金融商品仲介業者(IFA)とは?相談するメリット・デメリットや選ぶ時の注意点を解説

  • 資産運用
  • 公開日:2024.12.13
  • 更新日:2024.12.13
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金融紹介仲介業者とは独立系ファイナンシャルアドバイザー(Independent Financial Advisor)のことで、IFAという略称でも呼ばれています。

欧米では一般的ですが、日本ではまだまだ歴史が浅く、言葉だけは知っていてもよく分からないという人が大半ではないでしょうか。

金融紹介仲介業者(IFA)とは何か、メリットやデメリット、手数料の仕組みなどについて、初めての方でも分かりやすいよう分かりやすく解説していきます。

金融紹介仲介業者(IFA)とは

出典:楽天証券

IFAとは独立系ファイナンシャルアドバイザー(Independent Financial Advisor)の略で、日本での正式名称は「金融商品仲介業」です。

『最近、日本でもよく見かけるFPとどう違うの?』

『銀行や証券会社の窓口でも、ファイナンシャルアドバイザーって見かけるよね』

IFAが従来のFPや金融機関窓口にいるファイナンシャルアドバイザーと違うのは、特定の金融機関に所属しない「独立系」のアドバイザーであることです。

また、ファイナンシャルプランナーは、募集人や外務員の資格が無いと具体的な金融商品の説明や募集をしてはいけないことになっています。資産管理や資金運営などの総合的なアドバイスや相談を請け負い、金融商品の紹介はあくまで副次的な業務です。

しかし、IFAは証券外務員の資格を有し、日本証券業界に登録をしているので、様々な金融機関の商品について具体的に説明し、取り次ぐことがメイン業務となっています。

金融紹介仲介業者(IFA)の仕組み

金融紹介仲介業者(IFA)は特定の証券会社の社員ではなく、複数の金融機関と業務委託契約を結び、金融商品の仲介・取次業務を行います。

顧客には基本的に無料で資金運用の相談や金融商品の紹介を行い、顧客が金融商品を購入すると、委託元の金融機関から手数料が支払われるという仕組みです。

顧客はIFAには直接手数料を支払わず、証券会社の窓口で購入した時と同じ販売手数料を証券会社に支払います。(後で述べるように、顧客から一定のコンサルティングフィーを徴収するIFAもあります)

金融機関の代理人としてではなく、顧客と金融機関の間で独立的かつ中立的な立場で金融商品の取次をしてくれるのがIFAです。

日本のIFAの多くはIFA法人とIFA法人に所属する個人IFAで構成されています。個人IFAは特定の金融機関とは独立した立場で顧客の資産運用に関する提案・仲介を担うのです。

また、IFAの中には保険代理店やFPなどと兼業して、証券会社が取り扱っているもの以外の金融商品の仲介や総合的な資産運用アドバイスを行ってくれるところもあります。

金融紹介仲介業者(IFA)を利用するメリット

金融紹介仲介業者(IFA)を利用するメリットにはどんなものがあるでしょうか。

IFAを利用するメリットについて分かりやすく説明します。

  • 無料で相談できる
  • 商品を売ることではなく紹介することに特化している
  • 相談から購入後の運用まで一貫したサポートが受けられる

無料で相談できる

基本的に、IFAは無料で顧客からの相談を請け負います。手数料が発生するのはあくまで金融商品を購入した時ですので、それまでの相談については無料です。IFAであれば、特定の金融機関や金融商品ではなく、様々な金融商品について詳しい説明を受け、比較検討することができます。

FPや保険代理店を兼ねているところもあり、金融商品全般についてのアドバイスやライフプラン、マネープランについての相談が無料で行えるのは、IFAの大きなメリットと言えます。

商品を売ることではなく紹介することに特化している

IFAは特定の金融機関に所属する外務員や募集人ではありません。IFAの仕事は商品を売ることではなく紹介することですので、顧客は中立的なアドバイスを受けられるというメリットがあります。

証券会社や銀行の窓口でも複数の金融機関の商品を取り扱っていますが、販売する人はあくまで特定の証券会社や銀行の社員です。従って、どうしても自社や系列の金融商品を奨めたり、会社の販売方針に沿った勧誘をする傾向があります。

『確かに、証券会社のノルマって厳しいって聞くよね』

『銀行でも、販売手数料の高い商品やキャンペーンの商品を強く薦められたわ』

特定の組織や商品に縛られずに、豊富な金融知識をもって金融商品を紹介してくれるのがIFAの魅力です。

相談から購入後の運用まで一貫したサポートが受けられる

IFAは特定の金融機関から安定した給与を貰えるサラリーマンではありません。いくら金融機関から手数料を貰えると言っても、まず顧客から信用を得て相談をされなかったら一銭も稼ぐことできないのです。ですから、通常IFAは顧客にただ金融商品を奨めるだけでなく、マネープラン全体のコンサルティングやアドバイスを行なうなど、顧客からの信用アップや関係構築を重要視します。

IFAを利用することで、購入後のフォローや買い替えや運用先の変更まで一貫したサポートを受けることができます。

また、銀行や証券会社の社員は、せっかく顧客との関係を築いても、異動や転勤など組織側の事情で担当が変わってしまうことが多くあります。IFAは独立した個人事業主に近い立場で活動していますから、顧客との長い関係を構築しやすいというメリットもあります。

金融紹介仲介業者(IFA)を利用する際のデメリット・注意点

金融紹介仲介業者(IFA)を利用するメリットは理解できましたが、デメリットの方はどうでしょうか。

まだ日本では定着度が浅いIFAには、利用する際の注意点もあります。

IFAを利用する際のデメリットや注意点を説明します。

  • 日本ではまだIFAの数が少ない
  • 紹介された商品を購入しても必ず儲かるわけではない
  • 商品を購入すると手数料が発生する

日本ではまだIFAの数が少ない

日本では2004年の証券仲介業務解禁、2007年の金融商品取引法の施行に伴い、欧米で先行していたIFAが徐々に浸透してきました。しかし、日本のIFAは2018年時点で4000名以下にとどまっているのに対し、米国の独立系IFAは17万人を超えるなど、欧米と比べるとまだまだその規模は非常に小さいのが現状です。

IFA法人の規模は小さく数も少ないため、インターネットなどの公開情報が少なく、中々比較検討が難しい状況のため、一般の人にはまだまだ利用しづらく近づきがたい存在であると言えます。

(参照:金融庁「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究」

紹介された商品を購入しても必ず儲かるわけではない

これはデメリットと言うよりも注意点ですが、IFAから紹介された金融商品だからと言って購入したら必ず儲かるわけではないことはよく理解しておきましょう。

IFAの多くは金融商品のプロですが、それでも市況や経済状況は大方の人の予想を裏切る動きを見せるものですし、投資や資産運用のプロであっても、百発百中というわけにはいきません。IFAの業務は、その時の情報や状況分析を元に、最適の金融商品を紹介することであって、顧客の資産を確実に増やすことや投資利益を確約することではありません。

よく言われるように、投資の最終責任は自分にあります。IFAからのアドバイスを元に、許容できるリスクなのか、資金計画は大丈夫かなどを総合的に判断して、金融商品の購入を決めるようにしましょう。

商品を購入すると手数料が発生する

一般的には、IFAに仲介された金融商品を購入した場合、顧客は直接IFAにフィーを払うことはなく、IFAには無料で相談ができるとされています。ただし、IFAが仲介した金融商品を購入する場合、証券会社の窓口で支払うのと同程度の販売手数料がかかります。つまり、自分で調べてネットで購入するよりは高い手数料を支払うことになり、間接的に、IFAに支払われる報酬を負担していることになるのです。

また、IFAによっては、顧客の資産規模や付加的なコンサルティング業務量に応じて、一種のコンサルティングフィーを徴収するところもあります。これは、欧米の富裕層の間では一般的な方式ですが、日本ではまだFPやFAの有料コンサルティングは文化としてあまり根付いていないので、トラブルになることもあります。料金体系や対象となるサービス内容については、事前にIFAにしっかりと確認するようにしましょう。

金融紹介仲介業者(IFA)の選び方・注意点

信頼できるIFAを選ぶためには、以下のような点をチェックしましょう。

担当者の実績・スキルを確認する

一口にIFAと言っても、担当者によって詳しい分野が異なります。自分が相談したい分野に精通しているIFAを選ぶことで、より的確なアドバイスが得られます。

例えば、30代で長期的な資産形成を考えているのと、70代で相続のために資産を整理したいのとでは、資産の運用方法は大きく違ってくるでしょう。

これまでの実績を確認し、自分と同じ背景を持つ顧客を担当しているIFAを選ぶのがおすすめです。

料金形態を確認する

IFAでかかる費用は以下の3種類です。

  • 相談料
  • 金融商品の購入時手数料
  • 契約後の手数料

金融商品の購入手数料はあまり差がありません。

しかし、相談料や契約後の手数料は、IFAが独自に設定しています。無料相談を行っている場合や、運用結果によって報酬が発生する場合などがあるため、必ず確認して他のIFAと比較してください。

コミュニケーションがとりやすいか

長期的な資産運用を依頼する場合、IFAの担当者とは長い付き合いとなります。

丁寧な対応と的確なアドバイスを提供してくれるIFAであれば、信頼関係を築くことができるでしょう。

希望に合わないリスク度の商品を提案されたり、商品の購入を強引にすすめたりするIFAには注意が必要です。

金融紹介仲介業者(IFA)に関するよくある質問

金融紹介仲介業者(IFA)についてよくある疑問を解決しておきましょう。

IFAにノルマはある?

利用するメリットでもお伝えしたとおり、IFAにノルマはありません。

IFAは証券会社や銀行などから独立している人が多く、顧客のメリットに重きを置いた資産運用のアドバイスや金融商品の紹介を行っています。

特定の金融機関に相談するよりも、幅広い金融商品からあなたに合ったものを提案してもらえるでしょう。

IFAになるにはどんな資格が必要ですか?

IFAは金融商品を扱うため、日本証券業協会の「証券外務員試験」に合格しています。

その後、IFAの法人に就職するか、独立して証券会社と業務委託契約を締結して内閣総理大臣からの登録を得ることで、IFAとして働くことができます。

その他に、生命保険の契約も考えているなら、「生命保険募集人」の資格を持っているIFAに相談してください。FPの資格を持っているIFAであれば、金融総合的なアドバイスも受けられるでしょう。

IFAの選び方は?

IFAを選ぶ際には、以下のポイントを確認してください。

  • 投資したい金融商品の取扱
  • 予算や希望に合わせた適切なサポート
  • 十分な実績
  • 納得できる料金形態

IFAの資格や得意分野によって、サービスには幅があります。保険や相続も含めたライフプランニングの相談をしたい、資産運用の投資先を紹介してほしいなど、まずは、求める相談に乗ってもらえるのか確認してください。

予算や希望をしっかり聞いてくれて、ぴったりの金融商品を紹介してくれるかどうかも重要です。相談だけで料金が発生する場合もありますので、手数料についても事前にきいておきましょう。

IFAの経験や実績も確認すべきポイントです。開業して3年以上の実績があるか、IFA開業以前に金融業の経験が長いかなど、信頼できるIFAを見極めましょう。

まとめ

以上、IFAとは何か、利用する際のメリット・デメリット、手数料などの注意点について説明しました。

金融商品が多様化し、ネット証券などが台頭する中、日本でもIFAの存在意義が注目され、今後さらに拡大していくことが期待されています。

IFAの制度や仕組み、メリットとデメリットについて正しく理解し、必要に応じて利用できるよう備えておきましょう。

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この記事を書いた人

ikebukuro

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