AI投資は儲からない?メリット・デメリットや失敗しないための選び方を解説
- 公開日:2024.12.10
- 更新日:2024.12.10
様々な投資がクローズアップされる中で、AI投資が注目されています。膨大な量のデータを分析し、人間の投資家が実施するには不可能なレベルで、リスクを抑えながら利益を出すことが可能な画期的な投資手法だからです。
しかし、数多くのメリットで投資者が増えているAI投資にも「儲からない」という指摘があるなど、デメリットも存在しています。
AI投資のメリット・デメリットの解説を中心に、AI投資の種類やAI投資を始める際の注意点や具体的なAI投資を利用することができるサービスなどについても詳しく解説します。
目次
AI投資(ロボアドバイザー)とは
AI投資とは、投資銀行や証券会社などが行っているAI(人工知能)を活用して、投資診断や投資アドバイス、運用、などを実施するサービスをいいます。
具体的には、利用者からの投資に関する質問に回答することで、その人に適した投資方法(資産の配分方法、など)の提案などを受けられるのです。AI投資の最低投資金額も、1,000円から、あるいは1万円からなど、個人客にとっても利用しやすいサービスになっています。
また、AIは、日々の相場変動をモニタリングし、必要に応じて投資ポートフォリオの再調整を実行することによって、リスクを抑制しつつ利益を最大化することが可能です。
AI投資は、投資の知識や経験が乏しくても始めることが可能な、低コストで資産運用ができる画期的なサービスなのです。
AI投資の種類は2パターン
AI投資は、大きく「アドバイス型」と「投資一任型」の2つの種類に分類できます。
アドバイス型は、投資家に対して最適な資産配分などについて「アドバイス(助言)」のみを行うタイプのAI投資です。アドバイス型のAI投資は、大部分が利用料金が無料となっています。
ただし、AIが提示された資産配分(アセット・アロケーション)を実行するために必要となる各種金融商品の購入そのものは自分自身で行わなければなりません。
一方の投資一任型は、AI投資の提案内容を承認することで、運用も含めて、すべてを任せることが可能な投資一任サービスです。
アドバイス型と異なり、こちらのタイプは手数料がかかることが一般的です。市場環境(相場など)の変化に応じて資産配分を変更する必要がある場合には、リバランス(資産の再配分)もしてくれるという利点があります。
つまり、アドバイス型はアドバイスに沿って自ら運用できる資産運用の経験者向け、投資一任型はアドバイスだけでなく運用も任せることが可能な資産運用の未経験者や初心者向け、ということができるでしょう。
AI投資は儲からないって本当?
AI投資が儲からないと言われている理由は以下の4つにあります。後で紹介するデメリットと一部重複します。
- 運用手数料が自分で投資するより割高だから
- 短期間に大きな利益を得るのが難しいから
- 元本が保障されていないから
- 金融リテラシーが身につかないから
最初の2つはデメリットの章でご確認ください。
元本保証がないという点でAI投資に踏み切れない人が多いようです。万が一の時に戻ってくるお金がないという事実が「儲からない」という印象を与えやすいのです。
また、楽だからといってすべてAI投資に運用を任せた結果、投資者に金融リテラシーが身につかないため、儲かるように投資を進める能力が身につきません。
そのことも「儲からない」というイメージを強めています。
AI投資(ロボアドバイザー)の4つのメリット
AI投資(ロボアドバイザー)のメリットとしては、下記のようなものを挙げることができます。
- 投資の知識が乏しくても始めることができる
- 手間をかけずに投資ができる
- 気軽に分散投資をすることが可能
- 少額から投資を始められる
1.投資の知識が乏しくても始めることができる
AI投資の最大のメリットは、投資の初心者でも資産運用を始めやすい点です。
投資の初心者が、いざ資産運用をしたいと考えても、「最初に証券会社にアカウントを開設して」「株や債券について勉強をして」「具体的な銘柄をチョイスして」などと、実はハードルが高いと感じるものです。
しかし、AI投資であれば、例えば、スマホで簡単な質問に対して回答するだけで、自分に適したポートフォリオを組んでくれて、その運用まで実行してくれるため、投資の初心者でも始めやすいでしょう。
特に投資一任型のAI投資は、商品のチョイスから運用、そしてリバランスまで完全に任せることが可能です。したがって、資産運用の経験や実績があまりないような人にとっても、AI投資は始めやすいと言えるのです。
2.手間をかけずに投資ができる
AI投資は資産運用に手間がかからない点がメリットです。
AI投資であれば、AIがアルゴリズムをベースにして、自動的に投資すべき商品を選別して売買してくれます。口座に入金さえしておけば自動的に運用してくれるため、日常的に市場の状況を確認して売買する必要はありません。
投資の初心者にとっては、相場の暴落や急騰といった局面で平常心を保持したままの状態で投資を継続することは極めて困難です。
しかし、感情を持っていないAIであれば、どのような場面であってもアルゴリズムに則って粛々と運用してくれます。こうした点もAI投資の心強いメリットでしょう。
3.気軽に分散投資をすることが可能
AI投資は、自動的に分散投資によるリスク分散を図ることが可能です。
AI投資におけるポートフォリオは、国内外の株や債券、不動産などで運用するETFで構成されているものがメインとなっています。値動きが異なるさまざまな金融商品を組み合わせることによって、リスクを分散するためです。
こうした金融商品に自分自身で投資しようとする場合には、多くの種類の銘柄を確認して、購入する必要があります。
また、ポートフォリオを1回組んだとしても、値動きによっては配分比率が変化するため、一定の期間ごとに売買するリバランスも必要となります。AI投資は、こうした手間や労力がかかる分散投資を自動的に実行してくれる点がメリットです。
4.少額から投資を始められる
AI投資は、少額からでも運用できる点もメリットです。
AIを活用した投資サービスは現在では既に多様化しているため、10,000〜100,000円程度でスタート可能なサービスが数多く存在します。中には、日頃の会計の中で出てきた少額のおつり(1,000円以下)を投資に回すようなサービスもあります。
AI投資は、AIだけで自動的・機械的に投資を実行するため、最低投資額が安く、お小遣い程度の金額で運用できるサービスもあるなど、多額の投資資金を用意できない利用者にとっても手が届きやすい点はメリットといえます。
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AI投資はやめたほうがいいと言われている理由とデメリット
一方、AI投資(ロボアドバイザー)のデメリットとしては、主に以下のようなものを挙げることができます。
- 自分で運用するよりも手数料が割高になる
- 短期間で大きな利益を期待することは難しい
- 投資に関するナレッジ・知見が身に付きにくい
- 税金面で損する ケースがある(投資一任型の場合)
ひとつずつ解説していきます。
1.自分で運用するよりも手数料が割高になる
AI投資は、自分自身で資産運用する場合と比較すると手数料が割高です。投資一任型のAI投資は、運用資産額に対して、年間1%くらいの手数料がかかることが一般的です。
もし、ネット証券において、インデックス型の投資信託を自分で購入した場合には、購入や売却に関する手数料は不要で、運用中の手数料に該当する信託報酬も0.1〜0.2%くらいで済みます。
たった1%くらいであれば大したことはない、と思うかもしれませんが、10年〜20年という長期期間の投資の場合には大きなリターンの差になってしまうでしょう。
しかし、手数料を支払うことによって、投資の勉強に要する時間や運用の手間を買っていると考えた場合には、その手数料が高いのか安いかのは、それぞれの人の考え方によるとも言えます。
2.短期間で大きな利益を期待することは難しい
AI投資は、長期間で安定的な運用を目指すサービスであるため、短期間で大きな利益を期待することは難しいです。
例えば、レバレッジを効かせた信用取引やFX、ボラティリティ(価格の変動幅)が大きい仮想通貨のように、短期間でたくさん稼ぎたいという場合にはあまり向いていないということができます。
しかし、その代わりに複数の地域・商品に分散して投資を実行しているため、瞬間的に大部分の資産を失うということもありません。AI投資は、10年〜20年という長期的な観点でコツコツ資産を運用したい人に向いているサービスなのです。
3.投資に関するナレッジ・知見が身に付きにくい
AI投資は手軽に始めることが可能で、放ったままの状態にしておいてもきちんと資産を運用してくれる便利なサービスです。
しかし、その反面、自分自身で投資を経験することによるナレッジや金融に関するリテラシーは身に付きにくいと言えます。
投資の初心者から脱却したいと考えている場合には、積極的に自ら勉強することが重要です。AI投資の運用報告書などを研究して、AIが選別した投資対象の金融商品に興味を持って自分の力で調べてみることも金融リテラシーを身に付ける手助けになるでしょう。
4.税金面で損するケースがある(投資一任型の場合)
投資一任型のAI投資においては、「一般口座」、「特定口座・源泉徴収あり」、「特定口座・源泉徴収なし」、の中からどの口座を利用するかを選ばなければなりません。
上記の中で、「特定口座・源泉徴収あり」の口座を選択した選んだ場合には、利益が発生しても自分で確定申告をする必要はありません。
しかし、そのままの状態にしておくと、税金面で不利になる場合があるのです。投資一任型のAI投資は、運用手数料やサービス利用料などの料金がかかることが一般的です。
「特定口座・源泉徴収あり」の口座の場合は、運用手数料を控除したうえで課税されます。しかし、サービス利用料は費用として計上されていないため、別途確定申告を行う際に費用に計上しなければ、多く課税されてしまいます。
ただし、2022年分以降は投資一任契約における費用が特定口座の経費に計上されるので、サービス料も差し引かれたうえで課税されるのですが、2021年分については対象外です。
したがって、自分で確定申告を行う際に、サービス利用料を必要経費に計上する必要があります。
AI投資の始め方
AI投資を始める際には、Webサイトにおいて新規登録や・口座開設の手続きを実施する前に、運用予定資金額を決めておくことやマイナンバー情報と本人確認書類などを準備しておくことが求められます。
まずはAI投資サービスで運用する金額を決めておく必要があります。
厳密に決定する必要はありませんが、「最初のうちは〇〇万円くらいの金額で、毎月XX円くらいは増やしたい」という大雑把な目標でも問題はありません。
AI投資は100円からでもスタートできるサービスなので、他の投資サービスと比較しても初期投資が安く抑えることができるという点が特徴です。
しかし、AI投資による資産運用は紛れもない投資であるため、余裕資金で運用することが望ましいです。
また、AI投資サービスの口座を開設する場合には、マイナンバー情報や本人確認書類の提示が必要です。したがって、申込手続きの前に、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類のデータを準備しておくと、スムーズに手続きを進められるでしょう。
AI投資を始める際の注意点
AI投資を始める際の主な注意点は以下の通りです。
1.元本が保証されているわけではない
AI投資は分散投資を行うものであり、リスクを抑えた投資をすることが可能ですが、それでも投資である以上、元本が保証されているようなものではありません。
また、AI投資においては、投資の専門家(プロ)が運用を代行するケースがありますが、それでも投資のリスクを完全に避けることは不可能です。
AI投資を始める場合には、投資のリスクを十分に理解して、自分に向いている適切な運用方法を検討・選択することがとても重要です。
2.リスクの完全回避は困難
AI投資は、投資の専門家(プロ)が運用を代行する新たなタイプの投資手法です。
AI投資では、投資のプロが膨大なデータに基づいて分析を実施し、最適な投資方法を導き出し提案します。しかし、投資のリスクを100%回避することはできません。
AI投資は、投資の目的やリスク許容度に合わせて、適切に運用することが重要です。投資の目的としては、例えば、老後の資産形成、教育費の準備、住宅購入、などが考えられます。
AI投資を始める場合には、最初に自分の投資の目的とリスクの許容度を明確にし、マッチする適切なAI投資を検討・選択するようにしましょう。
3. 長期を見通して投資を続ける
AI投資はリスクを抑えた長期間の分散投資を前提としている投資サービスです。
数ヶ月くらいの短期間では大きな利益が得られないケースが大部分なので、一時的な市場における値動きだけで解約しないように注意する必要があります。
AI投資は、他の株式投資やFX投資などと比べると、利益を出しやすい反面、手数料は割高に設定されているケースが多いです。
手数料が高いということは、短期間で解約してしまうと、運用コストに対して割り負けてしまい、トータルのリターンがマイナスになってしまう可能性が高いと考えられます。したがって、一度AI投資を始めたら、数年程度は続けてサービスを利用するつもりで始めることをおすすめします。
AI投資ができるおすすめのサービス3選
AI投資ができるおすすめのサービスを3つご紹介します。
ウェルスナビ
ウェルスナビは2016年1月からサービスを提供している投資一任型のAI投資サービスです。
利用者のリスク許容度や目標金額に合わせて、最適な資産運用プランを提案してくれます。
ウェルスナビの主な特徴は、手数料が低い、スマホアプリで簡単に始められる、投資のプロが運用を代行、リスクを抑えた運用ができる、税金対策ができる、などです。
ウェルスナビは、初心者から上級者まで幅広いユーザーに利用されているため、資産運用を始めたい方にとって最適な選択肢の一つとなるでしょう。
テオ
テオは2018年に誕生したAI投資サービスです。
投資一任型のAI投資であり、5つの質問に回答するだけで、自動的にあとの運用や管理を全て任せることが可能です。
テオのおまかせ運用のアルゴリズムや機能は、アカデミック分野や資産運用のプロ(例えば、京都大学客員教授の加藤康之氏や世界最大の資産運用会社であるブラックロック社出身のスチュワートボックス・マット氏など)による監修が行われています。
また、テオのポートフォリオは231通りもあるため、利用者に合った最適なポートフォリオで運用できます。
スマートフォリオ
スマートフォリオは、2015年10月にみずほ銀行が提供をスタートしたAI投資サービスです。
スマートフォリオはアドバイス型のAI投資サービスであるため、投資経験者に向いています。
主な特徴としては、利用者に応じて資産配分(アセットアロケーション)のモデルを提案することが可能、中立的な立場からの運用アドバイスを実施、プロの運用手法を参考にした助言、などを挙げることができます。なお、スマートフォリオは2023年8月31日(木)にサービスを終了します。
AI投資に関するよくある質問
AI投資に関するよくある質問とその回答は以下の通りです。
1.AI投資の始め方とは?
AI投資を始める場合には、最初にAI投資サービスを提供する会社を選択します。
そして、その会社のサービスに申し込み、投資口座(アカウント)を開設します。その後、投資したい金額を口座に入金して、投資先を決めます。
投資先を決めたら、AIが自動的に運用を実行するので、投資の利益を得ることが可能になります。
2.AI投資の将来性とは?
AI投資の将来性は、非常に明るいと考えられます。
AI技術は日々進化しているため、AI投資もより効率的かつ効果的に行われるようになると期待されています。
また、投資の初心者でも手軽に始めることが可能なので、AI投資の普及が飛躍的に進むと予想されています。
3.AI投資と投資信託の違いとは?
投資信託とは、多数の投資家から資金を集めたうえで、その資金に基づいて運用のプロが株式・債券などに投資し、運用して獲得した利益を投資家に還元する仕組みを有する金融商品のことです。
AI投資と投資信託の基本的な相違点は、投資信託は投資家自身が投資対象を選定・購入などを実施する必要があるのに対して、AI投資は利用者に代わってサービス側がそれらを実行してくれる点です。
まとめ
AI投資とは、インターネット上において投資診断や投資の助言を行ったり、利用者に代わって運用(売買、最適化、など)を実行してくれるサービスをいいます。
投資の知識が乏しくても始めることができたり、あまり手間がかからない、などのメリットがありますが、短期間で大きな利益を期待しにくいというデメリットもあります。
AI投資を始める際には、元本が保証されているわけではない、などの注意点を踏まえて、自分に向いているAI投資サービスを検討・選択することが重要です。
参考文献:
・ロボアドバイザーの『アドバイス型』と『投資一任型』の違いはなんですか?|投資の時間|日本証券業協会
・THEO [テオ] by お金のデザイン
・みずほ銀行:「SMART FOLIO」ロボ・アドバイザー
この記事を書いた人
ikebukuro