【工場の省エネを行う方法とメリットとは】コスト削減と環境問題改善に向けた取り組み

工場における「省エネ」とは単純に経費削減のためだけではなく、近年では菅元首相の「2050年カーボンニュートラル宣言」により日本で始まった、二酸化炭素の削減にも役立ちます。
省エネはもはや経費削減のためだけのものではなく、二酸化炭素排出量の削減という国策のひとつとなっているため、国も積極的に支援を行っている分野です。
では、工場の省エネを行うための具体的な方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
また工場の省エネを行うことには、経費削減と二酸化炭素の排出量削減以外にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、工場における省エネが重要視される理由やメリット、工場で省エネを行う場合の具体的な方法などについて解説していきます。
この記事の目次
なぜ工場の省エネが重要視されているのか
企業が収益を改善するためには、2つの大きな方法があります。
その2つとは
- 売上を伸ばすこと
- 企業・工場内のコストの削減を行う
ことです。
売り上げを伸ばすためには投資や人材、時間などが必要になることからリスクも大きくなりますが、企業努力によるコスト削減はローリスクですぐに行うことができます。
この企業努力によるコスト削減の方法の1つが、省エネ対策とです。
どのような業種であっても、省エネ対策はコスト削減に大きく役立つ方法です。
特に工場やプラントのように多数の製造設備を稼働させる製造の現場では、非常に効果的な方法ですね。
製品を製造するためだけではなく、従業員の労働環境を快適に整えるための空調設備や照明設備の稼働にもエネルギーを消費しています。
さらに工場内のセキュリティーシステムの稼働にも、エネルギーは消費されます。
このように工場やプラントなどの製造現場では一般家庭とは比較対象にならないほどの大量のエネルギーを消費するため、それに伴って二酸化炭素の排出量も膨大なものになってしまいます。
非常に大量のエネルギーを使用する工場がエネルギー対策に取り組むことは、現在地球全体で起っている環境問題の改善へ取り組むことと同様の意味を持ちますね。
地球温暖化をはじめとした数々の環境問題は、重要な全人類共通の課題であると言えます。
工場やプラントを持つ製造業をはじめとした企業が省エネに取り組むことでコスト削減を実現し、地球環境問題の改善にも役立つことができるのです。
製造業の工場における電力の使用比率
製造業を行う工場などの使用電力の比率は約8割が生産設備、残りの約2割が空調や照明などの一般設備です。
この比率は製造業全般に関するものなので、製造する製品によってこの比率に違いが出てきますよ。
この2つの使用電力のうち生産設備の使用電力を削減するためには、設備の買い替えなどのための高額なイニシャルコストが必要です。
また、製造している製品により電力削減を行うための方法も異なります。
この2つの種類の使用電力量を抑えて、省エネを実現する必要がありますね。
工場の省エネを行う3つのメリット
工場やプラントなどの生産設備の省エネを実現した場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、省エネを行った場合のメリットについて解説していきます。
①ランニングコストを削減できる
省エネ対策を行う際には、これまで使用してきた設備を省エネタイプのものに交換することもあるでしょう。
この方法では高額なイニシャルコストが必要になるケースもありますが、その分ランニングコストを抑えることができるため、意外に早くイニシャルコストにかかった費用を回収することができます。
また省エネタイプの設備を導入する場合には、国や自治体から助成金や補助金が下りるケースもあるため、これらを活用してイニシャルコストを低く抑えることが可能です。
②設備の経年劣化を緩やかにすることができる
工場で省エネ対策を行う場合には、設備を省エネタイプのものに新調するケースもあります。
しかし、設備を新調しなくても定期的にメンテナンスを行ったり、使用していない照明を消すなどの基本的な方法で省エネを行うことも可能。
油圧装置を例にとると、長期間使用していると油圧装置の作動油に不純物が混入しフィルターが目詰まりしてしまったり、機械自体に負担を与えてしまったりしてしまいます。
このような事態を避けるために定期的にメンテナンスを行うことにより、エネルギー効率が高くなるだけではなく設備自体の寿命が長くなります。
また使っていない照明や電気のスイッチをこまめに切る、節水を行うなどの方法により設備への負担を軽くできますよ。
結果として設備の経年劣化を緩やかにして寿命を長寿化させ、なおかつ省エネを行えるようになります。
③企業のイメージアップ
1979年に「省エネ法」が施行され、2018年に改正されました。
その際に事業者クラス分け評価制度が導入され、省エネ法で提出が義務付けられた定期報告書をもとにして事業者をSクラス、Aクラス、Bクラスとランク付けするようになりました。
Sクラスの評価を受けた事業者は、経済産業省のホームページで優良事業者として公表されるという仕組みになっていますよ。
さらに、省エネ対策に対する取り組みの内容やその成果を購買者にアピールすることで、企業やその企業が製造する製品のイメージアップを行うことができます。
その一環として、企業の社会的責任(CSR)の観点から見ても企業価値が上がり、資金調達や営業活動などの場面での良いアピール材料となるでしょう。
工場で省エネを行う具体的な方法とは
工場で省エネを行うということには、多くのメリットが存在することがお分かりいただけたと思います。
では、工場で省エネを行うためには具体的にどのような方法を用いればよいのでしょうか。
ここでは、工場で省エネを行う場合の具体的な方法について解説していきます。
①太陽光発電システムを導入し電力を自社生産する
太陽光発電システムを導入すると、日中に工場やプラント内で使用する電力を生産することができるため、電気料金を大幅に引き下げることが可能になります。
太陽光発電システムを使用して発電する電気は二酸化炭素を全く排出しないクリーンなエネルギーであり、二酸化炭素の排出削減にも役立ちますよ。
しかし、デメリットとして高額なイニシャルコストが必要となるという点が挙げられます。
このようなデメリットは、国や自治体の補助金や助成金、それに加えて税制優遇を活用することで軽減することができ、イニシャルコストも早期に回収することができるようになるでしょう。
②蓄電池を利用し電気料金が安い時間帯に電気を充電しておく
蓄電池は主に太陽光発電システムとセットで利用するもので、日中に太陽光発電システムで発電した電気を蓄電池に溜めておき、電気料金が高額な時間帯にこの溜めておいた電気を使用することで、電気料金を抑えることができます。
蓄電池のみを使用する場合には、電気代の安い時間帯に電気を蓄電池に溜めておき、電気代が高い時間帯にこの溜めておいた電気を利用することで、電気料金を節約することができます。
③新電力を利用して電気料金を削減する
「新電力」とは電力の自由化により電気事業に新規に参入した電力会社のこと。
現在使用している電力会社をこの新電力の電力会社に乗り換えることで、イニシャルコストをかけずに電気料金を低く抑えることができるケースがあります。
大手電力会社と新電力会社のどちらが電気をお得に利用できるかということについては、工場やプラントがある地域や使用する電力の規模により異なるため、全ての企業が新電力会社に乗り換えることでコストを削減することができるとは一概にはいえません。
そのため、新電力会社に乗り換えを検討する場合には綿密なシミュレーションを行う必要があります。
また、現在新電力を利用している場合でも、新たにできた新電力会社に乗り換えたほうが電気代がお得になるケースもあるので、見直しをしてみることをおすすめします。
④照明に人感LED照明を利用する
照明をLEDに取り替えることで、電気料金を水銀灯の3分の1に削減することができます。
また、工場やプラント内では人がいない場所でも照明がついている場所が多く、一般的な物流センターを例にとるとその点灯率は約2割程度といわれており、残りの約8割程度の場所では人がいないにも関わらず照明がついているという状態になっているといわれています。
このような無駄な照明を効率よく消灯するためには、人の手だけでは限界がありますね。
そこで人感センサーを利用することで、人がいない場所の照明を確実に消灯することができ、電気料金を節約して省エネを行うことができます。
⑤空調自動管理システムの導入
空調を利用する場合、設定温度を1度下げるだけで電気料金の約1割が削減可能。
また空調設備を最新のものに乗り換えると使用電力の削減を行えますが、空調設備の入れ替えには高額なイニシャルコストが必要です。
空調設備の入れ替えを行わず、また快適ではない環境下で従業員に仕事をさせないために行える空調に関する省エネに、低いイニシャルコストで行える「空調自動管理システム」の導入というものがあります。
一般的なエアコンでは、冷房を25度に設定した場合に室温が25度になった場合にコンプレッサーがオンになり、22度になった時点でオフになります。
このように、エアコンの設定温度と実際の室温には2度程度の誤差が生じます。
工場内の室温を快適な常に快適かつ省エネの観点から見ても理想的な温度に調整するのは、人の手だけでは難しいというのが現状。
そこで、空調自動管理システムを導入することで、常に快適かつ省エネになる室温を保つことができます。
空調自動管理システムとは、外部の気温から室内を何度に設定すれば快適な室温を保てるかを自動的に計算して室温の設定を行い、室内のどの場所においても室温を快適に保つことができるシステムのこと。
この空調自動管理システムのメリットは、空調設備の入れ替えに比べて低いイニシャルコストでの導入が可能であるという点と、ランニングコストがかからないという点ですね。
⑥電気の基本料金を下げるためにデマンドコントロールシステムを利用する
デマンドコントロールシステムとは、その名の通りデマンド(ここでは使用電力の瞬間値・kW)をコントロールするシステム。
そもそも電気料金は、基本料金と使用した電力料金、消費税の合計で決まり、この中の基本料金は、単価×契約電力(最大デマンド)×力率割引によって決まります。
30分間の平均使用電力のことをデマンド値といい、そのうち一番消費電力が高かった値を最大デマンドと呼びます。
契約電力は過去一年間に記録したデマンド値の中で最も高い値によって決定されるので、最大デマンド値をコントロールすることで基本料金を安く抑えることができます。
デマンドコントロールシステムを活用して最大デマンド目標値を超過しないように設定を行い、照明や空調などを自動的にコントロールすると、基本料金を低く抑えることができるという仕組みになったいます。
⑦電気使用状況を「見える化」して無駄な電気を使っていないかチェックする
省エネ対策を行う前に、自社の工場やプラント内のどこでどれぐらいの電力が使用されているのか把握しておくと、省エネ対策が立てやすくなりますよ。
そのため、エネルギーマネジメントシステムを導入して、現在使用している電力量をデータ化して「見える化」すると、どこで無駄な電力を使用しているかということを把握しやすくなります。
このようにして使用電力を見える化すると、経営者だけではなく担当者や従業員に至るまで省エネに関して高い意識を持つことができますね。
⑧熱交換器の清掃
熱交換器とは空調設備の室内機と室外機に使用されている機器で、室内の温まった空気を冷やし、熱を室外に放出するという役割があります。
定期的に熱交換器の洗浄を行うことで、長い期間洗浄を行わなかった場合と比較すると、約27%の節電を行うことができたというケースもあります。
工場の熱交換器の清掃の頻度は3年に1度を目安に行うとされていますが、さらに清掃の頻度を上げることで省エネを行うことができますよ。
まとめ
ここまで工場が省エネを行う目的やメリット、その方法について解説してきました。
工場の省エネはもはや企業自体の経費削減だけの問題だけではなく、地球環境を守るために必要なことであることがお分かりいただけたと思います。
併せて工場の省エネを行う際の具体的な方法についても解説してきましたが、その中には低いイニシャルコストで行うことができるものもあるので、すぐにでも実行してみることをおすすめします。
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