改正FIT法で太陽光発電所のフェンス設置が義務化に!設置基準や例外について解説
改正FIT法により、太陽光発電ではフェンスの設置が定められました。
これから太陽光発電所を設置しようと考えている方は、フェンスを設置する要件や、フェンスの選定方法について、しっかりと理解しておくことが大切です。
2017年の改正FIT法で太陽光発電所のフェンス設置が義務化
設置要件、および設置の例外について解説します。
太陽光発電所のフェンス設置要件
フェンスの設置要件は、以下6つです。
①外部から簡単に太陽光発電設備が触れられないように十分距離を取ること
1つ目の要件は、外部から簡単に太陽光発電設備が触れられないように十分距離を取ることです。
太陽光発電には、電気が流れているため、仮に漏電などが発生していた場合に、触ってしまうことで感電する可能性があります。
そのような事態を防ぐためにも、太陽光パネルやパワコンなどの設備まで、十分な距離の確保が求められます。
事業計画ガイドラインにおいて、具体的なフェンスや柵から設備までの距離はどの程度離す必要があるかは定められていません。
設置するにあたって、ただ決められているから設置するのではなく、なぜフェンスを設置する必要があるのか、意味を理解してフェンスを設置する必要があります。
②外部から立ち入ることが出来ない高さにすること
2つ目の要件は、外部から立ち入ることが出来ない高さにすることです。
フェンスの高さは高ければ高いほど、太陽光発電の敷地内に侵入ができません。
高さにおいても、発電設備への距離と同様に、具体的な高さは定められていませんが、一般的には120cmを超えるフェンスの設置が推奨されています。
例えフェンスを設置したとしても、高さが100cm以下のようなフェンスの場合、大人であれば簡単に乗り越えることが可能です。
また、フェンスの高さだけでなく、フェンス上部の造りにも意識する必要があります。
上部が丸くなっている簡単に越えられそうなフェンスの場合も、乗り越えられてしまう可能性が高いです。
フェンスを設置しているため、すぐに是正を求められることは少ないかもしれませんが、可能であれば、外部から侵入不可能な高さのフェンスを設置することが理想です。
③金網フェンスなど簡単に撤去できない素材を利用すること
3つ目の要件は、金網フェンスなど簡単に撤去できない素材を利用することです。
フェンスの素材にどんな素材を使用するかも、ガイドラインでは特に定められていません。
しかし、フェンスを設置する目的には、外部から太陽光発電設備に近付けなくする目的があります。
そのため、ロープやガードパイプなどのような第三者が簡単に破損したり、撤去したりできてしまうものは避け、簡単に撤去できない金網フェンス素材や、しっかり固定できるようなフェンスを選定しましょう。
④出入口を施錠等をすること
4つ目の要件は、出入口を施錠等することです。
しっかりとフェンスの出入り口は、鍵をつけるようにしましょう。
せっかく十分な高さもあり、撤去が難しいフェンスや柵塀を設置したとしても、出入口から簡単にフェンスの中に入れてしまっては、フェンスを設置した意味がありません。
鍵の種類に関しては、ガイドライン上で定められていませんが、簡単に鍵が開けられたり、壊されたりしないような鍵を使うようにしましょう。
⑤外部から見えやすい位置に立入禁止の看板を取り付けること
5つ目の要件は、外部から見えやすい位置に立入禁止の看板を取り付けることです。
立入禁止の看板をフェンスや柵塀に取り付けることもガイドラインで定められています。
立入禁止表示は、表示場所に関して細かな場所まではガイドラインで指定されていませんが、見えない部分に表示しても、他の人が気付けなければ表示する意味がありません。
そのため、子供でも大人でも、すぐに見つけられる分かりやすい位置に表示することが大切です。
また、太陽光発電は屋外に設置されることが一般的なため、風雨などですぐに劣化しないような、一般的に看板で使用されている材質を利用することが望ましいです。
⑥上記①~⑤は遅くても発電設備の運用開始前に取り付けを完了させること
6つ目の要件は、上記①~⑤は遅くても発電設備の運用開始前に取り付けを完了させることです。
太陽光発電設備を設置した場合は、可能な限り迅速にフェンスや塀を設置することが理想的であり、遅くても太陽光発電の運転を開始させる前に設置しておく必要があります。
また、平成29年の3月31日よりも前に太陽光発電設備を取得している場合においては、改正FIT法の事業計画認定がされた日から1年が経過する前にフェンスや塀を設置しなければいけません。
2017年4月1日時点でみなし認定となった設備においては、2018年3月末までです。
フェンスや塀が設置されていない場合には、事業計画認定が消滅されてしまう可能性があるため注意が必要です。
太陽光発電所のフェンス設置の例外
フェンス設置の例外条件は、以下3つです。
①塀つきの庭などに設置する場合
1つ目の例外条件は、塀つきの庭などに設置する場合です。
屋根置きや屋上置きなどでフェンスや塀などの設置が難しい場合や、塀つきの庭に太陽光発電を設置する場合などは、塀がフェンスの役割を果たすため、第三者が太陽光発電設備に近付けないため、フェンスを設置しなくても問題ありません。
また、位置的に第三者が太陽光発電設備に近付くことができないため、このような場合もフェンスの設置は例外になります。
②設置場所が行動から相当程度離れた距離にある場合
2つ目の例外条件は、設置場所が行動から相当程度離れた距離にある場合です。
相当程度離れた箇所と言っても、何m離れていればフェンスを設置する必要がないのかと言うことは明確に定められていません。
自分で距離があると判断した場合でも、フェンスを設置しなくて良い例外条件として認められない場合もあります。
そのため、フェンスが本当に不要なのか必ず確認を取り、自分で判断しないようにしましょう。
③10kw以上50kW未満の営農型太陽光発電でフェンス設置に支障が生じる場合
3つ目の例外条件は、10kw以上50kW未満の営農型太陽光発電でフェンス設置に支障が生じる場合です。
営農型太陽光発電とは、ソーラーシェアリングとも呼ばれ、農業の土地を使って太陽光パネルを設置する方法のことです。
フェンスを設置することで、農業で利用するトラクターなどの出入りができなくなってしまうような、農作業に支障が発生してしまうような場合には、10kw以上50kW未満の営農型太陽光発電に限り、フェンスの設置義務の例外となります。
太陽光発電所にフェンスを設置するメリット
太陽光発電所にフェンスを設置するメリットは、以下3つです。
子供が入ってしまうのを防げる
空地に設置されている野立て太陽光発電所の場合は、子供たちにとって魅力的な遊び場になる可能性が高いです。
万が一、設置していなかった際には、子供達が簡単に入れてしまいます。
しかし、しっかりとフェンスを設置すれば、いたずらにより壊されてしまう心配もありません、万が一、太陽光発電設備から漏電していた場合にも、子供が機器に触れて感電してしまう事故を防止できます。
防犯対策になる
近隣に何もないような野立ての太陽光発電所だと、ケーブル盗難などの被害に合う可能性があります。
太陽光発電所では、太陽光パネルよりも運びやすく、シリアル番号がないため盗難か特定が難しいといった理由で、ケーブルが盗難されるケースが多いです。
しかし、設備の周りに第三者が勝手に入れないようにフェンスを設置することで、このような盗難リスクを減らせます。
獣害防止
太陽光発電設備は人里から離れた場所に設置されることも多いです。
そのため、野生の鹿や猪などが発電所に侵入し、野生動物の力は人間よりも強いためパネルに衝突して太陽光パネルなどの機器を壊してしまう可能性があります。
そんな時にでも、フェンスを設置しておけば野生動物が太陽光発電設備に衝突する事態を防ぐことが可能です。
しかし、衝突されることですぐに壊れてしまうようなフェンスでは、買い直しなどによりコストがかかってしまうため、野生動物の力に耐えられるような耐久性が高いフェンスを選ぶようにしましょう。
太陽光発電所におけるフェンス設置のポイント
太陽光発電所におけるフェンス設置のポイントは、以下5つです。
サビにくい素材を選ぶ
まず、フェンスは耐久性が高くサビにくい素材を選びましょう。
サビにくい素材のフェンスには、ロールフェンスやメッシュフェンスがあります。
太陽光発電設備は屋外に設置されることがほとんどであり、フェンスは風雨を受けます。
さらに、海沿いに設置されているような場合は、塩害の可能性もあるため、サビにくい素材を選ぶことがポイントです。
敷地の中が見えやすい形状を選ぶ
フェンスには、多くの種類が存在しますが、太陽光発電所に設置する場合は、敷地の中が見えやすい形状のフェンスを選びましょう。
具体的には、メッシュタイプが最適です。
メッシュタイプのフェンスを使用すれば、例えフェンスが高くても敷地内の様子が確認できます。
仮に誰かがフェンスに侵入していたとしても、外から中が確認できるフェンスであれば、すぐに発見することが可能です。
しかし、敷地の中が見えないようなフェンスを設置してしまうと、侵入されても外側から確認できず気付くのが遅れてしまいます。
そのため、フェンスを選ぶ際は、敷地の中が見えやすい形状のフェンスを選択しましょう。
よじ登りが防止できるものを選ぶ
前述しましたが、フェンスの高さに関して、経済産業省の「事業計画ガイドライン」では明確に数字が定められていません。
簡単に登れる高さでは意味がないため、人が乗り越えづらい高さのあるフェンスを選ぶようにしましょう。
また、上部は養生がされていなく、鉄線が張られているようなフェンスを利用することで、侵入防止効果は高くなります。
しかし、このようなフェンスの場合は、資材の追加費用がかかってしまうため、設置場所の状況に応じて検討すると良いでしょう。
施工業者の信頼性で選ぶ
実績があり信頼性が高い施工会社を選ぶことも、フェンスを設置する上で重要なポイントです。
工事の実績が非常に少ない業者や、実際に設置した事例が公開されていないような業者では、設置に不備が生じる可能性も考えられるため、注意が必要になります。
フェンスや施工費は決して安いものではありませんので、信頼できる施工会社を選ぶようにしましょう。
また、もしそのような業者が無い場合は、インターネットで実績や口コミを調べ、信頼性の高そうな業者を選択するのがおすすめです。
設置費用で選ぶ
一般的に50kWの太陽光発電に必要とされる面積は750平方メートル程度であり、周囲の長さは100m以上必要です。
フェンスや塀は、1mあたり約4,000~5,000円が一般的な費用のため、フェンスの設置には、約50万円かかることになります。
このように、設置費用は決して安いものではありませんので、複数の業者で設置費用を比較し、無理の無い設置費用の業者を選ぶようにしましょう。
まとめ
改正FIT法により、太陽光発電にフェンスを設置することが定められました。
設置するにあたり、外部から簡単に太陽光発電設備が触れられないように十分距離を取ることや、外部から立ち入ることが出来ない高さにすることなどの要件があります。
また、塀つきの庭などに設置する場合や設置場所が行動から相当程度離れた距離にある場合などは設置しなくて良いという例外の条件もあります。
そのため、これから太陽光発電所を設置しようと思われている方は、改正FIT法について十分理解することが大切です。
フェンスを選定する際にも、いくつかのポイントがありますので、しっかりと理解し適切な対処を取りましょう。
参考:
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