産業用太陽光発電の廃棄費用はいくら?撤去費用の積立て義務も解説

太陽光発電パネルには、環境にとって有害な物質が含まれているため、撤去や廃棄処分は法令で決められた手順で行う必要があります。
太陽光発電投資を開始している人にとってはどれくらいのお金を準備すべきか、これから始める人にとっては利回りへの懸念があるのではないでしょうか?
この記事では、どれくらいの費用負担が発生するのか、2021年1月に発表された最新情報も参考にご紹介します!
太陽光発電設備の廃棄にはお金がかかる?
太陽光発電設備の撤去にはまとまったお金がかかります。
住宅用であれば10万円ほどが相場です。その中で大部分を占めるのは太陽光発電パネルなので、産業用で大容量の設備を設置している場合は比例して多額の費用が必要になります。
1kWあたりの廃棄費用
1kWあたりの処分費用は1~2万円程度と言われています。
家庭用で主流の5kWH程度のものであれば10万円、投資として発電する10kWhであれば20万円、20kWhであれば40万円かかる計算となります。
ただし、コンクリート基礎やスクリュー基礎などの場合はこうした基礎を撤去するのにもお金がかかるため、1kWあたり2万円を超える場合も珍しくありません。
また、住宅用太陽光発電の場合、屋根の架台の撤去費用も必要になるケースもあります。
廃棄費用はFIT価格の中に含まれている
実は太陽光発電の廃棄費用はFIT価格の中に含まれており、売電収入内で費用がまかなえるように設定されています。
1kWあたりの処分費用は1~2万円程度と前述しましたが、プラスで費用を準備するというわけではなく、事前に積み立てておくという認識の方が良いかもしれません。
卒FITを迎える発電所増加における3つの廃棄問題
①放置・不法投棄
太陽光発電購入時に廃棄費用を含めたシミュレーションを実施しておらず、廃棄費用がどのくらいかかるかを知らない所有者もいるようです。
運用期間中に廃棄費用を積み立てしていないと、太陽光発電所を撤去することが決まってから費用を準備しなければならなくなります。
そうなってしまうと、廃棄費用が準備できず発電所を放置したり、正しい方法で破棄できず不法投棄されてしまうかもしれませんよね。
前述しましたが、廃棄コストはFIT価格の中に含まれているものです。
太陽光発電所の所有者としての管理責任を果たすため、忘れずに積み立てし、事前に準備しておきましょう。
②有害物質
破損した太陽光パネルから雨などで鉛などの有害物質が流出するなどの危険があります。
放置や不法投棄による流出だけでなく、適切な埋立をしておらず、雨水などにより流出するというパターンもあります。
パネルの種類や製造年度によっては、日本四大公害病のひとつである「イタイイタイ病」を引き起こしたカドミウムが含まれているものもあります。
※日本製のパネルにはカドミウムは含まれていません
③リサイクル
太陽光発電モジュールには、銀などの有用な物質が入っています。
こうした金属は、太陽光発電に限らず「都市鉱山」として近年注目を集めていて、特に資源に乏しい日本では貴重な資源と言えます。
もちろん、リサイクルが適切に実施されることで有害物質の問題も軽減されるので、しっかり取り組むことが重要です。
太陽光発電の廃棄費用の積立は義務化されている?
結論、FIT制度適応の場合、0.66~1.33円/kwhの積立が必要です。
FIT制度の買取価格は、取得費用・メンテナンス費用・撤去費用を支払っても適切な利潤が得られる金額が設定されています。
そのため、FIT制度では、資本費の5%を廃棄費用として計上し積み立てるという努力義務を設けられています。
また、10kW以上の産業太陽光発電の場合、2018年7月から定期報告に廃棄費用の項目が追加されているため、どのくらいの金額がを積み立てているか報告することが義務化されています。
実際の撤去費用の積み立て実施率は低い?
実際に撤去費用を積み立てている事業者・投資家はとても少ないと言われています。
こうした背景から、FITの買取事業者が源泉徴収的に積み立てること、積立を努力義務ではなく義務化することなどが検討されています。
太陽光発電を撤去するのではなく売却するのもひとつの手段
太陽光発電を撤去するには費用負担がかかるだけではなく、業者手配といった手間もかかります。
こうした点から、破損などがなければ売却をするというのも手段の一つといえます。
太陽光発電を廃棄しないで売却するメリットとしては、積み立てができていなくても売却益でローンを返済したり、手間なく処分できることなどが挙げられます。
一方、売却するよりもしっかり積み立てて故障するまで投資を回収することで利益を最大化できる場合もあるのでどちらがよいかはしっかりとシミュレーションをしてから考えることをおすすめします。
まとめ
産業用太陽光発電の撤去費用について解説してきました。
撤去にはまとまったお金がかかるのでしっかりと積み立てて、出口戦略まで考えて投資をすると良いでしょう。
投資では利益を出しているのに撤去費用で貧乏になってしまったら元も子もありません。
会社で言えば黒字倒産のような事態に陥ってしまう可能性もあるので、準備を欠かさずにしておくようにしましょう。
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