バイナリーオプションの仕組みとは?デメリット・メリットや注意点を解説
- 公開日:2024.12.11
- 更新日:2024.12.11
バイナリーオプションとは、将来の為替レート水準などを予想する取引で、わかりやすさと結果がすぐ出る点が大きな特徴です。
FXで必要となるファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などの専門的な知識がそれほどなくても、単純に2つの選択肢からどちらかを選べばよいバイナリーオプションであればやってみたいという人もきっといるでしょう。
バイナリーオプションにはFXとは違った魅力があります。基本的な知識やメリット、デメリットをしっかり理解して、バイナリーオプション投資を成功させましょう。
バイナリーオプションとは
「バイナリー」とは「2つの」「2進法」などの意味を持つ単語です。「オプション取引」とはあらかじめ定められた日に、対象となる為替や株式を「買う権利」や「売る権利」を売買する金融取引になります。
そして「バイナリーオプション」とはオプション取引の仕組みを利用した金融商品です。バイナリーオプションの対象となる資産には、円ドルレートや円ユーロレートのような為替や日経平均やS&P500のような株価指数などがあります。
バイナリーオプションの基本的な知識として、仕組みや種類を確認しましょう。
バイナリーオプションの仕組み
バイナリーオプションの最も基本的な取引では、対象となる為替や株価指数があらかじめ決められた水準(行使価格)を上回るか下回るかを予想し、「チケット」と呼ばれるオプション料を支払います。チケットの取引時間と結果の判定時間はあらかじめ決められています。
判定時間に予想通りの結果なら、収益(ペイアウト)を受け取ることができ、支払ったチケット代金との差額が利益となります。予想が外れれば、支払ったチケット代金の分だけの損失です。
ペイアウトは、1つの取引に対して常に一定額になります。ペイアウトが「1,000円」と決められている場合には1,000円より多くもらえることはありません。
以下のような条件のバイナリーオプションの取引例を見てみましょう。
対象資産 | 円ドル為替レート |
行使価格 | 150円 |
チケット代 | 300円(取引時点) |
ペイアウト | 1,000円 |
取引時間 | 9:00~10:58 |
判定時間 | 11:00 |
この例の場合、9:00~10:58の時間内ならチケットを購入できます。チケットには「円安を予想するチケット」と「円高を予想するチケット」の2種類があります。
判定時間の為替が150円を上回ると予想する場合は、「円安を予想するチケット」を購入します。チケット代金は取引時間中に変動し、判定時間が近づくにつれて上がっていきます。ここでは300円で購入するとします。
判定時間の為替が151円だとすると、購入したチケットは利益となります。利益の場合は、ペイアウト1,000円を受け取ることができます。チケット代は300円ですので、差額の700円が今回の取引の利益になります。
行使価格が149円で予想が外れた場合は、ペイアウトは受け取れません。チケット代の300円を失って取引終了です。
バイナリーオプションの種類
基本的なバイナリーオプションの仕組みを説明しましたが、バイナリーオプションの取引には3つの種類があります。それぞれの仕組みと特徴を見ていきましょう。
ラダーオプション | レンジオプション | ワンタッチオプション | |
判定方法 | 判定時間に所定のレートより高いのか低いのか | 判定時間に所定のレンジの中に収まっているか | 判定時間までに1回でも所定のレートに達しているか |
有効な活用状況 | 円安など相場の方向性が決まっている状況 | 対象資産の値動きがほとんど見込めないような相場状況 | 行使価格に近い状況か |
ラダーオプション
ラダーオプションはバイナリーオプションの基本形といっていいでしょう。
対象資産の判定時間における価格が行使価格よりも高いか安いかを予想し、予想が当たればペイアウトを受け取ることができます。高い安いを予想することから、ラダーオプションは「HIGH & LOW(ハイ・アンド・ロー)」とも呼ばれます。
円安傾向が続いていくなど、ある程度相場の方向性が定まっているような環境ではラダーオプションを有効に活用すると利益を上げられる可能性が高まるでしょう。
レンジオプション
レンジオプションとは、判定時間における対象資産の価格があらかじめ決められた幅の範囲内にあるか、範囲外にあるかを予想する取引です。具体例でいえば、円ドルの為替レートが判定時間に149円~150円の範囲内にあるか、範囲外にあるかを予想するような取引になります。
相場を動かす材料が全くなく、対象資産の値動きがほとんど見込めないような相場環境のときには、範囲内に収まると予想するレンジオプションがおすすめです。
逆にとても注目される経済指標の発表が取引時間内にあり、大きな動きが見込めそうなときには範囲外を予想するレンジオプションで利益を狙うことも考えられます。
ワンタッチオプション
ワンタッチオプションとは、対象資産の価格が取引時間内に一度でも行使価格にタッチするかで判定をおこなう取引です。
例えば円ドル為替レートで行使価格150円の円安ワンタッチオプションだとすれば、取引時間中に一度でも150円を上回って円安になれば、最終的に149円と行使価格よりも円高で終わったとしてもペイアウトを受け取れます。
バイナリーオプションとFXの違い
バイナリーオプションとFXはどちらも為替を対象とした取引ですが、内容は大きく違います。
バイナリーオプション | FX | |
ルール | 一定価格の上下を予想 | 為替相場の動きを予想 |
最低投資資金 | 1,000円以下 | 5万円~数10万円 |
リスク | 投資した金額のみ | 投資した金額以上の損失の可能性 |
取引にかかる時間 | 24時間 | |
景気の影響の有無 | なし | あり |
バイナリーオプションでは、チケットを購入した時点でいつ取引が終了するのか決まり、終了時点まで保有したときに、予想が当たった場合の利益と外れた場合の損失も確定します。
バイナリーオプションの利益はペイアウトの金額が上限で、最大損失はチケット代です。利益と損失の額が取引時点で固定されることが、大きな特徴です。
一方FX取引は、為替の水準を予想して取引しますが、購入から売却まで投資者の判断でタイミングを計れます。
また、投資した為替レートが予想した方向へ推移するほど利益が大きくなり、予想に反する方向へ推移するほど、損失は大きくなりますが、レバレッジをかけていなければ投資した金額以上の損失は被りません。
また、FX取引では対象となる為替の金利差によるスワップ金利を受け取れますが、バイナリーオプションではスワップ金利は発生しません。
バイナリーオプションのメリット
バイナリーオプションは同じ為替を対象としていながら、FXとは異なる種類の取引ができます。バイナリーオプションの特徴とメリットを見てみましょう。
少ない資金で投資が始められる
バイナリーオプションの特徴でありメリットの1つとなるのは、少ない資金で投資がはじめられることです。現在国内で提供されているバイナリーオプションの多くは1回の投資額が1,000円以下になります。
1,000円であれば投資をしたことがない人や投資になれていない人でも、試しにやってみることが可能です。
自分で損失リスクを調整できる
バイナリーオプションのチケット代は1,000円以下で、金額を確認してから購入できるでしょう。また、1回の取引における最大利益と最大損失は、チケットの購入時点で確定することができます。
FXや株式投資は対象資産が値下がり続けると、思っていた以上の損失を被ることがありますが、バイナリーオプションでは想定以上の損失は発生しません。
短期間で投資の結果がわかる
バイナリーオプションは投資の結果がすぐにわかります。投資が難しい理由の1つに、多くの人は長期間にわたって値動きを繰り返す資産を保有している状況にストレスを感じてしまうことがあるでしょう。
毎日上がったり下がったりする相場を見て、その都度一喜一憂するのは精神的に疲れます。バイナリーオプションであれば、投資の結果がすぐにわかるので相場を見ている時間が減り、結果的にストレスも減らすことができるでしょう。
途中で売却もできる
バイナリーオプションは、チケット購入後に取引時間中であれば売却することができます。
一度購入したチケットは判定時間がくるまで待っている必要はなく、途中で売却することで取引を終了させることが可能です。途中売却で利益を確定したり、損切りをおこなうことで投資の戦略の幅が大きく広がるでしょう。
バイナリーオプションのデメリット・注意点
便利なバイナリーオプションの取引ですが、デメリットや注意点もあります。ここからはバイナリーオプションのデメリットや注意点を確認していきましょう。
一度に大きな金額を稼ぐのは難しい
バイナリーオプションのデメリットとして挙げられるのは、一度に大きな金額を稼ぐのが難しいという点です。
バイナリーオプションの取引単位は少額で最大利益が限定されます。予想が当たったときのペイアウトは固定されており、どれだけ相場が自分の予想した方向に推移してもペイアウト以上の利益を受け取ることはできません。
このバイナリーオプションの最大利益が限定される特徴は、予想が外れたときの損失が限定されるという特質と表裏の関係にあるといえます。
購入金額の全額が損失となる可能性がある
バイナリーオプションは予想が外れると、チケット代金のすべてを失います。FX取引(レバレッジなし)の場合、どこかの通貨の為替レートがゼロ円にならない限り、投資した資金がゼロになるということはありません。
一方、バイナリーオプションではチケット代金を投資資金と考えると、投資元本が0円になることが頻繁に起きます。リスクの大きさがチケット代金を少額にすることで調整されているということもできます。
バイナリーオプションのおすすめ口座3選
バイナリーオプションを始めるにあたって、おすすめの口座を紹介します。それぞれ特徴がありますので、合ったものを選んでくださいね!
GMO外貨(オプトレ!)
取引通貨 | 8種類 米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円、 ニュージーランドドル/円、ユーロ/米ドル、 英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドル |
取引種類 | ラダーオプション、レンジオプション |
ペイアウト | 1口1,000円 |
取引回数 | 1日11回(2時間ごと) |
デモ口座 | 〇 |
GMO外貨はGMOインターネットグループ傘下のGMOフィナンシャルホールディングス100%出資の子会社です。主なサービス内容はFX取引とCFD取引、そしてバイナリーオプション取引である「オプトレ!」を提供しています。
GMO外貨「オプトレ!」の特徴は豊富な通貨ペアとレンジオプション取引です。国内ではラダーオプション取引のみの取り扱いが多いバイナリーオプションですが、GMO外貨であればレンジオプション取引も可能ですので、投資戦略の幅が大きく広がります。
GMOクリック証券(外為オプション)
取引通貨 | 5種類 米ドル円、ユーロ円、英ポンド円、豪ドル円、 ユーロ米ドル |
取引種類 | ラダーオプション |
ペイアウト | 1口1,000円 |
取引回数 | 1日10回(1回号3時間) |
デモ口座 | 〇 |
GMOクリック証券はGMO外貨と同じく、GMOインターネットグループ傘下のGMOフィナンシャルグループ100%出資の子会社ですが、GMO外貨とは別の会社です。GMOクリック証券のサービス内容はネット証券としての株取引のほか、投資信託やFXさらにCFDと多岐にわたります。
バイナリーオプション取引以外の金融商品にも幅広く投資したいと考えている人には、GMOクリック証券の豊富な品揃えは魅力的に映るでしょう。
バイナリーオプションとしては為替を対象とした「外為オプション」とは別に、株式指数を対象とした「株BO」も提供しています。
IG証券(バイナリーオプション)
取引通貨 | 7種類 米ドル円、英ポンド円、ユーロ円、 ユーロ米ドル、豪ドル円、英ポンド米ドル、 豪ドル米ドル ※その他株価指数と商品13種類 |
取引種類 | ラダーオプション |
ペイアウト | 10,000円 |
取引回数 | 1日12回(2時間ごと)など |
デモ口座 | 〇 |
IG証券はイギリスに拠点を置く金融サービスプロバイダーであるIGグループホールディングスの日本法人です。IGホールディングスはヨーロッパを中心に世界的に事業を展開する金融グループでもあります。
IG証券の事業内容は通常の株式を取り扱う証券業サービスのほか、FXやCFDさらにはバイナリーオプションなど先端金融商品を提供しています。
IG証券のバイナリーオプションは為替のほかにも株価指数や商品も対象にした取引があり、豊富な選択肢の提供が特徴です。
バイナリーオプションの取引の流れ
ここからはバイナリーオプション取引を始める流れについて見ていきましょう。
バイナリーオプションの取引口座の申し込みは、FX取引口座の申し込みが前提となっており、新たに申し込むときにはセットで開設できることが多いです。
なお、詳細は各社によって異なりますのでホームページなどで確認のうえ、手続きをおこなってください。
1.ホームページから申し込み
バイナリーオプション取引をしたい業者を選定して、ホームページから口座開設ボタンをクリックして開始します。
メールアドレスを登録するページに遷移するので、使用するメールアドレスを登録しましょう。登録したアドレスに、申し込みフォームへと遷移するURLが貼り付けされ他メールが送られてきます。
ホームページからメール登録なしで申し込みフォームへ遷移する場合もあります。
2.申し込みフォームへ必要事項の入力
メールで送られてきたURLから申し込みフォームへと移動して、必要事項を入力しましょう。通常は本人情報のほか、投資の目的や経験などを入力します。
ここでの入力内容は書類提出後の審査に使用されますので、正確に入力しましょう。
また、FX取引口座の開設とバイナリーオプション取引口座の開設はセットとなっていることが多いです。セットの場合、FX口座開設の手続きの中でバイナリーオプション口座の開設を希望するかどうかを入力する項目がありますので、開設希望を選択してください。
3.本人確認書類とマイナンバーの提出
口座の開設に当たっては、本人確認書類とマイナンバーの提出が必要です。本人確認書類はマイナンバーカード(表面)や運転免許証が認められます。
その他の認められる本人確認書類については、各社のホームページ等で確認してください。マイナンバーについてはマイナンバーカードやマイナンバー通知カードが利用できます。
本人確認書類とマイナンバーは、口座開設フォームの指示に従いスマートフォンで撮影してアップロードするなどして提出しましょう。
4.口座開設の通知
書類の提出を終えると、バイナリーオプション業者で口座開設の審査がおこなわれます。審査の結果、口座開設が可能となれば申込者に口座開設の通知が届きます。口座開設の通知には通常口座番号と初期パスワードが記載されています。
5.入金手続きと取引開始
口座が開設したらホームページからログインすることで取引に進めます。指定の銀行口座に必要資金を振り込み取引をはじめましょう。
初心者ならデモトレードから始めるのがおすすめ
バイナリーオプションは金融商品の中では比較的新しい商品で、デリバティブ取引であるオプションを利用した複雑な理論から構成されています。
基本的なルールはわかりやすいですが、バイナリーオプション特有の言葉使いや取引の癖も存在します。いきなり実践で投資をおこなうよりも、デモトレードで取引の感覚をまず養うことをおすすめします。
デモトレードであれば仮想の資金を使って実際の取引に近い環境で取引をおこなえるので、ノーリスクでバイナリーオプションを学ぶことができます。
さらには、デモトレードは実際の相場環境に当てはめて取引ができますので、自分に合った取引方法を自由に試すことができ、取引スキルを磨くことも可能です。
スキルがあれば本番でも自信を持って取引できるので、よい結果が得られる可能性が高まります。
まとめ
バイナリーオプションには少ない投資金額で始めることができ、結果もすぐにわかるというメリットがあります。一方で、取引単位が少額でもあるため1回の取引では大きな金額は儲けけづらいというデメリットもあるでしょう。
バイナリーオプションにはFX投資のように大きな利益をえることはできませんし、スワップ金利による収益もありません。
しかし取引を始める時点で最大利益と最大損失が確定するので、リスク管理しやすいという特徴があります。新たな運用手段として、バイナリーオプションに挑戦してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
ikebukuro