太陽光発電におけるFIT制度(固定価格買取制度)とは?買取期間が終了したらどうなる?
土地付き太陽光発電の投資や売却、運用に関するブログ
FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及を目的とした取り組みのひとつです。
太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用して発電した電気を売ることを投資として始める方が年々増えていますが、確実に利益を出すためには、FIT制度(固定価格買取制度)についての理解を深めておく必要があります。
この記事では、FIT制度(固定価格買取制度)の仕組みや太陽光発電におけるFIT制度の問題点、買取期間終了後の太陽光発電の運用方法について解説していきます。
FIT制度(固定価格買取制度)とは?
出典:資源エネルギー庁
FIT制度(固定価格買取制度)は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使って発電した電気を一定期間、国が定める価格で電力会社に売電できることを定めた制度です。
地球温暖化や環境汚染がどんどん進み、世界各国で対策を求められていますが、FIT制度もこれらの問題への取り組みのひとつとして挙げられています。
現在、石油や石炭などの有限資源を利用した発電方法が主力となっています。
しかし、石油や石炭などは、エネルギーを生み出す際に二酸化炭素といった有害物質を発生します。
一方、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、発電する際も有害物質を発しない、とてもクリーンなエネルギーです。
FIT制度は、有害物質が地球温暖化の原因となっていることを踏まえて、石油や石炭などを利用した発電方法から、再生可能エネルギーを利用した発電方法にシフトしていくことを目的として始まりました。
FIT制度の仕組み
FIT制度が成り立っているのは、『再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)』があるからです。
再エネ賦課金は、電気代を支払うすべての人から毎月の電気代に上乗せして集めています。個人であれ法人であれ、再エネ賦課金を支払う義務があり、再エネ賦課金は1kWhあたりの単価で決められています。
2020年度の再エネ賦課金は、1kWhあたり2.98円です。
再エネ賦課金は、電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際の費用として使用されています。
太陽光発電におけるFIT制度(固定価格買取制度)の課題
売電価格の低下
2012年にFIT制度が開始した際の売電価格は1kWhあたり40円でした。
しかし、太陽光発電の普及や、設備費用が低下していくにつれて売電価格も低下しています。
売電価格の推移については後ほど説明していきますが、売電価格の低下により太陽光発電を導入しても利益が出ないのではないかと考えて、導入をやめてしまった方も多くいるようです。
2019年問題
FIT制度に移行する前の制度である「余剰電力買取制度」の対象となっていた10kW未満の住宅用太陽光発電の固定価格買取が2019年11月をもって終了するにも関わらず、その後の運用方法について不明確なことを問題視していることを『2019年問題』と言います。
FIT制度が終了した住宅用太陽光発電は、そのまま発電を続け電力会社に売電するか自家消費に移行するかといった運用方法の選択を所有者自身がしなければなりません。
再エネ賦課金の負担が増えてきている
再エネ賦課金は、現在1kWhあたり2.95円ですが、再エネ賦課金の徴収が始まった2014年は1kWhあたり0.22円でした。
つまり、開始当初に比べて国民の負担が13倍に増えてしまったということです。
再エネ賦課金が値上がりしている理由には、再生可能エネルギーを利用した発電による電気の買取量が増えていることにあります。
環境省によると、2030年頃までは再エネ賦課金の値上がりは続くと予想されています。
(参考:環境省 再生可能エネルギーの導入に伴う効果・影響分析)
【太陽光発電のFIT価格の推移】2020年売電価格はいくら?
住宅用太陽光発電 | 産業用太陽光発電 | |
2012年 | 42円 | 40円 |
2013年 | 38円 | 36円 |
2014年 | 37円 | 32円 |
2015年 | 33円(出力抑制なし) 35円(出力抑制あり) |
29円 |
2016年 | 31円(出力抑制なし) 33円(出力抑制あり) |
24円 |
2017年 | 28円(出力抑制なし) 30円(出力抑制あり) |
21円 |
2018年 | 26円(出力抑制なし) 28円(出力抑制あり) |
18円 |
2019年 | 24円(出力抑制なし) 26円(出力抑制あり) |
14円 |
2020年 | 21円(出力抑制関係なし) | 13円(10kW以上50kW未満) 12円(50kW以上250kW未満) |
先ほどFIT制度の課題でも触れましたが、FIT制度は表の通り年々低下しています。
2012年当初に比べ、2020年度の売電価格は住宅用太陽光発電は半分、産業用太陽光発電は約1/3以下です。
となると気になるのは、2020年度の売電価格13円(10kW以上50kW未満産業用太陽光発電)でも、初期費用が回収できて利益を出すことができるのかどうかということだと思います。
ソルセルでは、2020年の売電価格であれば、元をとって利益を出すことは十分できると考えています。とはいえ、過去の売電価格よりも下がる分利益額が少なくなってしまうのは残念ながら免れません。
元を取れればいいという方であれば、新規の太陽光発電でも問題ありませんが、とにかくたくさん利益が欲しいなら中古太陽光発電の購入を検討してみてもいいかもしれませんね。
中古太陽光発電についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
中古でも本当に発電するのか、設備不良の心配はないのかといった疑問にもお答えしていますよ。
FIT制度はそもそも2019年以降は終了すると考えられていました。
2020年度は売電価格が下がるものの継続されることが決まりましたが、来年度以降はどうなるかわかりません。
新規太陽光発電の購入を検討しているのなら、早めに意思決定することをおすすめします。
FIT制度(固定価格買取制度)終了後はどうなる?
①電力会社に売電を継続する
これまで通り、電力会社に売電を継続することができます。
電力会社に売電をする場合、売電価格は7〜12円程度となります。電力会社によって買取価格は異なり、出力抑制が起こっている九州電力では、売電価格7円とかなり安くなってしまいます。
固定価格よりも大幅に売電価格が低下してしまいますが、通常太陽光発電は20年間のFIT制度中に初期費用やランニングコストを回収できるとされているので、利益は下がってしまうものの、収益を出すことは可能です。
②電力会社を乗り換えて売電する
2016年から開始した電力自由化により、電力会社を自分で選ぶことができるようになりました。
電力自由化を機に電力事業に参入してきた新電力と呼ばれる電力会社は、電気代が安くなったりお得な特典がついてくるプランが多くあり、一般家庭でも企業も大手電力会社から新電力に乗り換えています。
新電力は電気を買うだけではなく、太陽光発電で発電した電気を売ることもできます。
売電するという点では、FIT期間中と変わりませんが、新電力の方が高く電気を買い取ってくれるケースもあり、FIT終了後は新電力に売電する太陽光発電事業者が増えています。
ただし、新電力はエリアや加入条件があるので、売電価格だけで決めてしまうのではなく、事前に条件を満たしているかどうかを必ず確認するようにしてください。
③自家消費に移行する
自家消費と聞くと、住宅用太陽光発電所のイメージが強いかもしれませんが、住宅用だけではなく産業用太陽光発電でも自家消費が可能です。
例えばスーパーマーケットやコンビニ、工場の電気を太陽光発電で発電した電気で補うことで電力会社から買う電気の量を抑えることができます。
自家消費は、売電収入を得るという考え方ではなく、電気代を安くした分浮いたお金を利益とするという考え方です。
しかし、自家消費を成功させるために、場合によっては蓄電池の設置も必要となります。
設置には費用がかかるので、FIT期間中にFIT終了後のことも考えて資金を貯めておくことをおすすめします。
まとめ
FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及のための重要な制度です。
政府は、政府は2030年を見据えて再生可能エネルギーの普及を画策しているため、これからも太陽光発電や風力発電などの需要が減ることは考えづらいです。
太陽光発電に限定して考えると、再生可能エネルギーによる将来性はもちろんですが、電力自由化が始まったことで今後はより電気の自由度が高くなると予測できます。
そのため、利益が出ないほどの売電価格まで低下してしまうことは考えにくいです。
しかし、より多くの利益を求めるのであれば、これから太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーによる発電を導入しようと検討している投資家や企業の方は、なるべく早く導入することをおすすめします。
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