回) | 21,020,374kWh | 1.40 円/kWh | 1.30 円/kWh |
2018 年度(第3回) | 8,557,640kWh | 4.00 円/kWh | 1.30 円/kWh |
2018 年度(第4回) | 3,500,555kWh | 1.40 円/kWh | 1.30 円/kWh |
2019 年度(第1回) | 106,376,433kWh | 2.00 円/kWh | 1.30 円/kWh |
2019 年度(第2回) | 186,640,635kWh | 1.50 円/kWh | 1.30 円/kWh |
2019 年度(第3回) | 84,674,694kWh | 2.00 円/kWh | 1.30 円/kWh |
2019 年度(第4回) | 63,300,355kWh | 2.00 円/kWh | 1.30 円/kWh |
2020 年度(第1回) | 151,173,370kWh | 1.40 円/kWh | 1.30 円/kWh |
2020 年度(第2回) | 508,815,437kWh |
4円/kWh |
1.30円/kWh |
2020 年度(第3回) | 445,634,238kWh |
1.5円/kWh | 1.30円/kWh |
2020年度(第4回) | 350,080,634kWh |
1.5円/kWh | 1.30円/kWh |
2021 年度(第1回) | – | – | |
2021 年度(第2回) | 1,929,287,096kWh |
1.6円/kWh | 0.3円/kWh |
2021 年度(第3回) | 1,340,762,310kWh |
2円/kWh | 0.3円/kWh |
2021 年度(第4回) | 2,139,067,723kWh |
2円/kWh | 0.3円/kWh |
2022 年度(第1回) | 3,258,642,201kWh |
1円/kWh | 0.3円/kWh |
2022 年度(第2回) | 3,293,362,675kWh |
0.5円/kWh | 0.3円/kWh |
2022 年度(第3回) | 5,393,865,771kWh |
0.8円/kWh | 0.3円/kWh |
2022 年度(第4回) | 4,370,356,679kWh | 4円/kWh | 0.3円/kWh |
2023年度(第1回) | 8,505,485,167kWh | 4円/kWh | 0.4円/kWh |
2023 年度(第2回) | 8,759,781,217kWh | 0.5円/kWh | 0.4円/kWh |
2023年度(第3回) | 8,167,745,818kWh | 0.6円/kWh | 0.4円/kWh |
2023年度(第4回) | 8,408,544,754kWh | 1円/kWh | 0.4円/kWh |
2024 年度(第1回) | 14,378,652,737kWh | 0.61円/kWh | 0.4円/kWh |
2024 年度(第2回) | 11,647,557,628kWh | 0.6円/kWh | 0.4円/kWh |
参考:新電力ネット
「新電力ネット」というサイトを見てみると、非化石証書の価格相場は上記の表のようになっていました。2020年までは約定最安価格は、1.30円/kWhとなっており、価格の変動がありませんでしたが、以降は0.3円/kWhになり、現在は0.4円/kWhまで上昇していることが分かります。
一方、約定最高価格は、2017年が4.00円/kWhとなっており一番高いですね。最高価格はその年によって、かなり違いがあります。
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予算 | 指定なし ※銀行振込の最低額の購入は必要 |
kWh | 0.42円〜 |
購入量 | 1kWh |
相談費用 | 無料 |
手数料 | 無料 |
他社では、相談や購入手数料が有料、購入できる最小単位が平均100,000 kWh〜からとなっているため、余計な費用をかけず少額から非化石証書の購入ができる点もメリットです。
ちなみに、ほかの非化石証書を販売する代理店では、サービス料金が公表されておらず個別に問い合わせしなければならないことが多いですが、比較するとOFFSEL(オフセル)のサービス料金のほうが安くなっていると考えられます。
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OFFSEL(オフセル)で非化石証書を購入する流れは以下の通りとなっています。
- ①相談
- ②購入条件の確定
- ③二酸化炭素排出量のオフセット
ちなみに非化石証書を購入できるタイミングは年に4回、8・12・2・5月の市場会場月です。
相談から10日程度で購入条件の確定まで行うことができ、市場会場月に非化石証書を調達、閉場から10日ほどで権利の移転が完了します。そのため、年4回の購入タイミングに合わせて相談した場合、1〜1.5ヶ月ほどでで購入からオフセットまで可能です。
ただし、どこのどのような発電所で発電された電気なのかを認識できる情報を付与するトラッキング指定を希望する場合には、購入前に申請が必要となりますので早めの相談が必要です。
トラッキング付きの非化石証書は、国際的なイニシアチブに使用することが可能となっています。そのため、世界に対しても企業の環境への配慮をアピールが可能となるメリットがあるのです。
2025年8月です!
非化石証書・グリーン電力証書・Jクレジットの違い
非化石証書とグリーン電力証書、Jクレジット。それぞれ似ていますが、異なる部分もあります。
ここからは、非化石証書とグリーン電力証書、Jクレジット、それぞれの違いを解説していきます。
非化石証書 | グリーン電力証書 | Jクレジット | |
発行者 | 低炭素投資促進機構 | グリーン電力証書発行事業者(民間) | 経済産業省・環境省・農林水産省 |
由来 | 化石燃料以外のエネルギー(原子力含む) | 自然エネルギー | 企業や自治体によるCO2削減量・吸収量 |
購入対象 | 小売り電気事業者 | 企業・自治体など | |
購入方法 | ・非化石証書取引市場で入札 ・仲介事業者から購入 |
グリーン電力証書発行事業者から購入 | ・Jクレジット制度事務局が実施する入札 ・仲介事業者から購入 |
単価(1kWh) | 0.3~4.0円 | 2~7円 | 0.26~1.3円 |
転売 | 不可 | 不可 | 可 |
グリーン電力証書
グリーン電力証書とは、風力発電や太陽光発電、水力発電など、自然エネルギーや再生可能エネルギーなどから発電された電気の環境価値を証書化したモノです。
グリーン電力証書は、証書発行事業者から購入できます。
グリーン電力証書を購入することで、CO2排出削減や温室効果ガス問題への対策に取り組んでいるという意思表明としても使えます。
そのため、企業や消費者ともに、環境への関心を高められるでしょう。
Jクレジット
Jクレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によって起こるCO2排出の削減量や森林管理などの吸収量を国がクレジットとして認証する制度です。
このクレジットを持っていることで、温室効果ガスなどの排出量削減への取り組みに積極的だということの証明になります。
企業や自治体などが省エネルギー機器や再生エネルギーの導入を積極的に取り入れていることや、森林管理や保護の取り組みを行っていると国から認められます。
また、温室効果ガスの排出削減量や吸収量がクレジットとして可視化されるため、どのくらい環境対策に取り組んでいるのか、消費者側からでも分かるでしょう。
2025年8月です!
非化石証書に関するよくある質問
非化石証書について疑問に思う方が多い点についてまとめました。
非化石証書のトラッキングとは?
トラッキングとは追跡するという意味です。「トラッキング付き非化石証書」とは、どこの発電所で発電された電気なのかという情報が付与されている非化石証書を指します。
トラッキング付き非化石証書は、RE100の取り組みに活用するために作られました。RE100とは、企業や自治体などが、事業で用いる電気の100%を再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブです。
非化石証書をRE100に活用するためには、「トラッキング付き非化石証書」もしくは「非FIT再エネ指定非化石証書」でなければいけません。
非化石証書はどこで購入できる?
一般の電力需要家は、以下の方法で非化石証書を購入できます。
- 再エネ価値取引市場で購入
- 小売電気事業者・仲介業者を通じて購入
再エネ価値取引市場で非化石証書の取引に参加するためには、日本電力取引所の会員にならなければならず、入会金(11万円)や年会費(12万円)を支払う必要があります。
少額・小単位から手間をかけずに非化石証書を調達したい場合は、仲介業者の利用がおすすめです。
非化石証書を購入せずに脱炭素に取り組む方法は?
電力会社で、再生可能エネルギー由来の電気を供給するプランを契約する方法があります。
大手電力会社や新電力の中には、非化石証書を利用して実質的に二酸化炭素排出量を削減できるプランをもつところもあります。
プランによって、二酸化炭素削減の割合や、活用する非化石証書の種類、料金単価などが異なりますので、比較してみてください。
非化石証書は意味がない?
非化石証書の制度は、再生可能エネルギー発電設備を持たない団体が二酸化炭素の削減に取り組めるのに加えて、再生可能エネルギー発電設備普及の促進にも繋がるため、意味があると言えます。
これまで解説したとおり、非化石証書は、非化石燃料で発電した電気から環境価値のみを切り離して取引できる制度です。
現在再生可能エネルギー発電設備は、FIT制度によって普及が促進されています。しかし、FIT制度の財源は再生可能エネルギー促進賦課金であり、電気を消費する全ての人に負担がかかっています。
今後、非FIT再エネ指定非化石証書の需要が高まれば、FIT認定を受けずに再生可能エネルギーの発電設備が普及する後押しとなるでしょう。
非化石証書はいつまで有効?
非化石証書には使用期限があります。1~12月に発電された電力の非化石証書は、4月~翌年6月までに使用した電力に環境価値として付加できます。
日本卸電力取引所の入札は8月・11月・2月・5月に行われます。どの時期に購入した証書でも、使用期限は6月です。
非化石証書は転売できる?
非化石証書は転売できません。制度上、購入者が必ず使用するように定められています。
ちなみに、グリーン電力証書も転売することはできません。J-クレジットは転売可能です。
まとめ
本記事では、非化石証書の仕組みや購入方法、発行するメリットを紹介していきました。
非化石証書とは、化石燃料を使わずに発電された電気の売買・取引を可能にした証書です。
非化石がもつ環境価値を証書という形にして、実際に抽出した環境価値のみの売買や取引ができることを示します。
非化石証書を活用するメリットは、以下の3つです。
- 小売電気事業者は再生エネルギーの提供を表示できる
- 消費者は電気料金削減つながる可能性もある
- 太陽光発電関連の企業は企業価値をアップできる
そのため、実際に非化石証書を発行するメリットは大きいと言えるでしょう。
(参考:非化石証書|新電力ネット)
この記事を書いた人
ikebukuro