ベーシックインカムとは?仕組みやデメリット、日本で導入される可能性について解説

  • 資産運用
  • 公開日:2025.01.07
  • 更新日:2025.04.04
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従来の日本にはないタイプの生活保護・給付制度として注目を集めているのが、ベーシックインカムです。

国内ではもちろん、海外でもまだ完全な導入は実現できていないこの制度は、どのような可能性を秘めているのか気になる人も多いでしょう。

今回は、ベーシックインカムの定義や歴史、生活保護との違い、メリット・デメリットなどについて、詳しく解説していきます。

ベーシックインカムとは

ベーシックインカムとは

ベーシックインカムとは、その人の生活・経済状況・性別や年齢に関係なく、誰でも受給する資格のある社会保障制度のことです。国から国民一人ひとりに対して、定期的に一定額が支給されることになります。

従来の支給制度・補償制度とは異なるベーシックインカムは、どのようなきっかけで生まれたのか、生まれた背景などついて以下より説明しましょう。

ベーシックインカムが誕生した背景

ベーシックインカムの起源は、18世紀末までさかのぼります。

この時代イギリスにて活動していた、社会思想家トマス・ペインによって「富をみんなで分かち合い貧困のない社会を」という考えのもとに、ベーシックインカムの概念が提唱されました。

これほどの歴史を持ちながらも、ベーシックインカムは世界中のどの国でも、完全には定着していません。

ヨーロッパ諸国では実験的に導入を試みている例はありますが、まだ完全な導入にはいたっていないのが現状です。

日本では、2008年のリーマンショック・2020年代のコロナ禍による失業者の増加・貧困の加速化により注目が集まっています。

ベーシックインカムと生活保護の違い

ベーシックインカムに似た制度に生活保護がありますが、この2つの違いは、受給するための条件の有無です。

生活保護のような社会保障は、健康面などの理由で働きたくても満足に働けず、困窮している人をサポートするためにあります。受給するためには「なぜ困窮しているのか」「なぜ働けないのか」という理由を提示しないと、適用されない仕組みです。

それに対して、ベーシックインカムは、社会保障制度ではないため、受給するための条件は一切ありません。生活が困窮していない・常に健康で働けるといった状態の人でも、無条件で受給できます。

ベーシックインカムを導入するメリット

ベーシックインカムとは

「国民をサポートするさまざまな保障制度がすでにあるから、ベーシックインカムは必要ないのでは?」

このような、ベーシックインカムに対する否定的な意見は決して少なくありません。

では、ベーシックインカムの導入は、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

  • 労働環境の改善が見込める
  • 多様な働き方ができるようになる
  • 貧困問題の対策になる
  • 少子化問題の解消に繋がる

その代表的な上記4つのメリットを紹介しましょう。

労働環境の改善が見込める

ベーシックインカムの導入・定着は、労働・保障以外の収入が得られるため、金銭的に余裕ができ、それが労働環境の改善にもつながります。

人によっては、特に特別な資格・スキルを取得していないため、なかなか仕事が見つけられないという人もいるでしょう。

そのような人は仕事を選べる立場ではなく、やっと見つけた仕事が人の出入りが激しく、誰でも入社可能といういわゆるブラック会社というパターンがあります。

いくら仕事が過酷で辛くても、退職すれば無職となり収入が途絶えて困窮してしまうため、無理をして働き続ける人は少なくないでしょう。

過酷な労働環境は全体的に余裕がないために、人間関係もギスギスしてパワハラなどが横行します。それにより心身ともにダメージを受ける人、最悪過労死をすることもあるでしょう。

しかし、ベーシックインカムによりある程度の金銭が保証されると、日本全体に余裕ができて生活のために過酷な労働環境を選ぶ必要がなくなります。それによって劣悪な労働環境のブラック会社も減少して、心身ともに健康的な生活を送れる層が増えるでしょう。

多様な働き方ができるようになる

ベーシックインカムが導入されれば、多種多様な労働の可能性が広がります

ベーシックインカムで、ある程度の金銭を受給して生活に余裕ができれば、「やりたくないけれど生活のために仕方なくやっている仕事」をしなくてもいい、あるいはそのような仕事の時間を減らすことが可能です。

日々の時間を労働に取られることがなくなれば、その余った時間を今までできなかった副業・資格取得の学習などに費やせます。

また、忙しくて実現できなかった自分の夢を叶えるために、時間をかけることも可能です。

介護や育児などで満足に働けなかった人も、負担のかからない働き方を探す余裕が生まれるでしょう。

貧困問題の対策になる

ベーシックインカムは、貧困で苦しんでいる人の救済になるだけでなく、貧困の原因を解決するきっかけ、貧困によって起る損害の防止につながります。

困窮で苦しむ層が受給によって救われると、生まれるのが物事を考察する余裕です。貧困で毎日の生活を送るだけでも精一杯の場合、冷静に物事を考える余裕は生まれません。

しかしベーシックインカムで一定の生活水準を保てるようになれば、「貧困だった原因は何か」「貧困を脱するためにはどんな努力をすればいいのか」という論理的な思考が可能になり貧困生活を脱することができるでしょう。

また、ベーシックインカムによって貧困に苦しむ層が減少すれば、貧困が原因で発生する盗難などの犯罪も減ります。

少子化問題の解消に繋がる

ベーシックインカムによる支給は、世帯ごとではなく個人が支給対象なので、子ども一人ひとりにも支給される仕組みです。そのため、経済面において家庭全体に余裕ができて、それが少子化問題の解消にもつながるでしょう。

少子化が進む原因は、経済面に余裕がないためです。子どもが生まれて成人になる約20年の間にかかるお金のことを考えると、経済的にやっていけるとは思えないと判断する層は少なくありません。

その結果、結婚をしない・あるいは結婚しても子どもはつくらないという層が年々増加しているのです。

しかし、子どもまでが支給対象になるベーシックインカムが普及すれば、経済面にも余裕ができて、子作り・育児にも支障をきたすことはないでしょう。

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ベーシックインカムを導入する問題点やデメリット

ベーシックインカムとは

ベーシックインカムは、日本ではまだ導入はもちろん制度としての知名度もそれほど浸透しておらず、海外でも実験的な導入はありつつも、まだ本格的な定着はしていません。

また、今後定着したとしても、本当に国民のためになるかという声もあります。では、ベーシックインカムの問題点・デメリットは何なのか、以下2点を説明しましょう。

  1. 労働意欲の低下に繋がる可能性がある
  2. 既存の社会保障制度の見直しが必要となる

労働意欲の低下に繋がる可能性がある

ベーシックインカムが大々的に導入されると、労働意欲が低下する恐れが予想されます。先述した通りベーシックインカムの給付を受けると、その分生活に余裕が生まれるため、副業・資格取得に時間を費やせるといった流れができるでしょう。

しかし、生活にある程度の余裕ができると「働かなくても生活できる」という発想をする人が増加する可能性も高いです。それにより国全体の労働意欲・生産性が落ちる危険性もあります。

既存の社会保障制度の見直しが必要となる

ベーシックインカムが導入された場合、他の社会保険制度にも影響が出る可能性があります。

日本におけるベーシックインカムに関しての案は、他の社会保障制度にかかる資金の流用・あるいは増税といった内容です。またはそれに代わる新たな案が出る可能性もあります。

どちらにしても、ベーシックインカム導入があった場合、従来の各制度がそのままの体制である可能性は低いです。何かしらの改正が行われて、そのための労力を費やす羽目になるでしょう。

財源をどう確保するかの問題がある

ベーシックインカム導入の最大の課題は、財源の確保です。もしベーシックインカムにより全国民に支給が始まった場合、年間約100兆円もの財源がかかります。

これだけの財源を用意するための方法として、最も適切なのが増税です。生活を豊かにすることが目的のベーシックインカムが、国民に税金の支払いの増加という負担を与えることになります。

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ベーシックインカムが必要とされている3つの理由

ベーシックインカムが必要とされている3つの理由

ベーシックインカムは、条件なしで国民一人ひとりが受給可能などのメリットがある反面、実践するための財政の確保・各保障制度の見直しなど、導入することによって多くの課題も抱えている制度です。

それでも、ベーシックインカムは今の時代こそ必要な制度という、多くの意見があります。なぜ、そのような意見が多いのか、以下よりベーシックインカムが必要な理由を紹介しましょう。

理由①日本の貧困率の上昇

ベーシックインカムが必要とされている理由の一つが、加速する日本の貧困化です。厚生労働省の調査によると、コロナ禍前の2019年の時点で「7人に1人は貧困」という調査結果が出ています。

そのような人たちを救済して生活に余裕を持たせるためにも、ベーシックインカムは必要だといわれています。

理由②低賃金の人に向けた社会保障がない

「日本には生活保護など保障制度が充実しているから、ベーシックインカムは必要ない」という意見があります。

確かに、経済的に困窮している人の救済措置である、生活保護などの各種保障制度などが存在しているのは事実です。

しかし、生活保護などを受給するにはそのための条件を満たす必要があり、「貧困でありながら健康面に問題がない」という人は、支給の対象にはなりません。

そのため、シングルマザー・ワーキングプア層など、低資金で困窮に苦しんでいながら、補償を受けられない人が増え続けている一方なのです。

理由③新型コロナの流行による労働時間の制限

コロナ禍により失職する・あるいは労働時間短縮となった人は少なくないでしょう。コロナ禍に突入して普及したのが自宅にいながら業務を進めるリモートです。

しかし、業種によってはリモートが不可のものもあり、そのような仕事の場合は労働時間の短縮・制限を実施する必要があり、それにより収入も下がります。

コロナ禍によってダイレクトに経済的な打撃を受けた人のためにもベーシックインカムが必要なのです。

ベーシックインカムを日本が導入する可能性はある?

ベーシックインカムとは

海外では実験的な段階ながらも導入されているベーシックインカムですが、日本では本当に導入が可能なのでしょうか。ベーシックインカムの日本の現状について以下より説明しましょう。

日本でベーシックインカム導入は難しい

日本では先述した通り、ベーシックインカムに関しては以下のような問題があります。

  • 財源の確保および財源の捻出方法
  • 既存の社会保障制度の見直し

100兆円ほどかかるといわれている財源の確保、増税など財源の捻出方法、他の保障制度との折り合いなど問題は山積みです。

完全なベーシックインカムを導入している国はない

海外ではベーシックインカムの本格的な導入例はありません。実験的な導入は各国でありながらも、成功例はないのが現状です。海外も日本と同様に数々の問題をクリアしないと導入は難しいといえます。

海外でのベーシックインカムの導入実験事例

海外ではベーシックインカムをどのように導入しているのでしょうか。各国の導入実験事例を以下より紹介しましょう。

ドイツ

ドイツにおけるベーシックインカムは、日本と同じ理由で肯定派・否定派に分かれており、まだ実験的な導入すらされていない状況です。

そのような中、ある民間企業がベーシックインカムを実践するためにクラウドファンディングを行なったという珍しい例があり、わずかな人数ながらも支給を実現させています。

参考:ニュースダイジェスト

フィンランド

フィンランドでは、2017年にベーシックインカムに関する実験が行われています。失業者2,000人に日本円にして約7万円を支給し、その後の様子を調査するという内容です。

実験結果は「その後の雇用には変化なし」「心身ともに健康になった」という結果となっています。それ以来フィンランド政府は、実験を行なっていません。

参考:NHK

アメリカ

ベーシックインカムの先進国ともいえるのがアメリカです。カリフォルニアにて100世帯に月額500ドル支給・その他2つの州で1,000人に月額1,000ドル支給を3年間行なうという実験を行なっています。

あくまでも実験であり、国が本格的に導入しているわけではありません。

参考:ニューズウィーク日本版

まとめ

生活保護・失業保険など、働きたくても働けない人・生活が苦しい人を、金銭面でサポートする制度はいくつもあります。2008年のリーマンショック・2020年代のコロナ禍によって、不本意ながら職を失って収入がなくなった人もいるでしょう。

そのような人をサポートするのが各種保障制度ですが、リーマンショック到来の時代から、日本には今までなかった制度として注目されているのが、ベーシックインカムです。

ベーシックインカムは、「貧困をなくし富をみんなで分かち合う」ことを目標に掲げています。従来の制度と違い支給を受けられる条件もないため、誰にでも平等に受給できるのがメリットです。

その反面、「労働意欲が低下する可能性がある」「実現のための財源確保が難しい」などの問題も抱えています。そして、海外に目を向けても本格的な実践事例がないというのが、ベーシックインカムの現状です。

未だ実験段階のこの制度ですが、従来の日本にない制度として今後も動向を注目していきましょう。

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この記事を書いた人

ikebukuro

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